【完結】アリス·ギア·アイギス 〜空を目指す者〜 作:塊ロック
「何で!?」
とある休日の昼下がり。
事務室で一人寂しく休日出勤をしていた時だ。
突然事務室のドアが開き、いつもの明瞭なごきげんようが聞こえた二言目がこれである。
……重ねて言っておくと、彼女は名門聖アマルテア女学院生徒会長である淑女、紺堂地衛理である。
いやまぁ、確かに履歴書にサバゲーやってると書かれてたけど。
「何故……そうですね。隊長はこちらのイベントはご存知でしょうか」
一冊のパンフレットを渡された。
何となく嫌な予感がするが中身を見て……。
「へぇ……ハワイシャードで……え"っ!?ハワイ!?」
先日アクトレス達が総出で出演したクイズの景品がそれだった気がする。
「そんなとこ行く時間も金もねぇよ……」
「失礼、これは後日しいなと奏と一緒に行く予定のパンフレットでした」
「お、おう……相変わらずどっか抜けてるなお前」
「……私が抜けてると?」
「貶した訳じゃない。その方が可愛げがあるってだけさ」
もう一冊のパンフレットに目を通す。
……何でも、フルダイブVRのサバゲーらしい。
VRなら何も銃を用意しなくても、と思ったが持ち物全てが反映される仕様らしい。
「……なるほどな。確かにそれなら場所も取らないし安全だな」
「ご理解頂けましたか?」
「ああ……ただ、何で俺?二人とか誘わないの?」
そう言うと、地衛理は少し考え込んで、
「……二人には、あまり受けなかったわ」
「……佐用で。他に友達居ないのか?」
「………………」
「ごめん、ごめんて。そんなに睨むな」
美人に睨まれる趣味は無いよ……。
「元自衛官って知ってて誘ってんの?」
「さて、どうでしょう」
「秘密の数だけ女は綺麗になるが、今この場では相応しくないぞ……」
「………………隊長、貴方は素でそれを言ってるみたいですから反応に困るわ」
「喜んどけ」
さて、サバゲーね。
エアガンすら持ってないし何が要るかも判らない。
どうしたもんかな……。
「Hi!隊長!サバゲーするって?」
「ジニー?」
気配殺して後ろからジニーが飛び付いてきた。
地衛理もちょっと引き気味でビビってる。
「事務室で気配殺して近付かないでくれる?心臓止まるかと思った」
「ふふ、その時は私がなんとかしてあげる♪」
やめろ、背中に押し付けないで。
……そんな様子を見て、地衛理が一言。
「バージニアさん……雰囲気、変わりましたね」
「そう?そうかもね!」
「んな適当な……」
「ふふふ……あら、その、指に有るものは……」
「これ?隊長から貰ったんだ!」
ジニーの左手薬指に嵌っている物。
……以前、俺が渡したアニバーサリーリングがそこに煌いていた。
「お二人はそう言ったご関係で?」
「いや?ただ、ある意味ケリを着けたって感じだが」
「……アカツキ……私とは、遊びだったの……?」
「いや違うぞ!?待て!そう言う意味じゃない!」
背中に食い付いてるジニーを振り払おうと藻掻く。
「ジニー、お巫山戯はやめろ……地衛理が引いてる」
「……『地衛理』?」
「あ、すまん。前にこいつらから名前で呼べって懇願されてな……不快なら辞めるよ」
「いえ、不快という訳では。ただ、そうですね……好ましくは、思います」
あー、駄目だわ。
不意打ち気味にそんな顔するのはやめてくれ……心臓に悪い。
未成年は射程圏外って言う何やかんやが揺らぐ。
「むー……ね、隊長!どんな銃が良いの?」
「え?そうだな……アサルトライフル系なら、使いやすいと思う」
「「ああ……」」
「いや二人して納得しないでくれない?」
「だって……」「ねぇ……?」
「あーもう、分かったから!行くぞ!」
「えっ、隊長!仕事は!?」
「終わった!」
そして後になって気が付くのだった。
美少女二人侍らせてエアガンショップに行く馬鹿みたいな姿を。
「………まいっか」
何だかんだ名前呼びを始めてから絡ませてないのでやってみました。