ある電気屋の記録   作:もよぶ

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全館空調システムというのは聞きなれないものかもしれませんが、知り合いや友人の家に行ったとき、エアコンが全く見当たらない、でも何故か空気はひんやりとかあったかかったりとか経験ないでしょうか?
世の中色んな家電があるもんです。


CASE19 雪ノ下家の全館空調システム

「さて今日は・・・っと」

 

修理依頼内容を確認していると

「全館空調システムか・・・厄介だな・・・」

 

全館空調システムとは、家の中に巨大なエアコンが有ると考えてくれれば想像しやすいと思う。

そしてそこから家中にダクトを張り巡らし、温風やら冷風を流して家中どこにいても夏は涼しく冬は暖かいというものである。

かなりの高額な商品であるし、これつけるの前提で家を設計されるのでお金持ちの家によくついていたりするのだ。

 

ただこれが故障すると空調が効かなくなる、この手の家は全て空調システムに頼っているため、普通のエアコンも暖房も設置してない事が多く、場合によっては生活ができないレベルになる為早急な対応が求められる厄介なしろものではある。

 

「エラーが出て止まってしまったか・・・雪ノ下さんねぇ・・・建設会社の社長で県議会議員もやってるから対応には細心の注意を払うことって追記があるな・・・そういやこの間行った美少女と比企谷君がいたところも雪ノ下だったな」

 

まあ同じ苗字なんぞあちこちにいるだろうと対して気にもせず、出発の準備をするのだった。

 

~~~~~~~~~~

 

先日のこと

「陽乃!ちょっといいかしら?」

雪ノ下家午後の昼下がり、珍しく惰眠をむさぼってる陽乃に母が声をかける。

 

「んーなーにー?」

起き抜けでだるい体を引きずりつつ母のもとへ

 

「うちの空調装置の調子が悪いみたいだから築地に頼んで修理の人を呼んだのだけれど、遠方のお父さんの兄弟が倒られたられたらしくって早急に行かないといけなくなったのよ、電話では大丈夫と言ってたけど、挨拶も兼ねてお父さんと一緒に行ってくるわ、ついでに会社関係のところも回ってくるから数日留守になるのね、だからその間の対応お任せしてもいいかしら?」

 

「いいかしらって、嫌だとは言えないじゃん・・・築地さんも一緒行くの?」

「そうよ、それじゃあ陽乃、修理の人は明日来てくれるそうだからお願いしますね?」

「はいはい、いってらっしゃーい」

 

と母を見送る陽乃

「あー退屈だなぁ・・・丁度明日は土曜だしお父さんもお母さんもいないんだったら雪乃ちゃんを家に呼んでみようかな・・・でも普通に呼んでもこないしな・・・そうだ!比企谷君を餌に呼び出そっと!比企谷君にも会いたいしね!」

 

と陽乃はとあるところへ電話

 

「もしもーし?雪ノ下だけど?こんにちわー、ねぇ比企谷君いる?代わって?あーそうだ!代わるときは『雪乃さんから電話』って言ってね?番号映ってる画面も見せないようにね?」

 

陽乃は電話が代わるまでの間何度か咳き込み喉を整える

 

「・・・もしもし」

 

「八幡?私よ、大変なことが起きたの!」

「雪乃大丈夫か?今すぐ行く、マンションにいるのか?」

 

喉を整えた陽乃の声は雪乃にそっくりになっていた

 

「へー雪乃なんて普通に呼んでいるんだ・・・てっきり『雪ノ下が名前で呼ぶわけ無いだろ』とか言うんだと思ってたのに・・・」

「え?・・・げ!もしかして雪ノ下さん?くそ!小町の野郎・・・」

 

「ご名答ー、雪乃ちゃんにそっくりだったでしょ!練習したんだよ?それよりナチュラルに『雪乃』なんて呼んで二人に何があったのかなー?お姉ちゃん気になるなー」

「なんもありませんよ・・・なんでそんな無駄な練習してるんですか・・・切りますね・・・」

 

「ちゃんと避妊はしたんでしょうね?」

 

「ブー!!!!」

 

盛大に吹き出す声が聞こえる

「ちょっちょっと何言ってるんですか?俺はただ、雪ノ下の部屋に上がって修理の立ち合いしただけで・・・あ!!!」

「へーやっぱり雪乃ちゃんの部屋に行ったんだ、ガハマちゃんも連れずに?二人っきりで?へー、これは問いただす必要があるわね?家にきて事情を説明しなさい、大丈夫よ、お父さんもお母さんもいないから、ついでに私と一線超えてみる?」

 

「結構です、わかりましたよ・・・行けばいいんでしょう?」

 

「そうそう、下手したら君が住むことになるかもしれないんだから一度は見てくれた方がうれしいな、あー家の場所?小町ちゃんが知ってるけど二人でちゃんと来なさいね」

そう言うと陽乃は電話を切る

 

「ふふふ、久々に退屈しない週末を過ごせそう」

 

~~~~~~~~~

 

「ここか・・・家がでかいと駐車場も広いから車が止めやすくて助かるな」

サービスカーを止め、インターホンを鳴らす

 

「はーいどうぞー」

出てきたのはこれまた美人な人だ、なんかすげぇオーラ的なものを感じる、芸能人か何かだろうか?

「どうぞおあがりください、こっちです」

と空調装置のところに案内される、故障の内容はエラーコードをリモコンに表示した状態で止まってしまったとのこと。

 

「わかりました、では点検させていただきますが、機械は家の中と外と天井裏にありますので家を出入りしたり、場合によっては部屋に入ることもあるのでその辺ご協力ください」

 

初めにこれ言っとかないといちいちお客を呼び出さないと家の出入りが出来なかったり、部屋に入ろうとしても部屋が散らかってるからと待たされたりと色々面倒なのである。

ともかく了解を得て点検開始だ。

 

エラーコードは機械の基板間の通信異常だった、まず室外機を見てみるか

 

外に回る、空調システムの室外機は普通のエアコンより大きい、ばらしにかかるがちょっと開いた窓から家の中の声がする

 

「さーて、んじゃあいいわけを聞こうか?」

さっきの美人さんの声か?

なんかただならぬ雰囲気だな

 

「ですから、雪ノ下んとこの洗濯機が壊れたからその修理の立ち合いに行っただけですって」

「そうよ姉さん、彼には立ち合いをお願いしただけよ?姉さんが想像しているようなことは一切してないわ!」

 

洗濯機が壊れた?立ち合い?察するに妹さん?ここって雪ノ下って家・・・まさか奴か!

 

「あれーいつもみたいに『雪乃』『八幡』って呼び合っていいのよー?」

やっぱそうだ、察するに妹さんは一人暮らしかなんかだったのだろう、そこに男と二人っきりでいたので姉が心配してやらかしてないか尋問しているのか?

 

まあ確かにああいうことをいていたなんて想像なんてできるわけが無いから嘘はついてないと思うが、しかしそれ以上だよな、でもこういうのは家族間の問題だし、お客のプライバシーに関わることだから俺は何もしゃべらん。

 

そんなことを思いつつ次は天井裏の送風ユニットを見に行く、幸い廊下の点検口の裏にあった。

ただこの送風ユニットは各部屋にダクトでつながっている為全部屋の声が嫌でも聞こえるのだ。

 

「だから電気屋さんがいつ来るかわからなかったから、比企谷くんには朝からいてもらったのよ、家から出るわけにはいかなかったら、一緒に映画を見たりご飯を作ったりしただけよ・・・」

あれれー?朝アポ取ったときに最後にしてと言ったのはあなたですよー?

確かにいつになるかは分からないけどさぁ

 

「そ、そうですよ、なんもないですって」

比企谷君必死だな、まああんなのがバレたら切腹物だよね

 

「ふーん、怪しいな?映画見たりご飯食べた後何してたの?電気屋さん来たの夕方の遅い時間って言ってたよね?」

「それは・・・猫の・・・」

「そう!猫の動画を一緒に見てたんです!」

 

「・・・まあ雪乃ちゃんは猫が好きだからね・・・でもねお姉ちゃんは心配なの、雪乃ちゃんかわいいでしょ?いくら君が理性の化け物でもさ・・・」

「姉さん、この男はリスクリターンをきちっと考えられる男よ?」

なんか聞こえる、本当か?

その場の勢いじゃなくて計画的だったら?準備ができてたらやっちまうのか?

と思っていたがここから超展開が始まる。

 

「ふーん、本当かなぁ?理性の化物の度合い試してみようか?ねぇ雪乃ちゃん?」

「ちょっと雪ノ下さん近いですよ?」

「陽乃って呼んでくれなきゃいじわるするぞ?さ、雪乃ちゃんもこっちへおいでよ・・・そうそうそこにこうやって・・・」

 

「ちょっと二人とも・・・ってそこは・・・」

「姉さん・・・」

「大丈夫、お父さんもお母さんもしばらく帰ってこないから・・・二人とも、今日は泊っていいのよ?」

 

「・・・あ!八幡!」

ドアを開ける音が聞こえると走ってる音も聞こえる、どうやら比企谷君逃げ出した模様

 

どこかの部屋の扉が開いて閉じた音が聞こえる

「しばらくここでやり過ごすか・・・しまったな・・・まだあの件はうまくごまかしたからばれないと思うが・・・」

比企谷君どっかの部屋に隠れたようだな、声だけは聞こえる

 

「比企谷くーんどこー?」

「姉さん、もういいでしょ・・・」

「良くないわよ?雪乃ちゃんばっかり比企谷君と二人っきりで過ごしたんでしょ?私も比企谷君と過ごしたいな、一緒に遊びたいもの」

 

「姉さんの場合は比企谷くん『と』ではなく比企谷くん『で』でしょ?」

「ご名答ー、でもうーん、やっぱ呼び方かえよっか?はちまーんどこかしら?」

すげぇ最後の方声が妹さんとそっくりじゃねぇか

「はちまーん、おねえちゃんが私にいたずらしてくるのー八幡出てこないと大変なのー」

しかしこんなんで引っかかるアホはいないだろ・・・

 

「雪乃!大丈夫か?陽乃さんもう勘弁してくだ・・・あ・・・」

 

いたよアホが・・・

 

とにかく天井裏の送風ユニットは問題なかった、室内機と室外機の基板っぽいな、なんかどっかの部屋に比企谷君は連行されている模様だが俺は俺の仕事しないとな。

 

室内機の基板を取り替え試運転すると・・・

 

「動いた・・・よし、でも室外機の基板も交換するから結構かかるな、金の了承もらわんとな」

エアコンなどの空調装置は室内機と室外機で通信しながら制御を行っている、また同じ機械内部でも複数の基板があり、それぞれの役割を持っているのだが何故か一部の基板が壊れると連鎖的に別な基板も壊れる、といった共倒れ現象ということが結構ある。

電子電気回路に詳しい人からするとありえないだろといいたくなるような現象も修理業界では普通に起きるのだ。

やはり理論や計算ではわからんことはこの世に多い。

 

というわけで修理料金の了解を貰いに行きたいのだがどこにいるんだ?

「ちょっと!陽乃さん!やめてください!」

「えーいいじゃん!」

 

こっちの部屋から揉めている声がするな、ノックをして返事を待つ

「はい?」

美人さんが出てきた

「あのー修理の料金・・・」

といったら

「ああ、直してもらえば結構ですので、お金はかかった分だけ請求してください、請求書送ってもらえば払います」

なんか微妙に不機嫌そうだ、邪魔されたからか?

 

「は、はあ、わかりました、しかし結構かかりますが?」

「大丈夫です、買い替えるより安いでしょう?終わったら声かけてください、それじゃあ」

と一気に言われてドアは閉じられる、ちらっとみた中では比企谷君がどっかに電話して助けを求めようとしているが・・・?

 

まあほっとくか、あんな美人に囲まれてるんだから男冥利に尽きるだろ

と思うと室外機の基板を交換しに外へ出る、この室外機、変なところに基板が付いてるので交換にえらく手間がかかる

「毎度思うんだがこれ設計ミスとしか思えんのだが?クソが!」

ぶつくさ言いつつ作業開始をするのだが、やはりちょっと開いた窓から室内の声が丸聞こえだ

 

「おやー?八幡くん?携帯で何しようとしてるのかな~?」

「何でもないですよ・・・」

「そういえばお姉ちゃんの連絡先入れておかないとね!雪乃ちゃんといつも愛のメッセージ交換してるんでしょ?お姉ちゃんも混ぜてよ」

「してませんって、はい、これ渡すんで自分でやってください」

「ありゃ、自分から携帯渡す人初めてだわ」

「見られて困るようなものは入って・・・あ!」

「ちょっと!は、八幡!」

 

「え?ふーんそう?」

「姉さん、今すぐそれ返しなさい!」

「ちょっと陽乃さん!やっぱ駄目です!」

 

なにやらドタバタが聞こえるがしばらくすると

「へーずいぶんと長時間録画している動画があるね~いったい何を録画してるのかな~雪乃ちゃんとの『初めて』の動画かな?」

「ち、違うわ!姉さん!」

「もう遅いよ?ポチっとな」

 

『にゃにゃにゃー』

『ゆきにゃんほら猫じゃらしだぞー』

 

「あの二人終わったな・・・」

作業しながら俺はため息をつく、初体験よりクソ恥ずかしいだろ、あんなん見られたら自殺もんだ

 

「何これ・・・」

 

『ほらゆきにゃん、クッキーだ、食え』

『たべさせてにゃん?』

『このいやしんぼめ、もっと欲しいか?』

『ほしいにゃん、意地悪しちゃいやなのにゃ?』

 

「これちょっと想像以上なんだけど・・・雪乃ちゃん?いくら猫が好きとはいえ・・・」

 

「違うの!近所の野良猫の為に猫グッズを買っておいたのよ、八幡は猫を飼っているでしょう?だからその猫グッズの正しい使い方を教えてもらってたのよ!正しい使い方をしないと猫さんに失礼でしょう?」

「そ、そうです!雪乃の為に猫グッズの使い方をですね・・・それにあのクッキーは猫用では無く人間用です!問題はありません!」

 

「仮にそうだったとしても、猫耳と首輪は無いんじゃないかな・・・それに問題はそこじゃないし・・・」

あきれた感じの声が聞こえる、俺もそう思う

 

「ってか今日荷物持ってきたけどもしかしてそれが猫グッズ?」

「そうよ、ここに来る途中猫さんがいたら相手をしないといけないじゃない?残念ながら遭遇はしなかったのだけれど」

「それにしてはそのグッズ多すぎでしょう・・・何匹相手にするつもりよ・・・」

 

『雪乃・・・俺もう駄目かもわからん・・・』

『どうしたのにゃ?』

 

「なんか後ろ向いてる雪乃ちゃんのお尻に近づいて行ってるんだけど・・・あ、携帯放り投げたのかな?画像が乱れてるけど」

 

『雪乃!』

『きゃ!八幡!・・・駄目っ、あッ・・・』

「ちょっと!ひきぎゃやくん!あんた何をしたの!?声しか聞こえないけど猫耳雪乃ちゃんに襲い掛かかってるんでしょ!鬼畜よ!アブノーマルよ!雪乃ちゃんが普通にできなくなったらどう責任取るのよ!」

「姉さん!落ち着いて!素が出てるわ!あと八幡の首絞めないで!死んでしまうわ!」

「でもこれって!」

 

そういや『八幡くん』って呼ぶんじゃなかったのか?

もうふざけている場合じゃなくなってる感じだな

 

『ピンポーン』

インターホンの音がするな、もしかして俺がちょうど来た時か?

ははあ成程だから出るのが遅かったのか

 

『うふふ、ちょっと熱が入りすぎてしまったわね?』

『すまん・・・』

『あなたはリスクリターンを考えられる人でしょう?今のは無かったことにするから対応お願いね?子悪党さん?』

 

「カメラに映っているのは天井だけど雪乃ちゃんには結局何もしてないのよね?雪乃ちゃん?なかったことにしたからといって嘘をついていないってことにはならないんじゃないかな?」

「な、何のことかしら?私、嘘はついてないでしょ?姉さんの想像しているようなことはしてないのだし」

「いやそれはたしかに・・・いやそうじゃなくて・・・」

 

それから俺が到着し対応、洗濯機のところでの例のドタバタが始まる

 

『やれやれ、片づけておいてほしかったなぁ』

『慌てて落としたのか?』

『まあ下手に触らん方がいいな、目立つところに置いといてやるか』

 

と声がするたぶん携帯を目立つところに置いたときの様子のようだ

 

「電気屋さんの声ね・・・」

 

洗濯機のところでの例のドタバタが始まり、しばらくすると

「比企谷くんの頭!」

またお姉さんの叫ぶ声が、そういや面倒だから指摘しなかったんだよな比企谷の頭のパンツ

「比企谷くん・・・雪乃ちゃんと一体なにをしていたの?」

 

『ふー見られて困るんだったら片づけておけよな』

『あなたにあんなに見られるなんて・・・』

『そういえば猫が服を着てるのはおかしいよな?』

『八幡?エッチなのは駄目よ?バカ・・・あ、頭に・・・』

『う、これって・・・雪乃の・・・すまん』

『いいのよ、さっき死ぬほど見られてしまったのだし・・・』

 

「ちょっとどういうこと比企谷くん!死ぬほど雪乃ちゃんの下着見たの!というか雪乃ちゃんを裸にして猫耳とか!何を考えているのよ!」

「いやだからそれはあの・・・グェー」

「姉さん!八幡の首!首!」

しどろもどろになっている比企谷君、どうやらまた首を絞められてる模様

 

点検が終了して俺が部屋から出た音がする

『またしばらくあなたは雪ノ下・・・八幡』

『そしてお前はゆきにゃんだな・・・』

『エッチなのは駄目よ?』

『全力で努力する』

 

とまた猫グッズを取り出し二人で猫ごっこにまた興じているようだ、カメラが室内全体を撮影しているためか、猫ごっこの詳細が手に取るようにわかるのであろう、お姉さんはいちいち突っ込みを入れてどんどん疲れてきているようだ

「比企谷くん!雪乃ちゃんを完全に猫と同じように扱っているじゃない!」

「ま、まあそりゃ猫役ですから・・・」

「雪乃ちゃんのあんなにいい笑顔私見たことないんだけど・・・」

 

「も、もういいかしら・・・」

「もういいわ・・・これをあと一時間近く見るのは拷問だよ・・・」

 

なんかへとへとになっているな、しかし一時間も携帯あのままで気が付かなかったのか?

どんだけ夢中だったんだよって話だな、まあなんか面白かったし基板もうまい具合に交換できたからいいかな?

さて原状復帰して試運転だなと室外機を元に戻してまた室内へ。

 

「よし、きちんと動作しているな、エラーも出てないし、やれやれやっと終わった、さてあとは片づけてっと」最後にサインもらっておしまいだなと撤収準備をしていたら、比企谷君たちが部屋から出てきて唐突に怒鳴り始めた。

 

「いいですか!陽乃さん!雪乃が!学校一位の美少女が猫耳をつけてるんですよ?冷静でいられると思いますか!?陽乃さんだったら雪乃が猫耳つけてにゃんとか言ってきたらどうします!?」

 

「いやまぁ閉じ込めておきたいぐらいにかわいいけどさ・・・」

 

「ほら!陽乃さんでもこう思うんだ!俺でもそう思うにきまってるますよね?!まったく話なりません!雪乃!陽乃さんは話ならん!帰るぞ!」

「そうね!帰らせてもらうわ!」

ばたんと玄関のドアを閉めて二人とも外に出てしまった

すれ違う時に

「作戦成功」

とぼそっと聞こえた、ははあ切れてその場をごまかしたってわけか、でもそんなん通用するのか?

 

美人なお姉さんはしばらくぽかんとしてたが

「・・・ハッ!!駄目よ!ちょっと!まちなさい!」

 

ちょっとお姉さん、裸足で外に出ていくなんてどこの陽気なサザエさんですか?

まああなたの妹ある意味猫だし、比企谷君は死んだ魚みたいな目だし・・・あ!ちょうどカツオみたく姉さんって言ってるじゃん!やっぱり愉快なサザエさんだな。

と至極どうでもいいことを考えてたが大事なことを忘れてた

 

「そういやサイン貰ってねぇな・・・」

外を見ると自転車に二人乗りした比企谷君と妹さんをお姉さんが全力疾走で追いかけていた。

「まちなさーい!こらー比企谷止まりなさーい!お姉ちゃんとも・・・」

やはりドップラー効果で最後は聞こえなかった。

 

「まあ終わったからいいか、請求書もあとで郵送しようっと」

と思ってたが流石に鍵をかけないまま不在にして帰るのはまずい、面倒だが携帯に電話するか。

走ってたみたいだがまあいいだろと電話してみる。

「はい雪ノ下です」

「あのー終わったんですが私どうしましょう?このまま帰ってもいいですか?」

 

「ええ、そのままでいいですよ?こっちも終わりましたんで、ねえ比企谷くん?雪乃ちゃん?」

さっきのお姉さんだが声の感じがまるで違うなんか怖い

 

「ちょっとマジで!自転車片手で止めるとか異常でしょう!」

「姉さん!おろしてよ!」

携帯から悲鳴が聞こえる

 

ふと門から外を見ると妹さんを肩に担ぎつつ比企谷君ごと自転車を引きずりながらこちらに歩いてくるお姉さんが見えた。

 

おいすげぇな、アレが修羅かとぼーっと見てたらあっという間に近づいてきた

「電気屋さん?請求書は郵送でかまいませんから・・・こちらはこれから忙しくなるので・・・ねえ?二人とも?今日は泊っていくんでしょ?比企谷くんは寝かせないからね?雪乃ちゃんも覚悟してね?」

 

なんか言ってることは艶っぽいがお姉さんからはすごい闘気を感じるんですが

 

「ではご苦労様でした」

ものすごい笑みを浮かべてお姉さんは妹を担ぎ比企谷君を引きずりながら家に入っていった。

ちなみに自転車は片手で放り投げてた。

「新しいの買ってあげるから、それまで帰れないね?」

だそうだ

 

比企谷君から助けてといった視線を送られるがそれは俺の仕事じゃないからなぁ、あんな美少女の妹捕まえて猫プレイを散々楽しんだんだから姉の相手もしてやれよ。

 

「やれやれ、そういや前は親子丼だったか?今度はどうなるんだ?姉妹丼か?でもまあそういった雰囲気ではないよな・・・おしおきされるのかね?」

 

美人にお仕置きとかご褒美かなぁと思い彼女が鞭を奮ってる様子を想像する。

「なんか容易に想像できてしまうところが怖いな」

比企谷君は新たな性癖の扉が開いちゃうなと思いつつ車を発進させる。

門から出てしばらく走っていると

 

「なんか歩道を一生懸命走ってる女の子がいるな・・・」

女の子が二人、歩道を全力疾走してこっちに向かってきている。

どこかで見覚えがあるような・・・?

まあいいか、と思い

「姉に猫プレイを見られたから×月〇日は性癖解放記念日」

もはや俵万智ですらはぁ?といった顔をされそうな短歌をつぶやきながら次の客へと脱力感を感じながら向かうのだったが

 

 

~~~~~~~~~

電気屋が帰った後

 

「さあ比企谷くん?雪乃ちゃん?楽しみましょうか?まず雪乃ちゃんは猫耳ね?比企谷くん・・・じゃなかった八幡も猫耳つけて?」

 

「なんでこんなの持っているんですかね・・・ってか何始めるつもりですか」

「あれれ?語尾に『にゃ』を付けない悪い猫はどこかな~?だって雪乃ちゃんばっかりずるいじゃない?はじめはアブノーマルかなと思ったけど雪乃ちゃんすっごく楽しそうだったから私もやりたくなっちゃった」

「やりたくなっちゃったって・・・」

 

「ほら雪乃ちゃん?着替えてきましょう?実は似合う服もあるのよ?」

「なぜ姉さんそんな服を・・・」

「それはトップシークレットよ?ほらほら!早く着替えて!」

しばらくすると白っぽいメイド服に着替えて出てきた猫耳雪乃と黒っぽいメイド服に着替えた猫耳陽乃が部屋から出てきた。

「に、にあうかしら・・・八幡?」

「お、おう・・・雪乃、すっげーいい・・・」

「ふふふ、八幡?雪乃ちゃんばかりじゃなく私はどうかなー」

「は、はい陽乃さんも素敵ですね・・・」

 

「ふふふ、今日はちょっと寒いでしょう?でも家の空調システムは廊下もあったかくなるのよ?家全部使って楽しみましょ?」

 

電気屋の予想を裏切り猫グッズをぶちまけた雪ノ下家では夜通し猫耳の宴が繰り広げられるのであった。

そんな中理性の化け物こと比企谷八幡がはたして理性を保てたのかどうかは不明であるが新たな性癖には目覚めてしまったのは間違いないのであった。

 




次は総武高校へお邪魔します。
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