【完結】アリス·ギア·アイギス 〜空を目指す者〜   作:塊ロック

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バイアラン隊長の前職が皆にバレる話。


ゆみ「隊長さん、前は何やってたの?」

 

 

「おはようございまーす。ふぁ…」

 

四谷さんが大あくびをしながら事務室に入ってきた。

 

…寝不足なのだろうか。

 

「あー、BBAまたキャバクラだなー」

「ゆみさん、こっちに支障でそうなら仮眠してきても大丈夫ですよ」

「あー、ありがとう文嘉。シタラ、あとで覚えてなさい」

 

そんなやりとりをしている所に入っていった。

 

「みんなおはよう」

「あ、隊長。おはようございます」

「四谷さん、寝不足ですか」

「ごめんなさい隊長、昼には復活す…」

 

そこまで言ってから、

 

「そう言えば隊長さんってさ」

「うん?」

「前、何やってたの?新卒にしては歳行ってるよね」

「書類では何も書かれてませんね」

「えっ、じゃあたいちょー元エリートニート!?」

 

前職の話になった。

流石に繋ぎ無理矢理すぎやしませんかね四谷さんや。

 

「えー、その割には鍛えてると言うか判断力あると言うか」

 

そう言いながら四谷さんが二の腕に触ってくる。

…ちょい恥ずかしいので止めてほしい。

 

「どれどれ…ふぉっ!?腹筋かたっ!」

「ちょっとシタラ。ごめんなさい隊長」

「いや…」

「ふっふー、こんなJKに触られてるんだぜたいちょー。役得役得」

「悪いが射程圏外」

「がーん」

 

なんてことは無い。

こんな事すぐに忘れていつもの日常に…。

 

「…この筋肉の付き方は独特ですね。何か武術をやられていたんですか?」

「ふーん…結構スゴいんだ隊長。まぁ、私はどうでもいいけど」

「ふぁっ!?」

 

体を触る手がいつの間にか増えていた。

吾妻と小鳥遊がいつの間にか来ていたらしい。

 

「あら楓ちゃんと怜ちゃん、おはよう」

「「おはようございます」」

 

…急に現れたのになんで普通に会話してるんだろう。

俺はめっちゃびっくりしたぞ。

 

「隊長、以前私の竹刀を受け止めた事がありましたよね」

「えっ、そんな…あー、あの変な仮面の…」

「そこまでは言わなくていいです!!」

 

あの吾妻がかなり取り乱しながら話を遮ってきた。

 

「えっ、隊長…楓さんの剣ってかなりの筋ですよね…」

「そ、そうだな…」

「おっはよー子猫ちゃんたち!!今日も私と遊ぼう!」

 

…リアルに頭を抱えた。

こんな時に事情を知ってて面白おかしく引っ掻き回す問題児がやってきた。

 

「俺の事は眼中になしっすか神宮寺さん」

「おはよう隊長。勿論愛してる!」

「そりゃどうも…」

「…おはよう。真理さんは隊長の事何か知らない?」

 

小鳥遊がいきなりぶち込んできた。やめて。

 

「えー?隊長の事?うーん、彼女居ない歴=年齢とか?」

「ガハァッ!!」

 

思わず吐血したが別に今バレても問題無かった話だったが、身体が反応してしまった。

 

「ふーーーーーん…そうなんだ」

 

小鳥遊の目が心無しか明るい。

やめろぉ、哀れむなぁ…。

 

「ね、たいちょーそろそろはいちゃいなよ」

「…愛と平和を守る正義のヒーロー」

「だっはははははは!!ヒーロー!?ヒーローはないわー!!」

「うるせぇ神宮寺!!」

 

この人は本当に…。

…ここで、黙っていた百科が口を開いた。

 

「あのギア、バイアランでしたっけ。あれと関係あるんですよね」

「…」

 

事務所が静まりかえった。

…この質問、変にはぐらかしてしまうと怪しまれてしまう。

 

そろそろこの子達に隠し事をしている事が心苦しくなってきた。

 

「隊長。この子達は今更知ったって距離とったりしないと思うよ」

「神宮寺さん…」

 

凄い、もっともらしい事言ってるけど顔がニヤついてて台無しだ。

…四谷さんが前に歩いてきた。

 

「隊長さんには、その、結構お世話になったし…軽蔑とか絶対しませんよ」

「ゆみさんに同じ。これでも私は信頼してる」

「そうです隊長。未熟な身ですが、貴方のお陰で私は道を踏み外さずに済んだんです」

「たいちょー。私も気にしないよ」

「皆…」

 

ええ子達や…ホンマに…。

歳甲斐もなく涙が出てきそうだ。

 

神宮寺、なんかいいムードになった事にちょっと困惑してるし。

良いからそのまま黙っててくれ。

 

「じゃあ…言うぞ。俺は…」

「ごめんください」

 

事務所に、誰か入ってきた。

…60代くらいのお婆ちゃんだ。

 

「はい、どうされましたか?」

「いやね、前にここに務めてる男の人に助けてもらってね…お礼を言いに来たんだ」

「…え?」

 

はて、誰だろうなそれ。

 

「あー、この前はありがとうねぇ」

「え、あ、はい?」

 

お婆ちゃんは俺を見つけると、近づいて来て手をとった。

この人…?

 

「…あ、この前踏切で足引っ掛けてた」

「そう!あの時は本当にありがとうねぇ…お陰で孫の顔が見れたよ」

 

先週、遮断器が降りた線路の上で立ち往生していたお婆ちゃんを助けた事を思い出した。

 

「そうですか…それは良かったです」

「これ、良かったら貰って貰って」

 

紙袋を渡されてしまった。

…その後、お婆ちゃんは百科に送られて外へ出ていった。

 

「…隊長さん?」

「え、な、何だ」

 

四谷さんが話を切り出す。

普段は見せない、とても柔らかい表情で。

 

「ヒーロー、私はその、似合ってると思うけど」

「あれは、冗談…」

「あながち間違ってないかもね」

「小鳥遊」

 

 

振り向くと、神宮寺さんがウィンクしていた。

 

…後から知ったが、あのお婆ちゃんに俺の事を教えたのは彼女らしい。

 

「まぁ、タイミング逃したし当面たいちょーは正義のヒーローって事でいいよ?」

「ははは…ありがとう。いつか、絶対話すよ」

 

決心を固めて、いつか必ず俺の口から伝えなくちゃ。

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

後日。

 

 

「今日は隊長の奢り!皆じゃんじゃん飲んでこう!かんぱーい!」

「とほほ…」

 

神宮寺に対して貸し1、これは即ち飲み会奢りを意味していた。

辛い。財布が。

 

(この人にゃ隠し事知られたくねーなぁ)

 

今日はヤケ酒だ。

 

 

 

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