リリカルなのは vivid other 作:わっしょい168
始まりの終わり
とある日の朝。とある家から三人の親子が出掛けていた。
一人は長い茶髪の成人女性。
一人は同じく長い金髪の成人女性。
そして最後の一人はその間に挟まって楽しそうな笑顔を浮かべている金髪の少女である。
「なのはママとフェイトママと一緒に買い物、久しぶりだね!」
「ごめんね、ヴィヴィオ。最近なのはと休みが合わなくて・・・」
「ううん!大丈夫!」
「いつも合わない分、今日はいっぱい買い物するよ、フェイトちゃん!」
「うん、わかった。」
二人の女性はどちらも少女の母親である。他の親子連れに比べて異色に映るが、少女はまったく気にしていないようだった。
「でもやっぱりママ達すっごく忙しいの?」
「私の方は最近は出動も少なくて楽なんだけどねぇ」
「私はちょっと大きい案件が来てたからそれの対処に追われてたんだ」
「やっぱり執務官は大変だねぇ~。」
「なのはも教官大変でしょ?」
「うーん。個人個人の伸び代を測るのが大変なくらいかな?」
「あはは。エースオブエースは伊達じゃないね」
「エッヘン!」
少女は二人の母の語らいを楽しそうに聞きながら、自分も早くその中に混ざりたいと思っていた。
と、その瞬間。事件が起きた。
「だれかー!!」
「どろぼーーー!!!」
前方でひったくりをした男がヴィヴィオ達に向かって逃げてきていた。
「怪我したくなけりゃ退きやがれ!!!」
「なのは!」
「終わったよ、フェイトちゃん」
「え?」
「!?な、なに、バインドだと!?」
フェイトがなのはに掛け声を掛けたときには既になのはの魔法行使は終了していた。結果、空を飛んで逃げていた犯人はバインド魔法によって空中に縫い止められた状態で捕らえられていた。
「く、くそ、バインドなんぞ・・!」
「警告します。そのバインドから抜けようとは思わないでください。もし抜けたら・・・」
犯人に警告しながら相手に人差し指を向け、そこに魔力弾を生み出すなのは。
「こちらも武力を以て逮捕します。」
「くっ・・・くそ・・・」
「窃盗の犯人はこちらですか!?」
「こっちです!」
通報を受け現場にやってきたお巡りさん達はフェイトに案内されてやってきた。
「!バインドですか・・・えー、治安維持へのご協力感謝いたします!ただ、一応状況をお聞きしたいので最寄りの署までご同行していただいてもよろしいでしょうか?」
「あー・・・」
なのは達は少し困ったなと頬をかいた。状況を全部説明してもいいが、それにかかる拘束時間を考えるとヴィヴィオとの時間を優先したかったからだ。
そして今回は、事件の規模も小さかった事から後者を優先することにした。
「あの、私、こういう者なんですが。」
「はい?えーっと・・・時空管理局・・・教導・・・たかま、ち・・!?あ、あの、エースオブエースである、高町なのは教官でございますか!??こ、これは失礼いたしました!」
「あれ?もしかしてどこかでお会いに・・・?」
「は、はい!一度だけですが、管理局との交流訓練会にて、教鞭を振るっていただいたことが!!」
「そうでしたか。それでえっと、今日はオフの日なので家族との時間を過ごしたくて・・」
「はっ!高町教官であれば大丈夫であります!良い休日を!」
警官はビシッと敬礼をして、なのはから離れていった。
「ちょっとズルしちゃったね。」
「まあ、始末書が必要なら明日書くよ。今日はフェイトちゃんとヴィヴィオと一緒に遊ぶ方が重要だからね。ねー?ヴィヴィオ!」
「うん!でも、やっぱりなのはママつよーい!」
「へへへー。あの試合では一回負けたけど、次やったらもう負けないよー?」
「私も負けないもん!」
「わ、私もなのはには負けないよ!ヴィヴィオ、今度私とも模擬戦してみよ?ね?」
以前、お互い(その時の)全力で戦って更に親子としての絆を深めたなのはとヴィヴィオ。フェイトとしては自分もヴィヴィオと戦って深めたいと思っていた。
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「よし、じゃあ署に連れていけ」
「はっ!」
「あの、先輩」
「ん?なんだ。なんかあったのか?」
「いえ。先程の親子、通してしまって良かったんですか?」
「・・・まあ、大丈夫だ。」
先輩警官はどこか虚空を見つめているような顔をしながら答えた。
「あの・・・」
「確かお前は参加していなかったな。交流会に」
「はい。自分はまだ本部の訓練すら十全に出来てなかったので・・・」
「そうか。・・・先程の女性はな。あの聖王事件を解決した方なんだ。」
「えぇ!?3年前の!?」
「あぁ。それで、交流会もあのような事件がまた起きたときに連携できるようにと企画されたものでな。だが・・・」
先輩警官はトラウマを思い出すかのような苦しい顔をする。
「あの教官は、鬼なんだ・・・!」
「お、鬼ですか・・・?」
「ああ。本部の訓練なんかより余程厳しい・・・。それも精神的にだ。」
「せ、先輩がそこまで・・!?」
「空戦Sランク保持者であり、エースオブエースである高町教官から学べると聞いて、最初はワクワクしたものさ。正直ちょっときついかもなとか思ってた。でも、レベルが違った・・・。」
「まず、準備運動と称して俺たちの基礎訓練を一通りやる。その後に基本的な復習と言いながら彼女の魔力弾を避けさせられ続ける。」
「基礎訓練って、新入り達が半日掛けて回るコースですよね?」
「ああ。それを1時間程度で回らされる。」
「無理です・・・」
「魔力弾も数がおかしいんだ。とりあえず避けてねなんて言って数十個の弾が次々襲ってくる。それも四方八方からだ。明らかに魔力量が違う・・!!」
「うわ・・・・」
「そのあとは試しにと模擬戦をやらされた。流石にここでは一人ではなく、もう一人小柄な教官がいたが、それでも駄目な所を的確に言われるのはこの年ながら心にきたよ・・・」
「すごいですね・・・」
「それで最期にこちら対教官二名の鬼ごっこだ。」
「こちらとは?」
「警察からの訓練生と管理局側の訓練生全員対教官2名だ。こちらが魔力弾もしくは肉体による接触が出来れば勝ち。教官側はバインドか逃げ続けるだけというルールだった。」
「それ無理じゃ・・・」
「普通に我々が負けた・・。的確に縛られ、避けられ、警察側は管理局側より先に全員リタイアして、全員捕まって終わった。」
「すごいですね・・・。エースというのは本当に」
「だが正直そこまではそんなに心に来なかったんだ。体は死ぬほど疲れていたが、むしろエースの凄さに尊敬を覚えた。だが・・・!!!」
「だが・・・?」
「魔力リミッターを掛けた状態であれをやっていたと管理局の魔導師から言われた時に全て崩れた・・・!!!」
「ば、化け物・・・」
「それは言いすぎだ。あの事件で教官も多大なダメージを受けたらしい。同じ人間だ。だが・・・手加減されていて尚まったく刃が立たなかったというのは・・・現場の人間として絶望した。だから今の目標はあれになってるんだ」
「あ、あの「目指せエース」ってそういう意味だったんですか。」
「ああ。次の交流会があれば、お前も一緒に行くことになるだろう。だからそれまでに一人前になっておけよ。でないと、下手したら死ぬ事になるぞ」
「ひぇ・・・わ、わかりました。」
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