二つの顔を持つ緑谷出久   作:青二才

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初投稿だったのに結構な評価が付いてて狂喜でした。お陰で更新が早くなった


闇との交流、僕が受けるのは.....

オールフォーワン...もとい「先生」と協力者の関係になった出久は、その場でワープの個性を持つ黒霧という男を紹介され、日曜日に先生の後継者が普段使っているアジトにて顔合わせをする約束を取り付けられた。

 

そして学校のある平日の時間はいつも通りの日常のためかあっという間に過ぎて行き、顔合わせ当日になってしまう。

 

 

 

『なあ出久、お前本当に敵側に行って良いのか?お前はヒーローになりたかったんだろ?』

 

純粋にヒーローに強い憧れを持っていたことを知っているハロスは、指示された目的地に向かっている途中にそう質問を投げかけた。

 

「ハロス...前にも言ったけど僕は自分の憧れてた理想のヒーロー像が壊れちゃったんだよ、そりゃぁ、ヒーローは好きだし、憧れるけど...今のヒーローはただの仕事だったり、抑圧のための装置なんだと思う。だから、本当の意味のヒーローに僕がなるんだ」

 

出久は諭すような声音で口を開き、絶妙に返答としては不十分な回答を言った。

 

『ふーん、じゃあ聞くけどさ、出久の思い描くヒーローってどんななんだ?」

 

何故本当のヒーローになることが敵としての存在になることなのか、それが理解どうしても判らなかったハロスは質問を変え、問いかけた。

 

「んー...個性は関係無い、肉体的にでも精神的にでも変わらず、ただ誰かが助けてもらいたいと思った時に何を差し置いても手を伸ばせて、解決させられるヒーローかな。その人がもし敵だったとしても、その人なりの信念があれば僕は傷つけることなく救いたいよ」

 

出久は最近の落ち着いた表情から一転して、年相応の顔になり、理想を語った。

 

『ははっ子供らしい壮大な夢だな。まぁでも、お前には取れる選択肢が多くなるから、あながち無理でも無いかもな』

 

出久の返答に思わずハロスは笑い、彼なりのエールを送った。

 

「..ありがとう、それに、僕が敵の協力者になったのも、ヒーローとしての縛られた活動だけじゃ救えないものがあるかもしれないからだよ、オールマイトに言われた通り、現実は綺麗なだけで理想を掴めるほど甘いわけじゃ無いんだ」

 

『歪んだくせに真っ直ぐだな...ヒーローもダークヒーローも両方目指すのか、本当に面白いな、出久は』

 

ハロスの見てきた出久のこれまでの人生はまさに逆境だった。自分が無個性だと分かった4歳の頃には、弱者の烙印を押されていた。それでも出久はヒーローに憧れ、夢を捨てきれずに足掻いていた。そして、憧れた存在に藁にも縋る思いでNo1ヒーローに質問するも、目を背け続けてきた現実を直視するよう諭されたことで絶望させられた。人の暗い部分を多くみてきて、ヒーローを憎み、歪んだ悪になってもおかしくない境遇だった。それでもなお彼は、どうあっても人を救う存在になりたいという夢を口にした。人間自体を怠惰かつ弱い生き物だと思っていたハロスにとって出久の存在は何より格好良く、どんな形であれ、彼なら最高のヒーローになれると思っていた

 

『(ここまで辛い目を見てきたお前なら、万人の希望になれるだろうな)」

 

 

「っと、約束の時間になっちゃったね、中に入ろうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....ガキ?おい黒霧、なんで俺の嫌いなもんをここに連れてきた?」

 

バーのドアを開き、中に入ると薄い青...いや、灰色の髪をした青年がカウンターに座っていた。男は出久を見るなり嫌悪感を剥き出しにして、向かい側にいる黒霧を睨んだ。

 

「死柄木弔、彼は...「良いよ、僕が自分で自己紹介するから」」

 

黒霧が出久を紹介しようとするが、それを出久自身が制した。

 

「僕は緑谷出久、本当の意味で敵になりたくは無いから敵としての名前はまだ考えて無いけど、一応君の先生にあたる人物に勧誘されて協力者になりました。あの人の申し出を受けた理由は、絶望の淵にいた人間を助けずに耳障りの良い正論で更に追い込んだくせにヘラヘラしてるヒーローと、相性が不利だったら何もしようとしない今のヒーロー社会が嫌いだから。....まぁ他に気になったことがあれば他にも聞いてください、死柄木さん」

 

自己紹介を始めた出久はとても中学生が出来るような表情では無い、まさに『失望』と『怒り』が混ぜられ、熟成されたような顔をしていた。だが、それも最後には満面の笑みを浮かべて男...死柄木弔に話を振った。

 

 

「......ああ、さっきは嫌いだなんて言って悪かったよ、お前とは仲良く出来そうだ。俺のことは先生から聞いてるんだろうが、気軽に弔って呼んでくれ。よろしく、緑谷出久」

 

数秒の間死柄木は出久のことを注意深く見つめた後に敵意を緩和させてそう言い、中指を上げた状態で握手を求めた。中指を上げているのは個性の関係なのだろう、そう言ったこともオールフォーワンは言っていたはずだ。

 

「....じゃあ改めて、よろしく、えっと...弔君?」

 

出久は弔の手をとって挨拶をするが、中身はただの中学三年生だ。どうしてもぎこちなくなり、表情も硬くなってしまう。

 

「ははっ!妙に達観してると思ったけど年相応じゃん、面白れえ」

 

弔は出久の年相応な姿を見て笑いだし、取り繕ったような表情も無くなった。....敵では無いと認めてくれたからなのだろうか?。

 

「えと、じゃぁ連絡先渡しておくから何かあったら掛けてきてよ、根っからの敵になる気は無いけど協力者なんだし。あぁ、もしヒーローの情報が欲しかったら言って?結構色々なヒーローの分析とかしてるから」

 

出久も出久で態度が少し軟化し、まだ若干硬くはあるが笑みを見せてお互いの連絡方法の確認をしていった。

 

「そうだな、わかった...こっちはこのバーの連絡先に描けてくれれば良い。顔合わせだけなのにここに居てもらい続けるのも悪いな、黒霧...どこか適当な場所にでも送ってやれ」

 

弔の方からの連絡先を教えられた後、帰る為の手筈を整えてくれた。相手がただの中学生だとしても先生が直々に気に入って説得した協力者だと言うことを考えたのか、そのまま放り出すのでは無く黒霧に送るよう指示を出した。

 

「分かりました死柄木弔。では緑谷さん、貴方の家の近くにワープゲートを繋げたので潜ってください」

 

黒霧は弔の指示に従ってゲートを繋ぎ、出久に潜るよう促した。

 

『ちょっと待ってくれ、黒霧』

 

「「先生!?」」

 

「.....どうかしましたか?オールフォーワン?」

 

いきなり聞こえてきた声...オールフォーワンに呼び止められて弔と黒霧は驚き、出久も出久で緊張が走っていた。協力関係になったとしても彼は間違い無く世界最悪の敵だ。そして今のところ彼に利は無いし、本当の仲間にはならないと宣言した以上手を切られる可能性などまさに彼の機嫌次第だからだ。

 

『ああ出久君、君には雄英のヒーロー科に入学して欲しいんだ、もちろん戦闘力向上の為のトレーニングはしてあげるから安心してくれ』

 

オールフォーワンの口から出た依頼は出久を驚かせるのに十分なものだった。『死神』の個性で死者か同意者の個性を譲り受けることが出来るとしても現状出久の力はオールフォーワンに協力関係の対価として貰った『進化』のみ。今から受験までの半年ほど鍛えたところで到底間に合わないからだ。

 

「...何故、雄英なんですか?最難関のヒーロー育成校だからでしょうか?」

 

出久は最初から無理だと突っぱねることはせず、まずは理由を質問した。

 

『それもあるが、来年からオールマイトが教師になるらしいんだ。だから、アイツが絶望させ、ヒーローになれないと言い切った君を引き合わせたいんだよ。アイツが絶望させ、少なからず悪感情を抱いている子供を入学させる、楽しいじゃないか!フフフフフ...』

 

オールフォーワンは嬉々として理由を教え、心底楽しい事を提示された子供のように笑顔になり。人を心から恐怖させる事ができるような笑い声を出した。

 

「...わかりました、そういうことなら出来る限り努力してみますよ。元々雄英には普通科で入るつもりだったので科の変更をすれば良いだけですし、鍛えても貰えるらしいので出来る限り頑張ってみます」

 

出久はこの様子ならオールフォーワンは自分次第で絶対に入学させられる手筈を整えていると確信し、快く引き受けた。

 

「そろそろ行きましょう、別段遅い時間では無いとはいえ、君の親御さんを心配させるとはいけませんからね」

 

事実、もう家を出て三時間は経っていた。流石に怪しまれないだろうが、家を出たのが13時でワープを使わなければ片道約2時間半掛かるのだ。受験まで後半年というこの大事な時期に遠出などしていたら心配をかけてしまう。

 

「ありがとうございます黒霧さん。それじゃあ先生、弔君、また今度」

 

出久はゲートを繋げて送ってくれるという黒霧に感謝をしてから後ろを振り返り、微笑みながら悪の師弟に挨拶をしてもやを潜って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、出久と未来の巨悪との初会合は終わりを告げたのだった。

 

 

 

 




次話投稿の内容が難産です。もしお力添えをしていただける読者の方が居ましたら活動報告からコメントをよろしくお願いしますm(_ _)m
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