一色家に比企谷がお邪魔した次の日の奉仕部
「ゆきのんその手どうしたの?」
雪ノ下の手には包帯が巻かれていた。
「ちょっとぶつけて腫れてしまったのよ、大丈夫よ、大したことないから」
しかしかなり痛々しい
「本当に大丈夫か?」
比企谷も流石に心配そうだ。
「大丈夫よ・・・」
「ならいいけどよ・・・」
心配する二人に隠れてボソッとつぶやく雪ノ下
「なんで日本の家電はこうも頑丈なのかしら・・・全然壊れない・・・」
奉仕部の扉をノックの音がして返事をする間もなく奉仕部に顔を出したのはあーしさんこと三浦と海老名さん
「ヒキオいる?」
「結衣~はろはろ~」
「優美子に姫奈どうしたの?」
「ん、ヒキオに用事あるんだし」
と比企谷の方へ
「ヒキオ、週末用事ないよね?うちまで来てほしいんだけど」
「は?なんで俺が・・・しかも用事無いの前提かよ」
「あーしの家のIHなんとかっていう電気コンロが壊れた、修理呼ぶからヒキオ立ち会うし」
「いやそれ俺全然関係ないよね?」
「三浦さん?流石に理由を離さないといくらそこの男でも納得しないと思うのだけれど」
雪ノ下と三浦はお互いに睨み始める。
二人の背後に火山と氷山が見えるぐらい雰囲気が殺伐としてきたため海老名が割って入る
「あのね、修理の人呼んだんだけどその日優美子の家ってちょうど両親がいないらしくって、それで前に結衣からヒキタニくんがそういうのに詳しいって聞いたからお願いしに来たんだよ」
「葉山に頼め、俺は嫌だ」
「は?隼人にこんなこと頼めないっしょ?ヒキオでいいんだし、一色って一年の生徒会長の家にも行ったらしいじゃん?今日廊下で会ったときに隼人にそんなこと話してるの聞いた、あと相模もヒキオの事を自慢げに話しててウザいし、んで来るの?来ないの?」
「サキサキもヒキタニ君のこと褒めてたよ?ついでに私もうちのエコキュートっていうのが壊れてお風呂入れないから同じ日に修理依頼してるんだ、だからついでにヒキタニ君家にも来てよ」
「なぜ俺が・・・」
「ヒッキー、優美子達困ってるみたいだしあたしが言うのもなんだけどお願いできないかな?」
「なぜ他の人ばかり・・・っく!なぜ私の家電は壊れないかしら」
雪ノ下はこめかみのあたりに手を当てて深いため息をつく
「あ?お前何ってんだ?」
「何でもないわ!ふん!比企谷くんは日替わりで女子の家に上がり込んで何をしているのかしら!好きにするといいわ!」
「おまえ何拗ねてんだよ・・・訳が分からんな」
「比企谷くんが悪いのよ!」
ぷいっと横を向く雪ノ下、それを見て三浦はニヤっとして
「ヒキオ、家に来きたら、あーしが二人っきりでいいことしてあげるし」
それを聞いて雪ノ下は完全に後ろを向いてしまう
「なんかうちの部長さんがご機嫌斜めになるからそれ以上しゃべらないでくれますかね・・・」
「ふっ、勝った!」
ガッツポーズをする三浦
「何にだよ・・・しかし一色にも口止めしとかないとな、あいつめ・・・しかたねぇ立ち会うだけだからな」
なし崩し的に二人の家に行くことになった比企谷だった。
~~~~~~~~~~~~~~
「さてと午前中は三浦さんの家ね、IHクッキングヒーターの天板割っちゃったかー」
電磁調理器ことIHクッキングヒーターは鍋を乗せるところが強化ガラスでできている、しかし年数がたってくると流石に弱くなるのか鍋を落としたりすると割れることがしばしある、保証に入っていてもこれは実費である、猛烈に高額ではあるが買うよりは微妙に安い。
「ここか、さてと」
インターホンを鳴らすと玄関が開く
「また君か・・・」
つい口から出てしまう。
多分相手も同じだろこと思ってるだろうね、出てきたのはまたもや比企谷君。
遭遇率高すぎたろう。
家にあげてもらいキッチンへ、そこにはやけに短いスカートをはいた女の子がいた、しかも金髪縦ロールだ。
あんな髪型アニメでしか見たことねぇぞ、しかも最近の若い女の子の服装はよくしらんが随分派手な恰好のように見える。
あれがギャルというものなんだろうか?
あんまじろじろ見ると誤解を招くのでちらっとしか見てないが、それでも女の子からは何見てんだよと言った鋭い視線が飛んできているのがわかる。
ちょっと怖い。
「え、えーっとこれですか?」
キッチンに埋め込まれてるIHクッキングヒーター、天板には何か落としたのか思いっきりひびが入ってた。
「え、ええそれですね」
「交換となると料金は事前に連絡した通りで、〇万円かかりますがやってもよろしいですか?」
明らかにやることが決まっている場合はあらかじめ料金を連絡しておく、承諾が取れてるからこうやってきているわけだが、一応確認は必要だ
「ん」
女の子が比企谷君に目で合図をしている
「え、ええいいそうです、お願いします・・・」
許可が出たのでさっそくとりかかる、IHはキッチンに埋め込まれていて一見外れないように見える、しかし穴に落とし込んでいるだけなので簡単に取り出せるのだ。
取り出せるのだが、取り出した跡は油汚れですごいことになっているのがセオリーだ、無論この家とて例外ではない
「うわ!ヒキオ、ちょっとこれ拭いて」
「え?マジで?俺やるの?三浦がやれば・・・」
「は?服汚れるじゃん、いいからやって」
「マジかよ、なんで俺が・・・いいことするんじゃなかったのかよ・・・」
しぶしぶ洗剤と雑巾で油汚れを拭きまくる比企谷君、なんか女王様と下僕って感じだな。
ってか今いいことっていったか?
こいつマジで何するつもりなんだ?
「ふーん、そんなにヒキオはあーしと『いいこと』したいんだ?ふーん・・・」
「ちょっとマテ今のは言葉の綾でな?」
あたふたとする比企谷君、そんなに焦るなら言わなきゃいいのに
作業自体は大した時間もかからず終わる。
比企谷君の方は油汚れをかなり取ってきれいになっていた。
流石比企谷君、女王様も汚れがきれいに落ちて満足気な表情だ。
「ヒキオやるじゃん」
お褒めの言葉を貰ったようだな。
「はーい、じゃあ取り付けますねー、よいしょっと」
IH本体を穴に収めてコンセントを刺す、動作確認をして終了だ。
「えーっと料金はー」
というと
「ん」
女王様が比企谷君に料金が入った封筒を渡している、比企谷君はそれをこちらに渡してくれた。
「はいどうも・・・ちょうどですね・・・ではこちらにサインを・・・」
「ん」
女王様は顎で比企谷君に指図している
「・・・俺がやります・・・」
三浦とサインをもらった。
これでこの件は終わりである。
撤収準備をしていると
「んじゃ俺帰るわ、次は海老名さんだろ?」
比企谷くんは帰ろうとするが
「ヒキオ!ちょっと待って!」
女王様に止められていた。
「ヒキオ・・・今日はありがと・・・これ・・・お礼・・・作った・・・あとで食べろし・・・」
ほう、女王様も女の子だったわけか、まあ気合の入った服装の時点でそうだよなぁ、しかし比企谷君すげぇな
「なんだ?これがその『いいこと』ってやつか?もしかしてこれ作ろうとしてお前があれ割ったのか?」
「うっさいばか!ヒキオの為じゃないから!隼人に作ったあまり物!いるの?いらないの?」
「結局お前が割ったのか」
「うっさい!ヒキオの癖に!早く受け取れし!」
何かお菓子のようなものを押し付けているが、余り物と言う割には随分と凝ったラッピングしてたみたいだが?しかも命令口調の割には相手の顔を直視してない上にずいぶんと顔が真っ赤でしたよ?
あれってツンデレってやつか?
そんな事を思いつつ俺はスーッと玄関から外へ
「失礼しましたー」
「女王様からプレゼント貰えるとは下僕じゃなくて騎士といったところか?でも騎士というにはちょっと手癖悪くないか、何股してるんだよって話だよ、さて次はっと・・・そういや次は海老名さんがどうとか言ってたな?今日午後から回るところに海老名って名前の客がいるが・・・まさかこれかなぁ・・・」
午前の客はまだいるので午後になってからのお楽しみだなと思い次の客へとサービスカーを走らせるのだった。