死神幻想奇譚   作:16

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ラグナ=ザ=ブラッドエッジ編 第二幕
第十話 妖怪の山の乱戦


慧音の元を立っていったラグナは、まず妖怪の山に足を運ぶ事に決めた。ラグナの(こちらでの)危険性の低さを、言い換えれば人への貢献度を如実に表してくれた射命丸文に礼を言う為だ。

 

「......また歩くのか、この道...........ああー、面倒くせぇ。でも......地底に向かう道も妖怪の山の麓にあるって言うしよ、結局は行くしかねえんだよな」

 

厳密には地底に向かう穴は二つあるのだが、ラグナは二つ目の入り方を知らない上、そもそも位置もわかっていないから実質一つしか入口が無いのと同じだ。それに、何より恩人に礼を言わない訳にも───

 

「変だよな......。こっちに来る前はわざわざ礼を言いに行こうなんて考えてたか?......まあいいか」

 

───とにかく、ラグナは地底に向かうついでに文に礼を言うために歩き始めた。

 

歩いてから五分ほどすると、遠くを歩きながらラグナを見張る様な視線を感じるようになった。既に人里からは離れているから、妖怪の類だろう。

 

「出て来いよ。そんな遠くで見てちゃ俺の事なんざ殺せもしねぇぞ。ま、そうでなくとも殺されてやる気はねぇが」

 

 

 

それからというものの、道中は平穏とは言い難かった。出会い頭に襲いかかって来る妖によって、度々足を止めさせられてしまうからだ。普通に歩いていけば一時間かからないような道だというのに、妖怪達に襲われるせいで既に二時間半もの時が経過していた。

 

以前襲われた時は、人里に向かおうとした時に一匹、人里を出て神社に向かう時に三匹相手に取った位だったのに、たったこの二時間で既に十二匹を切り捨てていた。

 

「まだ来んのか!?」

『我らが同胞の敵ぞ!かかれっ!』

『狼共に遅れを取るな!我らも続くぞ!』

「チッ!死にたがりかなんだか知らねーが、来るならもっと束になってこいよ!いちいち戦わねーといけなくて面倒くせぇんだよ、このタコ!!」

 

ラグナが叫びながらも迫る狼や怪鳥を相手する。

狼をデッドスパイクで牽制しつつ、高く跳んで巨大鳥を切り付ける。ソウルイーターによる攻撃を二回、剣による斬撃を二回食らわせたところで、狼を巻き込むように鳥を剣先に突き刺して体重を乗せ急降下する。

 

「『ベリアルエッジ』!」

『ぎゃああッ!?』

 

狼が一匹巻き添えを食い、そのまま鳥と共に動かなくなった。しかし、それに怯むことなく妖怪達はラグナに向かってくる。剣を振り回して遠ざけるが、他の個体がやってきてラグナを徐々に囲もうとしている。

 

「やべ!」

 

ラグナは大軍に対して一度に薙ぎ払えるような広い範囲の攻撃能力を持っていない。そのせいで倒しても倒しても湧いて出てくる狼と怪鳥の群れに少しずつ押されそうになっていた。

 

「オラァ!喰らえっ!」

 

蹴りに続けて繰り出す剣撃で新たに二匹を撃破するが、敵が減らないどころかより一層その数を増している様な印象さえ受ける。実戦慣れしていない統制機構の半端な衛士と違い、こいつらは術式を使わないとはいえ軽やかなフットワークに綿密に編まれた陣形、そして何よりもそのチームワークが遺憾無く発揮され、それがラグナを苦しめている。

 

「クッソ!キリがねぇ!」

 

そう思ったのも束の間、度重なる攻撃にすっかり体力と集中力を奪われていたラグナは背後から迫る狼に気付かず、振り向いた時には既に目の前まで迫ってきていた。そのまま剣を握っていた左手に噛みつかれてしまう。

牙が食い込み、鋭い痛みが走る。

 

「痛ってぇ!この野郎......『障壁解放』!」

 

右手に力を込め、貯めた魔素を瞬時に放出する。魔素は小規模の衝撃波となって狼を吹き飛ばす。

 

「クッ...........やべぇ、マジで疲れんな......」

『今だ!畳み掛けよ!』

「クソが!少しぐらい休ませろよ!」

 

続いて四匹の狼と二羽の怪鳥が飛びかかってくる。

 

「『カーネージシザー』!」

 

一度目の切り付けで一匹の狼を、二度目の瘴気波で更に二匹を吹き飛ばす。が、残った一匹の狼と二羽の鳥には攻撃が届かず隙を晒してしまった。慌てて剣を構え直そうとするが一瞬遅かった。

 

「グアアッ!?」

 

右足と左腕に噛み付かれ、激痛に喘ぎ大剣を落としてしまった。更に畳み掛けるように狼たちが押し寄せるのを見て少し強硬手段に出るしかないと踏み、丁度良く集まった魔素を全力で解放してその動きを活性化させる。

 

「『イデア機関接続』!」

『チィッ!厄介な!』

 

ラグナから放たれる黒い気配を感じ取って狼も鳥も少し後ずさりする。その機を逃さなかったラグナは高く跳び上がって、なんと空中で向きを変え、群れから少し距離を離した。そのまま近付いてくる鳥を、牙のような蹴りで薙ぐ。その内地面に降り立ったラグナは、咄嗟に抵抗手段を思いつき、実践した。ぶっつけ本番だったが仕方がなかった。

 

「テメェら......闇に『呑まれろ』ッ!」

 

そう言うと、ラグナは黒き獣が眠る右手に力を込める。瞬間、狼達のいた地面が隆起し途方もない量の黒く濁った瘴気が、ラグナを中心に辺りの狼を呑み込んでいく。それは高く飛んでいた怪鳥達も例外ではなかった。

 

「グッ......オラァァァアアアッ!」

 

『凄まじい威力だ!散れ!逃げろぉ!』

『ま、巻き込まれ──!?』

『力が......力が吸われる!助けてくれ!』

 

妖達にとってここは阿鼻叫喚の地獄となった。逃げ惑い、そのまま瘴気の海に呑まれる者もいれば、その強さに唖然としたまま波に攫われる者もいた。ラグナはラグナで、今まで使った事の無い様な思いつきの技をここまで酷使している為に体力の限界も近かった。

 

やがて力を使い果たし、地面に膝を着くと、偶然生き残った者や瘴気の海の範囲から逃れられたモノが一斉にラグナに牙を向いた。しかし、ラグナには抵抗するだけの力が残っておらず、迫り来る狼達をただただ睨みつける事しか出来なかった。その内辿り着いた一匹がラグナの頭を噛み砕こうと飛びかかり、その牙はラグナを捉えた。そしてそのままラグナに牙が届───

 

 

───かなかった。

 

『ぐえぇッ!?』

「ざんねーん、さようならー」

 

少女の声でそう聞こえた時には何故か吹き飛んでいた筈の狼は、地面に激突する前にまばらに切り付けられ、痛々しい切創が身体中に残っているのが見えた。その不可思議な力に恐れをなしたのか、これ以上の損害は認められなかったのか、狼は撤退し、比較的被害の少なかった怪鳥も狼を見て姿をくらました。

 

「だ......誰だ?」

「私だよー」

 

そう言って目の前の空間が歪み、一人の少女の輪郭が顕になっていく。銀色の長髪を風にたなびかせて目深に被った長鍔の帽子を指で押すと、その整った顔立ちがはっきりと見えた。

 

「お、お前は......?」

「私はこいし。あなたの嫌いな妖怪よ」

 

そう言ってくるりとその場で回って自分の近くを漂う球体をラグナに見せつける。ボールか何かだと思っていたそれは、よく見れば閉じた瞳だった。瞳から繋がる管がドクンと脈動していた事から、それは作り物ではなくて目の前の少女の身体の一部なのだとわかる。

 

「嫌いなのは襲ってくる奴だけだ。助かったぜコイシ」

「いーのいーの。私が貴方を気に入って助けたんだから」

 

そう言うとこいしはラグナの手を引く。向かう先が妖怪の山だと知っていたのか、その方向は間違いなくラグナの進んでいた道の先だった。

 

「........お前、着いてくんのか?」

「当たり前でしょ?私のお気に入り、つまり()()()なんだから」

「ハァ!?」

「え?」

「え?じゃねぇよ!何勝手にペット認定しちゃってんの!?むしろこっちが『え?』なんですけど!?」

「もー、ペットなのにうるさくしちゃ駄目でしょ?」

 

頭を抱える。面倒な奴に助けられてしまった。少なくともラグナにとってあの『レイチェル』よりも面倒そうだと感じていた。あのドS吸血鬼でさえ()()だとかそのレベルだったのに、この少女からはなんとペットと認定されてしまった。

 

「わーったよ。俺は妖怪の山に行く。お前は着いて来なくていいから。いいか?絶対着いて来んなよ」

「えー?やだー着いてくー!決めた!何がなんでもあなたを私のペットにしてあげるわ!」

「それをやめろって言ってんだよ!はぁ...........ハハ」

 

ひとしきり怒鳴ったあとため息をついて、ふと笑ってしまった。こいしが怪訝な表情を見せてラグナに問う。「なんで笑ってるの?」聞かれたラグナは暫く頭を回したあと、こう答えた。

 

「昔な、お前みたいにわがままでうるせぇ奴が居たんだよ。そいつと話してんのを思い出してな」

 

あの時を懐かしく感じてしまった、とは言えなかった。理由なんてわかりきっている。口には出せないが恥ずかしいからだった。「へんなの」と言われるがそんなの知った事ではない。こっちにはプライドというものがある。

 

「まあいっか。あなたの行く先が私と被ってただけだし、私もあなたに着いてくよ。........そういえば名前」

「あ、ああ。確かに名乗ってなかったな。俺はラグナだ」

「ふーん、よろしくね、ラグナ」

 

その言葉に同じく「よろしく」と返してまた歩き始めた。こいしは目の前をスキップしていたり歩くラグナの周りをうろちょろしていたりと落ち着きが無かったが、その内飽きたのか普通にラグナの斜め後ろを歩いていた。

 

 

 

 

歩いて三十分程経った頃には妖怪の山のほぼ全貌が見渡せる距離まで近付いていた。山がほぼ眼前まで迫った所で、ラグナ達はその異変に気が付いた。

 

「......金属が打ち合う音...........!?」

「多分剣と剣のぶつかる音...........ラグナ、助けに行く?」

「当たり前だ!急ぐぞ!」

 

走り出すと、こいしもそれに続いて低空を飛び、ラグナに追従する。森の入口辺りに着いた所でその異変の一端が顕になった。

 

「ふん!はっ!」

「甘い!そこだ!」

 

なんと天狗達が山に住み着いていた他の妖怪と斬り合いをしていた。天狗達は鋭く研がれた刀を用いて対手と剣戟を重ね、対する他の妖怪は数に物を言わせた物量で一匹の天狗を押し込もうとしていた。その妖怪達は殆どが先程ラグナが戦っていた様な狼姿に加え、幾らかの隊に分かれた狼妖怪を指揮する人の様な姿の狼もいる。

 

狼達がそれぞれ固まって行動し効率的な戦い方をする中、対する天狗達はというと、各所で孤立してしまっている為に特段強力な技を持たない者は防戦一方で、どうにも反撃できる様子ではなかった。

 

「皆奮戦せよ!天狗の威信にかけて我らの山を守れ!」

「くそ!お前達、何故我らに牙を向く!?」

 

天狗たちの悲痛な叫びが、最早戦場と化した妖怪の山にこだました。妖怪達はそれに耳を貸さず、ひたすら攻撃に攻撃を重ねている。一人が押され始めたのを皮切りに、どんどんと狼達は天狗の防衛線を崩し、山腹へと突撃していく。

 

「いかん!射命丸殿!」

 

それに気が付いた天狗が文の名を叫ぶと、他の場所から一人の天狗が飛翔し、山奥へと突進していた狼の眼前に降り立ち、その瞳を敵に向ける。その瞳を形容するなら、普段温厚に振る舞っていた彼女からは想像出来ない程の憤怒、という言葉が似合っていた。

 

「私は普段怒らないんですよ。滅多に怒るような事が無いのですよね。だから...........本気で怒るのは、今日だけですよ」

 

その鬼のように鋭い視線を向けられて、思わず狼はたじろぎ、後ずさりするが、それも一瞬。続々と文に牙を剥く妖狼を前に、憤怒の表情を顕に、右手に刀と左手に団扇を構え、静かに呟いた。

 

「塞符『天孫降臨』」

 

 

 

 

 

 

 

ラグナが他の天狗に助太刀するため、大剣を構えて腰を低く落とし、目にも留まらぬ俊足で人狼に近付き、剣を叩きつける。そして勢いのままに瘴気を載せて一閃、人狼を吹き飛ばした。

 

「おい、大丈夫か!?」

「ラ、ラグナ殿か?何故ここに......いや、今は聞くまい。頼む!山の中腹に向かってくれい!天魔様の御身を御守りしたく剣を取ったが、この数を抑えるので精一杯なのだ!」

「おっし、任せろ!」

 

その言葉に同意したラグナは山を駆け上っていく。天狗はラグナの後ろに何か気配を感じ取ったが、迫る狼達に気を取られ、気配の察知は出来なかった。そのうち狼や人狼を斬り伏せた少数の天狗が他の仲間の元に向かうが、更に狼が増える事に気が付いて、戦いは暫く終わりそうにないと悟った。

 

 

 

 

 

 

「くそっ、テメェらなんでそんな数いやがる!」

『ふん!貴様らを殺し、山を我らの物とする為だ!』

「チッ、ふざけんな!この馬鹿が!」

 

余りに身勝手で傲慢。私利私欲の為に他人の命を危険に晒す狼を、ラグナは許せなかった。そしてラグナはその牙を存分に見せつける。大軍に怯むことなく斬りかかったラグナを狼達は迎え撃つが、多勢に無勢という言葉なんて関係ないとばかりに猛攻を重ねるラグナに、狼達は苦戦を強いられていた。運良く背後をとった筈の者も、何故か見えない者に斬られて斃れる。数多の物量が、たった一人の死神に質だけで抑えられていた。

 

「ねぇラグナ。戦うのって、楽しいの?」

「俺は面倒くせぇと思ってる!......クソが、邪魔だこの馬鹿狼が!どけ!『インフェルノディバイダー』!」

「おー!凄い飛び上がり!あなた本当は妖怪なの?」

「違ぇよ!......チッ、まだ来るぞ!」

 

ラグナとこいしは、やがて狼の屍体の群れに埋もれていった。

 

 

 

 

ラグナよりも少し奥、天狗の村の中程で天狗が六人、対する百匹近い狼妖怪ににじり寄られていた。その天狗達の中にはラグナと一度は斬り合った犬走椛と、天狗随一の練達の剣客である鞍馬がいた。

 

「椛殿。この戦況如何なものと捉えるか」

「丁度狼百匹斬りがしたかったんですよね、とでも言っておきます。数が面倒ですね......」

 

迫り来る狼達に、椛の同僚である白狼天狗や、剣が得意では無い天狗は一歩二歩後ずさりしてしまうが、鞍馬と椛が堂々と剣を握って対勢を見つめているのを見て、自分達もと剣を握り直し、彼女達の横に並んだ。

天狗達の守る道の後ろには巨大な社が静かに佇み、それは天魔の住む、天狗にとって最優先に守らねばならない場所だった。狼達の最終目標は天魔の社の制圧だと悟って、何人もの天狗が狼の征伐に向かった中、剣術の達人である鞍馬を始めとした天魔の近辺警護や山の見回りを主任務とする六人が集まったのだった。

 

「貴様ら!今一度問う!我等が天魔様にその牙を剥くという愚行、わけを話さば斬り捨てる!」

『黙れェ!お前ら天狗が山を牛耳る時代は終わった!我々妖狼があの方の力を経て山の神を捩じ伏せ、この山の主と成るのだ!幾度でも言おう!天狗は我らの未来に必要無い!』

 

狼達を指揮する人狼が声高に主張すると、鞍馬の問いをかき消す様な勢いで同意の雄叫びが戦場に響き渡る。その様子を見て鞍馬は顔を顰め狼を罵った。

 

「この愚者共め!数で我らを押そうなど笑止!天狗と狼では天と地ほどの差があるのだ!皆、かかれ!」

「「「うおおおおおおっ!」」」

 

鞍馬の啖呵を切ったその言葉に圧されて狼が激昴する所に、他の天狗が斬り掛かる。鞍馬もその相棒を構えて向き直り、黒い翼をばさりと広げて飛翔し、狼の群れに突っ込んだ。

 

 

 

 

「『レイビーズファング』!」

 

椛の新たな剣技が狼に炸裂する。ラグナの必殺技『ヘルズファング』にインスピレーションを得た技を遺憾無く発揮する。盾を眼前に構えて突撃し、手応えのあった敵を滅多斬りの憂き目に会わせる。その目にも留まらない程の速度の連撃は椛を囲っていた狼達にも無差別に向かっていく。剣戟が質量を持って衝撃波となり、狼を斬り付けるのである。その衝撃波が消えるまで、射線の上にいた狼は鋭く切りつけられていた。

 

「『紫電・残光』ッ!」

 

それに乗じて鞍馬も自身の技を披露する。紫電の名が冠する様に、五連続の剣筋がまるで紫色に光り輝き、目の前の五匹の敵を確実に真っ二つに斬り裂いた。そして残光の名の示す通りに紫電は一層輝きを増し、光に飲まれた他の群れを一瞬で斬り裂いた。光は消え、たった一瞬で九匹もの狼が倒れる。

 

他の天狗達も強い技を持たないものの大多数の妖狼を前に大立ち回りを見せる。その動きは人間で言えば間違いなく達人と呼ばれるそれであるが、鞍馬や椛の様な剣技のエキスパートに言わせれば、まだ天狗としては不十分なのだという。

しかし、その剣は間違いなく狼達の群を裂いていき、また天狗達にも確実な成長をもたらしていた。

 

「甘いですよ!ここッ!」

『ぐおおおおっ!』

 

「散れ、愚狼め!最早ここに貴様らの居場所は無い!」

『黙れこの糞鴉共が!妖狼の意地、とくと見よ!』

 

天狗達の気迫に、人狼らはその根性と意地で無理矢理食らいつく。各地がどのような戦況かわかっていない以上、これより増援は期待出来ないのは互いに同じだった。但し、狼側は天狗を倒す事に成功した群れが続々と天魔の社の前に集まっている為、倒しても倒しても数が減る事はなく。

 

「鞍馬さん!無事ですか!?」

「椛殿!いやはや、雑魚の相手にも飽き飽きしている所だ!」

 

飛びかかってくる狼を軽くいなしながら会話を進めていく二人。話しながらでも全く隙の見当たらない二人に、他の天狗も戦意を向上させていく。そうこうしている内に鞍馬と椛以外の四人の天狗は負傷し、互いを守る形で陣を組み、後退する。狼との戦線に残されたのは椛たちだけだった。

 

「鞍馬様!椛殿!すみません!我々は一度後退します!」

「良い!死ぬなよ!」

 

下がっていく天狗達を後目に、二人はどんと構えて動かない。その二人を見て好機と捉えた妖怪の群れは続々と襲いかかっていった。次から次へと斬り殺されていく妖狼達の返り血を浴びながら、二人は長らく忘れていた戦乱の味を思い出すのだった。

 

 

 




『塞符『天孫降臨』』

元は風神録文の難易度ハードで見られるスペルカード。団扇を仰いで出来上がった風神の風を刀に込めて一太刀、横に薙ぐディストーション。イメージとしてはハクメンのAH悪滅の初段だけバージョン。


『レイビーズファング』

ラグナのヘルズファングの様な突進の後、ヒットした敵に、斬撃を猛スピードで浴びせるディストーション。オーバードライブ中は斬撃に衝撃波が追加されて一から二回の多段ヒットが見込める。


『紫電・残光』

何気に初戦闘の鞍馬のディストーション。目の前を五回斬った後、残った光が斬撃となって敵を襲う。オーバードライブ中は残光が眩く光り、範囲とダメージが増す。上に範囲が広いので対空向き。

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