バカとお酒と鬼滅の刃   作:スピリタス3世

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バカテスト 数学

問 次の問題に答えなさい。

『 点A(a,b)を中心とする半径rの円を表す方程式を書きなさい。 』


島田美波の答え

『 (x-a)^2 + (y-b)^2 = r^2 』

教師のコメント

正解です。流石です、島田さん。


我妻善逸の答え

『 え + ん = 円 』

教師のコメント

君は方程式を何だと思っていますか。


吉井明久の答え

『 ○ 』

教師のコメント

もはや数式ですらありませんね。


第六十四話 集大成

  side 善逸

 

 遂に我がFクラスのエース、瑞希ちゃんの登場だ‼︎息が上がってるのがなんかエッチだね♪

 

「はぁ…、はぁ…、え、Fクラス姫路瑞希、坂本君達に加勢します‼︎」

「小生が承認する。」

「試獣召喚《サモン》」

 

 

音楽

 

Fクラス

     坂本雄二  112点

     我妻善逸  219点

    竈門炭治郎  10点

    嘴平伊之助  0点

     姫路瑞希  420点

      VS

Aクラス

     霧島翔子  396点

    栗花落カナヲ 195点

 

 

「ありがとう瑞希ちゃん‼︎」

「これで戦況が大逆転だ!」

「俺たちならいけるぞ!」

 

 点数も上、人数も上!これで一気に大逆転だ‼︎畳み掛けるぞ!

 

「…雄二さえ倒せればそれでいい。」

「油断してると痛い目みるよ?」

 

 まあ確かに雄二が攻撃されるのはまずいね。だったら……

 

「雄二は下がってて!俺と瑞希ちゃんと炭治郎でなんとかする!」

「分かった。」

「…させない!炎の呼吸 参の型 気炎万象」

「花の呼吸 参の型 朝露の紫陽花」

「水の呼吸 参の型 流流舞い」

「雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃」

「私だっていますよ!」

 

 さて、ここで気をつけなきゃいけないのが敵の腕輪の力だ。瑞希ちゃんが来た以上、翔子ちゃんの腕輪の力が発動する可能性が高くなった。となると気をつけるべきは俺、翔子ちゃん、瑞希ちゃん、雄二が一直線に並んでしまうことだ。そしてなんとしても雄二が当たるのを避けなければいけない。

 さらにはカナヲちゃんの腕輪の力、彼岸朱眼だ。動体視力を極限まで上げるので、俺たちがいくら雄二を守ろうとしても突破されてしまうのが厄介だ。幸い身体にかかる負担の都合上、そんなに長時間は使えない。だったら瑞希ちゃんの熱線か俺の漆の型で一気に倒してしまった方が早いかもしれない。

 

 でもなかなかタイミングが掴めない。ちょうどいい時が来るといいんだけど……

 

 

Fクラス

     坂本雄二  112点

     我妻善逸  202点

    竈門炭治郎  10点

    嘴平伊之助  0点

     姫路瑞希  403点

      VS

Aクラス

     霧島翔子  367点

    栗花落カナヲ 176点

 

 

 

 

 

  side カナヲ

 

 このままでは負けてしまう…。そうしたら前回(第九話)後悔した意味がない!炭治郎にも新しい居場所で頑張れている姿を見せるいい機会なのに…。

 

 

 そういえば、炭治郎とは中学2年生の時に初めて会ったんだよね。最初は単なる同級生だった。当時私は虐待の影響で感情を出さないようにするあまり感情の出し方が分からない人になっていたから、特に友達も出来なかったんだよね。感情の出し方が分からなすぎて、やがて人と喋るかどうかすら自分では決められずにコイントスで決めるような人だったし、まあしょうがなかったよね。感情を出すと親の暴力によって身体が壊されてしまう、他の兄妹みたく私も死んでしまう、そういう環境で育ってきたから。

 そう思いながら過ごしていたある日、突然家に炭治郎がやってきた。そしていきなりこう言い出した。

 

「俺は隣のクラスの竈門炭治郎だ!よろしく!」

 

 この人と会話を続ければいいかどうかも分からなくて、とりあえずコイントスをしたんだよね。表が出れば会話続行で、裏が出たなら中止。そう決めて適当に投げると、たまたま表が出たので話を続けた。

 

「栗花落カナヲ。よろしく。」

「ところでカナヲはなんでさっきコイントスをしたんだい?」

「貴方と話すか決められないからこれで決めた。」

「う〜ん、自分で決められないの?」

「うん。」

「じゃあ、そのコインを貸してくれない?」

 

 いきなり何を言い出すんだろう、と思った。でも人に頼まれたしとりあえずコインを貸すことにした。

 

「それじゃあ、今から俺がコイントスをするね!表が出たらカナヲは自分の心の声をよく聞くこと!いいね!」

 

 自分の心の声を聞くこと。それは幼い頃虐待を必死で避けるために心を閉ざしてきた私にとってはかなりのことだった。姉さん達の家に引き取られてからもなかなか出来なかったことだ。一体、どっちが出るんだろう?それが気になって仕方がなかった。

 

「うわ〜、投げすぎた‼︎どこだどこだ〜?」

 

 炭治郎は適当に投げたっぽい。小細工なし。表が出るかは運次第だね。

 

「あ、あった!これだ‼︎よっと!」

 

 背中を向けてコインを取ったせいでどっちが出たか分からなかった。どっちなんだろう?気になって仕方がなかった。

 

「それじゃあ結果は………表だね‼︎やった〜‼︎」

 

 表……。心の声を聞く……。そして炭治郎は私の手を取ってこう言った。

 

「カナヲ!頑張れ!人は心が原動力だから、心はどこまでも強くなれる!じゃ、明日学校で!」

 

 そう言って炭治郎は去ろうとした。でも私は表が出た理由が気になって仕方がなかった。小細工はしていないはずなのに…。

 

「なんで表を出せたの?」

「う〜んと、それはたまたまだよ‼︎それに……」

「それに?」

「裏が出ても、表が出るまで何度でも投げ続けようと思ったから‼︎それじゃあ元気で明日会おう!」

 

 それじゃあ最初から私に感情のまま生きて欲しかったってことだよね…。私のためにここまで行動してくれるなんて……。それがとても嬉しくて、私は炭治郎が一気に好きになってしまった。

 

 

 この日以降、やり過ぎたことも何度かあったけど、私は自分の心の声を聞いて行動することが出来るようになった。一時期は炭治郎のことが好き過ぎて他の友達を作らなかったけど、その時期ももう終わった。だから今日は、炭治郎に今までの私の頑張りを見せる日だね!

 

 

 

 

「花の呼吸 終の型 彼岸朱眼」

 

 

 

 

  side 炭治郎

 

 カナヲが思っていたよりも早く腕輪の力を使ってきた。彼女も本気だ。それなら俺も本気でカナヲに立ち向かわないと!

 

 

 そういえばカナヲに初めて会ったのって中学2年生の時だったな〜。可愛い転校生が来たって噂になったから気になって見に行ったんだよね。そしてあまりの可愛さに一目惚れしたんだっけ。それ以降は隣のクラスなのに休み時間ごとに気になって見に行ってたな〜。

 

 でもカナヲの方はとても無感情だった。見るたびにクラスメイトとも会話せず、たまに話しかける子がいてもコイントスをして話を続けるか決める。そんな姿がなんとなく可哀想に感じた。そう思っていると、後ろから誰かに声をかけられた。

 

「ねえ君、もしかしてカナヲのことが気になってるの?」

「え?あ、はい…。」

「私はカナヲの義姉の胡蝶しのぶよ。カナヲのことでちょっと話があるの。」

 

 そうしてしのぶ先輩はカナヲのことについて話をしてくれた。幼少期からついこの間まで受けていた虐待のせいで心を閉ざしていること。胡蝶家のみんなでなんとかしようと思っても出来なかったこと。あれはやっぱりカナヲなりの事情があったんだ。そう思うと俺はなんとかしてやりたいという気持ちでいっぱいになった。

 

「ていう感じなの。あの子があんな感じなのは仕方ないことなの。」

「しのぶ先輩、今週の日曜日、家に行っていいですか!俺もカナヲをなんとかしてやりたいんです!」

「カナヲは竈門君のことを知らないよね?」

「それでもなんとかしてやりたいんです!」

「分かったよ。そこまで言うのならやってくれる?」

 

 こうして俺はカナヲの家に行くことになった。

 

 

 カナヲの家についてから、すぐさま俺はカナヲと話すことにした。軽い自己紹介を済ませると、カナヲはコイントスを始めた。きっと俺との会話を続けるか決めているのだろう。頼むから続けるようにしてくれ。そう願っていると……

 

「栗花落カナヲ。よろしく。」

 

 コイントスは成功したみたいだ。それじゃあ後はそれを生かしてカナヲに心の声を聞くように言うだけ。そう思った俺はコイントスで表が出たらカナヲはそうする、裏が出たら表が出るまで投げ続ける、と決めた。正直強引だけど、それでもカナヲにはそう生きて欲しくてコイントスの結果を決めた。

 

 

 なんとかコイントスが終わり、カナヲにそう生きるよう伝えた。後は明日学校で会うだけ。

 

 そして次の日、登校していきなりカナヲが声をかけてくれた。

 

「昨日はありがとう‼︎それでね、私炭治郎のことが好きになったの!」

 

 心の声を聞くって言ったけど、聞きすぎじゃない⁉︎急に告白してくることってある⁉︎正直結構びっくりしてるよ‼︎でも一目惚れした人からそう言われて俺も嬉しくなっちゃったんだよね。

 

「こちらこそありがとう‼︎俺もカナヲのことが好きだ!これからもよろしく‼︎」

 

 

 その日以降、いろいろあったけどカナヲととても楽しい日々を過ごせたな〜。そしてカナヲもカナヲなりに頑張ってきた。なら、俺も今の自分が出せる全力で受け止めるべきだ!

 

 

 

「水の呼吸 拾の型 生生流転」

 

 

 

  side 善逸

 

 カナヲちゃんの腕輪の力もう発動かよ⁉︎早すぎんだろ‼︎今は炭治郎がなんとか止めてるけど、このままいくと雄二がヤバい‼︎だったら一気に翔子ちゃんを倒してやる‼︎

 

「瑞希ちゃん、俺と2人で翔子ちゃんを倒すぞ‼︎まずは瑞希ちゃんの熱線メインで!」

「わ、分かりました‼︎」

「雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃」

「炎の呼吸 漆の型 燎原の火」

 

 こうして俺が引きつけている間に……

 

「熱線!」

 

 瑞希ちゃんの熱線が翔子ちゃんに炸裂だ‼︎

 

「…うっ…。」

 

 ただ雄二もヤバい‼︎だったら追加で攻撃だ!

 

「雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃 六連」

「私も協力します!」

「…よ、よけなきゃ!」

 

 一気に翔子ちゃんを攻撃する!雄二が死ぬ前に、先に倒してやる‼︎

 

 

Fクラス

     坂本雄二  97点

     我妻善逸  148点

    竈門炭治郎  10点

    嘴平伊之助  0点

     姫路瑞希  367点

      VS

Aクラス

     霧島翔子  107点

    栗花落カナヲ 154点

 

 

 

 

  side 雄二

 

 姫路が翔子に腕輪の力で大ダメージを与えたのは良かった。でも栗花落が思ったより早く腕輪の力を使ってきたせいで俺まで死にそうになってる。炭治郎が驚異の集中力でなんとかダメージを軽減してくれているけど、あいつももうすぐ戦死するだろう。そうなってしまうと俺が死ぬ方が早いだろう。だったら先に翔子を倒すまでだ。そしてこの戦争が終わったら、俺はきちんと翔子に伝えるんだ。お前が俺に抱いているのは昔のことへの責任感を勘違いしたものだと。

 

 

 

 俺は小学生の頃、神童と呼ばれていた。確かにその頃俺は人よりも勉強ができる奴だった。そしてその頃の俺はいつも上を見ていた。だがそれは成績だけで人を見下すことと表裏一体だったため、俺は周りから孤立していった。

 

 3年生になったある日、翔子が転校してきた。金持ちで成績も俺ほどではないが良く、そして何より可愛らしい女の子、そんな翔子は周りの人にとっては高嶺の花だったのだろう。誰も翔子に近寄る者はいなかった。

 

 こうして孤立していた2人は似た者同士自然と話すようになった。俺は特に何も思わず、他の人と同じように接していた。しかし翔子にとっては転校してきて友達がいなかったところに初めて出来た友達だった。そのためアイツが特別な感情が湧くのも無理はなかった。

 

 

 5年生になると、俺は模試の結果で6年生に勝ち始めるようになった。当然俺は模試を受けてた6年生達を見下し、馬鹿にし始めた。もちろんソイツらも俺をなんとか虐めようと画策してきた。でもソイツらの虐めは所詮しょうもないもので、頭の良かった俺は簡単に先回りをして虐め対策をすることができた。

 

 そしてある日、俺は虐めに使われて困るものだけを持って図書館で時間を潰していた。アイツらが教室に残してきた他の俺の物に手を出したタイミングで先生を呼ぼう、そう考えていたからだ。この頃の俺は、他人よりも優れた自分をヒーローだと信じてきた。

 

 

 さて、そろそろアイツらが罠にかかっている頃だろう。さっさと様子を見て教師でも呼びつけるか。そういえば今日は翔子が付き纏って来なかったな…。そう思っていると……

 

「…雄二の物に手を出しちゃダメ‼︎」

「おいお前、邪魔だよ‼︎」

「何してんだよ‼︎」

 

 教室には翔子がいた。おそらく俺の荷物が汚されるのを止めようとしたのだろう。アイツらと言い争っている。ならばここはヒーローである俺がカッコつけて助ける番だ。所詮アイツらは普段見下しているように愚かな馬鹿者で、俺のような優れた者が簡単に勝つことが出来る相手だ。あんな奴ら大したことないじゃないか。そう思っていたがなかなか助けに行くことができなかった。相手は3人、俺は1人。勝ち目のないことが分かってしまったからだ。

 

 だったら先生を呼ぶのはどうだろう。当初の作戦通りじゃないか。これなら完璧……ではなかった。翔子はどうなるんだろう。虐められたことが先生から親へと伝わったらまた転校させられるだろう。そうなったらまた転校先で孤立するかもしれない。じゃあ他にどうすればいいんだ!そう言い訳して俺はまだ助けに行くのを躊躇っていた。本当はどうすればいいかなんて分かってたはずなのに…。

 

 どんな結果であれ何かしらの痛みを伴う。それが俺は嫌だった。ヒーローだとか自惚れてたくせに。相手は所詮俺程度相手にもならない奴だと見下してたくせに。頭の良かった俺は必死に言い訳を探していた。悪いのは虐めてきたアイツらと、後先考えずに勝手に行動した翔子だと。

 今になって思う。そんな頭のいい奴よりも何も考えずに飛び込めるバカの方がよっぽどカッコいい、と。大切な人のために自分の脚を限界まで酷使したり、自分への痛みを度外視して教室の壁壊したりするようなバカの方がな。

 

 その時の俺はいろいろ言い訳を考えた結果、翔子が助けを呼ぶのはどうか、という結論に至った。翔子が助けを呼べば先生にバレて転校することになったとしてもアイツの責任になる。決して俺のせいではない。これでいいはずだ。そう思っていたのに……

 

「…嫌、私、転校なんかしたくない‼︎」

 

 なんでだよ!なんでそんなことを言うんだよ!俺の言い訳がなくなってしまうじゃないか!

 

 

 そう思うといてもたってもいられなくて俺は翔子といじめっ子のところに出てきた。その後はアイツらに呼び止められたので翔子だけ帰してアイツらと喧嘩をすることにした。

 

 俺はこの日、自分がどれほど弱かったのかを思い知った。惨めで情けなくて、恥ずかしかった。そして翔子が勘違いを抱くようになった責任は俺にあると。償わなければいけない過ちだと。こんなことでアイツがとらわれるのは間違っている。だから早くアイツを解放してあげないと…。

 

 

 

 

 

  side 翔子

 

 このままだと負けてしまう…。雄二のために今までやってきたことの集大成なのに…。あの日あの場所で、あの背中を見た時から、雄二と結婚するために頑張ると決めたのに…。

 

 

 出会った頃の私は、いつも雄二の後をついてまわっていた。たとえその態度が冷たいものであっても、雄二だけは分け隔てなく接してくれたから。だから私は、雄二のそばにいるのが好きだった。

 

 5年生になったある日、私は日直の仕事を終えて雄二を探していた。とりあえず最初は教室、と思ったとき……

 

「クソ〜、こっちにもねえ!」

「もしかしてアイツの外履き、他の誰かに隠されたんじゃねえの?」

「アイツ、他の奴らにも虐められるからな〜。」

 

 信じられないものを見た。雄二の物に落書きをしようとするいじめっ子達の姿がそこにはあった。私はそれが汚されるのが嫌で、すぐにその人達を止めようとした。

 

「…あの、それ……」

「何だよお前?」

「…それ、雄二のだから……酷いこと、しないで。」

「は?お前に関係ねえだろ。出てけよ!」

「…でも、雄二は私の友達……」

 

 雄二が聞いたら嫌がるかもしれない。友達じゃない、って雄二はまた呆れるかもしれない。それでも、私は……

 

「…関係なく、ない‼︎」

「ちっ、アイツ友達いたのかよ。しかも女子だぞ。」

「こんな奴ほっといてさっさとやっちまおうぜ‼︎」

「…やめて‼︎」

「クソ‼︎邪魔なんだよ‼︎」

 

 こうして私は雄二の物を庇っている時に、間違っていじめっ子の服をいじめっ子が使おうとしていたマッキーで汚してしまった。

 

「おいお前、この服どうすんだよ!」

「最低だな!」

「そうだ、やり返しちゃえよ‼︎」

「そうだな!」

「…や、やめて!」

「今更遅いんだよ‼︎」

 

 私がやられそうになったとき……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お前ら、何やってるんだよ‼︎やっていいことと悪いことがあるだろ‼︎お前ら最低だ!」

 

「ちっ、本人のお出ましかよ。」

「帰るぞ翔子。」

 

 雄二が助けに来てくれた。本当に嬉しかった…。でもそう簡単にいじめっ子は手を引いてくれなかった。

 

「おい待てェ!逃げるのかよ坂本‼︎」

「ちっ!」

「…雄二……」

「翔子は帰してもいいだろ。」

「…でも……」

「いいから!」

「…私、先生呼んで……」

「バカ‼︎いいからお前は先に帰れ‼︎ここに居られると邪魔なんだ‼︎」

「…うん、分かった……。私、先に帰る……ね。」

「うわぁぁぁぁ‼︎」

 

 私は、震える雄二の肩を見て、何の力にもなれない自分が悔しかった。

 

 

 そのあと私は雄二を庇おうとお義母さんと話をしていた。

 

「…でもこのままじゃ、雄二が悪者にされちゃう。…霜月中学の推薦も……」

「いいのよ翔子ちゃん。おばさんはね、雄二がただお勉強ができるだけの子じゃなくて、誰かを守れる子になってくれたことが、とっても嬉しいの。」

 

 この時に私は気づいた。あの時あの場所で見せてくれた雄二の背中はとても凄いものなのだと。そしてその雄二と共に歩んでいきたいと。

 

「…あのねおばさん。」

「なあに、翔子ちゃん。」

「…私、雄二のお嫁さんになる!」

 

 

 その日以降、私は雄二のお嫁さんになるためにずっと頑張ってきた。そしてこの技はその集大成のようなもの。だから雄二、どうかこれを受け止めて欲しい……。

 

 

 

 

「炎の呼吸 玖の型 奥義・煉獄」




 炭治郎×カナヲ、そして雄二×翔子の過去でした。戦闘自体はあまり進んでいませんが、カナヲ、姫路、そして翔子が一気に腕輪の力を使いましたね。

 炭治郎×カナヲは鬼滅原作をベースにしてはいますが結構異なっています。炭治郎視点に至っては完全にオリジナルですね。カナヲは虐待で兄妹が亡くなり親が逮捕された結果近くの胡蝶家が引き取った設定です。あと炭治郎は音楽では腕輪の力を使えません。なのでヒノカミ神楽の出番は無しです。

 雄二×翔子は前々から言ってる通りバカテス原作からほとんど変えていません。炎の呼吸の奥義は最初煉獄から坂本か霧島に変えようかと思いましたが、なんかパッとしないのでそのままにしました。煉獄って単語自体が炎関連の単語でもありますしね。


 ちなみに作中で一番長く付き合ってるカップルは玄弥×優子ですが、この2人は会わなかった期間があるので、実質的に最も長いのは炭治郎×カナヲですね。その他、現時点で付き合ってる期間の長さは次の通りです。

玄弥×優子 4年3ヶ月(うち4年1ヶ月会ってない)
炭治郎×カナヲ 3年半
病葉×零余子 1年3ヶ月
狛治×恋雪 1年丁度(恋雪が16歳になってから)
根本×小山 8ヶ月(清涼祭まで)
善逸×美波 半年
雄二×翔子 半年

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