銀騎士珍道中   作:自称・エリート銀騎士

7 / 12
投稿が遅れたのは早くも飽きたからとか書く気力が失せたからとか、そういうことではありません。
ただ実家の牛(頭のデーモン)が産気づいただけです。

すいませんただ遅筆なだけです。忙しくて書く暇がありませんでした。
急いで書いたので出来はイマイチかもしれません。早く二次創作らしい展開を書きたいものです。


銀騎士(時々黒騎士)冒険譚:2

 冒険者となった吾輩がまずやったことは、依頼(クエスト)の受注ではなく仲間探しだった。

 

 当初、吾輩は単独(ソロ)で活動し階級を上げていくつもりだった。だがとある親切な受付嬢曰く、戦士一人で冒険者活動を続けていくのは難しいそうだ。

 それは何も吾輩に戦士としての力量が不足しているとかそういう話ではない。単純に戦士一人でできることなどたかが知れているということだった。

 

 例えば小鬼(ゴブリン)退治の依頼を受けたとする。そうなれば吾輩は小鬼(ゴブリン)が目撃されたという一帯を対象が見つかるまで虱潰しに探して回る必要があるだろう。だが野伏(レンジャー)なる技能を持つ者であればもっと容易に、効率よく対象を捕捉することができる。斥候の重要性は吾輩も良く知っている。

 また、後々ランクを上げていくことでより強大なモンスターと戦う機会が増えていくと、魔法詠唱者(マジック・キャスター)の有無も重要になってくるらしい。魔法詠唱者(マジック・キャスター)は戦士などと比べて絶対数が少ないため確保するのは難しいが、冒険者として上位を目指すなら必ず一人は必要になるとのこと。味方の能力を上昇させたり、傷を癒したり、物理攻撃が通用しにくい敵への有効な火力源になったりと、その活躍の幅は計り知れない。

 

 などなど、熱心に力説してくれた受付嬢に感化され、吾輩もパーティーを作ってみようと思い立ったわけである。だが──

 

 さっぱり見つからない。既にパーティーが完成しているところには声を掛けづらいし、さりとて一人や二人で暇そうにしている奴に話し掛けても何故か逃げられる。そもそも目も合わせてくれないし。

 ええい、一体何だというのだ! せっかくエリートたる吾輩が声を掛けてやっているというのに、何が気に入らんというのだ! 吾輩は凄いぞ。山みたいにデカい飛竜を一人で討伐した実績があるし、イザリスでも数多いるデーモンを千切っては投げ千切っては投げの大活躍だったんだぞ! こんな超絶カッコイイ(くろ)騎士に声を掛けられておきながら、なーにが「いえ、実力的に釣り合いませんし……」だ! 吾輩が力不足だとでも言うのか小人風情がァ!

 

 失敬、奥ゆかしくなかった。

 そもそも、レド君ぐらいしかまともな友達がいなかった吾輩に仲間作りなど土台無理な話だったのだ。小人が相手ならあまり気負わず話し掛けられるのだが、そもそもの経験がなさ過ぎて言葉選びが致命的だった可能性もある。やはり第一声で「最強の(くろ)騎士を仲間にいかがかな!?」は良くなかったかもしれない。自分で自分のことを最強なんて言う奴に碌な者はいないと相場が決まっているのだ。次からは内心で自称するに留めておこう。

 

 というか、よく考えたら別に仲間とか要らなくない?

 斥候は確かにいるに越したことはないが、吾輩レベルになると古竜でもない限り対処は容易いし。魔法だって奇跡でよければ吾輩も使えるし。雷による属性攻撃も癒しの奇跡による回復も何でもござれだ。何なら弓を使えば遠距離戦もこなせる。

 

 うむ、ますます仲間とか必要ないな。吾輩一人で何でもこなせるではないか。接近戦しか能のない小人の戦士とは格が違うのだよ格が!

 

「というわけで、やはり一人で活動しようと思うのだが」

 

「だ、ダメですよ! そうやって『俺は一人で大丈夫』って言って死んでいった冒険者なんていくらでもいるんですから!」

 

 この女小人(アマ)ァ……!

 親切なのは結構だが、ここまでくるとお節介の領域だぞ! 吾輩が一人で活動しようが組合には何も迷惑など掛からないではないか! 吾輩に仲間探し何ぞさせてたらいつまで経っても終わらんぞ! それでも良いのか!?

 

「あれ、あんたパーティメンバー探してんの?」

 

 お願いだから昨日の有能そうな受付嬢に代わってくれ、と吾輩が内心忸怩たる思いでいると、背後から軽薄そうな男の声が掛かる。振り返ってみると、そこには案の定軽そうな出で立ちの小人が一人。

 

「う、うむ。だがどうにも上手く行かず、いい加減一人で依頼を受けようとしていたところだ」

 

「うわ、改めて正面から見るとすっげぇタッパ! ははーん、なるほど。あんたが断られまくってる理由に合点がいったぜ」

 

「なんと!」

 

 この小人、軽そうな見た目に反して鋭い洞察力の持ち主であるらしい。まさか一目見ただけで吾輩が仲間探しに難航している理由を見抜くとは。

 

「なぁに、簡単なことさ。ビビってんだよ」

 

「びび……?」

 

「萎縮してるってこった。こんな昼過ぎに組合で屯してる奴らなんて、これといった依頼がなくて退屈してる駆け出し冒険者が殆どさ。どう見てもあんたの実力とは釣り合わねぇ」

 

 な、なるほど。要するに吾輩の醸し出すエリートオーラが小人共を怯えさせてしまっていたというわけか。アノール・ロンドで一般銀騎士君たちと会話が続かなかったのと概ね同じ理由であるな。かーっ! つれーわー! エリートすぎてつれーわー!!

 

「冒険者パーティーってのは実力の近い者同士で組まないと早晩破綻するからな。仕方ないっちゃ仕方ないんだが。……ところで、俺らのチーム『漆黒の剣』は(シルバー)級のパーティーなんだ」

 

「ほう、(シルバー)とな」

 

 (シルバー)級は(アイアン)級の一つ上、下から三番目のランクだ。大半の冒険者が(ゴールド)以下に属することを考えるに中堅程度の実力はあるのだろう。そう言われてみれば、これまで吾輩が話し掛けてきた者たちより装備が整っているようにも感じる。

 

「その若さで(シルバー)とは、中々大したものではないか」

 

「お、嬉しいこと言ってくれるねぇ! ……けど、正直なところ行き詰まってる感があってな。このまま順当に行けば(ゴールド)ぐらいまでは何とかなると思うんだが、それ以上となるとな」

 

「伸び悩んでいると」

 

「ま、仲間からは焦り過ぎって言われるんだけどな。……で、物は相談なんだけどよ」

 

 ススっと近付いて耳元に口を寄せてくる男。優しい吾輩は小人の背丈に合わせて少し屈んでやる。

 

「あんた仲間を探してるんだろ? 試しに俺らのチームに入ってみる気はないか?」

 

「それは願ってもないが……良いのか? 仲間に相談もせずに」

 

「事後承諾にはなるけど、たぶん嫌とは言わねぇと思うぜ。更に上を目指すためにも、もう一人前衛が欲しいなって話は出てたしな。見たところあんたバリバリの戦士って感じだし、そんなデカい大剣担いでるからには力も申し分なさそうだ」

 

 うむ。レド君には及ばないが、吾輩もかなりの力持ちを自負している。オーンスタイン殿にも腕力ばかりは劣らなかったぐらいだ。屈強な牛頭のデーモンだって吾輩にかかれば片手で一捻りよ!

 当初の予定とはやや外れるが、せっかく吾輩の腕を見込まれて仲間にと勧誘されているのだ。ここで断っては(くろ)騎士の名折れ。試しに小人とチームを組むのも悪くはない。

 

 その誘いに了承の言葉を返すと、男は「そうこなくちゃ!」と手を叩いた。

 

「じゃあ早速仲間にあんたを紹介しよう! 俺はルクルット、ルクルット・ボルブってんだ。あんたの名前も聞かせてくれよ」

 

「我が名はガレア。(くろ)騎士ガレアである。よろしく頼むぞ、ルクルット殿」

 

「殿なんて敬称は要らねぇって! ランクは違うけど、俺らはこれから同じチームの仲間だ。気楽にやろうぜ!」

 

 うーむ、グッドコミュニケーション。この軽薄そうな小人、軽薄な見た目の割に物怖じせず吾輩と会話するとは見込みのある小人だ。これならば他のメンバーにも期待ができようというものである。

 

「うぅ……良かったですねガレアさん! 無事にお友達ができて……!」

 

 そして何故か嬉し泣きしている受付嬢。貴公は吾輩の何なのだ。母か。

 

 

 

 

「初めまして、ガレアさん。俺は戦士のペテル・モーク。『漆黒の剣』のリーダーです」

 

「ダイン・ウッドワンダー、森祭司(ドルイド)である!」

 

魔法詠唱者(マジック・キャスター)のニニャです。よろしくお願いします」

 

「で、この俺がチームの頼れる野伏(レンジャー)! ルクルット・ボルブだ!」

 

 ルクルットに連れられ組合の一角で待っていた吾輩の前に現れたのはチーム「漆黒の剣」の四人。とても人の好さそうな雰囲気の四人組であり、冒険者特有の荒っぽさというものをあまり感じない。特にリーダーのペテルは絵に描いたような好青年で、初対面の吾輩にも分け隔てなく接してくれる高いコミュニケーション能力の持ち主であった。そのコミュ力を少し分けて頂けないものか。

 

 おっといかん、吾輩も挨拶をしなければ。

 

「我が名はガレアという。先日冒険者になったばかりの新参者だが、よろしく頼む」

 

「新参……」

 

 ペテルの視線が吾輩の頭から爪先までを行ったり来たりする。フッ、我が鎧の見事さに声もないようだな。然もあろう、これは混沌と対峙するべく神々の鍛冶技術の粋を凝らして鍛造された至高の甲冑。見惚れてしまうのも無理からぬこと。遠慮せず見るがいい……いや、神の威光に平伏しながら見るがいい!

 

「冒険者としては素人だが、戦士としてはそれなりに長い。戦闘で足を引っ張ることはないだろう」

 

「あ、いえ、それは心配していません。それ程の武具を装備できるのですから、ガレアさんの実力は疑いようもないでしょう」

 

 うむ、戦士の実力を知りたければまず武器を見よ……というヤツであるな。道理である。“竜狩り”の神槍然り、“深淵歩き”の聖剣然り、優れた戦士は優れた得物を振るうものだ。

 そうでなくとも、刃の使い込みを見れば相手の実力は知れるだろう。刃の欠け一つにも武は表れ出ずるもの。我が大剣の血錆、我が鎧の傷跡、それら全てが我が戦歴を物語っている。ペテルの瞳に一瞬過った嫉妬の色は武具そのものではなく、武具に刻まれた我が戦いの遍歴にこそ向けられたものであろうことは疑いようもない。わかるわかる、戦士とは凄惨な鉄火場にこそ憧れを抱かずにはいられぬ生き物だからな。

 

 さて、仲間に了解なく新メンバーを連れて来たルクルットに多少の小言が向けられた以上のトラブルはなく、吾輩は無事『漆黒の剣』の一員として迎えられた。尤もこれは確定ではなく、今後暫く共に活動した上で最終的な判断が下されることになるだろう。彼らとて性格の合わぬ者を仲間にしたいとは思わぬであろうし、また人の性格など一朝一夕で見極められるものでもないからな。

 まあ、吾輩はアノール・ロンドでも類稀なる神格者(じんかくしゃ)として名を馳せたエリート銀騎士。性格的な問題など皆無であろうが。

 

 吾輩を加えた新生『漆黒の剣』の目的は森から溢れたモンスターの討伐だ。主な対象は小鬼(ゴブリン)や狼、人食い大鬼(オーガ)となる。彼らは普段から頻繁にこのような仕事を行っており、森から出てきたモンスターが人の生活圏を侵さないよう定期的に間引きしているのだという。

 厳密には依頼ではないため然程実入りは良くないらしいが、それでも討伐数に応じて報酬は支払われるらしい。これが『漆黒の剣』の主な収入源なのだとか。

 

「後衛のダインとニニャはともかく、前衛でモンスターと戦うペテルの武具の消耗が激しくてな。武具の修理費や回復薬の購入費用でウチの懐事情はカツカツなのさ」

 

「加えて、俺は攻撃系の武技があまり得意ではないもので……どうしても決め手に欠け、戦闘が長引く傾向にあるのです。その分アイテムや武具の消耗も激しく、満足な装備を整える資金が中々貯まらないのが実情ですね」

 

「うーむ、世知辛いものだ」

 

 ダインの森祭司(ドルイド)というのはよく分からないが、ルクルットの口振りから察するに魔法詠唱者(マジック・キャスター)の亜種のようなものなのだろう。そのルクルットは野伏(レンジャー)であり真っ当な前衛とは言い難い。するとどうしてもチームの盾となるペテルの負担が大きくなり、ただでさえ費用が嵩む金属系の武具の消耗が加速すると。中々の悪循環ではないか。

 

「僕みたいな魔力系魔法詠唱者(マジック・キャスター)は火力こそ申し分ないですが、魔力量の問題で継戦能力に難があります。ダインならそこそこ前衛も張れるものの、やはり本職の戦士には及ばない……なので、ガレアさんのような屈強な戦士の加入は渡りに船でした。今の状況ではペテルの負担が大きかったので……」

 

「そのようだな。なぁに、大船に乗ったつもりで任せておくがいい。この大剣が伊達ではないということを証明してみせようではないか」

 

 チームの盾となり、また剣となって敵陣に切り込む前衛のペテル。敵の偵察・攪乱を器用にこなす遊撃手ルクルット。様々な術を駆使して補助・火力支援を行う後衛のダインとニニャ。一見バランスの良いように見えるパーティだが、今彼らが語ってくれたようにこのチームには純粋な火力が欠けている。

 そこで吾輩の出番である。竜を射落とす太陽の雷とデーモンを屠る剣技が加われば、『漆黒の剣』はこれまでとは比較にならぬ強大なモンスターにも通用する矛を手に入れることになる。攻めと守りの両方をこなさねばならなかったペテルに代わり吾輩がチームの一番槍を務めれば、このパーティは更なる飛躍を果たすであろう。

 

 フフフ、神族として……否、エリート銀騎士として小人の前で恥ずかしいところは見せられぬ。ここで華々しい冒険者デビューを飾り、必ずや『漆黒の剣』をアダマンタイト級まで押し上げてみせようではないか!

 

 

「あ、すみません。ガレアさんに指名依頼が入っております」

 

「ゑ?」

 

 

 我らの冒険はここから始まる! みたいなテンションだった吾輩に水を差すように声が掛かる。何事かと振り返れば、そこにはカウンターの向こうから吾輩を手招きする受付嬢が。よく見れば彼女は先日の有能そうな方の受付嬢ではないか。

 

「し、指名依頼?」

 

「冒険者になったばかりのガレアさんに、何故……?」

 

 吾輩と同じく困惑した様子の『漆黒の剣』一同。だが吾輩はそれ以前の問題として、その指名依頼とやらが何なのかがまず分からんのだが。

 

「えっと、冒険者は組合が提示する依頼を選び、それを受注する形で仕事をこなしますよね? それとは別に、依頼者が特定個人の冒険者を名指しして仕事を依頼する場合があります。これが指名依頼ですね」

 

「当然、これには態々名指しされるだけの確かな実績・信頼が不可欠である! 故に指名依頼は通常、(ゴールド)級以上の上位冒険者が対象となるものなのだが……実際の実力はどうあれ、未だ(カッパー)であるガレア殿を指名するとは如何なる事情によるものか」

 

 ニニャとダインが指名依頼について説明してくれるが、なるほど吾輩が指名された理由が分からんな。確かに吾輩は伝説のスーパー銀騎士として名を馳せているが、それはあくまでアノール・ロンドでの話。異世界であるこの地では全くの無名であろうに。

 

「ふむ、吾輩を指名したのはそこの御仁かね?」

 

「はい。こちら、依頼人のンフィーレア・バレアレさんです」

 

 相対的に有能な方の受付嬢が頷いたので、吾輩はカウンターの前に佇んでいた人物に向き直る。長い前髪で目を覆い隠した金髪の少年は吾輩の上背に面食らっていたようだが、すぐに気を取り直したように頭を下げた。

 

「ご紹介に与りました、依頼人のバレアレです。ガレアさん……でしたよね? あなたにはカルネ村までの護衛をお願いしたいのですが……」

 

「ほう、カルネ村!」

 

「カルネ村をご存知なのですか?」

 

「うむ、先日まで厄介になっていたのでな。しかし何故吾輩を? 吾輩は昨日冒険者登録をしたばかりの(カッパー)級に過ぎぬ。指名依頼はもっと実績ある冒険者にするものと聞いたが」

 

「ええ、実は──」

 

 曰く、薬師であるンフィーレア殿は薬草を採取しに定期的にカルネ村及びトブの大森林を訪れるのだが、いつも護衛を頼んでいた冒険者が都合がつかなくなってしまったらしい。そこで代わりの冒険者を探していたところ、ついさっき(カッパー)のプレートを受け取った吾輩の姿を見たのだという。

 

「こう言うと失礼かもしれませんが、(カッパー)級の冒険者であれば安く雇うことができますので……あなたのような屈強な戦士を(カッパー)相当の依頼金で雇えるのならお得でしょう?」

 

「なるほど。うむ、その強かさは嫌いではないぞ」

 

 どうやら吾輩の全身から滲み出るエリートオーラがンフィーレア殿の目に留まってしまったらしい。かーっ! つれーわー! エリートすぎてつれーわー!!

 だが、残念ながら吾輩には先約がある。これから吾輩は新生『漆黒の剣』の一員として森までモンスター討伐に赴かねばなら──

 

 いや、待て。吾輩ってば名案を思い付いてしまったぞ。『漆黒の剣』は森までモンスターの間引きに行きたい。そしてンフィーレア殿も薬草を採取しに森へ行きたい。両者の行き先は一致している。

 

「であれば、どうだろう。吾輩だけでなく彼ら……『漆黒の剣』も雇ってみては」

 

「えっ、でも……」

 

「報酬は吾輩一人分で構わん。元より我ら『漆黒の剣』の目的も森にあったのだ。我らは本来の目的に加えて護衛の報酬を得られ、貴公はより多くの戦力を得られる。悪くない取り引きではないか?」

 

 アイコンタクトを送れば、ペテルは無言で頷きを返した。勝手に決めてしまったが、幸いにも異論はないらしい。

 

「そういうことなら……じゃあそれで、是非」

 

「決まりだな。では改めて、新米冒険者のガレアだ。よろしく頼む」

 

「バレアレ薬品店のンフィーレアです。よろしくお願いします」

 

 契約成立だ。吾輩とンフィーレア殿は固い握手を交わす。エ・ランテルに来てすぐカルネ村に舞い戻ることになるとは思わなかったが、まあ良い。きっと命の恩人たる吾輩が戻れば村人たちは喜ぶであろう。

 

「いやーでかしたぜガレア! まさかバレアレさんと伝手を得られるなんてな!」

 

 すると、ルクルットが笑顔で吾輩の背を叩いた。随分と嬉しそうだが、バレアレとは有名な家系なのだろうか。

 

「バレアレといえば、エ・ランテルでも一番の薬品店ですから。冒険者にとってポーションは必需品。その最大の供給先と少しでも関係が得られるのは凄いことですよ!」

 

「いえ、そんな……凄いのは僕じゃなくておばあちゃんですから」

 

 照れたように謙遜するンフィーレア殿だが、ペテルたちの反応を見るにバレアレのブランドはかなりのものらしい。

 ポーション……噂に聞く不死人の宝「エスト瓶」のようなものだろうか。吾輩もあらゆる傷病を瞬時に癒す「女神の祝福」を所持しているが、数に限りがあるためおいそれとは使えない。あるいはそのポーションとやらに世話になる時が来るかもしれないな。

 

 何はともあれ、これでようやく吾輩も冒険者デビューだ。不安もあるが、それ以上に楽しみでもある。果たして神なきこの世でどんな景色が見られるものか……あるいは、レド君が王女の守護を放棄してまで旅に出た理由が吾輩にも分かるかもしれないな。

 




備考:自己評価/S
   コミュ力/C
   冒険心/B
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。