未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。
なお本作では現実の日本とは異なり、
18歳になって初の4月1日を迎えた時から
飲酒が可能という法律になっています。
よろしくお願いします。
六十杯目 家庭の事情
side 妓夫太郎
俺は古手川の部屋で、
愛子「愛菜ね、家の事情で、実家に戻るんだって。」
衝撃の事実を聞かされた。
妓夫太郎「マジで?」
愛子「うん。」
妓夫太郎「ただの帰省とかじゃなくて?」
千紗「違うよ。」
美波「愛菜の学費にかかわることみたいでね……。所謂家庭の事情ってヤツ。」
妓夫太郎「経済的事情かぁ。」
千紗「そう。」
マジかぁ……。アイツの家も俺みたいに経済的に苦しかったのかぁ………。今までそんな素振り見せてなかったのになぁ………。周りを気遣って言ってなかっただけかぁ………。俺みたいな奴ならともかく、アイツが金を理由にここを去らざるを得ないのは本当に可哀想だ。
愛子「まあそんなわけだからさ、愛菜に会える時間は限りがあるってこと。覚えておいて。」
妓夫太郎「…………」
もうアイツに会えなくなるのかぁ。それはかなり寂しい。しかしそれよりも、アイツが自分が望んでいた青春を体感しないまま帰らざるを得ないのは不本意だ。だから俺がなんとかしてやらないと‼︎
俺は家に帰るとすぐに、愛菜がどうにかして住み続けられる方法を考えた。まず経済的事情で思いついたのは奨学金だ。これは未来の自分から金を前借りするという、ある種の借金だから、借りるためには必ず条件が存在する。とりあえずそれを調べてみるか………
妓夫太郎「高校の平均評定が5段階で3.5以上、かぁ。」
なるほど、成績に関する条件かぁ。
妓夫太郎「アイツは………保健体育と家庭科が苦手そうだからなぁ。これらを2と仮定すると………」
他の成績の平均が約3.7以上、所謂4か5だらけの成績が必要になる。これは結構きついなぁ。一応本人に聞いてみるかぁ。
妓夫太郎(LINE)『急にLINEしてすまん、愛菜。聞きたいことがあるんだがぁ?』
まあ俺からのLINEなんてそんなに早く返ってこな………
ケバ子(LINE)『な、何?』
早‼︎すぐ返ってきたぞぉ‼︎やったぁ………じゃなくて、たまたま携帯を見てて良かったよ。もしかしたら気になる人にLINEでもしてたのかなぁ?そうだとするとタイミングが悪かったなぁ。申し訳ない………。まあこっちも早めに聞かなきゃいけないことがあるから聞いとこう。
妓夫太郎(LINE)『高校の時の評定はどんくらいだったんだぁ?」
ケバ子(LINE)『う〜んと、体育と家庭科が2で、他が3か4だったかな〜。』
妓夫太郎(LINE)『なるほどなぁ。』
じゃあ奨学金は無理かぁ。
ケバ子(LINE)『ところで、なんで急にそんな事聞いたの?』
妓夫太郎(LINE)『皆の高校の頃の成績を知りたくて。一般教養の課題で高校と大学の成績の相関を調べるやつがあってなぁ。』
ケバ子(LINE)『そ、そうなんだ………』
ちょっと怪しまれたかもしれないが、これで誤魔化せたかぁ?
さてと、次の方法は………家にある物します私物を売り払い、その金を愛菜に渡す方法かぁ。では何を売ろうか………。まずはこの大量の鎌を売ろう。次はこれらの本。そして最後はゲーム機かぁ。これらを全部売るとすると………5万円くらい…………。全然足りないなぁ…………
だとすると、愛菜の支出をどうにかして減らさなければいけない。となると…………
妓夫太郎「生活費で一番高いのは家賃かぁ。」
梅「どうしたの、お兄ちゃん?」
妓夫太郎「いや、なんでもない。」
梅「あっそう。」
部屋の調達だ。そしてこの辺で一番安い部屋と言えば…………
妓夫太郎(LINE)『古手川、今店に空き部屋ってあったりするか?』
Grand Blueだ。善逸や島田は店の手伝いをする代わりにここに超安く住ませてもらってるんだよなぁ。さて、空きがあるといいんだが………
千紗(LINE)『ごめん、無い。』
無いかぁ。それならどうすればいいのか?そんな事を思ってると……………
毒島(LINE)『誰か、明日のバイト変わってくれませんか?』
丁度いいLINEが来た。そうだ。これしかない。高校の時だって散々やってた方法だ。そして今は夏休み。やるしかない‼︎アイツのために‼︎
翌日、早速俺はサークルの時に愛菜に話しかけた。
妓夫太郎「おい、愛菜ぁ。」
ケバ子「な、何、妓夫太郎?」
妓夫太郎「話は工藤から聞いたぞぉ。」
ケバ子「え?」
妓夫太郎「家の事情で帰らなきゃいけないんだって?」
ケバ子「……………うん。」
妓夫太郎「お前はどぉしたいんだぁ?」
ケバ子「………私は、帰りたくない。」
だよなぁ。だからなんとしてでも俺がここに居続けられるようにしてやる‼︎
妓夫太郎「そぉかぁ。だったらここにいればいい。」
ケバ子「…………えっ?で、でも……」
妓夫太郎「生活は苦しいかもしれないが、支えられるよう努力する。」
ケバ子「えっと、妓夫太郎、それって………?」
妓夫太郎「俺がある程度金を出してやる。」
ケバ子「えっ⁉︎ちょ⁉︎流石にそれは………」
妓夫太郎「大丈夫だぁ。金なんてバイトすりゃあいくらでも賄える。幸い今は夏休みで稼ぎ時だぁ。それに、高校時代や浪人時代だってバイトしながら学校通ってたからなぁ。そんくらい余裕だぁ。だから安心してここにいろぉ。安心して青春の日々を送れぇ。安心して気になる人とデートでもしてこい‼︎」
ケバ子「ぎゅ、妓夫太郎………」
あとは親には自分で稼いでいると誤魔化して伝えてくれれば……………
ケバ子「私が帰るのって実家の畑の手伝いが理由だよ。それにしばらくしたら戻ってくるし。」
は・た・け?
妓夫太郎「マジで?」
ケバ子「うん、マジで。」
妓夫太郎「経済的理由って聞いたんだが……」
ケバ子「手伝わないと学費を出してくれないってだけだよ?」
なるほどなぁ。俺が勝手にあの3人の言った事を早とちりしただけかぁ。なんか恥ずかしいなぁ。
妓夫太郎「な〜んだぁ。それなら安心したぞぉ。」
ケバ子「な、なんか勘違いさせてごめん………。あとで愛子たちにはちゃんと私から言っとくから。」
妓夫太郎「いやいや、お前が気にすることじゃねえよぉ。ただの俺の早とちりだぁ。」
ケバ子「そ、そうなの?」
妓夫太郎「あぁ。まあしばらく会えなくなるのは事実だから、元気でなぁ。」
ケバ子「う、うん!」
ということで愛菜の問題は解決した。何はともあれ良かったよ。
サークル活動が終わると、俺は伊織の部屋で他の1年生と飲む事になった。
ケバ子「かくかくしかじかということで、しばらく実家に帰ります!」
愛子「ボクたちの言い方が悪くてごめんね〜!」
妓夫太郎「まあまあ。」
耕平「いつ工藤達が言ったかは知らんが、ケバ子も家の手伝いとは、また大変なもんだな。」
ケバ子「でしょ〜!私は戻りたくないのに〜!」
美波「でも実家に顔出す事もとても大切だと思うよ!」
実家なぁ。俺の場合は親に捨てられたから、実家に相当するのは孤児院なんだよなぁ。あそこだと帰るっていうより訪問する、だけど。
善逸「千紗ちゃんはいつも顔出してるけどね〜。」
千紗「そりゃ実家勢だからね。」
美波「いつも実家の手伝いをしてるしね。」
ムッツリーニ「………実家の手伝いといえば、伊織はどうなんだ?」
愛子「帰って旅館の手伝いでもした方がいいんじゃないの?」
伊織「俺は帰る気ないぞ。」
愛子「えっ……?」
ムッツリーニ「………帰ってやればいいのに。」
善逸「それな!」
俺は帰る家が無いからその感覚が分からねえけどなぁ。
千紗「栞ちゃんに言っとくね。」
伊織「よろしく。」
絶対栞なら怒ると思うが………
耕平「代わりに俺が行くと伝えといてくれ。ちなみに島田家にも。」
美波・千紗「「それは嫌。」」
耕平「何故だ⁉︎」
妓夫太郎「もう一回交番に突き出すかぁ?」
耕平「すいませんでした。」
というか旅館のHPで場所を調べられる伊織の実家はともかく、島田の実家なんてどうやって行くんだぁ?もし行けたとしたらやべえぞぉ。
美波「ところで栞で思い出したんだけど、あの子来年からうちの高校に通う予定なんだって!」
善逸・美波・千紗以外「「「「「「マジで⁉︎」」」」」」
確か伊織の家って山の方の旅館だから、都内にある文月からはかなり距離があるよなぁ。よく通う決心がついたな。
千紗「いや、なんで伊織が知らないの?」
伊織「知らんものは知らん。」
善逸「実の兄としてちゃんと知っておきなよ………」
伊織「というか何故に?」
善逸「義理の妹になった葉月ちゃんと会いたいんだって。」
美波「それでもし文月に受かったらウチの実家に住む事になるの!」
善逸・美波・千紗以外「「「「「「おお〜!」」」」」」
なるほどなぁ。それにしても、妹と一緒に住むために見知らぬ地の高校を受けるって凄えなぁ。
千紗「栞ちゃんはシスコンになっちゃったんだね。」
他全員「「「「「「「「あははは………」」」」」」」」
そのセリフ、古手川が言うとなんかアレだなぁ。いや、古手川自身には何も問題はないんだが。そんな事を思ってると…………
耕平「よし、決めた。」
善逸「何を?」
ムッツリーニ「………場合によっては通報が必要だな。」
耕平「安心しろ。その必要は無いと断言しておく。」
耕平が何かを決めたらしい。通報の必要は無いって言ってるけど、なんか不安だなぁ………。果たして何を言うんだろう…………
耕平「なんせ俺は来年から5年間、文月学園に在学し、島田の家に住む事にしたからな‼︎」
通報の必要大アリじゃねえかぁ。
美波「却下。」
耕平「えっ⁉︎」
善逸「皆、ここに警察を呼ぼう。」
ケバ子・伊織・ムッツリーニ「「「了解。」」」
耕平「何故だ⁉︎何故警察を呼ぶ⁉︎俺はただ栞ちゃんや葉月ちゃんと一つ屋根の下で暮らしたいだけなのに⁉︎それに伊黒さんだってやってる事同じだろ⁉︎」
愛子「今村君、大学生と中高生が付き合ったらアウトなんだよ?大学生同士や大学生と社会人はセーフだけど。」
まあ法律上はセーフなだけであって、伊黒さんの行動も結構アレだからなぁ。甘露寺と付き合えたから結果オーライだけど。
耕平「それなら安心しろ、ちゃんと梅ちゃんも連れて行く。」
千紗「どこが安心できるの………」
妓夫太郎「勝手に連れてくなぁ。」
すげぇ困るんだが………
善逸「というかなんで3年じゃなくて5年?」
耕平「栞ちゃんの入学から葉月ちゃんの卒業までには5年かかるからな。」
伊織「2人分通うのかよ。」
ケバ子「というか留年でもするの?」
耕平「当たり前だ。」
美波「それを当たり前にしちゃダメでしょ……」
耕平「ただ一つ難点なのが、5年間のうちどこか1年間は同級生に栞ちゃんか葉月ちゃんのいずれかが居ないことなんだが………」
善逸「なんでそれだけが難点だと思ってるの?」
ムッツリーニ「………他にも色々あるだろ。」
耕平「う〜ん。見当もつかん。」
他全員「「「「「「「「つけや。」」」」」」」」
コイツの将来がマジで心配だ。
その後色々な話を喋った後、飲み会は普通に解散になったため、俺は家路へと着いた。
そういえば、死人が出ていない平和な飲み会とか、いつぶりだろうかぁ。多分清涼祭のときに狛治達と飲んだときの会が最後かなぁ…………。あのときはつい酔って脱ごうとしたら狛治に驚かれたっけ。俺もすっかりPaBに染まっちまったなぁ。入部当初はここまで馴染めると思わなかったから、意外…………
ヴーン、ヴーン
ん?スマホの通知?何だろう?
ケバ子(LINE)『妓夫太郎、今度の土曜日ヒマ?』
愛菜からかぁ。空いた日を聞くって事は何かのイベントでもやるつもりなのかなぁ?そういえばアイツは今度の日曜日に実家戻るって言ってたっけ。じゃあここで予定が合わないとしばらく会えない事になるのかぁ………。幸いその日は暇だからちょうど良かったぁ。
妓夫太郎(LINE)『特にねえなぁ。』
ケバ子(LINE)『おお!なら映画観に行かない?』
映画かぁ。皆で観る映画は確かに楽しそうだなぁ。他は誰が来れるんだろう?
妓夫太郎(LINE)『いいぞぉ。そういえば、他の奴らには連絡してあんのかぁ?もししてなかったら男子の分は俺が代わりにやっとくぞぉ。』
ケバ子(LINE)『そうじゃなくて………』
そうじゃなくて?どういう返事だぁ?まさかデートとか?いやいやいや、俺相手にデートしたいって言う奴は居ねえだろぉ。だったら一体……………
ケバ子(LINE)『2人で行きたい!』
ってマジかぁぁぁぁぁぁ⁉︎遂に愛菜とのデート、到来かぁ⁉︎
ということで家庭の事情の話でした。この話はぐらんぶる原作では『オークションハウス』って題名で、次回からやる映画館デートの後にある話でしたが、本作では順番を変えた上に結構アレンジしてみました。ケバ子のために1人で奮闘する妓夫太郎の様子を見せたかったので。
そして、さらっと栞ちゃんが島田家に住んで文月に通うつもりになってましたね。ちなみに栞ちゃんと葉月ちゃんは結構な頻度でLINEしてます。仲良し義理姉妹ですね!
さて、次回は映画館デートの話です。お楽しみに!
最後に、評価・感想をお願いします。