【完結】アリス·ギア·アイギス 〜空を目指す者〜   作:塊ロック

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アクトレス達と過ごすシリーズ、波乱のハーフアニバーサリーリング争奪戦開始。

隊長は渡す相手を決めているけど予想以上に周囲がグイグイ来るの図。

ちなみに相手についてはリアル私隊長が贈った相手です。



指輪争奪狂想曲 前編

 

たまに、AGEISの上層部は馬鹿なんじゃないなと思う時がある。

今回、着任半年と言う事で総報告の為にAGEIS東京支部へ出頭させられた。

…まぁ、あの噂の成子坂製作所のアクトレス部門隊長と言う肩書きと、叢雲重工とのやり取り、倒産寸前の危機を救った。

と、注目される理由はごまんとある。

 

百科に手伝ってもらった業務記録を手に大ボスの元へ向か…。

 

「君が成子坂の隊長だね?」

「え、あ、はい」

 

普通に会議室程度の場所かと思っていたが、通された部屋は調度品から何まで豪華な執務室の様だった。

 

「それを受け取り給え」

「はぁ…ん?カタログ?」

 

渡されたのは一冊のカタログ。

表紙にはシンプルにアクトレス用アニバーサリーリングと書かれていた。

…リング?

 

「これは?」

「君も配置になってから半年、そろそろなにかの記念が必要なのかと思ってね」

「それが、指輪ですか」

「ああ。君の所の誰か一人に贈るといい」

「全員、では無いのですか」

「ひとりだ」

 

何を考えているこの禿頭。

指輪だぞ?何で指輪なんて贈らにゃならんのだ。

 

「お言葉ですがーーーー」

「君の報告書、読ませてもらった」

 

抗議の声は掻き消される。

舌打ちしたい気持ちを抑え相手の言を優先した。

 

「君達の活躍には感服している。だからこそ、これは我々の純粋な好意なのだよ。聡明な隊長ならば、この意味が判ると思うが」

 

「………ご厚意、ありがとうございます」

 

ここで何か問題を起こせば、後がない成子坂の面子を潰し倒産寸前まで逆戻りしてしまう。

真意は不明だが、従うしかない。

 

(中間管理職はつらいね全く)

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

誕生石をあしらったリングのため、特注品なのである。

…本当に、誰に渡すべきか。

 

いつも成子坂の事務を引き受けてくれている百科?

いやいや、未成年を勘違いさせては行けない。

よって未成年組は除外。

 

成年組は…いかんな、誰に渡しても暴動が起きそうだ。

 

と言うか、これ選択をミスしたらそのままデッドなエンドが見えて来そうなのだが。

 

(お蔵入りの方が平和だろうなぁ)

「隊長、何見てんの?」

「何ってカタロ…うわっ、兼志谷!?」

 

事務所のデスクの対面から兼志谷シタラがカタログを覗き込んでいた。

 

「ほほう…誕生石をあしらった記念リング?隊長もそういう相手居るんだー?」

「彼女居ない歴=年齢なんだが」

「みなまで言うなってー。隊長とお付き合いしてるひとかー。誰?知ってる人?」

「だから、居ねぇっての。話聞け」

 

やばいぞ、話がこんがらがってきた。

 

「ハッ、もしかしてBBAに贈る…」

「女の子がBBAなんて言うもんじゃありません」

「…隊長ってばたまにお母さんみたいだよね」

 

失敬な。

せめて父親役だろう。

 

「親御さんから預かってる大事な娘さんだからな。小五月蠅くもなる」

「…子供扱い、か」

「何か言ったか?」

「いんや、なんにも。じゃあねー」

 

引っ掻き回すだけ回して、兼志谷は走り去って行った。

 

「何だったんだ一体…」

 

カタログに目を落とし、ふと、目が止まる。

 

「…ダイヤモンド、か」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

唐突だが、成子坂で最も働いてくれているのは勿論百科だ。

事務仕事をこなしながらアクトレスとしても働いている。

そして、新谷さんもそうだ。

だが、彼女達に渡すのは少々抵抗があると言うか…。

 

 

まぁ、それを抜きにすると同じ事をした上で中学生組の面倒を引き受けてくれていた彼女になる訳だ。

何だかんだ専用ギアも限界までチューニングされ、成年組のエースクラスのアクトレスとなっている。

 

「…で、だ」

 

目の前の指輪のケースを前にして、固まる。

 

「なんて言って渡せば良い…!!」

 

俺は今、迷っている!!

注文したら案外すぐ届いてしまい全く考える時間が無かった。

 

「隊長、これ何?」

「え?ああ、これは…ってぇさせるかッ!!」

「確保っ…あーん隊長のいけず!!」

「チィ!ちょっと油断するとこれか神宮寺さんや!?」

 

背後からこっそり忍び寄っていた神宮寺真理に、奪われるのを既の所で回避した。

この人にバレるのは、拙い…!!

 

「それ、どう見ての指輪のケースでしょ?隊長も隅に置けないねぇ?」

「これを、どうするつもりですか」

「うーん…」

 

顎に手を載せて考え始めた。

この隙きに逃げ出したかったが、

 

「おはようございます、隊長さん」

「お、おはようございます…宇佐元さん」

 

退路をさりげなく宇佐元杏奈さんに塞がれてしまった。

緊急ミッション!雷撃針を撃破せよ!ちげーよセルケトは関係ねえ。

 

「それ、ちょーだい♡」

「可愛く言っても駄目です。貴女には渡せない…」

「なぁんだ。AGIESからの支給でしょ?それ」

「判ってたんなら…」

「そっかぁ、私にはくれないんだ…結構頑張ったのに」

「ぐっ…」

 

そう来たか!

俺は確かにこの人に借りがあるし、結構良くしてもらっていた…。

 

情に訴えてくるとは、やりおる…!

 

「えっ、隊長さんそれ指輪なんですか?」

「あっ、えっと、はい、そうです」

「ズバリ、誰に渡す予定なんですか?やっぱりそう言うお相手ですか?いえ、私は別に興味ないんですけどね?」

 

嘘だ。

顔は笑ってるけど宇佐元さん、目が笑ってない。

 

(こっっっっっわ!!!?)

「さぁさぁ、どうなんですか?」

「そっかー、私じゃ駄目なんだね…」

 

誰かッ!出来れば重力属性の誰かッ!助けて!!

 

「おはようございます〜」

 

この声は、大関さん!?来た!メイン盾来た!これでかつる!!

 

「おはようございます隊長…何やってるんですか?」

 

おのれシャノワール!!

じゃなかった何で新谷さんまでぇ!?

 

「えっとですね…」

「うえーん、芹菜ちゃーん隊長にフラれちゃったよー」

「ちょっとぉ!?」

 

嘘泣きで新谷さんの胸に飛び込む神宮寺さん。

一歩前で頭を抑えられて未遂に終わる。

 

「芹菜ちゃんのいけずぅー」

「はいはい。それで隊長、どういう事ですか?」

「それは…」

「隊長が指輪を贈る相手を待ってるんです!」

「宇佐元ォ!」

「わっ、隊長さん…叫ぶなんてお腹空いてるんですか?」

 

確かに今朝は朝飯食いそびれ…ってそうじゃない。

宇佐元さんの方を見ると、テヘペロ、みたいな顔してた。

かわいい。

 

「へぇ…指輪。勿論、成子坂で頑張っていた私にですよね?隊長」

「えっ」

「え?」

 

欲しいの!?意外!?

じゃなくて、除外って言った相手にねだられるなんて想定してなかった。

 

「隊長、ごはん食べますか?」

「えっ、あー、じゃあ…」

 

と、見せかけてダッシュ!

こんな所にいられるか!俺は逃げさせてもらう!

 

「Hi!隊長!廊下は走っちゃいけない、よ!」

「ぐえっ、ジニー!?」

 

走り出して事務室から逃げた瞬間、ジニーに手首の関節を決められて崩れ落ちる。

後ろから羽交い締めされ、後頭部に柔らかい感触が…。

 

「ナイスよ!ジニーちゃん!後で写真撮ったげる!」

「要らない」

「バッサリだ」

 

視線をこちらに向ける。

…おや、なんかいつもより楽しそうな顔してるけど。

 

「隊長?」

「な、なんだ」

「please」

「えっ」

「それリングでしょ?だから、please」

 

何だかんだ懐いてもらえず、距離を置かれていたと思っていたが。

でも、彼女は未成年だしな…。

 

「ペンタゴンじゃ普通だよ!」

「えぇ…そう言われてもな」

「?」

 

ニッ、と笑う。

かわいい…けど、

 

「ごめんな。東京シャードだとまだちょっと厳しいんだ」

「そっか、残念。じゃあ二年後にRevengeするよ」

「えっ」

「それじゃあね!あと、シタラ泣かせたら許さないよ!」

 

…うっそぉ。

俺そんなに打ち解けるとかして無いと思ってたんだけどな…。

 

 

結局、誰に渡すか吐かされた。

 

その後勤務表を確認すると、肝心の相手は今日は休みだった。

 

 

「神宮寺ィ!」

 

 

 




なんだか今回の隊長は優柔不断になったかな…。
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