Bloom to the Sky "Haruna Mutsuishi" 作:蒼星緋咲
ということでご無沙汰しております。蒼星緋咲です
種が芽吹いて、蕾が花開いた、そのちょっと後のお話です
赤く光る”ON AIR”のランプ。それを確認して、台本通りに言葉をつなぐ。
「六石陽菜の、ブルーミングエール!」
元気を込めて、タイトルコールをする。わたしのソロファーストのタイトルを背景に、オープニングトークに続ける。このラジオを始めたころは、収録で何度もリテイクを繰り返したオープニングのフリートークも、今では生放送でも詰まらずに続けられるようになった。
編集席とアイコンタクトを取り、台本に記された音楽の準備の確認。ディレクターさんからの合図を見て、最初の音楽のコールをする。
「それでは、本日一曲目はこちら。FLOWさんで『GO!!』」
静かにマイクミキサーを落とす。台本通りなら、この後にゲストが来てくれるはず。久しく会ってなかった、わたしの仲間であり、ライバルだった彼女たち。ううん、きっと今でも仲間だし、ライバルだと思うけれど。
「こんばんはー!」
「よろしくお願いします!」
収録室の扉が開かれ、今日のゲストさんが入ってくる。招いた面々は、すごく懐かしい人たち。
「久しぶり、陽菜」
「うん。久しぶりだね」
「いつぶりかな?」
「そんなに経ってないと思うけど……」
いつぶりかの仲間たちと、思い出話に花を咲かせる。これまで一緒に切磋琢磨してきた仲だから、少しの間でも会えなかったのは、やっぱり寂しかった。
「あれ、志穂ちゃんは?」
招いた最後のひとりがまだ来てないのを、舞花ちゃんに聞いてみる。
「少し前まで収録だけど、間に合うって言ってたはず……」
そう聞いた瞬間、収録室の扉が開く。荒い呼吸音とともに「すまない」と志穂ちゃんが一言。まだ時間的にセーフだから、彼女に「大丈夫だよ」と伝える。
飲み物を飲むように促して、収録席に座る。こうやって4人合わせて収録するのは、いつぶりだろうか。そんなことを考えながら、ディレクターさんの合図を待つ。3、2、1。その合図を確認して、マイクミキサーのボリュームを上げる。
「さて、本日もゲストをお招きしています。鷹取舞花さん、鹿野志穂さん、月居ほのかさんです」
「皆さん初めまして! 鷹取舞花です!」
「同じく、鹿野志穂」
「初めまして。月居ほのかです。本日はよろしくお願いします!」
それぞれの挨拶を聞き終えて、わたしが司会を進める。
「今回は、わたし六石陽菜が声優として活動を始めてから10年ということで、かつて同じチームとして活動した三名をお呼びしました!」
「あの出会いからもう10年も経つのか。今となっては懐かしいね」
「たしかに。チームを組んだ後も、寮に住むことになったときも、なかなか噛み合わなかったのにね」
「だな。陽菜が私たちのリーダーでいてくれたおかげだ」
その言葉を、わたしはやわらかく否定する。たしかに、結果的にチームはまとまってくれたけれど、わたしもみんなに支えられたから。
そう、3人に伝える。
「やっぱり自分たちって、いいチームだったんだね」
「そうだね。楽しかったなぁ……」
会話もそこそこに、番組コーナーやおたよりの紹介コーナー。一度音楽を挟んで、『魔法少女協会 マジック♢ワークス』続編の告知。
いつもよりにぎやかに放送を進めていって、気付いたらゲスト参加は終わりの時間。最後の楽曲紹介を、4人で行うように、目配せする。
「さて、最後にお届けしますのは、わたしたちの始まりの歌です」
「マジックワークスもだけど、この曲には自分たちの思い出が詰まってると思う」
「私達が、初めてチームとして歌って、踊った歌」
「ぜひ、皆さんにもお聞きしていただきたいです」
ほのかちゃんのセリフの後に、もう一度目配せをする。わたしたちの中に、呼吸合わせは必要ない。
「それではお聴きください。AiRBLUE Flowerで『One More Step!』」
そして、名残惜しいけれど。
「ゲストの皆様も、今日はありがとうございました!」
お読みいただきありがとうございます
実はこれ、以前Twitterの方に投稿したものを作り直したものとなっております。違いにお気付きいただけましたか?
ほんとはもうちょっとだけ書きたかったんですけど、体力が尽きてしまって……。後継者諸君は適度なペースで続けるんだぞ。いつか息切れフリージア状態になるからな。ゆっくりでもいい。その手を止めるんじゃねえぞ……
ではでは、次の投稿で。そう遅くはないと思います