未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。
なお本作では現実の日本とは異なり、
18歳になって初の4月1日を迎えた時から
飲酒が可能という法律になっています。
よろしくお願いします。
三十九杯目 手紙
side 善逸
今俺は伊織の妹が兄に向けて書いた手紙を読んでるよ!
栞(手紙)『
拝啓 兄様
青葉若葉のみぎり、いかがお過ごしでしょうか。こちらは沢桔梗や禅庭花が色付き、山はすっかり夏の装いです。
兄様が大学生になって早3ヶ月、奈々華姉様や千紗姉様、登志夫叔父様に迷惑をおかけしていないでしょうか?ひたむきに勉学を修めているでしょうか?栞は心配です。父様と母様も言葉にしていませんが心配しております。
本当は帰省して欲しいのですが、叶わないなら近況だけでも教えて下さい。兄様のお返事、楽しみにしております。
追伸 反物の残り布で人形を作ってみました。それを栞と思って飾ってもらえたら嬉しいです。』
なんていうか、凄い理性も知性も感じる文章だった。
善逸・美波・ケバ子・妓夫太郎「「「「ほ〜!」」」」
伊織「いや、どういうセリフだよ。」
美波「ねえ、これ本当に北原の妹からの手紙なの?」
伊織「ああ。」
ケバ子「妹さんって頭いいんだね。」
妓夫太郎「伊織とは大違いだなぁ。」
伊織「うるせえ‼︎俺はまだ本気を出していないだけだ‼︎」
なら早くその本気を出して欲しいよね。
善逸「妹より長く生きていて頭の出来が妹よりも格段に悪いとか恥ずかしくならないの?」
伊織「彼女にいつも怒られてばっかりで恥ずかしくならないの?」
なんていうか、手紙だけでも伊織と大違いなのが分かるよね。
ケバ子「それで、返事はどうするの?」
伊織「いや、書かない事にしようと思って。」
美波「なんで?」
伊織「ほら、便りがないのは元気な証拠って言うだろ?」
確かにね。俺も兄貴から『必要なこと以外は連絡すんな。返事がめんどくせえから。』って言われてるし。
千紗「じゃあ私が代わりに書いとくよ。伊織の現状も含めて。」
伊織「頼むからやめてくれ。」
千紗「どうして?」
伊織「お前ら、今の生活が身内にバレたときのことを考えてみろ。」
善逸「兄貴は罵倒するだけで特に何も気にしなそう。」
妓夫太郎「妹には殆どバレてるからなぁ。」
伊織「いや、それ以外にいるだろ。」
善逸・妓夫太郎「「いないね(なぁ)。」」
確か妓夫太郎と梅ちゃんも親に捨てられてるんだっけ。コイツも結構俺と境遇近いよな〜。
ケバ子「えっ⁉︎そうだったんだ……」
千紗「知らなかった……」
美波「謝花も同じだったなんて……」
伊織「ま、マジか………。なんかすまん。」
善逸・妓夫太郎「「気にしないで〜(すんなぁ)。」」
逆にこの境遇であんだけ明るい性格を保ってられる梅ちゃんって凄いよね。正直そういうところは尊敬しているよ。
伊織「まあとにかく、俺の現状は書かないでくれ。」
千紗「それは無理。だって栞ちゃんに『兄様が嘘を書くようなら教えて下さい。もし返事をしないのなら、お手数をおかけしますが代わりに返事をしてもらえますか?』って言われたし。」
伊織「なぁぁぁぁぁ‼︎クソ‼︎こうなったら俺が書くから‼︎千紗は自分の近況報告だけ書け‼︎あとそれを奈々華さんにも伝えといて‼︎」
千紗「は〜い。じゃあ書き終わったら教えて。チェックするから。」
伊織「ああ、分かった。」
学科もサークルも家も同じ千紗ちゃんの報告となると、伊織は全く嘘を書けなくなるね。果たして、伊織は何を書くのかな〜?
伊織(手紙)『
拝啓 栞へ
こっちももうすぐ夏です。
伊織より 』
草。季節のことを言っただけじゃん。
善逸「これだけ?」
ケバ子「少な‼︎」
妓夫太郎「たった一文じゃねえかぁ。」
美波「それと、本文は無いの?」
千紗「やっぱり私から手紙を……」
伊織「いや、大丈夫だ‼︎今のは時候の挨拶が浮かばなかっただけで!」
他5人「「「「「ふ〜ん。」」」」」
ケバ子「それなら『前略』で書き始めたら?」
えっと…………
善逸「『前略』って何?」
ケバ子「手紙で時候の挨拶などを省略する際に冒頭に置かれる単語のことだね。」
善逸「なるほど!そんな単語があるんだね!」
美波「ウチも初めて知ったわ!」
また賢くなった気がするよ‼︎
千紗「とにかく、それで書いてみたら?」
伊織「う〜い。」
さて、伊織はどんな文章を書くのかな?
伊織(手紙)『
前略
中略
後略 』
草。もはや何もないじゃん。
善逸「これならむしろ『全略』でしょ〜w」
伊織「なるほど、その手があったか‼︎」
美波・千紗・ケバ子「「「ないから。」」」
千紗「ということで私が書いとくね。」
伊織「頼むから‼︎頼むからもう一度チャンスを‼︎」
なんか玲さんに私生活がバレたくない明久みたいだよね。
妓夫太郎「それならお題を出して書きやすくした方がいいんじゃねえかぁ?」
伊織「それだ!」
千紗「じゃあ『サークル活動』、『学校の勉強』、『私生活』について。」
伊織「OK!嘘偽りない報告をしよう!」
なるほどね〜。それなら何もない時より書きやすいよね〜。
伊織(手紙)『
栞へ
俺は今、Peek a Booというダイビングのサークルに入っている。ここの皆はとても紳士的で、飾らない自分を表現する方法を教えてくれた。 』
確かに。いつも全裸だから服で飾らない自分を表現しているよね。
伊織(手紙)『
大学の勉強は中学や高校とは全然違って驚いている。テストの内容は難しいが、誰もが努力を重ね、入念に準備をしている。今や俺たちは専門知識と技術を用いるスペシャリストだ。 』
カンニングのスペシャリストだね。
伊織(手紙)『
私生活については書く事が何もないくらいだ。毎日規則正しい生活をしていて、 』
毎日きっちり1時間遅刻しているよね。
伊織(手紙)『
不衛生な服など着ていないし、 』
衛生的な服も着てないよね。
伊織(手紙)『
時には刺激のある毎日を過ごせている。 』
野島たちからの拷問のことだね。
伊織(手紙)『
うまくやっているから心配いらない。父さんと母さんにもよろしく伝えておいてくれ。 伊織より。 』
おお!嘘偽りなくそれっぽい文章を書いたね‼︎これなら安心でしょう!それにしても……、
善逸「でも今時手紙だなんて風流だよね〜。」
美波「LINEとかでいいのに〜。」
伊織「いや、そういうのじゃなくて………、」
じゃなくて?
伊織「
そういうことね!
善逸「なるほど‼︎だからLINEやメールじゃなくて手紙なんだね‼︎」
妓夫太郎「それなら納得だなぁ。」
美波「なんか可愛いね!」
ケバ子「確かに!」
伊織「そういうこと!まあそのおかげで誤魔化せたけどな‼︎」
千紗「真実とは程遠いけど……」
伊織「一応嘘は言ってないだろ。」
千紗「まあ………。でもこれで懲りたら今後は………」
伊織「そうだな。これで今から………、」
今から?
伊織「飲み会が出来る‼︎」
なるほど‼︎誤魔化す必要がなくなったからね‼︎
伊織「善逸、妓夫太郎やるぞ‼︎ついでに耕平と医大コンビも招集だ‼︎」
善逸・妓夫太郎「「おう‼︎」」
千紗「最低……」
ケバ子「反省してないじゃん……」
美波「この映像を撮ってLINEで送ってあげたいけどね〜。」
伊織「無駄無駄無駄無駄無駄‼︎」
ということで半狂乱の飲み会の始まりだ‼︎
side 栞
兄様、貴方が嘘をついてる事はぬいぐるみに仕組んだ私の隠しカメラでバレバレなんですよ。そんな兄様には監視が必要ですね!私が行ってきちんと見てあげますよ。兄様のありのままの姿を。
side ムッツリーニ
伊織たちと飲み会をしていると………
ムッツリーニ「………盗撮の気配⁉︎」
愛子「え、それホント?」
ムッツリーニ「………間違いない。」
一体誰が仕組んだんだろうか………。しばらく愛子と調査してみる事にするか………。
side 善逸
手紙の件から数日後の朝、店で過ごしていると………、
栞「すいません!北原伊織の妹である北原栞と申します‼︎兄様はいらっしゃるでしょうか?」
噂になってた伊織の妹こと栞ちゃんがやってきた。
善逸「ああ!君が噂の栞ちゃんか!」
美波「よろしくね!」
栞「よろしくお願いします。」
善逸「えっと、それじゃあ今から伊織の部屋に案内するね!」
栞「えっと……、栞の予想だと兄様は今部屋にいないと思うんです。」
うお!凄い予想だね!確かに昨日伊織と千紗ちゃんが何かやってたからそんな気はするね。まあ俺も美波と何かやってたからあまり詳しくは知らないんだけどさ。
善逸「それじゃあ千紗ちゃんの部屋かな?」
美波「えっ⁉︎あの2人付き合ってたの⁉︎」
善逸「いや、そうじゃないんだけどさ、昨日なんかあの2人バトってたし。」
美波「確かに言われてみればそうね……」
善逸「それじゃあとりあえず行ってみるか!」
栞「お願いします。」
ということでいざ千紗ちゃんの部屋に行ってみると………、
奈々華「じゃあ伊織君がお婿に来てくれるってことでいいのね?」
千紗「全然良くな……」
伊織「問題ありません‼︎」
何かヤバい話をしていた。
善逸・美波「「嘘でしょ……」」
栞「何を言ってるんですか、兄様‼︎」
そして栞ちゃんが大声でキレた。
千紗・奈々華「「えっ?」」
伊織「お前……」
栞「何を勝手に結婚なんて‼︎しかも婿入りで‼︎栞は絶対許しませんよ‼︎」
どうやら玲さんみたいなブラコンっぽい感じだね。まああの人と違って割と常識はあるっぽいけどね。
栞「奈々華姉様‼︎」
奈々華「はい?」
栞「千紗姉様は本を床に放り出しておくような方ではありませんよね?」
奈々華「そうだけど……」
栞「兄様と千紗姉様は服を着たままですし、奈々華姉様の帰宅を警戒せず寝ていたのも不自然です。つまりこれは、何らかの誤解だと思われます。」
奈々華「言われてみれば……」
栞「ですよね、兄様、千紗姉様?」
千紗「う、うん……」
伊織「まさにその通りなんだが……、何故そこまで分かる?まるで一部始終を見ていたような……」
栞「ただの洞察力です!」
もしや盗撮?でも栞ちゃんは機械音痴なんだからムッツリーニみたいなこと出来るわけないよね!
善逸「まあとりあえず誤解も解決したことだし、全員でおしゃべりでもしよっか!」
栞「はい!」
奈々華「そ、そうね!」
伊織「ああ。」
ということでまた店に戻って全員で話すことにした。戻る途中……
善逸(小声)「伊織と千紗ちゃんは昨日何してたの?」
2人に昨日の事情を聞くことにした。
伊織(小声)「俺は奈々華さんと梓さんのエロ写真を千紗から奪おうとしてたんだ。」
善逸(小声)「そしたら?」
伊織(小声)「千紗が投げたあの本が俺の頭に当たって気絶したんだ。」
千紗(小声)「そしたら伊織が私に覆い被さるように倒れてきたの。そして更に私の頭にも本が当たって私まで気絶しちゃったってわけ。」
伊織(小声)「それで翌朝目を覚ましたら目の前に奈々華さんがいたんだ。」
善逸(小声)「最悪の目覚めだね。」
千紗(小声)「その後色々事情を話していたら、何故かお姉ちゃんが伊織に私と結婚しろって言ってきて、伊織がそれに勝手に賛同したわけ。」
伊織(小声)「そのタイミングでお前らが来たってわけだ。」
善逸(小声)「なるほどね〜。お疲れ様!」
なんか凄い事になってたんだね!まあ全面的に伊織が悪いんだけどね!
そして俺たちは店に戻り、PaBの人たちに栞ちゃんを紹介した。
ということで栞がやってきました。まあムッツリーニは栞の盗撮カメラに気づきますよね。彼がこれからどう暗躍するのかはお楽しみということで!
さて、次回はある人物が登場します。お楽しみに!
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