【完結】アリス·ギア·アイギス 〜空を目指す者〜   作:塊ロック

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二人目のリングはどうしようかと一週間悩んだ結果。
あくまでここは本編とは別の世界線です。


指輪争奪協奏曲リターンズ

 

 

成子坂への着任が、ついこの前一年を迎えた。

生憎とその日は出撃だったが、戻ってきた後アクトレスと整備班総出で祝ってもらい少し気恥ずかしかった。

 

…この後、また爆弾が投下されるとも知らずに。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「ねぇ、暁」

「んん?どしたゆみ」

 

2月某日。

成子坂製作所にて。

まだ早朝なので誰も居なかった。

 

「これで一年目って事はさ、また指輪貰うんじゃないの?」

 

自分の薬指に嵌っている指輪に視線を落としながらそう言う。

結局あれから付ける位置を替えた上に、事務所に居るときは必ず着けている。

 

「…あー。そういやカタログ渡されたなまた」

「ふーん。どうするのそれ。私にくれた時相当悩んでたらしいじゃん」

「そうだな…実はもう決めてある」

「あら、珍しいじゃない。誰か聞いても?」

「…えぇ?聞くのそれ」

「当然でしよ。ほら、吐け吐け」

「あーもう、分かったから。渡すのはーーーー」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「隊長。どうしたのさ、こんな所に呼んで」

 

新宿郊外。

東京シャードで最も人が少なく、そして新宿が一望できる遊歩道の一箇所。

 

そこに俺と…ジニーが居た。

 

「いや、何…ちょっとした話をな」

「事務所でも出来るんじゃない?」

「あんまり人に聞かれたくない話かな」

「ふーん…あ、わかった」

 

ジニーはいたずらっぽく笑う。

 

「ゆみに馬鹿にされるのが嫌だから、私からチョコ貰おうって?」

「…は?」

「なるほどね。事務所だと中止の張り紙に引っかかるから前日で、しかも外なら…考えたね隊長」

 

何か盛大に誤解されたっぽい。

日付を思い出せばそう言えばそんなイベントもあったなと思い出す。

 

「なんてね。はい、隊長。Happy Valentine!!」

 

ジニーが後ろ手に隠していた箱を、俺に差し出した。

 

「え…あ、いや、そんなつもりは無かったんだが…」

「良いのいいの。渡したかったから」

「まぁ、何だ…ありがとう」

 

チョコレートを貰うのは実は高校以来だと言うのは胸にしまっておこう。

 

「お返し、期待してるからね」

「気が早いな…それじゃ、ほら」

「?」

 

ポケットから小箱を取り出し…。

 

「あっ…隊長、それ」

「欲しがってたろ、ほら」

 

6月の誕生石、ムーンストーンがはめ込まれたアニバーサリーリングが納められていた。

 

「…だめだよ隊長。受け取れない」

「それは、何故?」

「だって、私…」

 

言い淀む。

彼女は揺れているんだ。

自分の立ち位置に。

 

「…初めてあった日の事、覚えてるか?」

「どうしたのさ急に。of course.お嬢さんだなんて上手いんだから…」

「二年前…いやもう三年か。ペンタゴンシャード周辺宙域」

「…っ」

 

ジニーが固まる。

散々煙に撒かれたが、今度こそ、この話しにケリをつけよう。

 

「俺の命を救ってくれたアクトレス。ずっと、会いたかった」

「…違う。私じゃない。だって、皆…皆死んじゃったんだよ…」

「けど、俺の手を掴んでくれたじゃないか」

「でも、でも…!」

「お前のその手で、命を救ったんだ。誇ってくれ。それが手向けだ」

「…ずっと、もっと早く行けば間に合ったんじゃないかって。命令を無視したら皆助かったんじゃないかって思ってた」

 

ジニーも、同じ様に後悔を背負っていた。

過去を精算出来るのは、今しかない。

 

「でも私は…ペンタゴンの人間で」

「ジニー」

 

今にも泣き出しそうな彼女の頭を、そっと撫でてやる。

 

「ありがとう。あの時、手を取ってくれて」

「隊、長…うっ…うぅ…」

「もしお前が道に迷う事があるなら。俺がその先を歩いてやる。俺が隊長でいる間、ずっと面倒みてやる」

 

それが俺の、アクトレスに救われた者の使命だ。

その為なら、北条だろうがシャードだろうが相手になってやる。

 

「俺は絶対に、お前の味方だ」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「落ち着いたか?」

 

あれから暫く、ジニーは俺の胸元でずっと泣いていた。

顔を上げたジニーは、涙の跡こそあれど晴れやかな顔をしていた。

 

「うん。じゃあ…貰うね」

「おう」

 

迷わず左手の薬指に嵌めやがった。

それを苦笑しながら言ってやる。

 

「何で皆そこに付けたがるんだか」

「分かってないね隊長」

「そればっかりはわからんよ」

「ね、隊長。貴方はまだ空を飛ぶの?」

 

真っ直ぐと、俺を射貫く相貌。

 

「勿論だ。それが俺の夢だからな」

「そっか。一緒に行こうよ、アカツキ。空の案内は私がしてあげる」

 

その時の笑顔は、一生忘れられないくらい眩しいものだった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――後日。

 

 

 

 

「隊長…?」

「え、あ、お、おう…どうした真理」

 

何だか只者ではない雰囲気を出す真理と、小結さんと、深沙希さんと、芹菜と、怜と楓と…っね皆居るじゃねぇか。

 

「二個目の指輪、どうしたのよ」

「え?指輪…なんの事かな」

「ゆみちゃんに送ったのは半年前…そして、今が一年」

「隊長、指輪…持ってますよね」

 

………君達のようにカンの良い女性は怖いよ。

 

「HELLO!わ!どうしたのみんな?顔怖いよ」

 

このタイミングでジニーが入ってきた。

これ確信犯だろ。

 

「あらおはよ、う…ジニー。その指の」

「?隊長から貰ったんだよ」

「「な、ナニぃーーーー!?」」

 

…避難する準備だァ。

 

「何処へ行くんですかぁ…隊長」

「に、逃げるんだ…勝てるわけが無い…」

「確保ォー!!」

 

「…ふふ、アカツキ。私、頑張るよ」

 

その後、整備ハンガーのバイアランに吊るされる事になった。

 

『馬鹿ですね』

「うるせぇ」

 

 

 

 




…ジニーには、幸せになってほしい。
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