【完結】アリス·ギア·アイギス 〜空を目指す者〜   作:塊ロック

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空に焦れた隊長の集大成。


見上げる空へと手を引いて

 

……試験飛行の日程が、決まった。

 

自衛官時代のコネやら、何もかもをフル活用し、ようやく富士シャードのエリアを掌握する事に成功した。

 

「隊長、それで……お願いと言うのは?」

 

ある日の成子坂。

事務所には俺と、薫子さんが居た。

 

「あー、その……一日、いや、二日か?自分の代わりに代行指揮官をして欲しいんです」

「唐突ですね。何か用事でも?」

「ええ、大事な」

「それは顔を見れば分かります。……分かりました」

「え、まだ理由なんかも言ってませんが」

「そういう事を言うのなら、少しは机の上を片付けたらどうですか?……大事な書類、目に付きましたよ」

 

どうやら、薫子さんにはとっくにバレていたらしい。

俺も相当浮足立っている。

 

「あ、あはは……薫子さんには敵わないなぁ」

「気を付けて。貴方に何かあれば、ここの子達も悲しみますよ」

「薫子さんは、悲しんでくれますか?」

「……馬鹿な事を言っていないで、早く準備してきたらどうです?」

「っと、すいません。今日は早上がりします」

「お疲れ様……ったく、馬鹿なんですから……」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

当日のスケジュールを纏めて、同行するアクトレスの選出欄を記入しようとして……手が止まる。

 

誰を、選ぼうか。

 

「たーいちょ♪」

「うおっ、と……ジニー?さっきシタラと帰らなかったか?」

 

背中にふわりと柔らかい感触。

ブロンドの髪が肌をくすぐる。

……所属アクトレスの、バージニア・グリーンベレーだ。

 

「隊長が気になって残っちゃった」

「こら、うら若き乙女がこんな時間まで男の所に来るんじゃないの」

「イイじゃん。その代わり帰りは送ってくれるんでしょ?」

「お前……ったく、都合良いなホント」

「……ふーん、飛ぶの……決まったんだ」

「え?ああ……」

 

俺の肩越しにジニーがPCのモニターを盗み見た。

バレてるから盗み見も何も無いけど。

 

「護衛にアクトレス1チーム、か」

「誰にするの?」

「どうしようかな……ジニー、来てくれるか?」

「いいよ!前に約束したもんね」

「約束……ああ、したな」

 

ジニーの右手にはめられているリング。

俺とジニーの過去に折り合いを付けた際に交わされた約束。

 

 

ーー空への道先案内人は、私がしてあげる!

 

 

「大丈夫だよ、アカツキ……私がついてるから。一緒に、行こうよ」

「……ああ」

 

首に手が回される。

ジニーに背後から抱き締められて、ちょっと照れくさくなる。

 

「お前、そういうのは……」

「アカツキにしかしないよ、こんなの」

「……子供が大人をからかうんじゃない」

「私、もう結婚できるよ」

「……駄目だ」

「……ヘタレ」

「うぐっ」

「おはようございまぁーす」

 

そんな中、事務所に一人女性が入ってきた。

四谷ゆみだ。

 

「……あら、お邪魔だったかしら?」

「ゆみ、そうか夜のシフトだったな」

「暁?JKと夕方に何しようとしてたのかしら?」

「ゆみってばタイミング良すぎたよ!」

「ジニー、やめなさい」

「あらぁ?……ふふ、文嘉に言いつけてやろうかしら」

「やめてくれよ……」

 

最近アクトレス達が絡んてくるとメガネ光らせてきて圧掛けてくるんだよな……。

 

「あ、ゆみ。この日暇か?」

「え……この日?何コレ……暁、これは?」

「俺の前職繋がりでな」

「……こんなタイミングで明かさなくても良いでしょ!?」

「ごめんな」

「行くに決まってるでしょ!」

「え、来るの!?」

「当たり前よ!!そのへんの話、しっかり聞かせてもらうわよ!」

 

それはそれでありがたい、が。

 

「……いいのか?」

「……これが、アンタのしたい事でしょ」

 

それで充分、と言わんばかりに。

 

「それで、あと一人は?」

「それは……」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「お受けしましょう」

 

聖アマルテア女学院。

その生徒会室にて。

来客用ソファに向かい合って座っているのは……生徒会長、紺堂地衛理。

 

「そうか……いや、良かった」

 

今回の最後の一人のメンバー。

それは、地衛理だった。

元々バイアランを所持していたのはアマルテアだったのだ。

それを善意で譲ってもらった形になっている。

 

そのため、地衛理にも結末を見る権利はある。

 

「お前を誘うのは勇気がいるからな……」

「あら?そんなに身持ちを固く持った覚えはなくってよ?」

「いやいや、ちったぁ見た目の事を加味してくれ」

「ふふふっ……約束は、覚えていますか?」

「覚えている……けど、何故?」

「貴方の渇望は、私の空白を埋められるか……それを、見せてください」

「……分かったよ」

 

飛ぶしか出来ない俺を嬲る気満々な生徒会長だった。

……いや、飛べるかどうかも怪しいが。

 

「では、楽しみにしております」

「ああ」

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

……………当日。

空にはゆみ達が既に飛んでいる。

後は、俺がそこに向かうだけ。

 

『ライフリンク接続、チャンバー正常加圧』

「……行けるか?アリス」

『ロック解除。行けます』

 

バイアランと俺が接続される。

後は、俺の意識の問題だ。

 

「……行こうぜ、空にさ!」

 

 

 

 

俺は、空へと手を伸ばす。

 

バイアランのバーニアが、火を吹く。

 

 

 

 

「隊長!ほら!早く!行こうよ!」

 

 

 

 

ジニーが手を差し出す。

 

俺は、それにーーーーーー。

 

 

 




これは空を目指した男の、一つの通過点。

次回、最終回。
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