さあ──『喜劇』を始めよう!   作:Sakiru

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第四幕──開幕。

約半年ぶりに更新しました。短いですが、第四幕の触り部分としてはこれくらいが良いかなと思います。
また、匿名様からまたもや素晴らしいイラストを頂きました。この場をお借りして御礼申し上げます。

それでは、またぼちぼちと投稿を再開していきますので宜しくお願いします。
なお、前回の反省を活かし、第四幕は短めの話数で行きます。


【挿絵表示】



第四幕 ─好敵手(ライバル)
とある男神の日記


 

 一つ、日記を残そうと思い、オレは今羽根ペンを握っている。

 今朝、『あの方』から伝書鳩が飛ばされてきた。定期報告はしているが、それとは別件かと思い文書を読むと、そこには一つの指示が汚い字で書き殴られていた。いつも以上に汚かった為読解するのにかなりの時間を要してしまったのは、ここだけの秘密にしておこう。

 とはいえ、『あの方』から指示を受けるのは、何も、これが初めての事ではない。突然的なのにも慣れているが、今回はいつもとは少しばかり違うようだった。

 指示の内容は、『古代の王国の遺跡調査』。嘗て栄華を極めたが、現在はその影すら残っていない滅んだ王国。歴史となったもの。その残滓を調査しろという内容だ。

 

『古代の王国』。いったい何でそんな所にとオレは一瞬頭を悩ませたが、それもすぐに無くなった。

 

『あの方』から、話は既に聞いている。

 正直な所、にわかには信じがたい話だったが──これもまた『下界の可能性』なのだろう。そう思えば、すんなりと受け入れられた。

 とはいえ、話が話なだけに詳細は書けないが。これを知る神物は、出来る限り少なくした方が良い。それだけのブラックボックスだ、これは。

 

 だがそれ以上に、オレ自身、興味があった。

 

 遠い昔の事になるが、『あの方』が随分と興奮していた時期があった。その時、オレ達はそんな事に構う程の余裕がなかったのだが、声を上げて爆笑していたのは覚えている。それまでとある女子に激怒していたのが嘘だったかのように、まるで子供のようにキラキラと瞳を輝かせていたあの()()()は、とても印象的だった。

 

 その理由が、きっとそこにはあるのだろう。

 

 オレは、それが気になって仕方がない。

 

 そして願わくば、この調査が人類の前進に役立つ事を祈ろう。

 

 何故なら神々(オレ達)は見守る事しか出来ないのだから。

 

 

 

 ──神々(オレ達)がこの下界に訪れる、何千年も前の話。

 

 

 

 人類は大陸の果てから現れる『絶対悪』(モンスター)によって絶滅の危機に瀕していた。

 村が、街が、国が滅ぼされた。大国であろうと一夜で滅ぼされ、人類は種族を問わず虐殺された。

 空は支配され、海は血で汚され、森は焼かれた。

 そんな、嘆きと絶望しかない時代。人々に笑顔はなく、ただ、涙と絶望だけがあった。

 それが神々(オレ達)が降臨する『神時代』以前の時代──『古代』だ。

 

 だが、そんな時代であっても──否、そんな時代だからこそ、立ち上がる『英雄()』が居た。

 

 彼らは精霊の手助けこそあったが自身の力でモンスターを倒し、手を取り合い、ついには『大穴』にさえ到着してみせた。

 もちろん、そこには多大なる犠牲があった。何千、何万、それ以上の犠牲を払い、彼らは少しずつ人類の領域を取り戻して行ったのだ。

 神々(オレ達)ですらドン引きする程の『偉業』を、彼らは成し遂げていたのだ。

 

 それ故に、神たるオレは思う。

 

 もし『英雄』(彼ら)が今の時代を見たら何を思うのだろうか、と。

 

 その答えが、今回の調査で分かるかもしれない。

 

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