バカとお酒と鬼滅の刃   作:スピリタス3世

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バカテスト 世界史

問 次の問題について答えなさい。

『 第二次世界大戦における連合軍が立てた、ドイツ占領下の北西ヨーロッパへの侵攻作戦のことをなんというでしょう。 』


不死川玄弥の答え

『 ノルマンディー上陸作戦 』

教師のコメント

正解です。この作戦は成功しましたね。


霧島翔子の答え

『 ネプチューン作戦 』

教師のコメント

これも正解です。実はこっちが正式名称なんですよね。


我妻善逸の答え

『 フランス人ナンパ作戦 』

教師のコメント

ナンパの為だけに敵国占領下に上陸するのはある意味すごいことだと思います。


吉井明久の答え

『 今週は水と塩で乗り切る作戦です。 』

教師のコメント

頑張ってください。


第三十一話 幸せの音

  side 善逸

 

 Dクラスに喧嘩売ろうとしたら、Cクラスが喧嘩を売ってきた。AクラスVS CクラスはFクラスVS Bクラスと同じ時期なので一応宣戦布告はできる。けどどうしてまた今なんだろう?

 

 雄二が使者に質問する。

 

「何のつもりだ。そんなにちゃぶ台が欲しいのか?」

 

 綾女ちゃん(尾崎さん)が答える。

 

「いいえ、覗きの主犯を粛清しにきただけです。」

「本当にそれだけか?」

「まあAクラスとの再戦の練習台兼私たちの手駒になって貰う、といったところですかね。とにかく明日楽しみにしててください。特にそこの我妻君。」

「そういうことね。」

「察しがいいようで何より。それじゃあまた明日。」

「失礼します。」

 

 恐らく屋上での美波との演技を全部聞いてたんだろう。じゃないとCクラスにはやる動機がない。

 雄二が疑問に思ってたので聞いてきた。

 

「おい善逸、あの尾崎っていうやつと何があった?」

「綾女ちゃんは美春ちゃんと同じ美波のファンみたいなもんさ。多分屋上での俺たちのやりとりを聞いたんでしょ?旧校舎側の屋上には人いなかったからって油断しちゃったよ。聞かれてごめん。」

「まあ起きたことは仕方ない。それより明日のCクラス戦の作戦会議だ。」

 

 あそこで美波がキレなければこんなことにはならなかったのに…。

 

 

 

 

 文月学園 2年生のフロア 北側から順に(上手く表示できなくてすいません)

 

2-C 2-D

2-A 2-B 新校舎

階段          ↑

  渡り廊下    ーーーーー

     2-E ↓

     2-F 旧校舎

パワハラ部屋  

     階段

 

 

 

 

「まず一つ聞きたい。炭治郎は腕輪を使えるようになったか?」

「うん。何とか点数回復して家庭科だけならね。」

「それは良かった。では次、具体的な作戦だ、と言いたいところだが今回はほぼ正面突破だ。Bクラス戦みたいに窓を開けたりAクラスの中に入ってCクラスとの壁を壊したりというのは出来ない。」

「また優子ちゃん達に怒られちゃうしね〜。」

 

 雄二の万が一の点数補給のおかげでそれなりには戦えるくらいになっている。と言っても結構厳しい状況だ。

 

「特に今回は姫路には頑張って貰いたい。停学処分がないが故に点数が十分にある女子だが、そのうち島田は今回の件で学校を休む可能性が高い。となると唯一の女子でかつうちのクラスのエースは今回の作戦の要だ。」

「は、はい!頑張ります。」

 

 でもそれって美波を連れ戻せばいいだけなんじゃ?

 

「雄二、俺が誤解を解いて何とか連れ戻してくるよ〜。」

「善逸、その件は後で話がある。」

「分かったよ。」

 

 何だろう?説得方法でもあるのかな?

 

「そして炭治郎のそばには徹底的に船越先生を置くようにする。炭治郎には腕輪の力も使って姫路と共に頑張ってもらう。」

「分かったよ雄二、何とか耐えて見せる。」

「ムッツリーニは冨岡先生を連れて側にいてもらうようにしろ。善逸の響凱先生もだ。今この状況で戦力になるのは姫路、炭治郎、ムッツリーニ、善逸、たった4人だ。」

「うわ〜結構きついね〜。」

 

 美波は連れ戻すとしても5人じゃ正直無理だ。相手にも俺みたいな科目特化タイプがいるかもしれない都合上、勝てる確率はほぼない。

 そんなことを思ってると明久が面白いことを言ってくれた。

 

「ねえみんな、良い方法があるんだ〜。」

「何だ明久、言ってみろ。」

「Cクラスにいる秀吉の口調と似た男女がいるじゃん?」

「矢琶羽と朱紗丸か。それがどうした。」

「あの2人付き合ってるんだって!」

「それはいけないな明久、ムッツリーニ!」

「「「異端者には裁きを」」」

 

 なるほど、それで異端審問会を開催するってわけね。あいつらBクラス戦の時みたいに防御ガン無視で道連れにしてくれるから助かるんだよね〜。まあ、俺もその1人だけど。

 まあ俺とムッツリーニに関しては無駄死するとまずいから控えるけどね〜。矢琶羽には悪いけどあとでボコボコにさせてもらう!

 

「なるほど、あいつらを使うんだな。それはちょうど良い。そうなると戦力は五分五分とはいかなくても多少は何とかなるだろう。」

「異端審問会の指揮は須川と僕に任せて!」

「よし、じゃあそうなるとまずは船越先生、冨岡先生、響凱先生の予約だ。担当教科3人組、行ってこい‼︎あと一応炭治郎は栗花落も連れて行け。」

「「「了解‼︎」」」

 

 炭治郎の貞操が危なくなるとカナヲちゃんブチ切れるからね。一応付けておかないとね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 響凱先生の予約に成功した後、俺は雄二と秀吉に呼ばれて教室に戻った。美波を連れ出す秘策かな〜。

 

「で、美波をどうやって連れ戻すの?」

「俺はそんな話をしにきたんじゃない。」

 

 じゃあ何だろうな〜?

 

「お前と島田の関係だ。といっても俺も人のことは言えないから秀吉にお願いする。」

「何で雄二がダメなの?」

「俺と翔子の関係はお前と島田の関係と少し似てるからだ。だから秀吉、頼む。」

 

 もしかして美波の件で説教しようっての?悪いのあいつじゃない?

 

「分かったよ。んで、秀吉は何をいうつもりなの?」

「簡単に言うと今回のCクラス戦が起きた原因は尾崎の八つ当たりじゃ。」

「そりゃ俺も分かってるよ。美波のこと屋上で見てたんだろ?それがどうしたの。」

「直接的な原因は島田にある。じゃが間接的な原因はお主じゃ。」

 

 は?俺が何を……

 

「あれは盗聴器を取りに行っただけって言ったじゃん‼︎」

「そこじゃないのじゃ。」

「じゃあどこよ?」

「お主と島田との関係じゃ。あやつはお主を無理矢理恋人にした。そうじゃな?」

「そうだよ。まあ間接的な原因は俺が消化器使った罪を美波に押し付けたことだけど…。」

「そのことでじゃが、お主はあやつに対して自分の気持ちを何も言っとらん、というか有耶無耶にして殆ど考えとらんかったのぅ。」

 

 間違いメールの時も思ったことだ。俺は美波の人柄を褒めたり弁当を褒めたりしたことはあったけど結局自分が美波のことを好きなのかについては考えたこともなかった。一応彼女だからそれっぽいことをしてただけ。

 

「う、うん…。」

「それに対してあやつはどう思うかのぅ?自分のことを好いてくれとるのか何も言ってくれぬ恋人。もしかしたら無理矢理恋人にされたから本当は嫌だったんじゃないか、お主のことをそう思っても不思議ではあるまい。」

 

 じゃあ俺がしたことは…

 

「そこでお主が『何も言わずに』自分の事よりも前々から言ってるタイプの子、いわゆる可愛い女の子の方を優先させたらどうなると思うのじゃ?」

「自分のことを好きじゃないんだ、って思うね…。そして無理矢理恋人にしたことを申し訳なく思う…。そうなると一途な美波は、自分は嫌だけど相手のために別れようと思う…。」

「その通りじゃ。それに対してお主はきちんと自分が島田に対してどう思っとるのか、これからどうしたいのかを島田に言うべきじゃ。」

「うん、分かった。」

「雄二もじゃぞ?」

「ああ。それじゃあ今日は残り時間で回復テストを受けるだけ受けて明日に備える。よろしく頼む。」

「「了解(なのじゃ。)」」

 

 

 

 

 

 

 少し回復テストを受けた後、放課後になってしまったので俺は帰ることにした。帰り際美波のことを考える。

 

 

 俺がしたことはそういうことだったんだ。多分誤解を解こうとメールを送っても別れる気の美波は返信しないだろう。だとしたらどうしたらいいんだろう…。それよりもまずは自分の気持ちを考えなきゃ。

 

 如月ハイランド以来、俺はずっと美波に引け目を感じている。今まで自分がただ単に男っぽいとしか思ってこなかった美波が、ずっと俺のことを一途に想い続け、そして俺のために頑張ることが出来るとても凄い人だったんだと思ったからだ。そんな一途に人を想えるなら俺なんかよりも他の男の方がいいんじゃないか?そんなことをずっと思ったまま何も言えずに今日を迎えてしまった。

 

 じゃあやっぱり別れるのがいいのかもね。やっぱり俺には不釣り合いだったんだよ。そうした方がお互いの為になるしね。そうだね、そうしよう…。

 

 でもなんでだろう、美波と別れた方がいいはずなのに、別れたくない自分がいる。あのお弁当が食べられなくなる、あの幸せそうな顔が見られなくなる、俺が感化されたあの一途に人のために頑張る姿が見られなくなる、そしてなりより、今までに聞いたことがないような幸せそうな音が聞こえなくなる。そう思うと嫌で嫌で堪らなかった。ああ、なんで気付かなかったんだろう。今更すぎるよ。本当に哀れだなぁ、俺は。もっと早く気づいていればこんなことにはならなかったのに……。

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば今まで生きててあれだけ幸せの音を自分に向けて鳴らしてくれる人を聞いたことがなかったな〜。それもそうだ。俺はずっと親の奴隷だったからだ。名前も呼んでもらえない、学校にも行かせて貰えない、ただただ両親の手足となって動く生活。児童相談所が来ても金で潰してたっぽい。そんな両親の酷い音を13年間聞いて育ってきた。時々外に出ても俺に向けられるのは哀れみの音。誰一人俺に対して幸せな音を鳴らしてくれた人はいなかった。

 

 13歳の時、両親は多額の借金を残して蒸発した。その時には既に他の親戚とは絶縁していて、俺がその借金を背負う他なかった。そんな子供なんて引き受けるとこなんて当然なかった。周囲からの哀れみの音を聞き続け彷徨い歩く日々を過ごす中、桑島慈悟郎という一人の爺ちゃんに出会った。

 

 爺ちゃんは借金を肩代わりする代わりに家に代々伝わる剣術を教える、という条件で引き取ってくれた。今思うとあり得ないくらい優しい条件だ。そして俺はその日、初めて自分に向けられる明るい感情の音を聞いた。醜い、暗い感情の音だけを13年聞き続けた俺にとってそれはとても心地よいものだった。その日人生で初めて嬉し泣きしたのは今でも思い出せるな〜。

 

 爺ちゃんと、似たような境遇の一個上の義理の兄貴、獪岳と3人で過ごした日々は人生で初めてできた幸せな時間だった。稽古や勉強は厳しかったけど、一緒の時間を過ごせるのが何より楽しかった。爺ちゃんは亡くなってしまったけれど、兄貴と2人で仲良く過ごせるのはとても嬉しかった。

 

 そして文月学園に入学した日、美波と出会った。その時から既に女好きで、手当たり次第求婚していた俺は当然美波にも求婚した。

 

「あなたの事を一目見た瞬間好きになりました‼︎俺と結婚してください‼︎」

 

 それに対して美波は、

 

「ダマリナサ〜イ、ブタドモ‼︎」

 

 といきなり侮辱してきた。と言ってもドイツからの帰国子女で日本語が苦手なことは分かっていたからあんまり気にしていなかった。それにただ純粋に戸惑ってる音しかしてなかったしね。ただ、周りの目はそうじゃなかった。

 

 いきなり変な事を言う帰国子女。そして美波自身も言葉の壁に阻まれてなかなか話すことができない。そうして美波はクラスでどんどん浮いていった。段々と孤独で悲痛な音を大きくしていく美波に俺は耐えられなかった。まるで過去の自分のように思えたから。そう思ったらいてもたってもいられなくてなんとか話しかけようとした。日本語が苦手なのだからヨーロッパの言葉で話そう、そう思って俺は外国語をちょろっと勉強したんだよね。

 

 でも13歳まで学校に通っていなかった俺が直ぐに習得できるほど外国語は甘いものではなかった。しかも13年閉じこもった世界で生きていたせいで常識が欠如していた俺は、ヨーロッパの言語は全部一緒だと勘違いしていたのだ。

 

 そんな俺はドイツ出身の美波になんとか調べたフランス語で、俺と友達になってくれ、ってずっと言ってたのだ。今思うとバカだよね〜。フランス語とドイツ語は全然違うのに。それでも当時の俺は美波の音がどんどん悲しくなっていくのが嫌で嫌で仕方なかった。だから何度でも話かけた。

 

 

 まあ最初はずっと拒否られてたよね〜。いきなり変な言葉を喋りだす変なやつ。けれど遂にある日、美波の方からこう言ってくれた。

 

 

「What a shit!」

「へ?あ、ゴメン…」

 

 え、これなんだっけ?確か煩いって言われたのかな?一応声少し小さくしてみるか〜。

 そんな事を繰り返していくうちに、どんどん美波の悲しい音が大きくなっていった。自分のせいかもしれない。そう焦ってもっと外国語を調べた。それを続けていると、ある日、久しぶりに美波から声をかけてくれた。

 

 

「What a shit…」

「へ?あ、ゴメン…」

 

 まだ煩かったのかな?でも前と違って何故か美波からはとても幸せな音がしていた。不思議に思ったその時…

 

「ウチと トモダチに なって クダサイ‼︎」

 

 ああそう言うことか‼︎What a shitって私だったのか‼︎俺バカだな〜。でもやっと通じた。俺の言葉がやっと通じた‼︎昨日まではあんなに悲しい音がしていたのに、今日はこんなに嬉しい音を鳴らしてくれている。それが俺としても嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

 

 

 

 

 そうして迎えたあの日、Bクラス戦で消化器の罪をなすり付けられた罰?として付き合うことになった日だ。その日からは今までに感じたことのないような幸せな音が聞こえていた。

 そういえば今までの爺ちゃんや兄貴、それに雄二などの友達が鳴らしていた幸せな音は俺だけじゃなくて他の人にも鳴らしていたな。でもその日からの美波は違った。世界中のただ1人、この俺に対してだけ幸せな音を鳴らしてくれた。しかも今までに感じたことのないくらい。それが嬉しくて嬉しくて仕方なかった。でも俺のせいでその音はもう聞けない。俺が自分の想いに気付かなかったせいで。

 

 その後も一応美波の家には寄ったが、当然居留守を使われた。まあ当たり前だよね〜。何時間も粘るのも美波には悪いので、その日は直ぐ家に帰ることにした。




 善逸の回想のため読みにくい地の文ラッシュになってしまいました。また児童相談所や借金の制度について正直あんまりよく分かっていません。借金については親戚と絶縁していて保証人がいないので、機関保証を想定して書きました。まあ法律的におかしいところしかないと思いますけど、物語の中ってことで許して下さい。


 あと回想が長すぎてCクラス戦始まりませんでした。次はちゃんと始めます。
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