【完結】アリス·ギア·アイギス 〜空を目指す者〜   作:塊ロック

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アクトレス達と駄弁るシリーズその5。
今回は成子坂のヤベーやつこと舞ちゃんです。


ニコ✕タマ=マイ

 

 

「隊長、もう来るなっつっただろ」

「磐田さん…俺は」

「帰ってくれ。顔を見たかねぇ」

「待ってくれ!」

「っ!離しやがれ!」

「嫌です!そうやってまた逃げるつもりですね!?」

「何だと!?」

「俺がどういう気持ちか知ってて逃げるんですよね?」

「…………」

「聞いてくれ、俺は磐田さんの事…」

 

 

「うわァァァァァァァァ!!!!?!!」

 

勢い良く、手にしていたやたらと薄い本を床に叩き付けた。

 

「ぜぇ…ぜぇ…な、なんだこれ…」

 

今日、事務所に顔を出すと誰もおらず、このやたらと薄い本が床に落ちていたので拾い上げて興味本位でページを捲っていたのであった。

 

「何で俺と磐田さんで…ひぃ」

 

このメンバーを知っているという事は、成子坂所属と言う事が確定的に明らか。

一体誰がこんな物を…………。

 

 

ガタタッ!

 

 

事務室の出入り口から、誰かが躓く音がした。

 

「おい、大丈夫か?」

「ひゃう…!?あ、隊長…ありがとうございます、大丈夫です…」

 

床に座り込んでいたのは、先日シタラが連れてきた新人アクトレス、二子玉舞だった。

極度の人見知りではあるが、バレエに習熟し戦闘もその柔軟性を以下したトリッキーな戦い方をするアクトレスだ。

 

「そうか?ならいいが…」

「あ、隊長…そ…それ…は…」

 

舞が、顔を一気に青くして床に落ちていた薄い本を指差す。

 

「ああ、これか…誰かが作った趣味の悪い本だ…また兼志谷辺りが面白半分で…」

「趣味悪くなんか無いです!!」

「えっ」

「隊長、これは需要があるものなんです」

 

すっ、と立ち上がり真っ直ぐこちらを見据えてきた。

何時ものオドオドとしたか弱い雰囲気は何処かへ消え去り、凛とした表情の一人の戦士が立っていた。

 

「…っ!」

「隊長はBLをご存知ですかこれはですね元々私が目を付けていたカップリングなんですけど最初は隊長がヘタレ受けかなーって考えてたんですでも隊長は作戦指揮の最中は凄い真剣でこの人はちゃんとできる人なんだなって思いましたあ、そうじゃなくてですね結局掛け算なんです大事なのはカップルの性別じゃなく左右の位置なんです隊長は絶対左なんですあと」

 

コノコハナニヲイッテルンダ?

 

少なくとも目の前の壊れたラジオの様に言葉を羅列しまくっている女の子は、俺知っている二子玉舞ではない。

 

「ですから…」

「ストップ。二子玉、ストップ」

「あっ…」

 

一旦落ち着かせようと声を掛けると、今自分が何を喋っていたのか思い出したようで。

 

「あっ、あ、ああああ」

 

顔を青くしたり赤くしたり。

 

「…ごめんなさいいいいいいい」

「二子玉!?」

 

顔を手で覆ってそのまま走って逃げていった。

 

「何だったんだ一体…」

 

その後、事務室にやってきたゆみさんに舞を泣かせたと言われしこたま説教されたのだった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「二子玉」

 

次の日、舞が一人になった瞬間を見計らって声を掛けた。

すると、わかり易いくらい肩を震わせてこちらへ振り向いた。

 

「隊長…」

「昨日は、その…悪かったな…」

 

何がどう悪いのかはこの際置いておいて、ここで大事なのは謝る事だ。

 

「い、いえ…その、勝手に喋って勝手に逃げたのは…私なので…」

「それで、これ何だが…」

 

テーブルの上に、先日の薄い本を置く。

表紙は真っ白で、中に挿絵など無くずらっと文字が並んでいる。

 

「もしかして、これはお前が書いたのか?」

「…はい」

 

躊躇いがちに答えた。

 

「そうか…」

「その、隊長は…気持ち悪いとか…思いましたか?」

「いや?」

「えっ?」

「ん?」

「こんな事考えてるんですよ?」

「そうだな」

「引いたりとかしないんですか?」

「趣味は人それぞれだろ」

「隊長は被害者ですけど…」

「実際にその気があるわけじゃない。あくまで創作物の話だ」

「隊長✕有田さんのもあるんですけど」

「そ…おいまてこれだけじゃないのかよってか俺はどんだけ節操なしだ」

 

そこまで言い合ってから、お互いに笑いだした。

舞も、もう緊張はどこかへ行ったようだ。

 

「隊長は…へんな人です」

「変じゃなきゃここでやってけないよ」

 

成子坂は魔境である。

 

隊長がマトモな訳が無かった。

 

「二子玉が好きな物が知れて良かったよ。何だかんだあまり接点が持てなくて会話に困ってた」

「…それ、本人に言うんですか…」

「気にするな。履歴書読んだだけで会話するなんて無理だよ、俺には」

 

実際に話してみないと、人物は推し量れない。

だからこそ、今回の事は収穫だ。

 

「ま、趣味はほどほどにな」

「はい…ところで隊長」

「何だ?」

「文✕シタって興味あります?」

「…………………………ちょっと詳しく」

 

 




やっとシリアスじゃない話が書けたよ…。
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