【完結】アリス·ギア·アイギス 〜空を目指す者〜 作:塊ロック
駆け足なのはいつもの事。
ドアを開けると、そこはカボチャ畑だった。
「…………えぇ?」
思わずドアを閉めた。
「今日、何日だ?11月1日?だよな?うん?」
時計の日付を確認して、深呼吸する。
…何をビビっている、ジャック・オ・ランタンなんてペルソナで序盤世話になるレベルで親しんでるだろ。
「おはようーーーー!!」
元気よく、快活に。
挨拶は一日の活力ーッ!!(ヤケクソ
「お、おはようございます…隊長」
増えてた。
さっきまで三人くらいしか居なかったのに、七人になっていた。
「…ヒェッ」
「あ、どうしたのさたいちょー。さっきはそっ閉じなんてして」
「隊長。今日も書類が貯まってますよ」
「隊長ー!今日は焼きそばが食べたい!」
「隊長、どうしたの…?顔色悪いよ?」
「(無言でサムズアップ)」
「Hey!隊長!」
助けて。
ではなく、
「なんだこの状況」
「Trick or Treat!」
やたら発音がいい。
てかこいつジニーだな絶対。
「一日遅くないか」
「えー、だって昨日たいちょー居なかったじゃん」
ハロウィン当日、休みを貰って相棒の整備に一日を費やしていた。
とはいえ。
「今やるかそれ。と言うかよく百科許したな」
「隊長の驚く顔が見た…ごほん!皆のモチベーションの為です」
「オイこら本音」
「で、たいちょー。お菓子あるの?」
あっ。
「…ない、な」
「ほう」
「ならば」
「覚悟は」
「出来てますね?」
「隊長!」
ガタガタガタッ!!
事務所の至る所からカボチャ頭のアクトレスが大量に出てきた。
「ヒッ」
服装をよく見ると大人組の面々である。
…あんた達ねぇ。
「ふふふー、さぁ何をしてやろうかなぁ?」
「神宮寺さんアンタまで何やってんすか」
「おぉー?そんな口聞いていいのかなぁー?いたずらどうしようかな」
「うわトーンがマジだこの人。逃げるわ」
回れ右。
誰にも捕まらない最短最速のルートを一瞬で判断して飛び出す。
「まずい!たいちょーが逃げる!ジニー!!」
「OK!!」
「あってめぇ!ジニーは卑怯だろうがあでででででで!!?」
ドアノブに手を掛けようとしたところ、ジニーに手首を掴まれ関節を決められる。
…毎回ジニーに決められてる気がするけど気のせいかな。
「それっ!」
「おばぁっ!?」
そこから見事な一本背負いが決まる。
仰向けに床へ倒されてしまった。
「ごふっ!?」
腹の上にジニーが思いっきり座った。
柔らかい感触とか堪能する前に息が抜けていった。
「私のおしりでも楽しんでてよ」
「その頭のカボチャ無かったら楽しめたよ…」
カボチャがバチコーン!とウィンクを決めた。
…無駄に高性能らしい。
「おはよう、隊長。早速だけどいたずらして良いかしら?」
「にゃーさん勘弁してくれない?」
「新谷です。変に呼ばないでください」
カボチャに朱線が何本か浮かび上がる。
どうやら照れているらしい。
「おや、お菓子発見」
「ちょっ、兼志谷待て、それは」
さっきから服を弄っていた兼志谷が、リボンで包装された包みを持っていた。
「何これ、プレゼント?隊長もすみに置けないわねぇ」
「絶対これ女の子への贈り物でしょー。ほらほら吐きなさいよー」
「誰々だー?」
全員面白がって捲し立ててきた。
カボチャ頭に囲まれて見下されている…なんかトラウマになりそうだ。
「それは…」
「おはようございまーす。皆のアイドル!桃花ちゃんだゾ☆」
…事務所が静まり返った。
「…えっ、何この状況」
「俺に聞くな。こっちが聞きたい」
とりあえずジニーを退けた。
「よいしょっと…下落合、ほら」
「わたた…え、何これクッキー?」
さっきの包みを兼志谷から返してもらい、下落合に渡す。
「「えぇ!?」」
アダルト組がめっちゃ驚いてるのを尻目に続ける。
「な、何で…」
「誕生日、おめでとう下落合」
「「「!!!!!!」」」
事務所の中が一気に騒然とした。
「ちょっと隊長!プレゼント私貰ってない!」
「あ、あわあわあわ」
「桃花さんだけずるい!」
「ちょっ、待て待て…あるから、みんなの分」
鞄から包みを取り出していく。
「…これ、市販品じゃないわね隊長」
ジト目でこっちを見てくる下落合。
まぁ、流石にバレるか。
「作った」
「え、嘘!そんなキャラじゃないでしょ!?」
「失礼な…わ、悪いか」
「あっと、その…嬉しい、です。ありがとう隊長」
下落合から感謝の言葉。
割とこれだけでやった甲斐があったともとれる。
「隊長!おかわり!」
「ぶち壊しだな!?」
「で、オチは?」
「ねぇよんなもん」