〜機動戦士ガンダム00×オルタネイティブ〜   作:ガンダム・刹那・FF・セイエイ

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第3話「香月夕呼」

横浜に聳える国連軍本山の一角とも称える基地にその女性はいた。研究内容などを口にしなければ物静かでクールな印象を持つ、しかし世界の危機に対し重大な計画を企てている重要人物、名を香月夕呼。

本来は殆ど自室と化している研究室に引き籠り昼夜問わず理論の構築に勤しんでいる為中々そこから出る事は無い筈が今はその場を離れ、地下19階層から移動先の主に作戦時の通信管制等を担う基地の根幹とも呼べるメインモニタールームへと続くエレベーターを待ちながら呼ばれた理由を思案する。

 

夕呼「司令直々に声を掛けてくるなんて、まさかオルタネイティブⅣに支障が生じる事件でも?…いいえ、それなら真っ先にあたしの所へ伝達が入る筈。多少関係性があるとしてもこの線はほぼ無いわね」

 

優雅な姿勢で顎に指を添えながら思考中無意識に口に出している事に自覚が無いままだが、機密性が多く殆どの者が立ち寄れないこの場では問題にならない。

と、暫し思案に更けていたが思い当たらずどの道作戦司令室へ赴けば分かる事だと諦めては普段の軽い雰囲気で気分転換がてら傍らで同様に指揮司令部へ向かう旧友へ向き直り。

 

夕呼「まりも、あんたまた眉間に皺増えたんじゃない?何時も強張った顔していたら直ぐに皺だらけになるから気を付けなさい」

まりも「…お言葉ですが、副司令殿も先程まで随分険しい様子ではありませんでしたか?」

 

香月夕呼の戯れに生真面目に返す神宮司まりも軍曹。彼女も同じく司令部まで呼ばれる事は珍しく無いが、訓練兵への授業を中断してまでそれも態々一度博士を呼びに駆り出された事から召集理由が重要事項であるのは二人とも理解している様子で硬い身持ちにもなるはずだが、普段通りの彼女にまりもも呆れ意趣返し半ばに副司令殿を強調。

 

まりも「それに私はまだ眉間に皺など出来ていませんよ?」

 

怒気を含んだ"イイ笑顔"を向ける。

 

夕呼「ほらまた。そんな事より来たわよ?」

まりも「……夕呼が変な冗談言うからでしょう…まったくもう」

 

タイミング良く降りてきたエレベーターへ指差して一蹴する夕呼に思わず敬語を忘れ不貞腐れるも当の本人は気にした様子も無く自然体で会話の応酬を繰り広げては一足先にエレベーター内へ進むと溜め息と共にそれに続くまりも。

それて上階へ向けて移動を始めると今度は遊んだ口調では無く若干真面目な顔で再びまりもを見据え。

 

夕呼「で…今更だけど今回の件、まりもからは何か聞いてないのかしら?あ、因みに今は二人きりだし敬語はいらないから」

 

まりも「…いいえ。私からも何も……講義室まで来たのもピアティフ中尉だったし、貴方を呼ぶようにと…他は特に聞いてないわ」

夕呼「ふ〜ん、そう」

 

となれば矢張りオルタネイティブ計画関連か?と前に撤回した予想が再び脳裏を過るも短い会話中に早々目的地への道程に着いたのをエレベーターの停滞と開く扉に教えられては軽い足取りで進んでいき。

 

夕呼「ま、それももう直ぐ分かるわね」

 

先駆者に続きまりもも再び歩を進ませると、そこからは会話無くお互いが黙々とメインモニタールームへと目指す。

 

 

 

 

 

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場面は変わり双山に囲われた麓の森林下。刹那はその身を隠すべくエクシアを外部迷彩皮膜なるステルス機能で覆い今は粒子散布も停止している。

 

刹那「やはりデータに該当する事項は無し…ヴェーダとのリンクが途切れた今となっては当然だが」

 

主観記憶にあるフラッグとの戦闘後に目覚めその直後戦地へ介入して歪な存在を駆逐してから二日、その後も機体の粒子チャージと自身の休息を兼ねた情報収集を挟み、それが完了しては再びガンダムを駆って行き当たった戦場へと赴き見慣れぬ機体は敵味方の判別が出来ない為に一方的に異形へと攻撃し殲滅しては再三飛び去っていくのを繰り返す日々。トレミーが健在だった頃に行っていた武力による戦争根絶の行為となんら変わらず奔走していく日常。前の戦中に何者かに情報統制システム"ヴェーダ"のアクセス権を切られ窮地に立たされたのはまだ記憶に新しく刹那の表情が曇る。

最初こそ遭難者が持つ悩みの食糧問題さえ気にしたが何故かいつの間にコクピットに積み込まれた携帯飲料に気付いた瞬間不可思議ではあるが一応当初の難題はクリアされている為情報の整理を進める事に。

 

刹那「俺が気を失っている間に飛来した宇宙人か……ティエリアではないが流石に馬鹿馬鹿しい」

 

そして思うのは今現在駆逐対象となっている歪な存在、ヒューマンタイプを模していない事から人外。当初こそ人革連や過激派テロ組織(実際には自分達がこれに当て嵌まるが)が陰で生産した生態兵器かと思ったがそれらしき動きも見られず全く情報が無い為に検討を見送っている。

ならば考えられる肢は他に地球外生命だと考え付くも同じマイスターの台詞を借りては思考を払い。そして近日の武力介入にて何度も目にした正体不明の機体も性能からして旧式タイプ…とはいえガンダムに比べたらという話しでティエレンより一つ後か、その位置に属する量産MSくらいしか予測が着かずデータ整理を取り止めるべくモニターの画面を切り替え機体の状態を何度かに渡り確認。

 

刹那「……近いな」

 

ある程度チェックを済ませると僅かながら戦闘行為を報せる爆発音に耳を傾け、その直ぐ直後に機体の迷彩を解除しては全システムを起動、エクシアが森の中より姿をハッキリ現すと同時に背から放出する粒子量が増して機体の身を覆い次の瞬間にはメインカメラの二つ目が光を帯びる。

 

刹那「エクシア、戦闘地点へ向かう」

 

誰に言うわけでも無く発した言葉を最後に麓から機体を浮上させては、光線種を気にも留めない程の高度を取り粒子を撒いては高い速度で飛翔していく。

 

 

 

 

 

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照明を最小限に点した指揮司令室のブリーフィング用テーブルに視線を落とすラダビノット司令以下、ピアティフ中尉、涼宮遙中尉、そして二名の佐官クラス。

全員が重苦しい風貌を帯びて視線に映す映像を眺めていると通路へ繋がる扉が自動に開く機械音を耳にし、同時に意識をそちらへ移して振り返る。

 

まりも「神宮司軍曹、並びに香月副司令、ただいま到着しました」

夕呼「香月夕呼、以下同文です。…で?」

 

入室し扉が閉まる間に背筋を伸ばし確りと敬礼をするまりもと対称に変わらず適当な様子で解釈する夕呼、どうやら内心研究を中断させられた事に僅かでも不満がある雰囲気だ。

 

ラダビノット「すまないね、態々お呼び立てして」

夕呼「司令はお気になさらず。上官の呼び出しに応じるのは当然です」

 

しかし基地司令であるラダビノットには流石に敬意を払い目前まで歩を進ませると前のまりも同様に確りと敬礼をする。

 

ラダビノット「ああ。君達を呼んだのは他でもない、これを見て貰う為だ」

 

姿勢こそ正しているもその瞳の先には用件の催促を有しそれに気付いたラダビノットは夕呼とまりもを一度見流すとテーブルに撮された映像をメインモニターの大画面へと転送する。

映し出された写真に二人は勿論、既に視野に納めていた面々も再び"それ"を確認するように向き直る。そして画面を見た夕呼とまりもは揃って目を見開き――

 

夕呼「これは…!」

まりも「戦術機?…なっ、突撃級の正面から!?」

 

そこに映し出されていたのは青と白をメインに塗装された背から粒子の粉を散布させている人形歩行兵器、右手に一対と化した垂直剣を薙ぎ払い突撃級を斬り飛ばしているまさにその瞬間だった。

 

ピアティフ「これは先日の長野の最前線基地防衛戦時に撮られた映像で、当然ながらこの基地に配備されていた機体ではありません」

 

ラダビノット司令に続いて事前の命令通り画面の解説を代わりに努めるのは秘書のピアティフ中尉。夕呼達と画面を挟む形で前に出て、更に反対側へ立つのは基地のCPを担う、衞士の妹を持つ涼宮遙中尉。

 

遙「また前線基地防衛戦の途中に突如空から降下し、何の通信も無く突然BETAへの攻撃を行った、と…目撃報告があります」

国連軍小佐「空からだと?…高度は?」

遙「詳細は不明と記されておりますが……少なくとも最大高度で一万mより上だと」

国連軍中佐「馬鹿な!旅団規模だぞ!?当然隊列には光線種族もいたのであろう!?」

遙「は、はい…」

 

補足役である遙がピアティフも持つ資料に度々目を落として告げたのはBETAと戦争を繰り広げる者には俄に信じられない内容で、当然佐官の二人が声を荒げて口を挟むと流石にたじたじになる遙。

そんな中尉を助けるようにピアティフが一歩前に。

 

ピアティフ「驚かれるのは当然でありますがどうかご静粛に。この謎の戦術機は高々度から光線級のレーザー群を回避していると窺っています。それも一度も掠りもせず」

国連軍中佐「!?」

国連軍小佐「掠りも…?」

 

当然戦術機ならレーザーが掠めただけであの部位は焼けて爆発、下手をすればそのまま飛躍ユニットが破壊され機体は空中爆散か良くても地面へ激突し大破。

それを一本のみならず群と表したように数回にも渡るレーザー照射を回避したのだという事実に直結してしまうわけで。

 

ピアティフ「映像をご覧の通り突撃級の装甲殻を容易く斬れる出力と長刀の強度に切断力、更にレーザー照射の無効化―――他にも何点か御座いますが特に驚異的なのが次の映像です」

 

ピアティフが言うとラダビノットが画面を切り替え、黙々と説明を受けていた夕呼等や先程の1枚のみしか拝見していなかった遙や佐官達も移った映像を見て遂には身を乗り出す。

 

夕呼「レーザー!いえ、これは粒子収束線―――……ビーム兵器ですって!?」

 

画面に映し出されたのは同様の青白の機体が地上から僅かに浮いた位置から先程突撃級を斬っていた右腕部を突き出し剣が折り畳まれた砲身から粒子砲を放つ瞬間。

 

夕呼「戦術機サイズが携行出来る技術なんて……ッ!…いえ、そもそもそれ程の出力を有している可能性の方が―――」

 

本来はレーザーもビームも扱うのは至極困難でましてや一般的にポピュラーな戦術機がそれを放つなど下手をすれば出力敗けで自爆し兼ねない。極秘開発中の例の機体でさえ様々な技術で漸く荷電粒子砲を放てるレベルで機体サイズも桁違いだ。その分大出力を可能としたがそれでも殆どはかのBETA側の技術頼り。

しかし見せられた映像の装甲ごと真っ二つにする事実や光速弾を避けるだけの機動性を持っているなら粒子砲の扱いに関する問題もクリア出来ているのではと至って考え直す。

 

遙「その…通常では信じがたいのですが…粒子ビームはレーザー線に匹敵する程の弾速と威力、それを扱う衛士の照準も的確であるそうだと…」

まりも「それは………………米軍の新型、でありますか?」

 

開始から転けて意気消沈でそれでも確りと補足を努める遙の言葉に険しい表情で、そして誰もが気になっていた事をまりもが問う。

横浜基地に至るまでここは敵が占拠するハイヴでありそこを奪還する為の決め手となったのがBETAの特殊元素を利用して作られたG弾なのは有名で、製作は米軍が行いそれを事前勧告無しに撃ったのも米軍である。当然そちら側の新兵器なら敵味方に関わらず油断ならないのは当たり前で。

 

ラダビノット「その件は現在調査中との事だが、その線も判明している限りでは薄いそうだ」

国連軍中佐「そ、そうか……ふぅ…」

 

気掛かりな件もラダビノットの言葉に心底安堵した様な中佐を目尻に夕呼やまりもは別の点を心配するも今はそれよりも重要な事柄を確かめるべく画面からピアティフへと目線を移し。

 

夕呼「この機体の衛士との交信は?」

 

その質問に肩の力を抜いていた中佐や小佐を含め全員の面持ちが引き締まり問われたピアティフへ視線を集める。

 

ピアティフ「残念ながら長野防衛戦ではその報告が無く…件の機体が現れた時には通信下に不具合が起こったとしか」

夕呼「通信障害?…ふーん、多分あの粒子が原因ね」

 

解答内容に訝しげになるも直ぐに解明したかのようで夕呼が指差す先、映像内の機体から放射された粒子の粉をそれぞれ捉える。

 

夕呼「技術や理論を解明した訳では無いからはっきりとは言えないけど、あの光粒子には何らかの電波撹乱作用があるんじゃないかしら?通信に限らずレーダーの認識阻害、驚異的な性能の切断力も機動性もビーム兵器も、恐らくはこの特殊粒子の恩恵を主軸に受けてると推測するわ」

 

天才と称された博士の見解を聞いて原理は当人含めて謎のままだが納得には足りたようで頷き合う。

 

ラダビノット「流石は博士、香月副司令の仰るように最初はこの映像もかなりのブレを起こしており、何十回にもおける修正処置でなんとか今の状態まで持っていけたと技術班からも伝えられている」

夕呼「やはりですか…」

 

改めて映像を見ると確かに少しボヤけている為か機体の細部等はハッキリと見えず色合いや剣を持ちビームを撃てる事以外はなんとなくでしか判断出来ない。

この点でステルス機では無いのが基地防衛戦で目撃された時そのような事象が報告されていない為、或いは機能としては光学迷彩が備わっているがこの戦闘では未使用だと推察される。

 

遙「あの…此方は三日前、山梨県北社市地点で迎撃戦に当たっていた大尉による報告なのですが」

夕呼「あー、あの壊滅状態から奇跡的に生き残ったっていう三人の衛士?」

 

そう、実は山梨に攻め始めたBETAは横浜基地にとっても看過できる事象では無く夕呼が率いる特殊部隊を始め多くの衛士が不知火で救援に向かったのだが、その時には既にBETAは殲滅されていて丁度基地へと還る3機の不知火の護衛任務に変わったのを伊隅大尉から聞かされていた。

 

遙「はい。その3機の不知火の内、幸村少尉は負傷の治療、新任の少尉はPTSDを煩い処置の為帰投後に話を伺えなかったそうですが、生き残ったクラフト隊の三嶋大尉が…前の映像と思わしき機体に助けられたと断定出来る進言が」

夕呼「えッ!?」

 

その内容に珍しく、人前では今年初めて浮かべたであろう意外な顔をして夕呼が遙に詰め寄る。

 

夕呼「そんな話し聞いてないわよ!?」

 

遙の両肩を掴み凄い剣呑で「なんで報告しなかったの!」や「伊隅は何をやっているの!」と捲し立てる。

 

遙「そのあのえっとぉ…!た、大尉はお話ししようとしたそうなのですがぁ!副司令は多忙で後にも機が訪れず今になって…!!」

 

身を揺すられた遙が目を回しながらなんとか弁解。

 

夕呼「…………あ」

まりも「夕呼…貴方…」

 

その言葉に一昨日の出来事を思い出した夕呼が遙を揺らす手を急遽停めては暫しの間を置いて、その反応に検討が着いた面々は額や柱に手を置いたりと多様な反応を見せる。心は一つ、夕呼へ対する呆れ果てた一点のみ。普段規律に遵守したまりもとて皆の前で呼び捨てる始末だった。

確かに派遣部隊が帰還して真っ先に伊隅が夕呼へ連絡を入れたがその時ある理論構築に難攻していて内容も確認せずに寧ろ叱責までしたのを思い出し、致し方ないとはいえ結果を知った今となってはその愚行に自らも頭を抱える。他者からすれば今日一日で夕呼の意外な姿が見れたのだがこれを役得だと思える猛者は一人で、そんな人物はこの場に居なく現在は訓練生として汗水流しているだろう。

 

夕呼「…ふ、ふふ…失礼、取り乱してしまいました。続きをどうぞ?」

 

無かった事にしたいのか前のめりの身を但し華麗に髪を掻き上げると上司以外の相手にも夕呼らしからぬ丁寧な物言いで窘める。

しかしこれ以上の脱線を避けたいのは皆も同じくして癪だろうが今は副司令殿の対応に乗っかる。

 

ピアティフ「…三嶋大尉によれば最後に辛うじて通信回線が繋がったらしく、例の戦術機の衛士と話をしたようです」

国連軍中佐「なんと!」

夕呼「!……へぇ。それは凄いわね」

 

先程の騒動で遙が未だ万全で無いと判断したのか代わりにピアティフがデータ欄による情報に目を通して夕呼や佐官へと説明を続ける。

 

ピアティフ「ですがその……階級、所属部隊、在籍国に至るまで何も分からず。……ただ一言『俺がガンダムだ!』と申されていたとしか」

国連軍中佐・小佐「「………は?」」

 

 

 

 

 

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刹那「あそこか」

 

双山が聳える森を抜け国軍のモノと思われる基地を抜けた最前線上空を飛翔するエクシア。海岸先から防衛基地に至るまで例の異形と最近何度も見た量産機が戦闘を繰り広げているのをコクピットから見下ろす。

数ヶ所画面を拡大して一番多く異形が密集している地点を捉えるとそちらに機体を傾け始め。

 

刹那「人類の敵…」

 

頭を過るのは数日前、唯一あの量産機との通信が繋がった際に聞き受けた単語。あの異形へと向けて放たれたであろう言葉を囁くと次には淡々と機体を降下させていく。

数多の量産機が異形へ向けて実弾銃兵器を乱射しては白兵戦へと向かう機体は両手に実体刀を持ち斬り掛かり、異形も鋭い腕を振りかぶっている個体や自慢の殻を盾に突撃していく個体等様々な観点で戦闘行為が見受けられる。

そして異形郡の後方に構える小型種を捉えると―――

 

刹那「破壊する」

 

 

小型種が飛翔するエクシアに気付いてレーザー照射を放つのと同時に宣言する。狙撃された一発目を軽やかな機動で回避すると続け様に放たれる光線は機体を円状に飛び回って、レーザーは機体を捉えられずに明後日の方向へ。

照射が一度止むと今度は此方の番とばかりにエクシアの銃口が光線を放たれた方角に向けられ、粒子砲を6発ほどその地点へ撃ち出すと地上は着弾と同時に岩影ごと抉り破砕。巻き上がる光線種の残骸が次々に地や更に後方の極めて大型な種へ吹き飛んでいく。

この僅か数秒の流れ一連を見逃す者は居なく、交戦で余裕の無い各衛士も腕に自信ありの猛者は機体を安全に滑空走行させてその光景を一遍目に通し。

 

美冴「光線級の照射!あの方向は!?」

祷子「いえ、これは…!」

水月「大尉!あれを!」

みちる「ああ。…やはり来たか、謎の戦術機!!」

 

戦乙女を冠する横浜の特別部隊面々もその例に漏れず飛来してくる粒子散布型の超高性能戦術機(?)を視認して士気を高める。

従来の戦術機からは考えられない、ラプターさえも軽く凌駕する速度で戦地へと降り立つ。

 

刹那「マリナ・イスマイール…やはり世界は歪みを断ち切れていないようだ。なら俺は戦いを止めない」

 

今更過るのは一国の皇女。思念を飛ばすように囁きながら最後にと送り付けたメッセージはどのような内容だったか…その思考は目の前の異形で払い。

エクシアは着地の直後間を置かず前進し粒子砲を撃ち出した右腕にはGNソードが携えられ、GN粒子を多量に放出して突撃し―――

 

刹那「……エクシア、世界の歪みを駆逐する!」

 

武力介入が開始される。

 

 

 

 

 

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夕呼「…涼宮、新潟の最前線防衛ラインの状況は?」

遙「え……あ、はい。現在佐渡島を離れた旅団規模が沖まで侵攻開始、戦術機は各部隊臨戦待機中だと報告を受けました。A-01隊も間も無く出動時刻に」

 

その後も主に司令と中佐達で議論が挟まれる間に夕呼は新潟基地の状況を遙に問い掛ける。

以前"とある筋"から手に入れた新潟海岸に佐渡島からBETAが押し寄せる予言を受けた事があった。あの時は半信半疑ながら部隊を動かしたが、実際に奴等が現れたので無駄にならずに済んだと一安心したことはまだ記憶に新しい。

その後も最前線への最良の注意を払うべく衛星監視を続けた結果再びBETAの軍勢が観測されたのがついこの前で、遙を含む夕呼直轄の部隊が出動する間際にこの件が発生したのだ。

 

夕呼「そう。……司令、宜しいでしょうか?」

ラダビノット「ああ、博士。構わないが…」

 

夕呼に促されラダビノットが振り返る。

 

夕呼「皆さんも。まずこの戦術機―――いいえ、彼の機体を今より戦略機動兵器と呼称するわ」

 

現時点でも映像に映されたままの機体を指して、最早戦術機の枠に納まらない…或いは真に戦術機では無いかもしれぬ機体をその圧倒的な性能から戦略機動兵器と称して続ける。

 

夕呼「この機体の特性は今のところ戦術機とBETAでの交戦中における介入、武力行使によるBATE殲滅を助力しているけれど、言ってしまえばそれだけ。そして新潟の最前線ではBETA生息が観測されたと報告を受けたわ」

 

尚も捲し立てて、画面の空いている箇所へ衛星から送られた情報も地図と一緒くたに追加して映し出し。

 

夕呼「端的に言えば次に機動兵器が現れるのは予定通りBETAが上陸した場合、この新潟となる」

まりも「!確かに…!」

 

その結論に各々頷いて新潟地区を注視。

 

夕呼「司令、これから私はA-01と共に…そして白銀訓練兵も連れてそちらに向かおうと思います」

遙「え!?」

ラダビノット「…!博士自らがか!」

まりも「それも白銀まで…て、彼は特別…でありましたね」

 

まりもの言葉に「ええ」っと短く応えると気になる点を幾つか洗い出して導きだした決断を告げる。

今回は"余分"な企てを立てる必要も無く事前の勧告も無かった為部隊の出撃も前回より大分遅れたが、寧ろタイミング的には好機とも受け取れる。最もこれには夕呼の同行相手にと挙げた白銀も"記憶に無い"と焦り関与したがっていたのでこれなら互いに都合良し。

 

夕呼「(本来なら彼女のチェックにもう少し時間を費やしたいけど…流石に看過できないわよね)司令、許可を」

 

更にオルタネイティブⅣに関わる実験も今は殆どが"待ち"期間、やれる事は熟すがもしもあの光の粒子を己の手中に収められればという誘惑に魅了されてはどうしようもないでしょう?と頭の中で自分へ言い訳する。

 

国連軍中佐「どうするおつもりですかな…?」

夕呼「そうね―――これも端的に言うなら……勧誘活動、かしら?」

 

許可が下る前に中佐の投げた問いに不適に笑っては、"そのまま"の意味で答える様子を見たラダビノットは頷いて。

 

ラダビノット「分かった。出動を許可する」

夕呼「有難う御座います」

 

そして司令の同意が叶えば後は逢いに行くだけ。

 

夕呼「さ、まりもは速やかに白銀を所定位置に呼んできてちょうだい。涼宮中尉は至急出撃準備と部隊への通達も頼むわ」

まりも「…は!承知致しました!」

遙「た、直ちに!」

 

受け取ったメモを手に訓練所へと駆け足で向かう教官と戦乙女達が待機しているブリーフィングルームへ向かう遙に夕呼も続き管制室を退出していく。

 




BETAが蔓延る戦場に舞う戦乙女達と戦火を眺める香月博士

現れたエクシアに心穏やかではない白銀武

役者は着実に揃い始める

次回
「刹那な邂逅」

それが彼女の意思なのか…
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