カイとはなが仮面ライダーとプリキュアに変身してから数日が経ったが学校では謎のヒーローの話題で持ちきりだった。
「カッコよかったよねー!プリキュア!」
「うんうん!凄く可愛かったし!」
(プリキュアの話題でいっぱいだな……)
それを自分の席から聞いていたカイはそんなことを思っていた。
すると、女子生徒2人がプリキュアの話をしていると男子生徒2人も加わってきた。
「カッコいいなら仮面ライダーだろー!」
「えー、カッコいいのはプリキュアでしょ!」
「男の子が好きそうなヒーローだもんね」
「カッコいいのは仮面ライダーの方だって!なぁ!?」
「ごめん、僕はどっちかと言うとプリキュアの方がいいかな」
「そんなー!」
「「プリキュア、素敵だったよね〜」」
和気藹々とする同級生たちの背後にいつのまにかはなが立っており、嬉しそうに話しかけた。
「本当!ありがとう〜!」
「「え?」」
「だってプリキュアと仮面ライダーは……」
「オーーイ!!」
突然のお礼に呆然とする同級生たちにはなはニコニコの笑顔だ。
そこに慌てた様子でカイが駆け寄ってはなの口を押さえた。
「ムグググ……!」
「ちょっとこっちに来ようかぁ。なぁ、はな……!」
カイははなを引きずって廊下へと出て行った。
「不堂くん?野々さん?」
その様子を見ていた薬師寺 さあやは不思議そうにしていた。
廊下に出たカイははなに注意する。
「ハリーに言われたこと忘れたのか?正体をバラしたらダメだっていわれたろ?」
「めちょっく!忘れてた……。褒められたのが嬉しくて、つい……えへへ……!」
怒られても褒められたのが嬉しかったのかにやけた顔でそう答えるはなにカイは少し呆れた様子で肩を落とした。
「そう言えば、前から気になっていたんだけど『めちょっく』って何?」
「めっちゃショックの意味だよ!イケてるでしょ!」
「お、おう……」
どんなんだろう、と思ったが目を輝かせるはなを見て、何と答えればいいかわからず、曖昧に答えた。
そして放課後になり、帰り支度をしながらはなはプリキュアを褒められたことがまだ嬉しく、自慢したい気持ちでいっぱいだった。
「言いたくても言えない……はぁ〜ヒーローは辛いぜー!」
「お願いだから言わないでくれよ……」
「もう!わかってるよ!カイくんは心配症だな〜♪」
「………(本当に大丈夫か?)」
嬉しそうなはなの様子にカイは一抹の不安を抱えてしまう。
すると、はなは思い出したようにカイに話しかける。
「あっ、そういえばカイくん!調べ物したいんだけど図書室ってどこにあるのかな?」
「図書室か、案内してあげたいけどハリーとはぐたんの必需品の買い物の約束があるんだよ。参ったな……あっ、薬師寺さん」
カイははなとは逆隣のさあやに話しかける。
「何かな?不堂くん」
「はなに図書室を案内して欲しいんだ。俺は用事があってさ」
「うん、いいよ」
「ありがとうな」
するとさあやの前にクラスメイトのひなせが現れ、プリントを差し出す。
「委員長、このプリント」
「先生に提出するのね。後でクラス日誌を渡す時に一緒に渡しておくね」
「サンキュー、委員長!」
「どういたしまして」
プリントをさあやに渡して去っていき、はなはその様子を見て呟いた。
「薬師寺さんって本当優しいね」
「委員長には誰にも優しくて!」
「学園の天使と呼ばれているんです」
はなの呟きにクラスメイトの女子二人が現れ、さあやの良さを話す。
「「そのうえ、かわいい〜♪」」
二人に煽てられたさあやは顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに俯いてしまう。
「じゃあ、後は頼むな。薬師寺さん」
「う、うん……」
「またねー、カイくん!」
さあやは恥ずかしそうにしながら答え、カイは鞄を持って教室を出た。
○
はぐくみ市のとある公園の大樹の前にカイは大量のオムツやら粉ミルクを持って来ていた。
「はぁはぁ……お、重い……!」
「なんやダラシないなー。それでも男か!」
「じゃあお前が持ってみろ……!このげっ歯類!」
カイの頭の上で偉そうにするハリーにカイは怒りを見せる。
すると、抱っこ紐で抱えていたはぐたんが心配したのかカイに手を伸ばす。
「はぎゅー」
「はは、ありがとう。はぐたん」
カイははぐたんを見て優しい笑顔を浮かべ頭を撫でると、はぐたんも嬉しそうにする。
それを見ていたハリーはふとカイに質問した。
「なぁ、お前は本当に不堂 カイで仮面ライダーブレイクなんか?」
「はぁ?突然何言ってんだよ。まだ仮面ライダーになったばかりだけど、俺は不堂 カイで仮面ライダーブレイクだ。なぁーはぐたん?」
「はぎゅ!」
「………」
カイの言葉にはぐたんは元気に答えるが、ハリーはそれを少し心配そうな目で見る。
そこに図書室で調べ物を終えたはながやって来た。
「おーい!カイくーん!はぐたーん!」
はなはカイがはぐたんを抱っこしていることに気づくと駆け寄ってはぐたんを抱きしめ、頬ずりする。
「お待たせー!はぐたん!元気だった〜?」
「あー♪はぎゅ♪」
自分の言葉に答えるように挨拶するはぐたんを見て、はなは更に頬が緩む。
「で、ここで何するんだよハリー?はなも呼んでさ」
「フフフ……今から家を建てるんや!」
ハリーの言っている意味が分からず、カイとはなは首を傾げる。
「家を建てるって……流石にダンボールの家で赤ちゃんを育てられないぞ」
「ちゃうわアホ!はな!ミライクリスタルだし」
「……ネズミのくせに偉そう…」
「ネズミちゃうわ。ハリハム・ハリーや!」
はなは戸惑いながらもミライクリスタルを出すとハリーがキャリーバッグからミニチュアハウスを出すとミライクリスタルが輝き、ミニチュアハウスが本当の家となった。
「ミライクリスタルがあればこんな事も出来るんや〜!」
「「……」」
まさかの光景にカイもはなも声が出ない。
「さらに〜ハリーイケメンチェン〜ジ!」
掛け声と共に身を一転させるとハムスターの姿からイケメン高身長の青年の姿となった。
「どうや!」
「ええ!?」
「もう……驚くことが多すぎてなんかお腹いっぱいなんだが」
驚く2人とドヤ顔するハリーだが、その時はぐたんが突然泣き出した。
「ど、どうしたの!? はぐたん…」
「あぁ。これはオムツやな。早うあの中へ」
カイ達は家の中に入り、はぐたんのオムツを替えて一旦落ち着いてからハリーに説明を求める。
「ねえ、ハリー質問。結局のアレて何なの?」
はなが言っているのは先日学校で暴れた化け物のことだ。
ハリーは真剣な表情になり、口を開く。
「アレはオシマイダー。クライアス社が寄越した化け者や」
「クライアス社?」
「そう。俺とはぐたんは、こことは違う世界から来たんや。そんでクライアス社ってのは、その俺らの世界を滅茶苦茶にした悪者や。奴らはミライクリスタルを狙っとる。皆の元気パワー、明日への希望パワーが『アスパワワ』や。その結晶がミライクリスタルなんや。それを奪われたら、世界から明日が無くなる」
「明日が無くなる……ってどういう事?」
「世界が破滅するとか?」
カイの言葉に反応したハリーはカイを複雑な表情で見る。
「そうやない。世界の時間が止まってしまうんや」
「明日が無くなるってそういうことか」
ハリーの言っている意味がわかったカイは眉を歪めて嫌な気持ちになる。
はなは話についていけていないのに気づいたカイは分かりやすく説明する。
「つまりミライクリスタルがクライアス社に奪われると、誕生日もクリスマスもお正月も、何も来ないってこと」
「うええええっ!? めちょっく…」
「話が早くて助かるわ。それに時間が止まるっちゅうことは、はぐたんが大きくなる事も無いってことや。……プリキュアならみんなの未来を守れる」
「そっかぁ……」
ハリーの言葉を聞いたはなはみんなの未来を守ると決心し、力強く宣言する。
「私、頑張る!」
ハリーもそれを聞いて嬉しそうにする。
そこで、カイがそろーりと手を挙げる。
「あのさ、話を途中で折って悪いんだけど。仮面ライダーって結局何?」
「あっ、そうだよ!仮面ライダーもプリキュアと同じでみんなを守るヒーローなの?」
カイとはなの質問にハリーは言いにくそうな表情になってしまう。
「えーっとなぁ……じ、実は俺も分からんのや」
「そうなの?」
「でも、ギアロードドライバーはハリーの持ち物だったんだろ?」
「それはな……こっちに来る時に咄嗟に持ってきたもんなんや」
「ってことは盗んだのか!?」
「しゃーないんや!あの時は必死やったし!それよりもや!!プリハートはあと3つある!一緒に戦ってくれるプリキュアを3人見つけることが最優先やろ!」
「はぐらかされた……」
はぐらかすハリーにカイはジト目で睨む。
すると、はなははぐたんを抱っこしながら立ち上がる。
「クリスタルを集めるのは頑張るけど……プリキュアは私1人だけでいい。はぐたんは私が守る!」
「なっ、何やて!?」
「俺もいるんだぞ?」
「あっ、そっか。じゃあヒーローとヒロイン1人ずつで頑張ろー!フレー!フレー!私たち!オー!!」
「おー!」
能天気に掛け声を言うはなとそれに答えるようにはぐたんも可愛らしく掛け声を上げるのを見て、カイとハリーは心配になった。
「大丈夫か?」
「めっちゃ心配や……」