東方人妖期   作:黎悠明

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 はじめまして。明と申します。興味本位で書いてみたものです。このサイトを利用するのは初めてなので、ルール、マナー等間違った事があればご指摘ください。
 小説を書くのは初めてです。処女作です。ですので読みづらい所があると思います。ご指摘いただけたらそれを参考に直していく所存です。今はご容赦ください。
 
 自分は東方が好きなのでそれを題材に作ってみました。最初は東方キャラが出ず、オリキャラのみが行動をするのであまり面白みを感じないかもしれないです。お許しください。
 
 では駄文で大変失礼ですが、読んで頂けると幸いです。


序章
序章 1


 

 

 

 これは、とある村のとある少年に起きた不思議な物語。

 ある者は悲しみ、

 ある者は妬み、

 ある者は羨み、

 そして、ある者は共感するであろう。

 彼が向かうは――

 

*     *     *     *     *

 

 「――っ、……はぁっ! はぁっ――」

真っ暗い森の中、僕はひた走る。走る。足が痛かろうが走らなければ。

暗くて、前が見えない。見えない理由は暗いだけじゃない。

恐い、怖いこわいこわい!

特に庭師が怖かった。刈り込み鋏を持ち、僕を切ろうとしていたのを憶えている。そして、避けきれず、切られた部分も走ると痛む。

 「――あがっ……えほっ! げほぉ!」

身体をろくに動かしてなかった為か、僕の身体が元々弱い為か、それとも恐怖からの動悸の異常なのか。呼吸がろくに出来ない。

どうして? みんな優しかったのに……

 昨日まで、いや、今日の夕方までは皆優しかった。それが夜から皆の様子が変わってしまった。

 僕は後ろを振り向き、慣れ親しんだ村を見据えた。ここまできたら、大丈夫だろう。僕の『チカラ』もそう映している。

 近場の木に背中を預ける。すると、疲れがどっと来て、耐えられずに座ってしまった。

 月明かりで、自分の格好がようやくわかる。

 元々は真っ白い水衣が、腰から上はほぼ真っ赤。下は所々紅い斑模様をしている。僕の血だ。

僕は左手で右目が『あった』所に触れる。……血はまだ止まってないらしい。

 身体が空気を欲して、僕の心臓が凄い速さで胸の中で動いている。

 ハァ、ハァと息を荒げると、手首につけた鈴が揺れチリンと音が聞こえる。目の前で髪が揺れる。そして、髪と同じく、耳が揺れるのが『見えた』。

 揺れた耳に触れる。柔らかくて、くすぐったくて、温かかった。寂しくなって、悲しくなって、泣きたくなった。いや、泣いてしまった。

 どうしてだろう、どうしてこうなったんだろう。

 父様、母様……。

 涙は止まらなくて。涙の様な血も止まらなかった。

 

*     *     *     *     *

 

 事の発端は数時間前。

 「雪正(ゆきまさ)。今日もお疲れ様」

 夕日が半分ほど沈みかけ、境内を橙色に染め、橙に染まった廊下で、母様の優しい声が僕の背中にかかる。

 振り向くと、僕の髪飾りの鈴がチリンと音を立てる。

 「母様。でも、僕は全然疲れてないよ?」

 僕の『チカラ』は体力なんて使わない。覗る事をすれば良いだけだから。

 「でも、そういうものは精神的に来るものではないのですか? 私は、貴方が心配なのです」

 母様が僕を優しく抱きしめてくれる。とても暖かくて良い匂いがする。

 「うん。ありがとう母様」

 「……それと、今は『私』ですよ。誰が聞き耳を立てているか、わかりませんからね」

 母様は僕を抱きしめながらそっと耳打ちした。

 僕は、そうでしたと言って謝り一人称を『私』に変える。

 

 ――僕の父様が神主をする、鈴宮(すずのみや)神社。僕はその息子として産まれたのだけれど、ある能力を持って生まれたからか、僕は女の子の様に育てられた。その方が信仰が集まるらしい。童顔っぽく産まれたのも幸い、女装して化粧すれば女の子――村一番の美少女と呼ばれるほどの――に見えた。だけど僕、鈴宮雪正は歴とした男である。顔はどうする事も出来ないけど、胸だって膨らまないし、ちゃ、ちゃんとアレだってついてるっ。僕が男って知ってる人の前では、「僕」と言ってしまう。

 

 母様がゆっくりと身体を離す。ふわりと、また優しい匂いがした。

 「ここはまだ社務所に近いです。家に帰ってからですよ」

 「わかりました母様」

 僕と母様は笑いながら、鳥居に向かって歩いて行った。その途中、

 「おや、白帆(しらほ)様と雪様。お二人は本当に仲がよろしくて」

 桶と柄杓を持った恰幅の良い男性が、水を撒きながら話しかけてきた。ちなみに、僕は女という事になっている為、雪と呼ばれている。

 「庭師の元さん。この時間に水撒きですか?」

 母様がそう尋ねると、庭師は、そう見えますか、と苦笑して植木を見た。

 「この頃、所々の植木に変な虫が集ってるのです。なので、唐辛子を混ぜた水を掛けていた所ですよ」

 「変な虫、ですか? 私見てみたいです」

 といって僕は植木に近寄ってみた。

 「よろしいですよ。農薬では無いですし、虫自体にも毒はなさそうですしね」

 「雪ったら、変なものに興味を持つのだから」

母様はふふっと笑い、僕の様子を眺めていた。

「何にでも興味関心を持つ、そこも雪様の良いところです」

二人とも何か言っていたが、僕は虫を探すのに夢中で母様達の会話は耳を素通りしていった。

植木は庭師のお陰で綺麗に整っていたが、枝の所々にムカデのような、綺麗な紫色をした虫を点々と見つけた。

僕が、その虫を潰さないようにつまみ、この虫ですかと尋ねると庭師は目を丸くしながらも頷いた。

「ああ、その虫です。合っていますよ。雪様、よく触れましたな」

 庭師のいう言葉に僕は疑問を抱いたが、母様の苦笑いを見てわかった。僕、今は女だったんだ。

 「ゆ、雪。今日は秋鷹(あきたか)さんが夕餉を用意していると仰ってました。虫遊びも良いですが、ご飯が冷めてしまいますよ」

 焦った様な声をして母様はそう仰った。

 「本当ですか? 私、父様の作る煮物が食べたいのです!」

 「そういう事でしたら、お早く。神主様も待っていらっしゃる事でしょうから」

 庭師は微笑みながら、僕の手から虫を掴み、母様にそう言った。

 「そうですね、では私たちはこれで。元さんもあまり奥様を待たされないよう」

 もったいないお言葉を、と庭師が頭を下げた瞬間、母様は僕の手を握って、そそくさと立ち去った。

 僕たちの家は、社務所の少し奥。母様は社務所を無言且つ早歩きで通り過ぎた。夕餉の匂いだろうか、良い匂いが僕の鼻孔をくすぐる。すると、母様はジトッとした目で僕をみて

 「ゆ~き~ま~さ~! 言ったそばからなんて事するのですか。元さん、驚いていたではないですか」

 「ご、ごめんなさい……」

 母様の気迫に気圧されて、僕はシュンとなった。

 「良いですか雪正。貴方は特別な能力を持った巫女なのです。代々鈴宮神社の血筋は特別な能力を持って産まれてきます。能力は様々でしたがどれも信仰を深める事の出来る素晴らしい能力でした。雪正は未来を見通せます。その能力がどれだけ凄い力なのか貴方には――」

 「白帆。家の前で何やってんだ、中まで駄々漏れなんだよ。とっとと入って皆で飯でも食おうぜ」

 いきなり家の扉が開き、見慣れた顔が出てきた。

 父様っ、と僕は父様の腰に抱きつき、母様の説教から逃れた。

 「おぅ、マサお帰り。お前の好きな筍のしぐれ煮、出来てるぜ」

 僕の両脇を掴み思いっきり上げ肩車する父様。父様は僕がこの年になっても子ども扱いをする。

 「秋鷹さん。そうやって男の子のように扱ってしまうから、雪正が男の子のように育ってしまうのですよ」

 腰に手をあて、母様は父様をジッと睨む。

 「と言ってもなぁ。マサは男なんだし仕方のない事だろう。なぁ?」

 父様は僕に同意を求め、僕もそれに頷く。

 「それにあれだ。もしバレちまったらそれはそれでいいんじゃ――」

 「良くありません! 大体、秋鷹さんもそうやって育ってきたではないですか」

 

 鈴宮神社に産まれてくる者は、不思議な力を宿して産まれてくる。そしてその子どもは女であれば女のまま。もし男であれば女と偽り、『神の巫女』として崇められる。女として育てられる理由はこうだ。

 『鈴宮の神は大層な女好きである』

これは鈴宮神社の歴史がそういっている。書物にも載っているし、父様も、今は亡き爺様もそう教えられてきたのだと。母様の受け売りだけど。ちなみに、鈴宮の血筋は父様である。

 

 「俺か? 昔の俺はみんなに「男勝りな巫女」で通ってた」

 そう言うと、母様は疲れた顔をして、もういいですとため息交じりで呟いた。

 

 

 




 ここまでお読みいただいてありがとうございます。
 序章ですが、4回程に区切って送りたいと思っております。
 東方キャラが全く出ていませんが、ご容赦ください。
 
 誤字、脱字がございましたら、お教え頂けると嬉しいです。
 感想を頂けると幸いです。
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