今回の彼の家の設定は完全にオリジナルです。
比企谷が折本の家で色々やっている最中、それとは無関係に電気屋は次なるお客へと向かっていた。
「さてと、次の客は玉縄さんでプロジェクター?このくそ忙しいのになんで持ち込み修理の奴行かないといけないんだよ」
基本的に小型の家電は持ち込み修理となり出張修理の対象外となる、例えば炊飯器や小型テレビなんかがそうだ。
こういったものは持ち込み修理となり最寄りのサービスセンターか電気屋に持っていくよう案内されるのだが、たまに取りに来てくれという客もいる、そしてそういうのは大概厄介な客が多い。
「追記があるな・・・コールセンターより、お客様の要望が不明、とにかくサービスマンを呼んでほしいと希望ありか・・・クソが!いつもの丸投げじゃねぇか!」
コールセンターで止めるべき事柄でも面倒になるといつもこっちに丸投げ、これが修理業界の常である、そしてなんも関係ない俺たちが客にどやされるという始末
「はぁーとにかく現地ではやりたくないから引き上げだな、どのみち部品は無いからな」
プロジェクターは光学ユニットや基板がみっちり詰まっているので現地でやるには道具が心細いところがある、そもそも客の家で精密作業なんぞやりたくはない
というわけでやってきました玉縄さんの家
「あ?この住所ここであってるよな・・・」
目の前にあるのは玉縄青果マートと書いてある、個人経営のスーパーか?よくわからんので店に入りその辺にいた店員に話をすると、どうやら問題のプロジェクターは店長の息子のものらしい、店長は今接客対応中で忙しいから直接家に行って構わないとのこと、家は裏手にあるんだとか
「はーむしろこういうこと追記してほしいよな・・・」
こういう余計なところで時間を食ってしまうのが一番無駄である
裏手に回ると一般的な住宅、ちょっと古めの普通の日本家屋だ
インターホンを鳴らすと出てきたのは当事者と思われる息子さん
「いやあ待ってたよ、今日はよろしく、早速こちらにきてくれないか?」
ん?こいつため口か?
どう見ても若い、たぶん学生だがさすがにこの年齢のガキにため口されるのは初めてだ。
と思っても相手はお客である、そんなことは表情に出してはいけない、このクソガキ言葉の使い方に気をつけろよな?等と思っても口に出してはいけない。
「はい、こちらですね~」
と営業スマイルであとをついていくとどうやらこやつの部屋らしいところに案内される
壁は打ちっぱなしのコンクリートのようだ、床もフローリングのようだがなんか変だ
はて?こんなしゃれた部屋ができるような家の外見だっけ?
この家は外見普通の日本家屋だったはずだが?
壁をよく見るとどうやら上から無理やりコンクリ打ちっぱなしに見せた壁紙を張っている模様、床もフローリングと思いきや端っこを見ると畳が見える、どうやらウッドカーペットを敷いているようだ。
部屋にあるものもやたらと白や黒の物で統一している模様、シンプルな感じにしたいのはわかるがレトロチックな地球儀が置いてあったり英語の古めかしい本が置いてあったり、おお!ジョブズのポスター貼っている、それにアレはMacBookか?
なんか意識高い人が持ってそうな物が色々置いてあって酷く雑多な感じがする。
格好よく見せようとして失敗した感がものすごい
「どうかしたのかい?」
どうもしねぇよ、というかため口やめろ、親の面が見てみたいなと思いつつ問題のプロジェクターを見せてもらう。
「えーっとこちらですね・・・こちらが?どうされたんですか?」
「うん、これのリモコンがきかなくなってね?」
確かにリモコン操作ができない、こういう場合はリモコンから赤外線が出ているかスマホのカメラでチェックするといいのだ、ただ何故かiPhoneは赤外線映らない、映るようにするにはなんか条件があるらしいがしらん、同僚がそれで誤判定してきて面倒なことになってた、そしてこれで騒ぐ客もいるのには閉口する。
「本体での操作は問題なしっと、ボタン押してないのに赤外線がずっと出てますね・・・接触不良でも無いようなのでこれはリモコンの故障のようです、保証は入ってますか?」
家電量販店の保証は大体がリモコンは保証の対象外だが、保証の種類によってはなんと対象内の物もあるのだ。なのでそこは確認しないといけない。
「そこなんだよ、僕はコストパフォーマンスに優れた商品のみをオーソライズしていくパーソナリティな持ち主だからアマゾンズチョイスでゲットしたんだよ」
あ?なんか横文字が飛び出したがアマゾンで買ったのか?
「は?はぁ、それで保証は・・・?」
「だからアマゾンズチョイスには特別なギャランティは発生しないんだよ、でもゲットしてから大体ツーイヤーしかたってない、それでリモコンがブロウクンして壊れるなんてことはまずあり得ない?そうだろ?つまりこれはメーカー側のレスポンシブルであり、責任を負う必要があると僕は判断したんだ、それをコールセンターで伝えたんだが反応が弱くてね、だからサービスマンである君を呼んだのさ」
何を言っているのかさっぱりわからん、だからコールセンターでにお客の要求が不明と言ってよこしたのか
「あの・・・つまりどういう意味でしょうか?」
何を言いたいのか全くわからんので聞く、しかしやれやれといった顔つきでまた横文字が口から飛び出す
「つまり、メーカー側でブラッシュアップにこだわりつつコストとマニュファクチャーそのものを考慮してこの世に生み出されたものがこのプロジェクターのわけだ、お客様目線でカスタマーサイドに立ってみるとこの現象は不自然、そうだろ?」
あ?全くわからんがつまりネット通販で買ったので保証はない、一年のメーカー保証も切れているが納得行かないのでただで新しいリモコンよこせとつまりはこういうことか?
あとその手の動きキモイしウザいから止めろ
「メーカー保証が切れている場合は有償になりますが」
「うん、それはわかっている、ただ今回のアジェンダは君たちメーカー側がカスタマーサイドに立ったサジェスチョンの提案が欲しいんだ、お互いウィンウィンになる方法を模索することが重要じゃないかな?」
あー何となくわかった、こいつ交渉しているつもりなんだ、大人相手、しかも相手は巨大電機メーカー、それを相手に交渉をする自分はなんてすごいんだとかそう思ってるのだろうか、リモコン一つにここまで粘る理由はそれぐらいだろ、大体お前が話している相手はメーカーから委託されて来ている作業者であってメーカーの人間ではない、それにリモコンは電気屋やサービスセンターに問い合わせりゃ普通に取り寄せて買えるんだが。
ただ今回サービスマンを呼びつけてリモコン要求するとなると出張費はもらわんといかんし、技術料も請求する必要がある、しかもこっちはバリバリの定価販売、全部合算すると普通に買うより3倍どころの話ではない値段になる。
「申し訳ありませんが保証が切れている場合は有償になります、これはどのお客様にも同じ対応をさせてもらっていますのでお客様だけ特別対応はできかねるんですよ」
「うん、で必要なコンセンサスをもとめるには何をしたらいいか考えようじゃないか、クーリングオフや場合によっては消費者センターにも問い合わせる必要があるとおもうんだが?」
こいつクレーマー決定だな、あとその手の動き何なの?エアろくろ回しなの?壺でも作ってんのか?
「それはお客様の権利ですのでこちらとしてはなんとも・・・大変申し訳ありませんがそういうことですとこの場で即答はできません、メーカーの判断を仰ぐ必要がありますので、私としてはこれ以上の対応は難しいです」
くそめんどくさいことになった、あとの対応はメーカーに頼むかと思っていた矢先
「おい、どうなった?」
父親らしき人が部屋に入ってきた、確か店長さんだっけ?仕事中なのだろうかエプロンをしたままである
「今交渉中さ、大丈夫、自分のことは自分でやるさ」
なんか言っている、クソうぜぇ奴だな、こいつの親父も同じじゃないだろうな?
「交渉っておまえ、そもそもそいつのリモコンが壊れただけでなんで電気屋さん呼んでいるんだ?」
「だからメーカー側の・・・」
とまたさっきの横文字を連発するつもりかと思ってたら
「リモコンぐらい買えばいいだろうが!得意の通販でよお!?」
突然怒鳴ったのでびくっとなる、目の前のガキもびくっとしている
「大体そいつの金出したの俺だろうが!それで何やるかと思えばパソコンに映っている画面をそのまま映すだけ!しかもそのパソコンも猛烈に高かった割にやってることはうちの店のやつと大差ないだろ!むしろ店のパソコンの方が売り上げや仕入れの計算できるだけすごいわ!」
このオヤジいきなり説教始めたぞ
「大体交渉とか言ってるけどおまえがやってるのはいちゃもんつけてるのと変わらんだろ!恰好ばかりで中身が伴わってないって何度言ったらわかるんだ!この部屋だってこうしたいって泣きついてきたからどうにかリフォームしてやったんじゃねぇか!」
リフォームというにはかなりお粗末ですけどね、もしかしてこの親父がやったのか?
「クソ下らないもんばっかり買いやがって!これ一つ買うのにうちの野菜どんだけ売らないといけないと思っているんだ!」
かなり激高している模様、でもそういうのって俺が帰ってからにしてくれませんかね?
「さっきまで対応した客もこっちが強く出れないことをいいことに野菜に虫が入ってたからさっき買ったものを全部タダにしろだの保健所に通報するだのさんざん言ってきやがって!お前も同類か?!」
ああなるほど、接客対応ってクレーム対応だったのね、でもそれでイラついてるのはわかるけど俺の前でやらんでくれますかね?
こういう時、自分の存在感のなさを恨みたくなる。
「電気屋さん、すみませんうちのバカ息子が大変ご迷惑をおかけしました」
あ、こっちに気が付いてくれた
「出張費は払いますんで・・・あ、領収書下さい」
「あの、リモコンはどうされますか?」
一応聞いとくか
「おいくらぐらいになります?」
「私共から購入されますと割高になりますが・・・」
「ですよね・・・おい!リモコンは自分で何とかしろよ!」
「はい・・・」
流石の横文字連発も親父には勝てない模様、しかしため口だったのは教育的にどうなんだ?
その辺はどうでもいいか、そのうちばれて親父にぶん殴られろ。
そう思って家を出ようとしたら
「すみません、これ店のあまり物ですけど・・・」
といって野菜がたくさん入った袋を差し出してきた
「いえ!悪いですよ!こんなにたくさん!」
「いいんですって、どうせ捨てるものですから」
と無理やり押し付けられた、捨てるにしては色つやが良くないか?
サービスカーにもどり助手席に野菜を置く
「まったく八百屋の息子の分際でインテリぶりやがって、おとなしく野菜売ってろよ、しかし得をしたな、今度の休みにこれ使って野菜カレーにしようかな?」
量が多いのでちょっと邪魔だなぁと思いつつ次の客へと車を走らせるのだった。