そろそろ集合時間が近づいていたため、俺はまだ少し残るらしいアレクを置いて一階へ降りた。
そのまま図書館から出ようとすると、丁度同じタイミングで輝も図書館から出ようとしていたらしく、にっこりと笑って手招きしていた。
嫌な予感がしつつも近づけば、輝は「これ、持って」と先程見たあの類の本を俺の腕に何冊か勝手に置いた。
「…持っていくのは構わないけど、大丈夫なのか…?」
「さっきモノクマが出てきて、五冊までならコテージに持っていってもいいって。期限は一週間」
「そんな市民図書館みたいな制度…」
そんな感じで、聞いてもいないのに嬉々として本の解説をしてくる輝と共に一旦中央エリアのコテージへ向かい、本を置いてからまた第一エリアの食堂へ向かった。
そこには既に俺と輝以外の全員が集合しており、三つのテーブルの上には人数分の食器と主に歪夢が作ったのだろう大皿が三つずつ、その他色々と置かれていた。
「さっすが私の妹!今日のご飯も最っ高に美味しそうだよ〜!ありがとう歪夢!だぁい好き!」
「うるせぇ歪見。座って大人しくしてろ」
「はぁ〜い」
日常茶判事なのだろう双子の会話を聞きながら、輝は入口から一番近いテーブルの空いている席に、俺は奥側の涼の隣の席にそれぞれ座った。
改めて目の前に置かれてある料理を見てみると、麻婆豆腐に回鍋肉、青椒肉絲の三品が一つずつ大皿に盛ってあり、機織が作っていたスープの改良版(おそらくあの後に一から作ったもの)が個別に置かれており、飲み物は四つ目のテーブルにいくつかの種類が置いてあった。
「来た時も思ったが、凄いな。これだけの量を二人で作ってくれたのか?」
「はい。私もお手伝いしていましたけど…。歪夢さんの手際の良さには足元にも及びませんでした」
「でしょー!?歪夢は私の自慢の妹だもんね!」
感心するように言った岩崎に、歪夢はなんてことないように空いている席に座っていたが、手伝いをしていた機織が尊敬の眼差しで歪夢を見て、歪見は何故か誇らしげに胸を張った。
「でも意外っすね。オレはどちらかと言うと歪見さんが家事とか得意だと思ってたっす」
「残念ながら私は家事はさっぱりだよ。勉強はそこそこ出来るけどね!」
「……双子なのに、……正反対だね」
「双子だからってなんでも同じなわけねーだろ。生まれた日が同じなだけでただの姉妹だっつーの」
「まぁまぁ歪夢さん」
染井を睨みながら喧嘩腰で話す歪夢を宥める漆乃。
歪見は家事が出来なくて勉強が出来る、ということは…。
「…歪夢は勉強が出来ないってことか」
「テメェなんか言ったか向月ぃ!」
結構席が離れていたはずなのに、バッチリ聞こえていたらしい。今にも立ち上がって俺の所に走り出しそうな歪夢を、同じテーブルに居た塀獨がまぁまぁ、と抑えていた。
「落ち着きなさいよアンタ……図星だからって」
「おい後半なんつった塀獨。小声でも雰囲気で分かんだぞ…?」
「君達、今から食事なんだから少しは落ち着いてくれ…!」
「今のところ、一番キミの声がうるさかったよ岩崎クン」
最終的に岩崎と野宮の鶴の一声(?)によって場が収まり、料理が冷めてしまうと勿体ないから、と探索の報告は後にして、ひとまず目の前の夕飯を食べることになった。
それじゃあ、いただきます。