【完結】アリス·ギア·アイギス 〜空を目指す者〜 作:塊ロック
真理さんとダラダラと駄弁るだけです。
隊長の過去がちょっと明かされます。
隊長の設定とか無理な方はブラウザバックどうぞ。
「ねぇねぇ、隊長って強いよね」
「何の話ですかいきなり」
ある日の昼下がり、特にやることも無く書類とにらめっこしていたら唐突にそんな言葉が掛けられた。
「別に、強くなんないですよ。戦えませんしね」
「ヴァイスとは…ね。でも人相手なら?」
声を掛けてきたのは成子坂専属のカメラマン兼アクトレスの、神宮寺真理だ。
普通ならば20歳を過ぎると衰えていくエミッション能力を高いレベルで維持し、29にして未だ現役として通用する腕前を持っている。
「コロちゃん吾妻に余裕で張っ倒されますよ」
「ふーん…?」
懐からパッ、と書類を取り出した。
「何でわざわざ胸元に仕込んだんですか」
「喜ぶかなーって」
「…ノーコメント」
「あっ、珍しく照れてるね」
「ノーコメント」
真顔で返すと、ちぇー、と言いながら話を進める。
俺としてはこの辺で終わって欲しいのだが。
「隊長ってさ、ここに来る前は自衛官やってたんだよね」
「ここまで調べといて聞きます?」
広げられた書類には、俺の本当の経歴がつらつらと記述されていた。
…勿論、元自衛官と言うのも本当だ。
ヴァイス襲来から、すっかりアクトレスに取って代わられてしまい落ち目気味だった自衛隊。
そこへ入隊した物好きのうちの一人。
「へー、部隊格闘技と銃剣道ね。けっこうしっかり鍛えてんじゃん」
「…で、それを自分に教えてどうすんですか」
普段からただ女の子を追い掛けてる似非カメラマンではないと思っていたが。
「いや、ちょっと聞きたい事があってさ」
「ここまで剥かれたんです、何も隠せませんよ…」
「…九品田凪って子、知ってる?」
九品田凪。
聞いたことは無い。
それを素直に伝えると、
「えっ、嘘。だって貴方の居た部隊…」
「…神宮寺さん、自分が居たのは、」
「あれっ、違うじゃん紛らわしい!同姓同名!?」
…どうやら、別の人物の経歴が混ざっていたようだ。
入隊同期に居たんだなあ、俺と同姓同名のやつ。
「ああそっかー、ごめんね?」
「良いですよ、貴女にはお世話になってますから」
「それじゃ迷惑ついでにもう一つ聞いてもいい?」
「答えられる範囲なら」
「何で経歴偽装してるの?」
そう、そこである。
成子坂に元々提出して有る履歴書に、元自衛官とは書いてない。
「このご時世に自衛官だって言って良いように見られると思います?」
「そう言うの気にするタイプ?」
「女の子を怖がらせるのも嫌ですしね」
割と嘘偽りなく話している。
「ふーん…じゃあこの事は」
「なるべくならバラさないで欲しいですけど。まぁ、所長と盤田さんは知ってますよ」
「えっ」
「所長と相談して決めたことなんで」
「ええっ」
神宮寺さんが天を仰いで顔を手で覆った。
「やられた…」
隠してはいたが、別にバレても問題の無い話なのであった。
「人生そういうこともありますよ」
「くぅー…年下に諭されるなんて」
―――――――――――
翌日
「隊長、おはよー」
「おはようございます…?」
神宮寺さんが、また成子坂へやって来た。
「先日のお詫びもかねてランチのお誘いに来たよ」
「…本当にそれだけですか?」
その先日の件で色々ばれているので、疑っても仕方ない。
「やだなー、ちょっとお話あるだけだよ」
「ほらやっぱり」
「ここのアクトレスちゃん達の写真撮らせてくれないかなーって」
「良いですよ」
「やった!」
我ながら即答である。
兼ねて寄り宣伝材料が足らなかったなーと思っていたところにこの話。
利用しない手はない。
「所長には自分から話しておきますよ」
「え?本当に?嬉しいー、隊長結婚しよ?」
ガタタッ!
事務所の方から誰かが躓く音がする。
「自分じゃ釣り合いませんので辞退します」
「ざーんねん。それじゃ行こっか」
「あ、昼は本当に行くんですか。百科ー、ちょっと出てくるわ!」
尚、この後激辛料理をしこたま食わせられる事になるとは俺の想像力が足らなかったらしい。
(八つ当たりか…!)
…ほのぼのなんで出来ないんだ…!