神曲奏界ポリフォニカ 黄昏の黎明   作:ヴィヴィオ

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第7話

 

 

 

 

 事件から少しして神曲学院の入学式となった今日、俺は目覚ましによって起きた。そんな俺のやる事は一つだ。

 

「イアリ、朝だ。起きろ」

「んんっ……仕方ないわね」

 

 俺の隣に俺のYシャツだけを身に纏ったイアリが枕にしていた俺の腕から頭を退ける。精霊は寝る必要もないが、イアリは何時も俺に抱きついて目を瞑って温もりを感じているそうだ。心音が聞こえるのが安心するのかも知れない。

 

「というか、ボタンくらい付けろよ」

「面倒だからいいわ。どうせ見るのはレイだけなのだし」

 

 俺が困ってるんだが……襲うのをウェルカム状態で待っている状態だしやっちまいそうになる。まあ、自制はするけどな。

 

「さてと」

 

 イアリがYシャツを脱いで綺麗に畳んだ後、パチンッと指を鳴らすと服装が何時ものゴスロリの服になる。それから顔を洗ったりした後、イアリが俺の服を取り出して着せてくれる。抵抗したら拗ねられるので全て任せておく。どんどんダメ人間にされている気がするな。寝る時には好きとか、耳元で囁かれ続かれるし。

 

「朝ごはんは何がいい?」

「イアリのご飯は美味しいから何でもいい」

「じゃあ、フレンチトーストでいいわね」

「ああ」

 

 イアリが部屋を出て行く。俺は学校の準備を整えて下に降りると梓も丁度降りてきた。

 

「おはよう」

「おはようございます。いよいよですね」

「ああ。今日からトルバス神曲学院の生徒になるんだ」

「楽しみです」

「そうだな」

 

 1階に降りると楽しそうな歌が聞こえてくる。それと同時に美味しそうな匂いもしてくる。リビングに入るとイアリが料理をしている。ボウライ達もお手伝いしているのか、お皿を運んでくれている。そして、2人、いや一柱だけ変なのが居る。

 

「イアリ~まだか~まだか~」

「五月蝿いわね。ちょっと待ってなさいよ」

「姉御が好きなのはわしはまだ食べた事がないのだ~」

「しかし、あのイアリが変われば変わるものよ~」

「何? 文句あるなら殺すわよ」

「「それは勘弁」」

「ちっ」

 

 その精霊はピンク色の髪の毛をツインテールにした幼い着物を着た女の子。服や髪の毛がほぼピンク色な事から桜の精霊などと呼ばれている者。2人1人のミゼルドリット。

 

「あっ、ちょっと待っててね。直ぐにできるから」

「ああ」

「はっ、はい……」

「むぅ~態度が違うのだ~」

「えこ贔屓反対だ~」

「黙りなさい。マスターであるレイに依怙贔屓するのは当然よ。それに招待もしていないのに勝手に現れたアンタ達に食事を恵んでやるだけ感謝なさい」

「いや、わしら、一応ここの管理も任されておってな?」

「くふふ、そういいながら私達の分も用意してくれるイアリは大好きだぞ~」

「抱きつくなっ!?」

 

 イアリもなんだかんだ言って楽しそうにしているし、別に構わないだろう。

 

「あ、あの、その精霊は……?」

「ああ、ミゼルドリットだ。学園の常駐精霊だっけ?」

「うむ。そうだ。わしらはミゼルドリット。しかし、会ったことはないはずだが……」

「うむ。知らぬはずだが、なぜに? まあ、よいか。わちし達は1人で2人なので気にする事はないぞ~」

「はっ、はぁ……」

 

 馬鹿なのか、気にしないでくれて助かった。

 

「「それより、早く早く」」

 

 ミゼルドリットが2人でフォークとナイフを持って皿を鳴らしていく。そこに水を入れてグラスなども置いていかれる。俺達も座ったのでボウライ達が運んできてくれた。だからこそ、暇つぶしにグラスを叩いて遊んでいく。

 

「むむ」

「やりおるな」

「あっ、曲ですね」

「結構有名な曲だな。さっきミゼルドリットが引いて、イアリが歌ってた奴だ」

「ミゼルでよいぞ~」

「うむ。それよりもセッションをするのだ~」

「はいはい」

「じゃあ、どうせならボウライ達にもご褒美をやるか」

 

 ギターを取り出して弾いていく。単身楽団ではないが、歌と合わせて神曲を奏でてボウライやイアリ、ついでにミゼルドリットに神曲を与えていく。

 

「「ヒャッホー!」」

「私もします!」

 

 梓もギターを取り出して演奏に参加する。朝からのセッションだが、どんどん精霊が増えてくる。梓の技術も流石で、より素晴らしい出来になる。楽しい音楽にボウライ達は乱舞して、舞台装置の代わりになってくれる。

 

「はい、できたわよ」

 

 そんな楽しい時間もイアリが大皿に乗せたれた大量のフレンチトーストとポテトサラダを持ってきた事で終了した。

 

「みんなご苦労様。今日よろしく」

 

 ボウライ達にお願いしているのは警備と家のお手伝いだ。報酬は毎日の神曲なので、ここに常駐してくれているのも結構いる。

 

「ほほう、これが姉御が言っていた……」

「悔しがりながらも認めたフレンチトースト……」

 

 金色に光るフレンチトーストを皆で食べていく。外はカリっとしていて、中にも卵が入っていて、それはトロトロの半熟で、美味しい。

 

「今日も美味しいよ、イアリ」

「当然よ」

「ありがとうございます。でも、家事を任せていいんですか?」

「気にしなくていいわよ。レイの世話をするのは誰にも譲るつもりがないだけだから」

「そうなんですね……でも、少しはお手伝いしますから言ってくださいね」

「そうね。まあ、出かける時はここを開けるからその時はお願いね」

「はい。でも、どこか行くんですか?」

「仕事を受けるんだよ。一応、イアリと契約しているから神曲楽士としては認められているから仕事を頼まれる事があるんだ」

「凄いですね」

「まあ、技術だけで知識がないからそれの勉強とかでトルバスに通う事になったんだけどね」

「うむ。聞いておるぞ」

「期待期待。それとおかわり~」

「はいはい」

 

 イアリが取り分けてミゼルに渡していく。平和な時間が過ぎていく。食べ終わる頃には通学の時間となり、俺達は外に出る事になる。

 

「さて、我はペルセルテの元に戻るゆえ、そちらを任せたぞ私!」

「任されたのであるぞ、私!」

 

 ビシッと敬礼する2人。片方のミゼルが消えて、残った方が浮きながら付いてくる。

 

「そういえば、姉御は制服を着ていたが、イアリは着ぬのかえ?」

「ああ、あれね。どうしようかしら。別に興味もないし、おばさんと同じというのは嫌なのよね」

「おばさん?」

「コーティカルテよ」

「同じ精霊なのだ。上級精霊で非常勤講師の契約精霊をしておる。2人の中は結構悪いのだ」

「そうなんですか……」

「まあ、問題は行さないでくれよ」

「わかってるわ。そうね、レイは私の制服姿がみたい?」

「そうだな……」

 

 イアリと一生に制服を着て投降もいいか。何よりゴスロリの少女がついてきている事でかなり目立つだろうし。いや、今も既に目立っているか。

 

「そうだな。見たい。というか、一緒に登校するならそっちで頼みたいが……」

「仕方ないわね。これでいいかしら?」

 

 指を鳴らすとイアリの姿が制服姿に変わる。

 

「むむ、技術が凄く高くなっておるの……」

「ど、どうかしら?」

「似合ってる。うん、可愛いい」

「と、当然よ~」

 

 頭を撫でてあげると気持ち良さそうに目を細めて身を委ねてくる。

 

「似合ってますが、メロメロですね」

「う~む、なんだろうか、姉御よりやばい気がするぞ……照れというものが、ほぼ存在しておらんのか……甘すぎなのだ」

 

 口から白い砂糖のようなものを吐くミゼル。まあ、直ぐに消えるんだが。

 

「っと、到着だな」

「ここがこれから通う場所になるんですね」

「そうよ」

「うむ。ようこそ、トルバス神曲学院へ。我らは汝らを歓迎するのじゃ!」

 

 大量の精霊達に迎え入れられる俺達。ボウライで作られたアーチや、奏でられる演奏はさながら音楽祭のようだ。そして、石版がある場所に着いた。そこには例の文字が掘られている。

 

 奏でよ、其は我等が盟約也。

 其は盟約。

 其は悦楽。

 其は威力。

 故に奏でよ、汝が魂の形を。

 

 これが、これからが全てが始まる。イアリが手を握ってくる。俺はイアリを見つめ、改めて石碑に目を向ける。ポリフォニカ世界の代名詞たるこの文章が精霊と人の関係を表している。これからの俺とイアリの、イアリテッケとの関係も。不安もあるが、何より手を繋いでいるイアリと共に過ごす為なら超えられる。ありとあらゆる障害を共に破壊していこう。

 

「奏でましょう。私とレイの物語を……」

「ああ」

 

 この学園でスタート地点に立つ。ここからが本当の始まりだ。サーギュラントに託されたイアリと共に進む物語の。

 

 

 

 

 

 

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