【完結】アリス·ギア·アイギス 〜空を目指す者〜 作:塊ロック
空を飛びたいと、夢に見ていた。
けど、この宇宙は壁に映されたまやかしで。
俺が手を伸ばしたい本物の空は、とっくの昔に失われていた。
それでも、俺の心には未だ、見果てぬ空へ焦がれる想いが燻っていた。
「隊長」
東京シャードに存在する、成子坂製作所。
その屋上から偽りの空を眺めていると……若い少女が俺を呼んだ。
「ん……?」
「隊長ってば。休憩、とっくに終わってるよ」
腰まである金の髪に、青い瞳。
ひと目見て東京シャード出身ではないと判る。
「ああ、呼びに来てくれたのかジニー。悪い」
「いくら平和だからって気を抜き過ぎだよ隊長」
「管轄区内にヴァイスの出現もないし、最近は暇を持て余してる。ちょっとサボった所で流石に文嘉も咎めはしないだろ」
彼女の名前は、バージニア·グリーンベレー。
ペンタゴンシャードからの留学生にして、成子坂の誇るチーム·トライステラのメンバーだ。
そして……俺の、命の恩人でもある。
「そのフミカが探してた」
「マジか。あと五分したら帰るって言っといて」
「自分で言いなよ」
「戻るんだろ」
「えー?隣に居るよ?」
「……好きにしろ」
屋上の柵に肘をついてもたれていた。
その隣へ、ジニーが尻を乗せるようにもたれかかった。
「落ちるなよ」
「その時は、隊長が助けてくれるでしょ?」
なんの気なしに笑ってそう言ってくる。
信頼感の裏返しなのだろうか。
彼女の左手の薬指には、誕生石であるムーンストーンがあしらわれた指輪がはまっている。
……誤解無きように言っておくが、俺は彼女に将来を誓った訳ではない。
大体、ジニーはまだ高校生だ。
手を出すのは、どう考えても犯罪だ。
……え?もう法律上は結婚出来る?
あー、あー、聞こえない聞こえてない。
「あ?これ?隊長がいつでも私の事で悩んでくれるようにいつもしてるよ?」
「………………お前なぁ」
「アハハ!ジョークだよジョーク。顔が怖いよ隊長?」
「はぁー……ったく。ただでさえゆみとか地衛理からの視線も最近多いってのに」
「あはは」
からからと笑う。
俺は、そんな彼女に……つい尋ねるのだった。
「今、楽しいか?」
「……うん!」
その彼女の顔は、星の煌めきの様に輝いていた。
「そうか……なら、良いや」
「でも、ずっとこのままは嫌かな」
「このまま?」
「こうやって……アカツキの隣で笑ったりしてるだけの生活?」
「何が不満なんだよそれ」
「んー……何だろう。分かんないや」
「なんだそれ」
「でも、隊長がゆみやチェリーと喋ってるの見ると……何か面白くなくて」
「……そうか」
「あ、何その反応。何か勘付いてる?」
「全然?」
「む」
「そろそろ休憩終わるし先戻ってろ。You copy?」
「Negative‼」
「のわっ!?こら、くっつくな!」
「さぁさぁ喋っちゃいなよ!」
「やめろっての!」
「いつまで遊んでるんですか隊長!!!!!」
「あっ、ふみぎゃああああああああああああああああああああああ!!?!??!」