ある電気屋の記録   作:もよぶ

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CASE15 平塚家の洗濯機

「あれ?今日は平塚先生は休みか、珍しい」

現国の授業、本日は自習である。

 

放課後、奉仕部にて

 

「平塚先生、本日お休みだったでしょう?理由をご存じ?」

 

「ああ、そういや自習だったな、珍しいこともあるもんだな」

「あたし知ってる!平塚先生の家の洗濯機壊れちゃったんだって!だから今日修理の人がくるから休み取ったんだってさ!」

 

~~~~~~~~~

 

「さて、つぎは?平塚さんね、洗濯機が動かなくなったっと・・・追記があるな、音がしたから色々やったら動かなくなったって書いてるな、色々ってなんだ?」

 

色々やってみたというので一番多いのはボタン操作だが、最近の家電はボタン操作で色々なモードを設定可能なのだ、だが動かなくなるということはまずありえない。

 

テレビの場合サービスモードを立ち上げるとパラメーターを入力できる、これを適当に設定すると映らなったりすることはある、しかし大半の場合サービスモードは狙って操作しないと出現しないようになっているのだ、仮に意図せず出してしまったらコンセントを引っこ抜けば大体戻る。

 

「色々ねぇ、まさか叩いたとか?さて、このアパートか」

今時そんな人はいないだろうと思い目当ての部屋いくとインターホンを鳴らす

 

「ハーイ」

 

と出てきた平塚さん、長髪のなかなかの美人、タンクトップに短パンとラフすぎる格好で出てきた。

「洗濯機の件でお伺いしました・・・」

「待っていた、さあ上がってくれ!」

女性のお客を凝視すると今のご時世セクハラだのなんだのと言われ大変めんどくさいことになるのだが、この人スタイルいいのに格好がラフすぎるのでどこを見ていいかわからん、しかも美人である。

 

目のやり場に困りふと開けっ放しになってる奥の部屋に目が行く、なんかビールの空き缶が山のように転がっていて、机の上の灰皿はたばこで山盛りになっている。

 

ああ、もしかしてこの人残念な美人って奴か?

そう思うとなんか落ち着いてきた。

 

「こっちだ!この洗濯機がガラガラと変な音を出してたので色々やったら動かなくなって大変困っている」

そう言われて洗濯機を見せられるが

「あの、このへこみはなんです?」

洗濯機の正面が思いっきりへこんでいた。

よく見るとへこみ過ぎて若干割れてる模様。

 

「うむ!古来から言うであろう!家電は叩けば直ると、ゆえに叩いてみたが一向に音が止まらんのでな、蹴りを入れたら動かなくなってしまったのだ!」

 

いたよ・・・今時こんな人が

 

「はじめはカズマの真似をしてファーストブリッドをかましてやったのだが、ピーピー鳴り始めて止まらなくなってな?こう後ろ回し蹴りをしたら音が止まって動かなくなってしまったのだよ!」

と、この美人さん、カラカラと笑いながら、足を上げて蹴る真似をする、短パンなのですらっとした足が丸見えである、でもここ狭いから危ないですよ?

 

しかしファーストブリッドってアレか?スクライドの奴か?

確かストレイトクーガーの方は蹴りだった様な?

とか考えたが、そういうとこ突っ込むと話が止まらない客が多いのであえてサラッと流すようにしている。

見ず知らずの人にまで趣味のことをしゃべるような人は誰かに何かを話したくて仕方がない人が多い。

構っていると点検どころか何もしないうちに日が暮れてしまう。

 

ともあれあきれ半分で点検を開始、下をのぞいたらモーターのねじが取れモーター自体も通常ではありえない位置関係になっていた、洗濯機ごと放り投げたりしてもこうなるかどうか、無論こうなるともうおしまいである。

「これもう駄目ですね・・・モーターやられてますし、音が出なくなったということは基板も物理的に壊れますね、直すとかそういうレベルではないです・・・」

「やっぱり買い替えか!一度見てもらわないとなかなか諦めがつかなくてな!うむ!では早速買ってくるか!」

「え、ええ、でもまず出張費をいただけないでしょうか?」

「わかった!ちょっと待ってくれ!」

 

と奥の部屋に引っ込んでいったが、この人微妙に酒臭い、朝からずっと酒を飲んでいたのか?

「うむ、これで足りるであろう!、ところで電気屋さんは独身ですか?」

 

顔をみるとほのかに赤い、やばいマジ酔っ払いだ、酔っ払いは大変めんどくさい

「え?ああまあ・・・はい、確かに受け取りました、はい、ここにサインください」

言葉を濁して事務手続きをさっさと進める。

 

「独身ですか!あの、よければ・・・」

 

「ええ、どうも、では失礼しました!」

脱兎のごとく玄関から飛び出す、いくら美人だろうがなんだろうが酔っ払いの相手をしていたら際限がない、事務的に対応して逃げるが吉である。

 

「やれやれ、買い替えると言ってたからもう会うこともないだろう」

車に戻ると次の目的地を確認するのもそこそこに早急に現場を離れるのだった。

 

~~~~~~~~~

 

「平塚先生のことだから叩いて壊したとかじゃないのか?」

「まさか、今時そんな人いるわけないでしょう、由比ヶ浜さんだってそんなことしないわ」

「当然じゃん!ってゆきのんどういう意味!?」

 

「まあ、由比ヶ浜がおバカなのはこの際置いておいてだな、先生は動かなくなった家電平気で叩いてそうだからな」

「ヒッキー酷い!ゆきのーん慰めてー」

「由比ヶ浜さん?近いわ・・・そうね、家電を叩くなんて愚の骨頂ね、下手したら壊れるものね・・・」

「最も平塚先生のキレのあるパンチなら分かるが雪ノ下や由比ヶ浜が叩いたぐらいじゃ壊れんだろ」

 「・・・そ、そ、そうね!私が叩いたぐらいじゃ壊れないわよね!そうよね!」

 

「ゆきのん?何焦ってんの?」

「お前どうした?」

「な、なんでもないわ!それより!この間のホームセンターの件はどういうことかしら!?」

「お前、不問にするんじゃなかったのかよ・・・」

「え?ホームセンターの件って何?」

 

と騒いでる中、奉仕部の扉をノックする音が聞こえる

「ほら!きっと依頼者よ!二人とも落ち着きなさい!」

「落ち着くのはお前だろうが・・・」

 

扉を開けたのは鶴見先生だった。

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