さあ──『喜劇』を始めよう!   作:Sakiru

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そして、『道化』は宣言する

 

「すまないアイズ。話はまた後日にお願いしても良いだろうか」

 

「うん……大丈夫だよ……」

 

「ありがとう!」

 

 迷宮都市オラリオ、西のメインストリートにある『豊穣(ほうじょう)女主人(おんなしゅじん)』は沢山の人々から絶大な人気がある酒場だ。

 料理の価格は他の店よりも数倍から数十倍するが、それは食材を厳選しているからであり、また、複雑な調理がされているからであり、最初は苦情(クレーム)を言っていた客も、一度口にすれば夢中になる。また従業員は全員女性であり、彼女等は皆等しく美女美少女だ。ともすればそれは管理機関(ギルド)に勤めている受付嬢よりもである。

 女主人であるミア・グランドの『どんなクソッタレな時代であろうとも美味い飯を食べられる場所』という理念は達成されており、酒場はいつも盛り上がっている。

 そして、今日も店内は盛り上がっていた──一角を除いて。

 

「ベルさん……ヘスティア様……」

 

 新しく友人になったヒューマンの少年と女神を(おも)い、シルは物憂げな溜息を吐いた。

 友人であるエルフの女性が心配になって声を掛けようとするが、客の注文に捕まってしまった。

 シルは何度目かの溜息を吐く。自分に出来ることは何もない。何故ならば、自分はあの場に於いては部外者なのだから。忸怩(じくじ)たる思いを抱きながら、彼女は遠目から見守ることしか出来ないのである。

 果たして、彼女の視線の先には二つの集団が大きな(テーブル)を挟んで向き合っていた。

 

 ()()()()()()──【()()()()()()()】。

 

「あー、そろそろ話を始めようか」

 

 口火を切ったのは一人の小人族(パルゥム)だった。

 小人族(パルゥム)は様々な亜人族(デミ・ヒューマン)から差別の対象とされている。成人になっても姿形が変わらない彼等は、他種族から見下され、偏見の目で見られることは少なくない。

 だがしかし、彼は別だった。

 フィン・ディムナ──【勇者(ブレイバー)】の二つ名を持つ第一級冒険者。レベルはLv.6。都市最大派閥、【ロキ・ファミリア】を束ねる団長である。

 

「私も賛成だ。我々の都合でこれ以上無闇矢鱈(むやみやたら)に時間を奪う訳にはいかないだろう」

 

 次に口を開いたのは、種族特有の細く尖った耳を持つ一人のエルフだった。しかしその美貌は他のエルフとは一線を画している。彼女は王族(ハイエルフ)であり、多くの同胞から尊敬と敬意を持って接せられていた。

 リヴェリア・リヨス・アールヴ──【九魔姫(ナイン・ヘル)】の二つ名を持つ第一級冒険者。レベルはLv.6。【ロキ・ファミリア】首脳陣の一人である。

 

「そうじゃなあ……儂も同意見じゃ」

 

 濃い髭を(さす)りながらそう言ったのは、一人のドワーフだった。

 完成された身体とは、まさにこのようなものを言うのだろう。全身を覆うのは鋼の如し厚い筋肉だ。

 ガレス・ランドロック──【重傑(エルガルム)】の二つ名を持つ老兵であり、第一級冒険者だ。レベルはLv.6。彼もまた、フィンやリヴェリアと同じく【ロキ・ファミリア】首脳陣の一人である。

 

「面倒臭いことは早めに片付けるに限るしなぁ」

 

 最後に同意を示したのは、一人の女神だった。

 知略の女神──【ロキ・ファミリア】主神、ロキ。

 鮮やかな緋色(ひいろ)の髪を持つ彼女は、糸目の瞳を薄らと開け、にんまりと笑った。

 対して【ロキ・ファミリア】と対峙しているのは、一人の少年と一柱(ひとり)の女神であった。

 

 新興間もない零細派閥──【ヘスティア・ファミリア】。

 

「……良いだろう、話とやらをしようじゃないか」

 

 重たい口を開けたのは、漆黒の髪を持つ一人の女神。

 ()の女神──【ヘスティア・ファミリア】主神、ヘスティア。

 普段は二つに結っている髪を下ろしている彼女は、舐められないよう、精一杯低い声を出した。

 

「ベル君もそれで良いかい?」

 

 処女雪を連想させる髪を持つ一人の少年は、深紅(ルベライト)の瞳を閉じてその確認に無言で頷いた。

 主神(しゅしん)は眷族の様子を訝しく思いつつも、(あお)色の瞳を緋色(ひいろ)の瞳に向ける。

 ──此処に、両者の合意が成立した。

 今から始まるのは()()()()()()()()()()()

 果たして、先手を打ったのはまたもや【ロキ・ファミリア】陣営であった。

 

「はじめまして、【ロキ・ファミリア】団長のフィン・ディムナだ。神々からは【勇者(ブレイバー)】の二つ名を頂戴している」

 

 その後、リヴェリア、ガレスとフィンに続き、道化師(トリックスター)の眷族達は簡単に自己紹介を行う。【剣姫(けんき)】アイズ・ヴァレンシュタインや女戦士(アマゾネス)の双子姉妹、狼人(ウェアウルフ)の戦士は割愛とした。

 

「最後に、彼女が──」

 

「久し振りやなぁ、ドチビ?」

 

 女神ロキが唇の端を吊り上げて、そう言った。

 ドチビと不名誉な渾名で呼ばれたヘスティアは顔を軽く引くつかせるが、挑発に乗っては駄目だと己を律する。

 その様子を見たフィンは深々と溜息を吐いた。自身の主神に対して。

 

「ロキ」

 

「ん、分かっとるよ」

 

「なら良い。今後は控えてくれ。ロキと女神ヘスティアの仲が悪いのは十分に分かったが、だからと言って、この場に持ち込んではならないよ」

 

「わーってるって! いつものじゃれ合いや、じゃれ合い。これがうちらのコミュニケーションや」

 

 だと良いけどね、とフィンは内心で呟いた。

 子供達の間でも喧嘩は絶えないのだから、それは神々であろうと何も変わらない。

 神達(おや)の仲が悪いからと、子供達の仲は良いのにも関わらず敵対することは、この迷宮都市(ダンジョンとし)ではよくあることだ。

 

(尤も……今回の場合は主神(ロキ)の一方的なものだろうけど)

 

 フィンは全てを理解していた。

 何故ロキがヘスティアに喧嘩を売っているのか。

 性格が合わない? なるほど、それもあるだろう。

 だが一番の問題は──()()()()()

 ロキにはなくて、ヘスティアが持っている物がある。

古代(こだい)』から『神時代(しんじだい)』に時代が移ろうとも、()()()()()()(いくさ)は変わらずにある。

 

 ──巨乳(持つ者)貧乳(持たざる者)

 

 ロキはヘスティアの、幼い身体に不釣り合いな大きな果実(むね)が気に食わないのだろう。妬ましいのだろう。

 事実、【ロキ・ファミリア】内でも一人の女戦士の少女が日々嘆いている。

 優れた頭脳を持つ首領はそこで考えを打ち切り、咳払いを打った。

 

「次は貴方達に自己紹介をお願いしても良いかな?」

 

「ほほぅ、ロキの眷族(こども)とは思えない程聡い子じゃないか。──ボクは炉の女神ヘスティア。【ヘスティア・ファミリア】の主神だよ。それでこっちの男子(おのこ)が──」

 

「……」

 

「──ボクの唯一の眷族、ベル・クラネルだ。宜しく頼むよ、団長君」

 

 そう言って、ヘスティアはにこりと笑った。

 普段の彼女を知る者が今のヘスティアを見れば、彼等は己の目を疑うだろう。

 ヘスティアは静かに怒っていた。蒼色の瞳の奥は煉獄の如く炎がゆらゆらと揺らめいている。女神としての矜持が神威(しんい)を出すのを抑えていた。

 

「先に言っておくけど、ボク達を此処に引き留めたことへの謝罪はいらないぜ? あぁだけど、あの女将くんには君達から後で謝っておいてくれよ?」

 

 さあ、話とやらをしようじゃないかと、ヘスティアは続けて言った。

【ロキ・ファミリア】の面々は表情を引き締めたものに変えた。

 神々の到来──【神時代(しんじだい)】になり、人々と神々の距離は物理的にも精神的にも縮まった。迷宮都市(ダンジョンとし)オラリオではその傾向がとても強い。

 だがしかし、()()()()

 彼等は感じていた。目の前の女神には主神(ロキ)と同等、否、それ以上の敬意を持って向かい合わなければならないと──。

 

「女神ヘスティア。貴女の眷族から聞いているとは思うが、まずは我々の弁明を聞いて頂きたい。そしてどうかその曇りなき(まなこ)で裁決して頂きたい」

 

小人族(パルゥム)君──フィン君だったかな? 君は一つ勘違いしているぜ。君達の話を聞くのはボクじゃない。ベル君だ。ボクは主神として可愛い眷族(こども)()()を尊重するだけさ」

 

「……すまない、認識を改めよう。それでは、聞いて頂きたい」

 

【ロキ・ファミリア】首領が派閥を代表して、ダンジョンで起こったこと、その事実のみを滔々と語った。

 大規模の『遠征』の帰り、17階層でミノタウロスの集団と遭遇したことを。自分たちに恐怖して、()の猛牛が『中層』から『上層』にまで逃走したことを。自分達もすぐに追ったが、全てを仕留めるのに時間が掛かったことを。そしてそのうちの一頭が5階層──ベル・クラネルと接触したことを。【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインが救出に間に合ったことを──。

 

「迷惑を掛けてしまった。本当に申し訳ない」

 

 最後にそう言って、フィンは深々と頭を下げた。続いて、リヴェリア、ガレスと続いていく。首脳陣の行動に若い幹部や下位構成員達が驚愕するが、次の瞬間、更なる衝撃が彼等に走ることになった。

 

「ウチも主神として謝罪するわ。すまんかったな」

 

 はあ、とヘスティアは内心で溜息を吐いた。

 本当に嫌になると、憂鬱(ゆううつ)な気分になる。

 ロキがどうかは知らないが、ヘスティアはロキのことをそこまで嫌っていない。……毎回会う度に自分の身長を揶揄(からか)ってきたり、貧乏であることを馬鹿にしてくるところは大嫌いだが、それでも、ロキ以上に嫌いな神、苦手な神は確かに居るのだ。

 そんな相手が頭を下げてきた。屈辱を感じながらも、主神(おや)として。

 ヘスティアとロキの付き合いはまだ短い。初めて会ってからまだ百年も経っていないだろう。

 しかし天界に居た頃の彼女の噂は、当時、教会に引きこもっていた自分の耳にも届いていた。それは決して良いものではない。寧ろ悪いものだ。

 美の女神は詳しく知ってそうだが──別段、そこまで興味はない。

 確実に言えることは、天界で暴れに暴れていたという知略の女神は眷族(こども)を持つようになってから、確かに変わったということ。

 

「ダンジョン内で起こった出来事は分かった。何でもダンジョンは異常事態(イレギュラー)に溢れているという。基本、ダンジョン内で起こったことは暗黙の了解で互いに干渉しないのだろう?」

 

 その確認に、歴戦の冒険者達は肯定の頷きを返した。

 

「なら、起こってしまった事故そのものを責めることは出来ないだろうね。怪物達(モンスター)が彼我の実力差を本能で察知し、逃げるだなんて……それこそ前例がなかったみたいだし」

 

 ただ、とヘスティアはここで目を細くした。

 

「一つ聞いておきたいことがある。君達は地上に帰還してから、管理機関(ギルド)に報告したかい?」

 

「無論だ、女神ヘスティア。我々には報告義務がある。それはダンジョンでの異常事態(イレギュラー)を発見したのもあるが──何よりも、我々の不手際で負傷者が出てしまったかどうかの確認をする為だ」

 

「被害は?」

 

「現段階では負傷者、死亡者ともにゼロだ。数日もすれば管理機関(ギルド)から報告を受ける手筈になっている」

 

 なるほど、とヘスティアは頷いた。「それは女神としても嬉しいよ」と言葉を続ける。

 己の眷族のみならず、他所(よそ)の派閥の冒険者も気に掛けるとは……フィンはヘスティアを神格者だと改めて認識した。

 

「本来なら我々は巻き込んだ冒険者達に釈明と謝罪をしなければならない。先程女神ヘスティアは『ダンジョンと異常事態(イレギュラー)だから』と仰ったが、我々が元凶なのは間違いないのだから」

 

 だが──と、団長は口を閉ざした。代わりに副団長が説明する。

 

管理機関(ギルド)から、貴方達への接触を禁じられていた。事件の規模がどれ程ものだったのか、また、正確な被害者の数が分かるまでは、勝手な行動は慎むようにと言われていた。各【ファミリア】にも管理機関(ギルド)から伝えられている筈だ」

 

 超越存在(デウスデア)である女神には、彼等が『嘘』を吐いていないことが分かった。

 しかしここで、彼女の脳内で更なる疑問が生まれる。

 

(ボク達にそんな通達来てないぞ?)

 

 とはいえ、それを言ったところで【ロキ・ファミリア】には直接関係ないことだ。

 フィン達もヘスティアの反応から察したが、尋ねるようなことはしなかった。揚げ足取りだと理解しているからである。

 

(ベル君の担当アドバイザーに明日、尋ねてみるとしよう)

 

 加害者は管理機関(ギルド)に報告し、その指示に従っている。それが分かっただけでも充分だ。

 まあ、昨日の今日で『遠征』の宴会を開くのはどうかと思わなくもないが。

 

「これはまだ主神(ロキ)とは相談していないが……団長(ぼく)としては、巻き込んでしまった全ての【ファミリア】に贖罪をしたいと考えている」

 

 そう言って、首領(フィン)主神(ロキ)に視線を送った。

 構わないかい? その確認に、ロキは「ええで」と即答した。

 

「ウチも資料(レポート)をちゃんと読んでなかったしな。『遠征』の処理に構いすぎたのは眷族達(こどもたち)じゃなくてウチの落ち度や」

 

 主神の殊勝な態度に、眷族達はただただ混乱するしかなかった。

 ヘスティアは彼等を一瞥してから、

 

「具体的にはどうするつもりだい?」

 

「今思い付くのは、金銭や武具の贈与に、冒険者依頼(クエスト)の無条件受注などだ。我々に出来ることならば、何でもするつもりだ」

 

「……まあ、妥当なところか。ベル君はどう思う?」

 

 主神としての役目は終わった。

 彼等から事情は聞いたし、一部の団員からは不満そうな気配がするが、小人族(パルゥム)の団長や、()()()()()()ロキから誠意を感じるのだ。

 正直なところ、先程ロキがあのような発言しなければ、ヘスティアは本気で怒っていただろう。ベルとの約束を破ってでも、彼女はたとえ独りであろうとも、都市最大派閥を相手にするつもりだった。

 あとは愛しい我が子がどのように受け止めるかだ。

 

「……」

 

 ベルは黙考していた。

 ()()が始まった時から、この(とき)に至るまで、彼は一切発言しておらず、深紅(ルベライト)の瞳は覗いていない。

 机に両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に持っていき、表情を隠している。

 視線が収束しているのも気にせず、彼は考え込んでいた。やがて、

 

「【勇者(ブレイバー)】」

 

 おもむろに、ベルは短く二つ名を呼んだ。

 呼ばれた【勇者(フィン)】は、きたかと思いつつも、「何かな?」と首を傾げる。

 (まぶた)をあけると、ベルは重々しく口を開けた。そして、突拍子もないことを言い出した。

 

「貴方のことを【勇者(ブレイバー)】ではなく、フィンと呼んでも良いだろうか! 親しみを込めて!」

 

「……あ、ああ、それは全然構わないよ」

 

 戸惑いつつも、フィンは頷いた。

 するとベルは笑顔になり礼を言う。

 

「ありがとう! いやはや、どうにも私は二つ名というものが苦手でな」

 

「へえ……それはまた珍しいね」

 

昇格(ランクアップ)』を果たした冒険者には、神々からその偉業を称えられて二つ名が与えられる。

 そしてこの二つ名は子供達から絶賛されている。実のところ、神々は遊び半分で名付けているのだが。

 

「神々の名前付けの才能(ネーミングセンス)そのものは素晴らしいと思うのだがな。 特にフィン、貴方の【勇者(ブレイバー)】という二つ名には憧れる」

 

 その無邪気な称賛にフィンは内心で苦笑した。

 何故なら自分の二つ名は神々によって決められたものではないのだから。契約のもと、主神(ロキ)に頼んだに過ぎない。

 

「だがしかし、やはり私には合わないな」

 

「何か理由でもあるのかい?」

 

 純粋に気になったので、フィンは尋ねた。

 

「二つ名……異名とも言えるが、これではその人物のことをよく()れないだろう。私は神々からの贈物(二つ名)も大事だとは思うが、父や母からの贈物(真名)も大事にするべきだと思う」

 

「なるほど……確かにその通りだ。僕は何年も冒険者をやっているから慣れてしまったが、最初、他派閥の冒険者から【勇者(ブレイバー)】と言われるのには違和感を覚えたよ」

 

 ベルの考えはこれまでになかった視点だろう。

 と、ここでロキが「ほう」と少年に対して興味を抱き始めた。実のところ、彼女は早く【ヘスティア・ファミリア】との示談を終わらせたかった。

 大敵である巨乳幼女女神と誰が好き好んで一緒に居ようと思えるだろうか、否、思えない。

 何よりも、可愛い眷族達(こどもたち)の失態をこれ以上見たくないという主神(ははおや)の想いがあった。

 だがここに来て、ベル・クラネルという少年を()てみたくなった。

 フィンにアイコンタクトを送る。長年の付き合いによって、彼は主神の神意(しんい)を完全に理解した。

 

「さっき言った通りだ。僕のことは『フィン』と気軽に呼んでくれて構わない。何なら友人と思って欲しい」

 

「団長ッ!?」と巨乳の女戦士(アマゾネス)が驚愕の声を上げる。だがそれは【ロキ・ファミリア】の殆どの団員の心の内を一つに纏めたものでもあった。

 ベルは嬉しそうに笑い、手を差し伸ばす。

 

「ありがとう、私の新しい友人! 私のことも是非『ベル』と呼んでくれ」

 

「ははは、分かったよ。ベル、これから宜しく」

 

 只人(ただびと)小人族(パルゥム)の手が交わった。

 フィンは「それで、だ」と話を戻す。

 

「ベル、君は僕達の謝罪を受け入れてくれるかい?」

 

 両派閥に緊張が走った。

 山吹色のエルフの少女は金髪の女剣士に不安そうに「どうなるんでしょう……?」と尋ね、顔に刺青を入れた狼人の青年が目を細めた。

 ベルはそれらを全て()()()()、即答する。

 

()()()。貴方もさっき言っていたが、元よりダンジョンは異常事態(イレギュラー)で満ち溢れている。私が直面したのは今回が初めてだが、これも経験だと思えば良いだろう。何より、友の失敗を追及する訳にはいかないさ」

 

「ありがとう。【ファミリア】を代表して、再度の謝罪と、そして感謝を言うよ。それでベル、君は何を望む? 君はまだ駆け出しなのだろう? 僕個人としては武具が良いと思うが……」

 

 冒険者に成り立てだと、得られる収入はとても少ない。下手したら街の労働者達よりもだ。

 フィン達【ロキ・ファミリア】のような大手派閥なら、駆け出し冒険者であろうとも、それ相応の武器や防具を支給することが出来るのだが、【ヘスティア・ファミリア】のような零細派閥、ましてや振興したての派閥ではそうもいかず、管理機関(ギルド)の支給品──借金(ローン)を組む必要がある──を装備する者が大半だ。

 冒険者活動を初めて数ヶ月は貯金をすることは殆ど出来ず、生活や武具の維持費、回復薬(ポーション)の補充、さらには月に一度の管理機関(ギルド)への納税で消えていく。

 だからフィンは先輩冒険者として、そう、助言した。もちろん決定権はベルにあるので、彼の意思を尊重するが。

 どんな要望が来るのかと、フィンは静かに身構えたが、ベルは意外にもこう言った。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「……すまない、それはどういう意味だい?」

 

 訝しむフィンをベルは不思議そうに見た。ぱちくりと瞬きしてから、

 

「フィン、貴方と友人になれた! この出会いだけで私は満足だ!」

 

 着けていた仮面に罅が走るのをフィン・ディムナは実感した。

 困惑し、動揺が走り、狼狽が襲う。

 その事に気付けた者は少ない。主神(ロキ)王族(リヴェリア)老兵(ガレス)等だ。

 

「だから私には何も必要ないさ」

 

「……なら、【ロキ・ファミリア】としてではなく、ベル・クラネルの友人、フィン・ディムナとして武器を贈らせて欲しい」

 

 派閥絡みではなく、個人でならどうだろうかとフィンは言った。

 ベルは苦笑いを浮かべた後、了承の頷きをする。

 

「ありがとう! それなら、ありがたく頂こう!」

 

「日にちはまた後日決めるとして……」

 

「ああ、話は終わりだ。貴方達は『遠征』の宴をやっていたのだろう? これ以上私達がこの場に居ては迷惑だ。そろそろ失礼する」

 

「気を遣わせてしまい、本当にすまないね」

 

「気にする必要はないさ。それと改まって謝罪をして来なくても良い。私達は和解したのだから。あとぶっちゃけ、あの廃教会(ホーム)を見せたくない」

 

 その言葉にヘスティアが真っ先に反応する。

 

「ちょっと待て! ベル君そんなこと思ってたのかい!?」

 

「HAHAHA!」

 

「笑って誤魔化そうとするんじゃないぞ!」

 

 先に丸椅子から立ち上がり、ベルはヘスティアに手を伸ばした。彼女は嬉しそうに握り、席から立つ。

【ロキ・ファミリア】の面々、そして『豊穣の女主人』の従業員達に一礼し、店を出ようとする。

 しかし、それを阻める者が居た。

 

「なぁ、少年」

 

 今まで必要以上に発言してこなかった知略の女神が、ベルを呼び止めた。

 ヘスティアに外で待っていて欲しいと伝え、彼はロキと向き合う。

 

「女神ロキ、何だろうか?」

 

 ジョッキを片手に、ロキは緋色の瞳を開眼させて静かに問うた。

 

「ジブンは迷宮都市(ここ)で何を望んでおるん? 何を為したいんや?」

 

 女神の問いに、ベル・クラネルは僅かな逡巡を見せることなく即応した。

 自分の憧憬を、大願を、決意を宣誓する。

 

 

 

「──私は『英雄』になりたい」

 

 

 

 静かな、しかし、身を焦がすような『熱』が『豊穣の女主人』に広がった。

 先程もベルは女主人にその発言をしており、それを聞いていた冒険者が数名、まだ店内に残っている。彼等は再度、大言壮語甚だしい夢を見ている餓鬼(愚か者)を嘲笑おうと──ベルを見て、思わず固まった。

 それはとてもではないが、駆け出し冒険者が出来る目ではなかった。それだけではない。齢十四の少年とは思えない程の、唯ならぬ覇気。

 

「何だよ……何だよあいつ……! 何であんな餓鬼があいつらと同じ──!」

 

 唇をわなわなと震わせたのは一人のヒューマンの男だった。彼もまた、迷宮都市(オラリオ)の殆どの冒険者と同じように、Lv.1の下級冒険者だ。

 冒険者歴は五年。しかしそれ程の年月を経ていても、彼は壁を突破することが出来ず、(くすぶ)っていた。

 そんな彼は随分と昔、偶然、見たことがあった。

 ──第一級冒険者が戦闘をするところを。

 階層は『上層』。魔物は、モンスターの中で最弱と言われているゴブリン。

 彼のモンスターは『神の恩恵(ファルナ)』が刻まれたての冒険者でも瞬殺出来る程に弱い。

 高次な『器』に至っている第一級冒険者であれば、撫でるだけで倒すことが可能だろう。

 戦闘は一瞬だった。

 ゴブリンは刹那の後にその身を灰塵(かいじん)と化し、残ったのは小さな『魔石』のみ。

 ともすればそれ、『戦闘』と形容すべきものではなかった。『惨殺』と言った方が良いだろう。

 だがしかし彼はそれを見て思った。否、思い知らされたのだ。

 下級冒険者と第一級冒険者の歴然の差を。そして彼は悟ったのだ。自分には才能がないことを。

 今、男の目には在りし日の記憶が想起されている。

 誰も何も音を紡げない中、静寂を破ったのはロキだった。

 

「くっくっくっ……!」

 

「……ロキ、彼に失礼だ」

 

 腹を抱えて笑う主神(ロキ)を、王族(リヴェリア)が眉間に綺麗な皺を寄せながら諌めた。

 しかしロキは大笑いをやめない。リヴェリアは不機嫌そうに顔を歪めるが、それ以上言うのは控えた。今のロキに何を言っても無駄だと、長い付き合いで理解しているからである。

 

()()()……面白いなぁ、ジブン。こんなに大爆笑したのは久し振りやわ」

「そうか、そうか! それなら私も、貴女が満足して頂けたようで何よりだとも!」

 

「引き留めて悪かったな。もう行って良いで。それと色々とすまんかったな」

 

「謝罪は不必要だと言ったが……いや、ここは受け取っておこう。さらばだ、【ロキ・ファミリア】の冒険者達よ、女神ロキよ」

 

 ああ、それと……とベルは遠くから事態を見守っていたシルに近付く。

 

「心配掛けてしまってすまない、シル」

 

「……もう、遅いです。さっきだって、ロキ様が呼び止めていなかったら、私のこと放置してそのまま帰っていましたよね?」

 

 ぷいっと顔を逸らし、私怒ってます! とアピールする。すぐ近くで酒を飲んでいた労働者が撃沈し、恋に落ちた。しかしすぐに勝ち目がないことを察し、失恋した。ここまで五秒にも満たない。

 ベルは「これは困ったな……」と頬を掻いてから、彼女の名前を呼んだ。

 

「シル」

 

「……」

 

「シル」

 

「…………何ですか?」

 ところが、ベルは気分を害さなかった。それどころか、寧ろ、返事をしてくれたことに心から嬉しそうに微笑んだ。

 

「約束だ。私はまたこの店にやって来る。美味しいご飯を食べに。そして、貴女に会いに来る」

 

 

 だから許して欲しい、とベルは言った。

 堪らなくなって、シルは俯いた。今、自分がどのような表情をしているのか、それを目の前の男に見られたくなかった。

 

「にゃニャッ!? リュー、落ち着くニャ! その包丁をどうするつもりニャ!?」

 

「そこを退()きなさいアーニャ! 私はあの不届き者と話をしなければ……!」

 

「話なんて嘘だニャ! あんの白髪頭の死体しか残らないニャア!?」

 

 外野が騒いでいるのを無視し、シル・フローヴァはやがて顔を上げると、ベル・クラネルに微笑んだ。

 

「約束ですよ。私、待っていますから。だから絶対に生きて帰ってきて下さいね?」

 

「ああ!」

 

「ふふっ……本当に可笑しな男性(ひと)。それじゃあ、ベルさん。さようなら」

 

 ベルは照れ臭そうに後頭部を掻いた後、足早に『豊穣の女主人』を今度こそ出ていった。

 従業員達の「ありがとうございました!」という声が大きく響き、店内は再び活気を取り戻して行った。

 夜空を見上げ、星々を眺めているヘスティアの元へベルは急いで向かう。

 

「やけに遅かったね? ロキの奴に変な事されなかったかい?」

 

「大丈夫、ちょっとした雑談だ」

 

「そっか……なら良し! すっかりと遅くなってしまったけれど、帰ろうか。ボク達の本拠(ホーム)へ!」

 

 来た時と同じように、二人は手を結ぶ。自分は此処に居ると、相手に伝える為に。

 

「しまった! 彼等にサインを強請(ねだ)るのを忘れていた!」

 

「君って奴は!」

 

 彼等は実の親子のように和やかに談笑しながら、帰路につくのだった。

 

 

 

 

§

 

 

 

【ヘスティア・ファミリア】が居なくなった『豊穣の女主人』では瞬く間に活気を取り戻していた。

 労働者や冒険者が明日に備える為続々と勘定を済ませる中、【ロキ・ファミリア】だけは変わらず騒いでいた。

 気付けば酒場に居るのは彼等だけであり、カフェテラスに居た下位構成員達も店内に通され始める。

 

「いやぁー、今日は災難だったわ。まさかドチビとかち合うとはなぁ」

 

 ぷはぁー! と、度数(どすう)が高い酒を呷りながら、ロキが忌々しそうにボヤく。

 ガレスが濃い髭を擦りながら、

 

「じゃが儂等の不手際であることに変わりはあるまいて。あの坊主と女神には感謝せねばあるまい」

 

「せやけども……あー! まさかウチがドチビに借りを作る日が来るなんてなぁ……」

 

 もう一杯! と新たに同じ物を注文するロキを見て、リヴェリアがその美貌を微かに歪めた。

 

「ロキ、飲み過ぎだ」

 

「ええやんええやん! 飲まんとやってられん!」

 

 ロキは自棄酒(やけざけ)を次々と飲んでいく。アルコールの濃い臭いをリヴェリアは手で払った。

 そのいつもの光景を見ながら、山吹色のエルフの少女──レフィーヤ・ウィリディスが「でも」と前置きし、

 

「なんか……凄い人でしたね」

 

 そう、感想を言った。

 レフィーヤの言葉に女戦士(アマゾネス)の少女──ティオナ・ヒリュテが同意を示す。

 

「私もそれ思った! うんうん、なんかこう、凄かったよね!」

 

「あんた……そんな馬鹿みたいなことを言わないでよ」

 

 呆れたように言ったのはティオナの実の双子の姉であるティオネ・ヒリュテだ。

 姉の言葉に妹はムッとした表情を浮かべる。

 

「ならさ、ティオネは何とも思わなかったの?」

 

「そんな訳ないでしょ。ただそうね……私の団長にデートの誘いをするだなんていい度胸しているわ」

 

「デートって……武器を買いに行くだけでしょ? それにあの子とフィンは同性じゃん!」

 

「関係ないわ、そんなの」

 

 ポキポキと手の骨を鳴らすのを見て、ティオナとレフィーヤは『また始まった……』とそれこそ呆れた。顔に出すと面倒になるので心の内に留めているが。

 ティオネ・ヒリュテがフィン・ディムナに惚れているのは【ロキ・ファミリア】なら周知の事実である。その本気具合は最早『執念』とさえ言え、彼女が事ある毎に意中の相手に求婚(プロポーズ)しているのは有名である。

 

「でも、アイズさんがあの人を連れてきたのには驚きました」

 

「そうね。急に立ち上がったかと思ったら、他派閥の冒険者と女神を連れてくるんだもの。一瞬誘拐かと思ったわ」

 

 それを聞いた金髪の少女──アイズ・ヴァレンシュタインは不満そうに唇を尖らせた。

 

「ベル達が店から出ていくのが……見えたから、だから……声を掛けようと思って……誘拐じゃない……」

 

「あー! ティオネ、アイズを傷付けた!」

 

「あんたね……頼むからそれ以上馬鹿面を晒さないでくれるかしら。妹がこれだと思われたくないわ」

 

「ま、まぁまぁ! えっと、話を戻しますけど、やっぱりあの人、凄い──いえ、変な人でしたよね」

 

 その表現には全員が頷いた。

 

「あのウェイトレスの女の子に『あんな事』を平然と言ったのも凄いけどさー」

 

『あんな事』とは、ベルの求婚同然の約束である。

 話題に挙がった二人は既に居ない。ベルはヘスティアと帰宅し、シルは二階にある自分の部屋に向かっている。

 エルフのレフィーヤが尖った耳を仄かに赤らめる一方で、女戦士(アマゾネス)のティオナはけらけらと笑っていた。

 

「私も大勢の前であんな事を団長にされてみたいわ」

 

「で、でも! 見た感じでしたけど、あの二人は今日が初対面だったと思います! なのに、そんな!」

 

「レフィーヤは固いなぁ」

 

 うぐっと、レフィーヤは言葉を詰まらせた。これは種族(エルフ)特有の()り固まった考えなのかと考え──いやそんな筈がないと思い直す。

 再び声を上げる前に、アイズがぽつりと言った。

 

「でも……あの人……嫌そうじゃなかった……」

 

「そ、それは……」

 

「私の勘違いかもしれないけど……」

 

「そんなことありません! アイズさんの勘違いじゃないです!」

 

「そ、そうかな……?」

 

「はい! 絶対です! だから自信を持って下さい!」

 

 尊敬しているアイズの為に、レフィーヤは見事なまでの手のひら返しをした。

 流石はレフィーヤだなぁと、双子の姉妹は同じ思いを共有した。彼女に()()()()()()が若干あるのは【ロキ・ファミリア】では周知の事実である。当の本人は知らないが。

 

「アイズがあの子を助けたんだよね? どんな感じだったの?」

 

「どんな感じ……?」

 

「んーっとさ、あの子、強かった?」

 

 ティオナの質問にロキも乗じる。

 

「ウチも気になる! アイズたん、教えてくれへんか」

 

「ロキも興味あるの?」

 

「──『英雄』になりたい。ウチらの前で、あんな啖呵をきったんや。都市最大派閥と言われているウチらの前でやで? めっちゃ気になるわー」

 

 リヴェリア、ガレスも聞く姿勢を作った。

 視線を一身に浴びるアイズは窮屈そうにしながらも、自身の考えを纏めていく。彼女は口下手であるので、時間が掛かった。

 

「強さは……分からない。えっと、直接戦っているところを見た訳じゃないから……」

 

 たどたどしくもアイズは言葉を続けていく。

 

「でも……脚は速いと思う。私とベートさんが追い付くのに時間が掛かったから……」

 

「ほう……なら『敏捷』のステイタスが高いと()て間違いないだろうな。とはいえ、Lv.1の冒険者がLv.2に区分されるミノタウロス相手に勝るとは思えないが……」

 

 リヴェリアの一般的な観点からの分析に、アイズは一度頷いた。

 

「ベルは……多分だけど、追手(わたしたち)の存在に気付いていたんだと思う……。他の冒険者を巻き込まないように……敢えて、追い詰められたんだと思う」

 

「なんと! 自分の生命(いのち)を顧みずにか! 随分と肝っ玉があるんじゃのう」

 

「うん。私達が来るのを見越していたように『助けて下さい』って叫んだの……」

 

「恐らくはダンジョンの構造を熟知していたのだろう。でなければ、そのような芸当が出来る筈もない」

 

「優れた担当アドバイザーが支援をしているようだ」と、リヴェリアは考察した。

 さらに彼女は考えを深くしていく。

 

「ミノタウロスを相手に『敗走』ではなく、『逃走』を図るその勇敢さ。異常事態(イレギュラー)に慌てることなく、何か原因があるのではないかと考えるその冷静さ。さらには()冒険者(他人)の危険を考慮出来る視野の広さをも併せ持っているのか」

 

「それだけじゃない……。あの子、ミノタウロスを倒すつもりだった……」

 

「……なに?」

 

「剣を、抜いてた……武器は管理機関(ギルド)からの支給品だったけど……」

 

「生存本能ではないのか?」

 

「……少なくとも、我武者羅ではなかった。必死だったけど、どこか余裕があったと思う……」

 

 何よりも、とアイズは言った。

 

「ベル……笑ってた」

 

 意味が分からず、一同は頭上に疑問符を浮かべた。

 

「戦闘狂じゃあ、ないんじゃな?」

 

 戦闘狂とは、魔物との戦闘そのものに生を見出し、そこに悦びを感じている異常者のことだ。ともすれば彼等は魔物よりも魔物に近いと言われている。

 アイズは首をふるふると振って否定した。

 

「ううん……そうじゃない。何だろう……ごめん、上手く説明出来ない」

 

「ずっと笑ってる、か。まるでこの馬鹿みたいね」

 

「馬鹿って言うなー!」

 

 うがぁー! と憤慨する妹を適当にあしらいながら、ティオネがそう言った。

 するとアイズは目を見開かせ、何度も頷く。 

 

「さっきもそう……ベル、笑ってた……」

 

「あっ、それは私も思ってました。団長やリヴェリア様が居るのに、何で普通に話せるのかなって」

 

「でもあの子、最初はずっと口を閉ざしていたじゃない? 自己紹介の時も主神にやらせていたし……」

 

 緊張していたのではないかと、ティオネのその疑問を否定したのはロキだった。

 丸椅子の上で上手に胡座をかきながら、女神は「ちゃうでー」と言った。

 

「あの少年はな、ウチらを観察してたんや」

 

「「「……は?」」」

 

「まあ、そう思うやろなー」  

 

 肉を頬張ってから、説明した。

 

「今回の事件は明らかにウチらの方が悪い。これは分かっとるやろ?」

 

「は、はい」

 

「けどなぁ……いくらウチらが悪いとはいっても、ウチらは【ロキ・ファミリア】や。対して向こうはどうや? 構成員たった一人の新興したての最弱【ファミリア】やで?」

 

 人間の心理的に、相手の方が『上』だと理解していれば、たとえ自分に一切の非がなくとも大抵は萎縮するものだ。

 フィンはヘスティアに、『自分達に出来ることは何でもする』と言った。その言葉に嘘はない。

 だが果たして、格上の派閥に『あれをして欲しい』『これをして欲しい』と言えるだろうか。

 何度も言うが【ロキ・ファミリア】は都市最大派閥である。

 迷宮都市では【ファミリア】間の抗争が認められている。もちろん、ある程度のルールはあるが、実質的には無いようなものだ。

 つまり被害に遭った【ファミリア】は【ロキ・ファミリア】に対して相応の態度をとることは出来るが、後に、文字通り潰される可能性があるということだ。

 

「大半の連中は金を要求してくるやろな。ディアンケヒトのような金の亡者なら話はまた変わってくるけどな」

 

「でも、それとあの子がどう関わってくるの?」

 

「言ったやろ、ウチらを観察してたって。あの少年はウチらがどんな組織体系なのかをずっと探っとたんや。主神はウチやけど、誰が決定権を持っているのか、それを見極めていたんよ。事実、少年はフィンとしか喋っとらん。まあ元々、リヴェリアもガレスも傍観してたから、すぐに分かったと思うけどなぁー」

 

「でもそれって可笑しくないかしら。団長、リヴェリア、ガレスの三人が私達(うち)の中核なのはかなり知れ渡っている筈じゃない」

 

「まだ迷宮都市(オラリオ)に来て間もないと考えればどうだろう。彼は二つ名システムに慣れていないと言っていたからな」

 

 冒険者だけでなく、街に住んでいる市民の間にも名を挙げた上級冒険者の名は伝わる。都市の支配者である管理機関(ギルド)が大々的に発表するからだ。

 

「あの……一つ聞いていいですか」

 

「なに、レフィーヤ?」

 

「皆さんは、その……あの人の最後の発言についてどう思われましたか?」

 

 計略の女神の問いに、只人は『英雄になりたい』と自身の意志を答えた。

 レフィーヤの目から見ても、ベルが『嘘』を吐いているようには見えなかった。

 

「レフィーヤはどう思ったん?」

 

「……私は、あの人なら出来るんじゃないか……『英雄』に至れるんじゃないかと、そう、思いました」

 

「ほーぅ。それはまたどうしてや?」

 

「えっと……上手く言えないんですけど……あの時のあの人の雰囲気が、皆さんにそっくり……いえ、それ以上に感じたんです……」

 

 レフィーヤ・ウィリディスは幹部候補である。

 現在Lv.3の第二級冒険者である彼女だが、将来は【九魔姫(ナイン・ヘル)】の後継者になることが期待されている。

 そんな彼女は偉大な先達が戦う姿を間近で見ることが出来ていた。特等席で視てきた。だからこそ、彼女はベル・クラネルの異常性に誰よりも気付いていた。

 

「あの人……まだ駆け出しなんですよね?」

 

「ああ、それは間違いないだろう。休息日だったのだろうから完全武装はしていなかったが、帯剣はしていた。予備(スペア)だとしても、あの武器では心許ない」

 

「ならやっぱり、あの人は凄いです。団長達が居る。他の皆さんも居る。あの人にとって、此処は地下迷宮(ダンジョン)以上に脅威を感じていた場所だったと思います」

 

「なんかそれだと私達が悪者みたいー」

 

「まあ、実際、悪者だったわよね」

 

 女戦士(アマゾネス)姉妹に苦笑してから、レフィーヤは言葉を続けた。

 

「でもあの人はずっと笑っていて。私がもし彼の立場だったら、そんなこと絶対に出来ません。だから、あの笑顔を見ていると……不思議と、あの人なら『英雄』になれるんじゃないかと、そう、思ったんです」

 

「レフィーヤ……もしかして……」

 

 ティオナがニマニマと笑いながら、静かに問うた。

 

「あの子のことが好きになったの?」

 

「〜〜ッ!? 何でそうなるんですか!?」

 

「いや、でもねぇ……」

 

「ティオナがそう思うのも無理ないわよ。だってレフィーヤ、貴女、とても真剣に言っていたもの」

 

「違います!? いえ、真剣は真剣ですけど! ああ、もう!?」

 

 エルフが感情を爆発させるのは珍しいことだ。そしてそれは、レフィーヤの長所でもある。

 基本的に妖精(エルフ)は他種族と関わりを持とうとしないが──特にドワーフや女戦士(アマゾネス)とは仲が悪い傾向にある──、彼女はその持ち前の性質によって他種族と仲を育むことが出来ていた。

 

「兎に角! 私は言いましたよ! 皆さんはどうなんですか!?」

 

 怖い怖い! と快活に笑いながら、まずはティオナが一言。

 

「私は分かんないかなぁ。ほら、私って馬鹿だし!」

 

「自分で言ってどうするのよ……」

 

「でも私、あの子と仲良くなれる気がするな。うん、今度会ったら話してみよっと!」

 

「答えになってないじゃない……。私はそうね、自分の目で見てないから何とも言えないわ」

 

 リヴェリア、ガレスもティオネと同意見なのを口にする中、次に発言したのはアイズだった。

 

「私も分からない。でも……あの子は強いと思う……。上手く言えないけど……うん、あの子は強い……」

 

「ほう、アイズが言うか」

 

 強さを追い求めるアイズ・ヴァレンシュタインが認めた。彼女の過去を知っている者の数少ない一人であるリヴェリアは、これは良い出会いかもしれないとベル・クラネルに対して感謝をした。それから彼女は、宴会中、一言も発言していない一人の青年に声を掛ける。

 

「ベート、お前はどうだ?」

 

「あぁ?」

 

「ちょっ、リヴェリア! ベートに聞いても意味ないって! どうせ『雑魚だろ』って言うに決まっているし!」

 

 顔に刺青を入れた狼人(ウェアウルフ)の青年──ベート・ローガは不機嫌そうに鼻を鳴らしたが、ティオナの言葉を否定することはしなかった。

 彼は生粋の実力主義者である。格下や弱者を嫌う彼は弱い冒険者を『雑魚』と蔑み、嘲笑している。当然、【ロキ・ファミリア】内での支持は皆無に等しい。

 しかしそんな彼はLv.5の第一級冒険者である為、誰も彼に逆らうことは出来ない。

 

「ベート、お前はあの少年──ベル・クラネルをどう思う?」

 

 ティオナの言葉を無視し、リヴェリアが再度問うた。

 彼女は不思議だった。

 普段の彼なら、先程の示談の際に乱入していても可笑しくないからだ。

 女神が居たから? いいや、彼は女神の御前であろうと立ち振る舞いを変えることはしない。

【ロキ・ファミリア】の立場をこれ以上悪くしないように我慢していた? これは多少あるだろう。彼も今回は【ロキ・ファミリア】に非があることは理解している。ましてや彼は幹部だ。軽率な発言を控えなければならないことは理解していた筈だ。

 だがしかし──あの時、あの場にはベル・クラネルしか居なかった。

 

「……質問を変えよう。ベル・クラネルはお前が唾棄し、忌み嫌っている『弱者』から『強者』に至れると思うか?」

 

 やがて、ベート・ローガは「チッ」と舌打ちしてから答えた。

 

「あの餓鬼が『強者』になれるかだと? ハッ、そんなの無理に決まってるだろうが」

 

「何故そう思う?」

 

「あいつには才能がねえよ。『英雄』だぁ? ハハッ、滑稽極まるぜ。あいつは『英雄』の『器』じゃない。精々が脇役(モブ)だ」

 

「ならば何故、あの時、いつものようにお前は嘲笑しなかった? 蔑まなかった?」

 

「……知るかよ、そんなもん」

 

 そう言って、ベートは酒を呷った。

 これ以上話す気はないと、暗にリヴェリアに告げる。エルフの団員が王族(ハイエルフ)であるリヴェリアに対して不敬だと怒りを(あらわ)にするが、そのリヴェリアはベートの言葉に満足したのか、「分かった」と言った。

 

「レフィーヤは肯定、ベートは否定。アイズたんやリヴェリア達はどっちも付かずか。そんじゃあ、最後に、まだ答えてない奴に聞くか──なぁ、フィン?」

 

 ロキがにんまりと笑いながら、話を振る。

 ベル・クラネルが酒場をあとしてから、フィン・ディムナは一言も言葉を発していない。

 彼はずっと沈黙していた。

 もちろん、それには皆気付いていた。しかし、ダンジョンに挑んでいる時と同等に真剣な表情で思考に耽る首領には、誰も声を掛けられなかった。

 

「……そうだね」

 

 おもむろに口を開けた。

 この場に居る全員が彼の言葉を待ち──そしてフィンは凛とした声を出した。

 

「僕達を前にして堂々と立ち振る舞えるその胆力、異常事態(イレギュラー)に陥った状況の中でも慌てずに対応出来る柔軟性、冷静さ。そして彼が浮かべている笑み──何もかもが、違和感を覚える。断言しよう。僕が十四の時はそんなこと出来なかったとね」

 

 何度目かのどよめきが湧き起こった。

【ファミリア】最古参のリヴェリアとガレスが沈黙していることからも、益々、フィンの言葉に信憑性が増す。

 

「その上で言おう──()()()()()。だが、僕は彼に『英雄』の片鱗を感じた」

 

【ロキ・ファミリア】の団長が一介の、まだ駆け出しの冒険者を認めた。

 ロキは、酒場に居るのが自分達だけで良かったと心から思った。もし万が一他派閥の神々が同席していれば、奴等は愉快そうにこの事を音速(マッハ)迷宮都市(オラリオ)中に広めるだろうからだ。

 

「しかし同時に……さっきも言ったが、どこか違和感を覚える。どうにもベル・クラネルという少年が視えてこない。『英雄』になりたいその大願(いし)は本物だろう。だが、底が視えない。不透明とも言える。──僕は今『英雄』ではなくて、『道化』を思い浮かべているよ」

 

 何より、とフィン・ディムナは最後にこう言った。

 

「親指の疼きがとまらないんだ。ベル・クラネルと相対してから、ずっとね」

 

「それは本当か、フィン」

 

 リヴェリアが目を見開かせながら問い質す。美貌を崩す彼女を見て、フィンは苦笑しながらも、確かに頷いた。

 親指の疼き──『勘』。第六感(シックス・センス)とも呼ばれるこれを、フィン・ディムナは所持していた。

 そして彼の『勘』はよく当たる。その殆どが危機を報せて来たものであり、【ロキ・ファミリア】がこの『勘』で窮地を脱したことは少なくない。

 

「どちらにせよ、あの少年が近いうちに『何か』を為すのは間違いないだろう」

 

 フィンはそう締め括った。

 その言葉を皮切りに、宴会は再開される。

 家族(ファミリア)が和気藹々と食事や交流をしているのを見ながら、フィンは一人「夜風に当たってくるよ」と言ってから席を外した。

 カフェテラスの席に座り、煌めく星々を見上げる。どれだけの時間を過ごしただろう。ガタン! と椅子を引く音がやけに大きく響いた。

 

「ウチも混ぜてや」

 

「そう言いながらも、既に座ってるじゃないか、ロキ」

 

 フィンがそう苦言を呈すると、ロキは意地悪そうに笑った。

 持ってきたジョッキを渡し、葡萄酒をなみなみと注ぐ。硝子がぶつかり合い、二人だけの宴が始まった。

 

「さっきはすまんかったな」

 

 店内から漏れ出てくる賑やかない声を聴きながら、ロキがぽつりと言った。

 

「それは資料(レポート)を読まなかったことに対してかい?」

 

「それもある。眷族(こども)達が無事に帰ってきたことが嬉しくてなぁ、すっかりと舞い上がってしもうたわ」

 

「ははっ、そういう理由なら怒れないよ」

 

『遠征』の間、ロキは眷族達の無事を祈ることしか出来ない。だからこそ、死者が出なかったことへの喜びがある。

 ──不意に。

 

「──フィン、あの少年は確実に(のぼ)ってくるで」

 

 そういう瞳をしていたと、女神は言った。さらに彼女はフィンが吐いた『嘘』を看破する。

 

「ジブンはさっきああ言ったけど、本当は分かってるんやろ?」

 

「……ああ」

 

「──『英雄』になりたい。あんな子供を視るのは久し振りや。オマケに二つ名システムへの拒否感。まるで一人だけ『古代』に居るみたいやな」

 

神時代(しんじだい)』の到来により、『古代(こだい)』──『英雄時代』は終わった。

 神々が授けた『神の恩恵(ファルナ)』により、人類は怨敵である魔物(モンスター)への対抗手段を得ることが出来た。

 

「何があろうと進む。『光』を失った一族、小人族(パルゥム)の為に。その誓いを果たす為、僕は此処まで至った」

 

 フィンの独白を聞いて、ロキは懐かしそうに笑った。

 

「昔のフィン達を見たら、他の眷族(こども)達は驚くやろうな。罵倒は当たり前、そこにあるのは自己中心的な考えだけ。仲間意識なんてものは皆無やったからなぁ」

 

「ああ、あの頃が懐かしい。我武者羅にダンジョンを走り抜けた、あの頃が。何度も死に掛けた。そして『冒険』をした。気に食わない相手が仲間になって行った。彼等と共に苦難を乗り越えた。ベルを見て、それを思い出したよ」

 

「今の立場は窮屈か?」

 

「困ったな……その質問はこの前、僕がアイズにしたものだ」

 

「何や……また無茶をしたんか?」

 

 フィンは「まぁね」とから笑いする。それから思考を元に戻した。

 無名の頃は『冒険』に挑むことが出来た。そして強大な壁に真正面から立ち向かい、超えてきた。

 しかし今の彼の立場は【ロキ・ファミリア】の首領である。

 構成員は随分と増えた。同時に、失う仲間も増えた。

 指揮官として、仲間の安全の為には迂闊な指示は出せない。自分の指示が、仲間の生死を変える。

 都市最大派閥団長の重圧(プレッシャー)が、いつも彼の小さな身体に負荷として掛かっている。

 

「ベルは僕の【勇者(ブレイバー)】という二つ名に対して、『憧れる』と言ってくれた。だが、彼が名前の由来を聞いたらどう思うかな」

 

「さぁなぁ」

 

小人族(パルゥム)は他種族からいつも見下されている。ダンジョンでは荷物持ち(サポーター)として扱き使われ、時には、生贄として差し出されることもある。──僕は同胞を照らす『光』になりたくて、一族再興という夢を抱いて此処まで来た。だから、そうだね。今の僕の立場は必然だ。後悔は微塵もない。だが──彼が『道化』ではなく、『英雄』に至った時、友人として彼を祝福しながらも……内心、僕はきっと浅ましくも嫉妬するのだろう」

 

 つまるところ、画策して今の名声を手に入れた『人工の英雄』が、自分自身が、フィンは嫌いなのだ。

 だからベル・クラネルの輝きに魅入られた。眩しいさえ思った。

 

「覚悟は微塵も揺らいでいない。一族復興の為、僕はこれからも突き進むだろう」

 

「ウチはずっとジブンを見守っているさかい。だから、まあ、頑張れや」

 

 するとフィンはぱちくりと瞬きした。

 激励の言葉を貰えるとは思ってなかったからだ。

 

「驚いたな……女神ヘスティアに当てられたかい?」

 

 否定するとフィンは思っていたが、意外なことに、ロキは「かもなー」と認めた。

 

「まさかドチビがあんなに怒るなんてなぁ……」

 

「随分と仲が悪いみたいだけど、仲良くする気は?」

 

「あるわけないやろ。ただまあ……ウチも、まあ、反省したっちゅーことや……」

 

 きょとんとしてから、フィンは大声を出して笑った。

 カフェテラスから店内にまでその笑声は届き、団員達が何事かと身を乗り出した。唯一、ティオネだけが「団長……素敵……!」と乙女の顔になっていたが。

 

「フィン、そんなに笑わなくても良いんちゃう!?」

 

「これは笑わずにはいられないよ。まさかロキから『反省した』なんて言葉が聞けるとはね!」

 

 キーッ! とロキは地団駄を踏んだ。

 フィンは呼吸を整えると言った。

 

「ありがとう」

 

「……何のことや?」

 

「ははっ、何でもないさ。そろそろ戻ろう。我慢が限界に達したティオネが此処に突撃して来そうだからね」

 

「苦労してんなぁー」

 

 二人は雑談を交わしながら、家族の元に戻って行った。

 フィン・ディムナ──Lv.6の冒険者。他種族から虐げられている一族再興の為、彼は仲間の為に槍を振るい、指示を飛ばす。

 他派閥のベル・クラネルと友人になった彼がこれから先どのような騒動に巻き込まれるか……それを知る者は、今はまだ誰も居ない。

 

 

 

§
  

 

 

 

 後にフィン・ディムナは語った。苦笑いとも、笑顔とも言える表情を浮かべて。

 

 

 

 

 

『──ベル・クラネルと友人になれたのは僕の人生に於いて最も不幸なことであり、同時に、最も幸福なことの一つだったよ』

 

 

 

 




気付いたら20000文字を執筆していた件について。
あれ、可笑しいな。
初期構成だと10000文字だったのに。いつの間にか二倍になっているぞ。

何故、こうなった?

でもご安心を。
無駄に描写があり、そして話が進まないのがSakiruクオリティなのです。
それに過去の『偉業』──25000文字には至ってないからまだまだ大丈夫!
誤字脱字は本当にごめんなさい。何回か確認しているんですげと……うん、精進します。

そして改めてご挨拶を。

どうも、Sakiruです。話すことは特にないので以上!

という訳でして、『第一幕 ─喜劇開演─』が今回のお話で閉幕しました。

第一幕のお話は、一人の少年──ベル・クラネルの紹介です。彼がどのような人間なのか、全てではありませんが、その根幹は表現出来た……と思います。思いたいですね(願望)。
彼の周りには炉の女神が居て、美しい受付嬢が居て、彼の帰りを待つ街娘が居て、そして、今回のお話で彼には友人が出来ました。
もちろん、彼に関わりがある人はもっと大勢います。そこに関しては後々登場してくれるでしょう。

何故この二次小説を書こうと思ったかと言うと、私がアルゴノゥトのことが大好きだったから、これに尽きます。
ダンまちのアプリ、通称、『ダンメモ』をプレイしている方ならこの気持ち、共感してくれると思います。
アルゴノゥトの物語が公開されていたのはアプリの二周年記念の時でして、現在はリューさん、ひいてはオラリオの『暗黒期』についての物語が三周年として紡ぐことが出来ます。面白いので是非プレイしてみた下さい。
と、宣伝をしつつ。
だったら今年じゃなくて昨年書いておけや! と思う読者の方もいるでしょう。私もそう思います。

でも今書きたくなったのだから仕方がないよネ。

タイトルにあるように、この二次小説は一貫して『喜劇』となります。
『悲劇』も『惨劇』も要らない、あるのは、『喜劇』だけで充分でしょう?
迷宮都市で『偉業』を為すのか、それとも、石に躓いて転んで頭を打って死ぬのか、それは分かりませんが、これからもお付き合いして頂けると嬉しいです。
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