ある電気屋の記録   作:もよぶ

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海浜勢最後の一人仲町千佳です。
フルネームあるのに挿絵はのっぺらぼう、特徴がなくキャラが全くつかめないのでほぼオリキャラです。


CASE14 仲町家のエアコン

「かおり、ちょっとお願いがあるんだけど」

学校にて、折本かおりの友人、仲町が話しかけてきた。

 

「あのさ、うちのエアコン動かなくなってさ」

「ふーん?それで?」

 

「親が修理依頼だしたんだけど電気屋さんが来る日に親が出掛けないといけなくなったとかで私一人になるんだ」

 

「それであたしにいてほしいってこと?いいよ!」

「さすがかおり!話が早い!」

 

と、ここで折本ふと思いだしにやっと笑う

「あのさ、比企谷って覚えてる?あの葉山くんについてきた奴」

「あ、覚えてる、あの目付きヤバい奴でしょ?あれがどうしたの?」

 

「そう、マジウケたでしょ?あいつ、こういうのに結構詳しいんだ、連れていくよ」

そういうと折本は自分の家であったことの顛末を話す。

 

「女だけってのもなんだしさ、男がいた方がいいんじゃない?」

「そうかもだけど、かおり、本当に大丈夫なの?」

不安そうな仲町である

「大丈夫、大丈夫、あいつがなんかしてくるってこと絶対ないって、あたしが保証するよ」

不安げにしている仲町を他所に折本はいつもの調子で笑うのだった。

 

「と、言うわけでさ、比企谷ちょっと協力してよ」

「誰かと思ったらお前かよ」

比企谷が学校から帰宅し家でくつろいでると自宅の電話が鳴った、出てみると折本である。

 

「なんで家の電話番号知ってんだよ」

「え?中学の時の連絡網で教えてもらったじゃん、こんな時に役に立つとはウケるね」

「いやまるでウケないんですが・・・ってか俺行く必要あるか?大体その仲町?さん?って一度会ったっきりだろ?」

「だよねー、でもさー比企谷って友達が困ってるのに助けてくれないんだ?」

 

「おまえ・・・大体内緒にするとか言いながら由比ヶ浜にばらしただろ、大変だったんだからな」

「フフ、ウケる、あたしばらしてないんだけど?ただ『浮気したら許せるか』って書いて、あと友達と遊んだって教えただけで比企谷なんて一言も書いてないんだけど?」

 

「ウケねぇよ!文面で判断できるだろうが!」

「ふーん、そっかんじゃやっぱ比企谷あの二人とデキてるんだ」

 

「ん、んなわけないだろうが!俺とあいつらはそんな関係じゃ・・・」

としどろもどろになっているところへ折本が畳みかけるように言う

「だよねー、んじゃ別にかまわないってことで?えーっと次の休みの日朝10時に駅前に集合!遅れないでね!」

と一気に言われ返事する間もなく電話を切られる

「マジかよ・・・」

受話器を手にしてぼーぜんと立ち尽くす比企谷だった。

 

休日

 

「くそ!あいつらにばれたらなんて説明すればいいかわからんぞ」

駅前にて物陰に隠れるかのようにしている比企谷

 

「お待たせー、って比企谷何きょろきょろしてんの?ウケるんですけど」

「おせぇよ、誰かに見つかったらやばいだろうが」

物陰に隠れつつあたりをうかがう比企谷、まるで不審者である

 

「フフ、こういう風にこっそり会うのって緊張するね、浮気見たいでマジウケる」

「ウケないし緊張しない、ただただ恐ろしいだけだ」

「だよねー、あの二人に見つかったら比企谷が八裂きにされるかもね」

「物騒なこと言うなよ・・・ってか雪ノ下や由比ヶ浜以外にもだな・・・」

と比企谷が説明するのを折本が面倒くさそうな顔で話をさえぎる

 

「それより比企谷って付き合ったら絶対浮気しなさそうだよね」

「なんでそうなる・・・大体俺はまだ・・・」

「だよねー、だからまだわかんないよねー」

「おまえは・・・」

もはや何も言うべきことが思いつかず半ば呆れ気味な比企谷

 

「とりあえず行こうよ!千佳待ってるから!」

「おい!手を引っ張るな!誰かにみられたら・・・」

「いいからいいから!」

とまたもや手を引っ張られ引きずられるように折本の後をついていく比企谷だった。

 

仲町自宅

 

「千佳ー来たよー」

「かおり・・・ってそっちが例の?」

 

「そそ!、こっちが比企谷・・・って何やってんの?」

比企谷は周囲を警戒しきょろきょろとあたりを見渡している

「いや・・・誰か見てんじゃないかと思ってな・・・」

 

「比企谷のそういうとこマジウケる、早く入んなよ」

「お前が仕切るのかよ・・・」

折本にせかされて仲町の家に入る比企谷だった。

 

「このエアコンなんだけど・・・」

と仲町千佳に案内される

 

「ああ、これか・・・ってだから俺が見ても仕方ないだろうが」

「えー比企谷、なんかこの間みたいにばばっと直してみてよ」

と無茶ぶりする折本

 

「本当に大丈夫なの?電気屋さん午後から来るって言ってたから、それまで待った方が・・・」

不安げな仲町

「大丈夫だって!ほら!比企谷!」

「おまえ・・・無茶ぶりするなよ・・・」

と言いつつコンセント抜き差しを試してみる比企谷

 

「へーすごいね、エアコンのコンセントまで手が届くんだ、やっぱ比企谷は男だね、マジウケる、ね!千佳?」

「うん、そうだね・・・いいなぁ・・・」

何故か若干尊敬のまなざしで見られる比企谷

 

「ウケないしすごくない、大体椅子とかに乗ればお前らも余裕で届くだろ、ほら、リモコン貸せ」

と動かしてみるが

 

「すぐ止まるな・・・たしかエアコンって外にもなんかあるんじゃなかったか?」

そういうと比企谷は外に出てエアコンの室外機を探す

 

「あ!ちょっと比企谷くん?こっちこっち」

仲町が比企谷を家の裏手へと連れて行く

「うわ!雑草がすごくてマジウケるんですけど」

「全然ウケないし、それよかお前らスカートでこっち来ない方がいいぞ」

「だよねー、でも千佳がいかないとわからないんじゃない?」

それもそうかと比企谷は雑草を手で毟りながら道を作る

「ほれ、これで歩きやすいだろ、あと殺虫剤とか持って来いよ、虫に刺されたら困るだろ」

 

「それある!比企谷いいとこに気が付く!ほら千佳!早く持ってきて」

「う、うん、ちょっと待ってて」

と殺虫スプレーを持ってくる仲町

「んでさっきのエアコンってどの辺についてるんだっけ?そのあたりにエアコンの室外機ってあるんじゃなかったか」

 

とうろうろしながらようやく該当する室外機を見つけたが

「おい、これツタが中のファンに絡まってるじゃねぇか、これが原因じゃないのか?」

「ほんとだ・・・家の人めったにこっち来ないし冬はヒーター使ってたからきっと気が付かなかったんだ」

仲町は感心したように比企谷を見ている

 

「とりあえず室外機の周りに絡まってるのは手で取れそうだが中に入ってるのは難しそうだな、なんか細くて長いものないか?長い針のようなものとかそんなの、こんなかに突っ込んで取るわ」

 

「うん、持ってくる」

と仲町はバーベキューで使う串を持ってきた。

比企谷はそれを使って室外機の中のツタを取りにかかる、しばらく悪戦苦闘していると

 

「あ?なんだこれ・・・ってヤバイ!ハチの巣だ!つっついちまった!」

室外機の中にそこそこ大きいハチの巣があった模様、それを比企谷が突っついたのでハチが飛び出してきたのだ。

足長バチはこういったところに巣を作りやすい、ほおっておくと巣が肥大化しハチが大量に発生することがある、特に気温が高い日は要注意である。

 

「ちょっと!比企谷!シャレにならないって!千佳!何やってんの!逃げるよ!」

「おい、逃げる前に殺虫剤かせ!」

すでにハチはあたりに分散して比企谷たちの周りを飛んでいる、その為仲町は怖くて動けないでる模様

「ったくしょうがねぇ!」

 

比企谷は仲町がスプレーを持って硬直しているため仲町の手に自分の手をかぶせてスプレーを発射する。

「おい、そのままじっとしていろよ」

比企谷はスプレーを発射しつつ仲町を左腕で抱きかかえながら後退する。

どうにか家の裏手より脱出しそのまま仲町を抱えて引きずるように家の中へ

 

「ふーやばかったな、ってか折本、おまえ真っ先に逃げやがってひでぇ奴だな」

「えーだって怖いじゃん?あれ?千佳?どうしたの?顔が赤いよ?」

仲町の顔は真っ赤になっていた

 

「おい!顔刺されたのか?やばいな、ちょっと見せてみろ」

と仲町の顔をまじまじと見る比企谷だったが

「ち、ちがうから!大丈夫!かおりもちょっと黙っててよ!」

すぐ仲町は顔を伏せてしまった

 

「フフフ、千佳?あんたも隅に置けないなーどうしよっか?ねぇ比企谷?」

「何なんだよお前ら・・・それよかさっきツタ結構取ったからエアコン動くかもしんねぇぞ、どのみちハチがいるからしばらく行けねぇし」

とエアコンを動かしてみると

 

「あ!すごい!動いた!比企谷やるじゃん!ね!千佳!比企谷すごいでしょ!」

「う、うんありがとう、比企谷くん・・・」

 

うつむいたまま比企谷に感謝の言葉を述べる仲町

「お、おう、このぐらいならまぁな・・・それよか電気屋に連絡しとかねぇと来ちまうぞ?」

 

とまたコールセンターへ連絡してみるが聞いた番号は前回と同じもの

「あれ?前と同じ人じゃねぇか、まあいいかえーっと080の~」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「さて、次は仲町さんね、エアコンが動かないっと」

あちこち回っているのだが今日はやたらとお客間の移動距離が長い、やたらと距離が離れている客ばかりである、この仲町さんってところへ行くのにも時間かかりそうだと思ってた矢先

 

「おや?電話が?はい!〇〇サービスです、え?直った?室外機にツタが?はー成程、そうですね、動いたのであればそのまま使っていただいて、そうですね、草むしりした方がよろしいかと思います、では修理は取り消ししておきますので」

と電話を切る

 

「なんだかこの間もそうだったが、だれかわかる人が身内にいたのかね?しかし今の電話の声聞き覚えあるなぁ?誰だったか?気のせいかな?」

 

どのみち行かずに済んだので助かったと俺はカーナビへ次の客の住所を入力するのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「草むしりした方がいいってよ、めんどくせぇから除草剤買ってばらまけばいいんじゃね?」

「それあるー!比企谷さすが!ね!千佳!言ったとおりでしょ?」

 

「う、うん、比企谷くんってすごいね・・・大人っぽい・・」

「でしょ?比企谷?千佳がかっこいいってさ!」

「お前らはいったいなんなんだよ・・・もう俺帰るからな?あとはそっちでなんとかしろよ」

と比企谷は帰ろうとするが

「えー比企谷?ここまで手伝っておいてそれは無いんじゃない?ね?千佳?」

「うん!除草剤も一緒に選んでくれるとうれしいな・・・」

 

「よし!んじゃ一緒にホームセンターへ行こう!ほら比企谷行くよ!」

とやはり折本は比企谷をぐいぐいと押してホームセンターへ、除草剤の金は本来電気屋へ払うお金だったそうだ。

 

ホームセンターにて

「あたしよく知らないんだけどこんなに除草剤って種類あんの?マジウケるんですけど」

「比企谷くんはどれがいい?」

と仲町、しかもさっきから仲町は比企谷にべったりである

 

「俺もよくわからんから適当でいいんじゃね?ってか近すぎじゃね?」

「ほら千佳、もっとアピールしないとこの男は落ちないよ!」

と無理無理くっつけようとする折本

「おまえやめろよ・・・って・・・あ」

 

「比企谷くん?あなた何をしているのかしら?」

雪ノ下雪乃が現れた

 

あちゃーといった顔の折本とどうしたらいいのだろうといった顔の仲町

「いや、まあそのだな?こう折本の?友達?が困ってたんでな?」

「なんで疑問形が多いのかしら・・・あなたの存在も疑問形だわ・・・」

「いや意味が全く分からないのだが、それよりなんでお前がここに?」

 

「私はたまたまここに買い物に来たら、たまたま新設されたペットコーナーがあったからそこをしばらく見ていただけよ?本当にたまたまね」

ははあ、さては朝からペットの猫コーナーに張り付いていたんだなと思う比企谷

 

「そ、そうか、こっちは除草剤を買いに来ていてな?それ選んだら帰るから」

「除草剤?なんでそんなものを?」

 

「それはだな・・・」

とエアコンの室外機にツタが絡まっていた一件をかいつまんで話す

 

「!!!そう、そうだったの・・・エアコンは生活において大事ですものね、今回は不問にするわ、では私は買い物の続きがあるのでこれで失礼させてもらうから」

と足早にこの場を離れる雪ノ下

 

「ふぃー怖かったー、でも比企谷すごいね、うろたえないでちゃんと言葉返してたじゃん、ウケるね」

「あの人ものすごく怖いですね・・・」

「ウケねぇよ、でもまあよくわからんが明日部活で説教されることはなさそうだな」

「フフフ、浮気現場見られて不問にされるなんて比企谷信頼されてんだ」

「お前何言ってんだ?」

「これで千佳も比企谷の愛人2号だね、私が1号、なんだかウケるね!」

 

「愛人って・・・かおり・・・」

仲町の顔は真っ赤だ

「いやーだってさ、比企谷て付き合うとめんどくさそうじゃん?だから気が向いたら会うだけ見たいな?うわ!これ都合のいい女ってこと?マジウケる!」

「お前それ知ってる人の前で絶対言うなよ?マジウケないから、本当にやめてくれ」

と比企谷達はワイワイ言いながら除草剤を購入しにいくのだった。

 

「ツタが・・・その手があったわね!」

園芸コーナーにて雪ノ下は独り言をつぶやきながら苗を物色していた

「ツタといえばゴーヤね!グリーンカーテンと言われてるし何より食べられるので言い訳が立つわ」

ゴーヤの苗とプランターを購入する雪ノ下

 

「フフフ、これをエアコンの室外機にわざと絡まらせて・・・」

しかし雪ノ下は気が付かなかった、ツタが室外機の内部まで入り込むということはめったにないのだ、大体表面を伝っていくだけである、それに雪ノ下のマンションは常にエアコンが回りっぱなしである、風が出続けているところにツタは絡まないのだ。

鼻歌交じりにゴーヤの苗を植えていく雪ノ下だがそのゴーヤは普通に食べるだけのものになるということに気が付くのはもっと後の話になるのだった。

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