数日後
「比企谷ちょっと」
珍しく相模が教室で話しかけてくる、しかし面倒ごとは御免なので寝たふりを続ける比企谷だったが
「寝たふりしてるのわかってるんだからね、ちょっと話があるから廊下出て」
簡単に見破られてしまい仕方がないので廊下に出る羽目になる
「あんた家電の修理詳しいんだって?」
「あ?どっからそういう話が出たんだ?詳しかねぇよ、ただ依頼して立ち会ったことがあるってだけだ」
「あっそ、まあどっちでもいいや、あのさ、うちの部屋のテレビ壊れて映らなくなったんだよね」
「ああそうか、んじゃ修理依頼をかければいいだろこれで解決だな」
そう言うと逃げるように教室に入ろうとするが相模がするっと目の前に回り込んでくる
「話し終わってないんだけど?んで修理依頼をうちのお父さんにかけてもらって修理の人が今週の土曜日来てくれることになったんだけど、うちの両親急遽仕事入ってさ、うち一人だけになるんだ・・・」
「ああ?なんか問題あんのか?」
「大ありでしょ!知らない人が家に入ってくるんだよ!しかも部屋に二人っきり!やばいでしょう!」
「やばくない、向こうも仕事だからな、お前が考えてるようなことは起きない、以上だ、じゃあ俺は忙しいから」
とまた逃げようとするが今度は腕を掴まれて引き止められる
「ちょっと待って!万が一ってのがあるでしょ!それに比企谷は結衣の時にはいろいろしてあげたらしいじゃん?うちのことも助けてよ!」
「離せよ・・・誰かに見られたら勘違いされるだろうが、大体葉山あたりに頼めばいいだろ、なぜ俺に」
「勘違い?そんなの別にどうでもいいでしょ!それより葉山君にこんなくだらないこと頼めないよ!あんたでちょうどいいの!いいから今週土曜日!午前中にくるって言ってたからよろしく!」
そのまま強引に連絡先と家の住所を教えた相模はさっさと教室に入って行ってしまった。
「なぜだ・・・」
何やらなし崩し的に相模の家に行くことになった。
ちなみに由比ヶ浜と雪ノ下にこのことを話したら
「ヒッキー、さがみんの家で二人っきりで何するつもりなの?」
なんか目のハイライトが消えてるんですけど、ただ修理の立ち合いをするだけなんですけどね・・・
「今度は相模さんのうちの子になるのかしら?」
またプイっと横を向く雪ノ下、なんでそんなに不機嫌なんですかね・・・
~~~~~~~~~~~
さて次は?えーっと・・・
俺はカーナビに住所を入力し次なる目的地の相模家へと向かう
「午前中って指定だからな、急がないと」
そうこう考えてるうちに相模家へ到着
「さて、テレビの電源が入らないだったかな?」
道具を持ち出してインターホンを鳴らす
「ハイ・・・」
「えーすみませーんテレビの修理でお伺いしましたー」
「ちょっと・・・ひき・・・あんたが出て・・・なんで俺が・・・」
何やらインターホンの向こうでは揉めてる様だ
「あのーすみません?」
「ちょっと待ってください」
男の声に切り替わりしばらくするとドアが開かれる
「どうもーよろしくおね・・・がいします・・・?」
あれ?こいつ見おぼえあんぞ、なんか先週も見たぞ確かヒッキー君だっけ?いや待てよ、その前も見たぞ、確か本名はひきがやじゃなかったか?
「あーえーっとよろしくお願いします、えーっとこっちです」
二階へ上がり部屋のドアを開けるといかにも女の子風の部屋である。
女性の修理依頼の際、彼氏が一緒に立ち会うってのは別に珍しいことではない、珍しくはないのだが、こいつ先週別な家にいなかったっけ?二股か?
「えーっとこのテレビがー・・・おい相模、このテレビがどうしたんだっけ?」
「だから説明したじゃん、電源はいらないんだって」
「・・・お前が説明しろよ・・・おまえんだろうが・・・」
なんだこれ?恋人にしちゃ殺伐としてんな?
なにやらこの二人厄介そうな関係である。
「ま、まあ電源がはいらないんですね、確認しますねー」
俺はコンセントを確認して本当に電源が入らないのを確認する
「あーこれは基板ですねー、部品は持ってきてるのですぐ作業できますからねー、保証もあるので大丈夫ですよー」
販売店の延長保証、テレビは大体5年である、さっそく作業を開始するが、テレビを立てたままではやりにくい、テレビの足を外して倒して作業をする方が基板を入れ替えやすいのだ、しかし広い場所を必要とする上にお客からも丸見えである
「へーテレビの中ってこうなってるんですね」
「うちも初めて見た、意外とスッカスカなんだ、あ!写真撮ってもいいですか?」
まれにこういう人もいる。
こういう場合別に企業秘密でも何でもないので好きなだけ写真を撮らせるようにしている
しかし今回はテンションが若干上がりすぎている感じだ、女の子の方がスマホを取り出して撮影しまくってる、そのうちテレビの基板を背景に自撮りを始めやがった。
「ほら比企谷も一緒にとろうよ!」
乗り気でなさそうな比企谷君を引っ張り二人で自撮りを始めた、テレビの基板を背景に自撮りとか前衛的すぎるな。
ひとしきり撮って満足したのか撮った写真を確認し始めた。
「では作業させてもらいますねー」
作業自体は基板の入れ替えなのでねじを外して入れ替えるだけ、壊れた基板は案の定部品の一部がやられてた。
後ろの方ではまた二人がもめている
「これ結衣や雪ノ下さんに見せてみようかなー、面白い感想もらえそう」
「好きにしろよ・・・」
「・・・へぇーいいんだ?んじゃあうちがこの後比企谷に襲われたって一言付けて見せてみるね」
「おいバカやめろ、俺を死なす気か」
「冗談だって、必死すぎ」
恋人ではないのか?
しかもアレかこいつはこの間の由比ヶ浜さんだっけ?それ以外にもまだいるのか?
なにそれモテすぎだろ青い春満喫しすぎじゃね?
「んじゃ早速結衣に送ってみようかな?」
「おいマジでやるのか?」
「えー好きにしろって言ったじゃん?どうしようかなー?そんなに送ってほしくなければ力づくで奪ってみれば?あー比企谷じゃ無理かー」
「おまえ・・・」
なんか後ろでバタバタと揉めてる音が聞こえる。
「えー作業終わりましたんでこちらにサインを・・・」
と振り返ると二人でつかみ合いながらスマホを奪い合っている、比企谷君がどうにかスマホを奪い女の子に邪魔されながら猛烈な速度で写真を消してる模様。
やたらと絡んでる様はどうみても恋人同士にしか見えんのだが、こちらに気が付くと我に返ったのかさっと二人は離れる。
「は、はい!えーっとこちらにサインですね」
比企谷君、君がするのか・・・サインが比企谷になっているけどまあいいか
指摘するのも面倒だったのでそのままだ。
「あ!んじゃ俺も帰るわ」
比企谷君も一緒に出ようとするが女の子に呼び止められる
「あ、ちょっと比企谷、うちでご飯食べてってよ、作りすぎちゃって・・・あの・・・」
「わりぃ午後から用事あんだわ」
「そっか、ゴメン」
落ち込む女の子だったが
「・・・用事は夕方からだから、それまでならかまわんが・・・」
比企谷くんがこう言ったとたんに女の子の表情が一変
「本当!んじゃ一緒に食べよ!うち最近パスタに凝っていてさー、ミートソース手作りしてみたんだよね」
「げ!俺トマト苦手なんだが」
「大丈夫!苦手な人でも食べられるよう工夫してみたからさ・・・」
「なんでそんな工夫する必要が・・・」
「ラブコメかよくそが」
二人がワイワイ言いながらまた家の中に消えたのを見届けサービスカーに戻った俺はぼそりとつぶやく
結局言い訳をして逃げようとした比企谷君は二人で昼食を取ることになったようだ。
「まったくこっちは落ち着いて飯食ってる暇なんてないっつーの、えーっと次はっと、材木座さんか・・・この人もテレビだな・・・」