side 善逸
朝起きると、俺はムッツリーニと一緒にベランダに捨てられていた。
「起きてムッツリーニ!」
「………ん……ってここは!」
「そう、ここはベランダだよ!ってか寒い!」
「………12月だからな。」
「とりあえず中に入れてもらおう!」
「………そうするか。」
「お〜……」
俺が中にいるみんなに向かって声をかけようとした時、ムッツリーニに止められた。
「………大声を出すとバレる。」
「誰に?」
「………隣にいる無惨に。」
それはマズい……。最悪修学旅行がパワハラで終わるかもしれない。
「なるほど、それじゃあどうしよう…。」
「………とりあえず中の様子を確認する。」
「分かった!」
「「ぬっ‼︎」」
そうして2人で透き通る世界を使い、中の様子を確認すると……
・寝相が悪すぎてお互いに絡み合っている雄二と伊之助の布団
・何故か一緒に寝ている秀吉と明久
こんな感じだった。明久め、羨ましいんだけど‼︎って待てよ、明久は確か雄二たちと同じ布団だったような………。そうなると俺たちを捨てた犯人は………
「明久のせいか!」
「………恐らくそう。」
「でもどうやって?」
「………アイツは酔い止めのスタンガンを持っている。」
「なるほどね!」
明久の奴、自分の安眠と引き換えに俺たちのことを捨てたのか!今はムッツリ商会が無くなってる以上、ブラックリストを使って脅すこともできない。さて、どうしたものか……。
「どうやって中の人たちに知らせる?」
「………カーテンが閉まってるからジェスチャーは無理。」
「窓を叩くのは?」
「………無惨にバレる。」
クソ!こうなったら壱の型を使って脱出するしかない!でもここは4階。流石に地面まで使ったら脚が壊れて修学旅行どころでは無くなってしまう。どうしよう……。
「壱の型は厳しいし………。」
「………いや、部屋を斜めに移動しながらいけばなんとかなる!」
「なるほどね!」
一個下の階のベランダに向かって壱の型を使う。それを繰り返せば地面に辿り着ける!これは名案だ!でも一個だけ気になることが……。
「ちなみに2階と3階って誰の部屋なの?」
「………全部女子部屋。」
「女子部屋のベランダに男が2人現れたら?」
「………死は免れない!」
クソ‼︎ダメじゃないか!こうなったらアイツらが起きるまで待つしかないのか……。そんなことを思ってると……
「………ぬっ!」
「どうしたの?」
「………秀吉が起きてベランダに向かってる!」
やった!これで秀吉に助けてもらえれば万事解決だ!そしてカーテンが開けられ、中から秀吉が………
「ワシを新幹線の中でからかった罰じゃ♪」
あっかんべーしてきた。クソ‼︎秀吉が犯人かよ!しかもすぐにカーテンを閉めやがったし!
「ムッツリーニ、どうする?」
「………万事休す……いや、外に誰かいるかも?」
「いや、ここから見ても誰もいないよ?しかもこんな寒い中でわざわざ外に出る人っているかな?」
「………雪合戦をしている子供とか?」
「俺たちもう高校生だよ?いくらなんでもそんな人いないでしょ〜。」
「………まだ分からない。………なんせここは角部屋。………窓の方向ではなく建物の横も見ることができる!」
「なるほど!」
そう思ってその方向を見てみると………
「わ〜い!雪だるまころころ〜♪」
小学生みたいにはしゃぐ優子ちゃんがいた。どうやら一人で雪だるまを作ってるみたい。
「優子ちゃん、人が見てないからって完全に素の性格をさらけ出してるね。」
「………俺たちを外に放り投げた妹とは全然違う。」
妹……ってそうだ!
「俺にいい考えがある!」
「………木下に助けを求めるのか!」
「その通り!でも声が使えないからジェスチャーで!」
そうして俺たちは優子ちゃんに向かって必死にジェスチャーをした。頼むから気づいてくれ!
side 優子
あぁ〜♪雪って最高〜♪特に雪だるまを作るのって凄い楽しよね〜!皆にはこんな姿恥ずかしくて見せられないから朝一人で来たけど、早起きした甲斐があったわ!
さてと、頭を……ってあれは我妻と土屋?ベランダに出て何をしてるのかな………ってアタシのこの姿見られちゃったじゃない!
「アンタたち何を………」
静かにしろのジェスチャー?まあ確かに朝だから普通か。なんか何言ってるかは分からないけど助けて欲しそうにしてるね。皆まだ起きてないのかな?はしゃいでるところ見られたのは恥ずかしいけど、とにかく助けにいかなきゃ!部屋のインターフォンを鳴らせば皆は起きてくれるはず!雪だるまはその後で作ろう!
side 善逸
優子ちゃんがどうやら気づいてくれたみたい!作戦は大成功だね!さてと、あとは助けを待つか!
しばらくすると……
[ピ〜ンポ〜ン]
インターフォンが鳴った!
「やった!これで部屋に入れる!」
「………そうだな!」
「とりあえず透き通る世界で確認してみるか!」
「「ぬっ!」」
さてと、秀吉がインターフォンに出たぞ……。
「なんじゃ姉上、こんな朝早く時間に……。雪合戦して欲しいのかのぅ?」
「ち、違うわよ秀吉!それよりベランダにいる我妻と土屋を助けてやりなさい!」
「あやつらは新鮮な空気を浴びたくて外に出ただけなのじゃ♪じゃからじきに戻ってくると思うぞい♪」
嘘でしょ⁉︎これじゃあ雄二たちが起きるまで待たなきゃいけないじゃん!クソ!万策……
「へ〜。でもそれならさ、なんであの2人は防寒着を着てなかったの?この寒さで寝巻きのままずっと外にいるのはおかしいわよね〜?」
うお!流石優子ちゃん!頭のキレが違うね!
「あの2人は寒さに強いからのぅ!」
「外から見たとき震えてるように見えたけど?」
「それは姉上の目が悪いからなのじゃ!」
「アタシは視力Aなんだけどね〜?」
「俗に言う節穴ってやつかのぅ?」
「なるほどね。アンタに助ける気がないのは分かったわ。それじゃあ………」
何を言うつもりなんだろう?
「アンタが友達をベランダに捨てたこと、鬼舞辻先生に報告していい?」
「それはやめて欲しいのじゃ!」
「だったら助ける!」
「分かったのじゃ……」
こうして秀吉が鍵を開けてなんとか生還した。
「ねえ秀吉?俺たちを殺そうとしたよね〜?」
「………よくもやってくれたな!」
「お主らがワシのことを変態だと皆の前でからかうのがいけないんじゃ!」
「だって可愛いんだもん♪」
「姉上、この通りじゃ!此奴らも悪いのじゃ!」
「ふ〜ん、お互い様ね。全く小学生みたいな喧嘩をしてんじゃないわよ。これ以上なんかするなら鬼舞辻先生にチクるわよ?」
「「「それだけはやめて下さい!」」」
「はい、ということで今後はこんなことをしないようにね〜。」
そう言って優子ちゃんは出て行った。また雪だるま作りにいったのかな?それはそうと………
「みんなおはよう……。ところで今は何してるの?」
明久が起きてきた。
「優子ちゃんに喧嘩を仲裁をされたところ。」
「ああアレか!秀吉が怒ってたやつね!確か秀吉が僕のスタンガンを使って2人を気絶させ、それからベランダに捨てたんだよ!」
そういうことかよ‼︎だからムッツリーニが早く寝たように思えたのか!
「ということじゃから、ワシをからかうのはもうやめるのじゃ!」
「「秀吉‼︎」」
「分かってくれたようで何よりじゃ!」
いいや、分かってないね〜。なんせ………
「「俺たち下弦が一回注意されたくらいで問題行動をやめると思う?」」
「ぬぅ〜。確かにその通りなのじゃ……。」
注意されたくらいで問題行動がやめられるなら、今ごろとっくに下弦じゃなくなってるしね!
「「という訳でこれからもよろしくね!」」
「じゃあワシももっと凄いお仕置きをしてあげるのじゃ!」
「「逃げ切ってみせる!」」
俺&ムッツリーニVS秀吉の戦いはこれからだ‼︎
そして起きてからしばらくした後、遂に自由行動の時間がやって来た!
「優子ちゃん、よろしくね!」
「ええ。よろしく、我妻!」
さっきまで喧嘩してたから忘れたけど、実は秘密裏に秀吉と作戦を立ててたんだよね〜。その作戦とは………
「優子ちゃん!ここまで来ればもう秀吉に戻っていいんじゃない?」
「そうじゃの!」
優子ちゃんと秀吉の入れ替わり作戦である!秀吉が明久のスタンガンを使って優子ちゃんを気絶させ、その隙に2人の制服を入れ替えたんだよね〜。そして優子ちゃんもとい秀吉と俺が一緒になって、秀吉もとい優子ちゃんと玄弥のデートを作り出す作戦だよ!
さて、あの2人をくっつけたところで、目的地に向かいますか〜!
「えっと、ここが刀鍛冶の里じゃったな!」
「そうだね!」
刀鍛冶の里。その名の通り刀鍛冶がいっぱい集まってる集落のことを言うよ。師走漁港の中でも人気の観光スポットなんだよね〜。
「こんちには。受付の鉄穴森鋼蔵です。高校生2人でよろしいでしょうか?」
「「はい!」」
「それでは1人700円の合計1,400円となります。」
「「お願いします!」」
「ちょうどお預かりしました。それではこちらがチケットになります。」
「「ありがとうございます‼︎」」
「ちなみに注意なのですが、この里にある刀を破損させた場合は問答無用でぶっ殺しますのでよろしくお願いします。」
「「は〜い……」」
この受付の人、超まともだと思ったのに最後でとんでもないことぶっ込んできたな〜。あとなんで仮面を被ってたんだろう?プライバシーを気にしてるのかな?
「とりあえず何をするかのぅ?」
「それじゃあさ、縁壱さん似のカラクリを見に行かない?」
「じゃあそうするかの。」
ということで縁壱さん似のカラクリのところに行くことになった。ちなみにここの里は数年前の地震で半壊したんだよね。その時にまさかの縁壱さんが多額の寄付をして復興に貢献したらしい。だからその記念で縁壱さんを真似たカラクリが作られたんだよね。
さて、そのカラクリのところに着いたんだけど、なんていうか結構似てるよね、本人に!何故か腕は6本あるけどね!そんなことを思っていると案内役の子供が話しかけてきた。
「俺は案内役の小鉄です!良かったらこれを使ってみませんか?」
使う?どういうこと?
「説明して欲しいのじゃ!」
「これは縁壱さんの動きを真似たカラクリです。剣技や他の格闘技にも対応しています!」
「腕が6本あるのは?」
「そうでもしないとあの人の動きを再現できなかったからです‼︎」
化け物かよ!無惨より強いかもしれないという噂は強ち間違いじゃないかもね。
「それじゃあ善逸がやってみると良いのぅ!」
「任せて!」
そうして俺は小鉄から刀を借りて体験することにしたんだが………
「雷の……ってうぁ!もっかい!かみな……ぎゃぁぁぁぁ‼︎」
強すぎるんだけど⁉︎何これ⁉︎壱の型を使う暇すらない!なら距離をとって……
「雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃」
どうだ………って避けられた⁉︎しかもカウンターが………
「ぐぁぁぁぁぁぁ‼︎」
しがも……
「タンポポさん、思ったより弱いですね?呼吸が使える人だと思ったんで期待したんですけど、大したことないですね!本当に野生のタンポポと強さが変わらないんじゃないですか?」
小鉄がめちゃくちゃウザい!いちいち毒を吐いてくる!君、多分俺が今まで会ってきた中で誰よりも毒舌だよ思うよ!
「クソ!だったら!」 バキン
あっ……。刀壊しちまった……。
「あ〜。それ鋼鐵塚さんの奴なんですよね〜。覚悟しといた方がいいですよ?」
ん?どういうこと?そんなことを思ってると………
「あぁぁぁぁぁ‼︎俺の刀を折った奴は誰だあぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
包丁を持っている、半狂乱になったムキムキの中年男性が走ってきた。
「ぜ、善逸よ!あやつ本気でお主を殺す気じゃぞ‼︎」
「マジで⁉︎こうなったら……」
「霹靂一閃かのぅ?」
「秀吉、色仕掛けで誤魔化して!」
「と、とりあえずやってみるのじゃ!」
頼んだよ、秀吉!
「お兄さん♪ちょっと私と遊びませんか♪」
「ワシはこの里の長、鉄地河原鉄珍や!ほれほれそこのべっぴんさん、ワシと遊ばんかい?」
違うジジイが釣れた………ってそれじゃあダメじゃん!
「秀吉、逃げるぞ!肩に捕まって!」
「分かったのじゃ!」
「雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃 神速」
「待てやコラァぁぁぁぁぁぁ‼︎」
こうして俺と秀吉は命からがら里から脱出した。なんでここが人気の観光スポットなんだよ‼︎おかしいでしょ⁉︎ここに来る人多分ドMだけだよ!
「お主のようなMの人じゃないとちとここはきついのぅ。」
「おい秀吉!あれは勝手に美波が言っただけだよ!」
「じゃあワシが変態なのもお主らが勝手に言ってるだけってことにするのぅ!」
「エロ本麻雀大会でエロ本を30冊持ち帰った奴が否定するのは無理があると思うけどな〜。」
「うるさいのじゃ!」
正直、怒ってる秀吉も結構可愛いんだよね〜。だからついつい虐めたくなっちゃう♪だけどまたベランダに捨てられたくないから今日はこの辺にしておくよ。
「それじゃあ、次の場所行くか!」
「そうじゃの!」
こうして俺たちは師走漁港で一番有名な観光スポット、星の城へと向かった。
side 優子
トイレで目が覚めたらいつの間にかアタシが秀吉になってたんだけど…。しかもこれで一日過ごせってどういうこと⁉︎とりあえずペアは玄弥だからそこに行くか……。
「ま、待たせたのぅ!それじゃあ早速行こうぞ!」
秀吉の物真似、上手くできてるかな?玄弥や先生方にバレないといいけど……。
「よし、それじゃあ朝市に行くか!」
「そ、そうするかのぅ!」
ということで師走漁港で有名な観光スポットである朝市に向かうことになった。そして会場に着いたとき、玄弥にこう言われた。
「よし、ここまで来れば大丈夫だろ。それじゃあもう物真似はやめていいよ、優子!」
「え⁉︎」
最初っからバレてたの〜⁉︎それじゃあアタシはどうすればいいの⁉︎
ということで善逸&ムッツリーニvs秀吉からの刀鍛冶の里でした。里の人たちをいつ出そうかずっと迷っていたら随分後になってしまいましたね。
また、善逸&秀吉が向かった星の城は五稜郭が元ネタです。よろしくお願いします。
そして、次は優子と玄弥の朝市デートです。お楽しみに。