ラブライブ!アラカルト   作:la55

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この短編は梨子ちゃんと果南ちゃんの百合的小説です。


なれそめ・・・(仮) Main Story Fallen Angel Lily side(「リリーって呼ばないで!!」by 梨子)

「ほら、ゴールまであともう少しだよ!!」

果南は自分の後ろにいるほかのAqoursメンバーに対して大きな声でこう叫んだ。ここは果南たちAqoursが通う浦の星女学院、その近くにある内浦の砂浜海岸。で、果南たちAqoursはここでスクールアイドルとしての練習を行っているのだが、いつもは浦の星の校舎の屋上か部室のある体育館で練習している。しかし、Aqours、今回はなぜか内浦の砂浜海岸で練習していた。それはなぜなんだろうか。それは、この果南の声かけのあとのAqoursメンバーが発した言葉からなんとなくわかるかもしれない。

 この果南の声掛けのあと、果南以外のAqoursメンバーからこんな言葉が出てきてしまった。

「う~、もう駄目ずら・・・」(花丸)

「う、ウォーター・・・、ぷ、プリーズ・・・」(鞠莉)

そう、果南以外のAqoursメンバーから口々に出てきた言葉、それは・・・体力の限界・・・、そんな言葉だった。さらには・・・、

「この私もすでに体力の限界、ですわ・・・」(ダイヤ)

「それに対して、果南ちゃん、まだ、体力、残っているみたいだね。果南ちゃん、すごいよ・・・。それに比べて、私、もうダメ・・・、体力の限界・・・」

と、練習を続ける体力がもうない、そんな自分たちと比べて、いまだに体力が残っている果南に感心するメンバーもでてきてしまった。

 そして、ヨハネ、ついにあることを口にしてしまう。

「う~、誰だよ、こんな地獄の練習、果南考案の「地獄のトライアスロン」、それを行うことを決めたのは!!」

そう、今、Aqoursが行っている練習、実は、果南考案「地獄のトライアスロン」、だった!!この「地獄のトライアスロン」、であるが、普通のトライアスロンは、スイム、バイク(自転車)、ラン、この3つを順番にこなしていく競技、なのだが、その1つ、バイクについては果南たちが用意することができなかったため、学校のプールでスイム1キロ、そのあと、間を置かずに砂浜でラン5キロを行う、これが果南考案の練習メニュー、「地獄のトライアスロン」である。スイムで1キロ泳いだ後に熱い砂浜の上でラン5キロ、というとても過酷ともいえる練習メニュー、だったため、この後、Aqoursメンバーに強いトラウマを産み付けることになったのだが、この「地獄のトライアスロン」、あのいつも陽気、そして、Aqoursメンバーの中では果南の次に体力があると思われる曜ですら音をあげる、それくらい過酷ともいえるトレーニング、それを認めたメンバーに対しヨハネの恨みをかってしまった、のであるが、その地獄の練習メニューを認めてしまった本人はというと・・・、

「ハハ、ハハハ・・・」

と、なぜか苦笑いしていた。そのメンバーの名は・・・、むろん、千歌、であった。どうやら、千歌、どんなトレーニングなのかも聞かずに、「Aqoursパワーアップのため」といった理由でなにも考えずに「地獄のトライアスロン」実施を決めてしまった・・・みたいだった。

 

「よし、ゴール!!」

トライアスロンのゴール地点に無事に(トップで)到着した果南、続けて、

 

 

「もうダメですわ・・・」(ダイヤ)

「もうダメ・・・、だれか、ヘルプミー、で~す・・・」(鞠莉)

と、最後に残っていた体力を振り絞り無事にゴールを果たした果南以外のAqoursメンバーたち、そして、

「もうダメずら・・・。誰か助けてずら・・・」

と、Aqoursメンバーの中で体力が1番ない花丸が最後ではあるがなんとかゴールに到着する・・・のだが、「地獄のトライアスロン」で体力をすべて消費した果南以外のAqoursメンバーたちはそのまま地面に倒れこんでしまった。でも、ここは砂浜・・・ということで、暑い日差しに照らされて砂浜の砂も相当熱くなっている・・・はずなのだが、そこはAqours、ちゃんとそれについては事前に準備していた。なんと、倒れこんでいた場所には接触冷感に優れた生地のシートを設置しており、果南以外のAqoursメンバーはそのシートの上に倒れこんでは火照った体を覚ますとともに少しでも体力を回復するように務めていた。

 そんなAqoursメンバーに対し、果南、

「とてもきついトレーニングのあとは十分な水分補給も大事だよ!!」

と、メンバーそれぞれにスポーツドリンクを渡す。これには、花丸、

「ふ~、生き返るずら~」

と、スポーツドリンクのありがたさを身をもってしみじみに味わっていた。

 そして、果南はあるメンバーにもスポーツドリンクを渡す。

「はい、梨子ちゃん!!」

そう、桜内梨子、である。梨子はスポーツドリンクを渡す果南の姿を見て、

「あ、ありがとう・・・」

と、なにかもの言いたそうな姿を果南に見せるも、これには、果南、

「?」

と、ふと不思議そうに梨子を見てしまった。

 そんなAqoursめんばーそれぞれにドリンクを渡す果南、であったが、スポーツドリンクを渡し終えると、すぐに、

「さてと、次の練習のために少しはクールダウンしないとね!!」

と、次の練習に向けてクールダウンを始める。そんな果南の姿に対し、

「まだ練習を続けるつもりずら・・・」(花丸)

「す、すごい・・・」(ルビィ)

「な、なんちゅう体力馬鹿・・・なのかしら・・・」(ヨハネ)

と、全体力を消費してしまい倒れこんでしまった自分たちに比べて、あんな過酷なトレーニングをしているのに次の練習をするための体力がまだ残っている果南、そんな果南の化け物じみた姿にただただ唖然とする、そんな(果南以外の)Aqoursメンバーであった・・・。

 

 そんななか、

「こんにちは!!」

と、男の声が内浦の砂浜海岸に響き渡る。これには、果南、

「あっ、だれか来たみたいだね!!」

と、その声がするほうを見る。すると、がたいのいい男数人がこの内浦海岸にあらわれたではないか!!これには、ヨハネ、

「まっ、まさか、破滅フラグ・・・」

と、なにかにおびえている、そんな感じをしていた。

 しかし、そんなものおかまいなし、とばかりに、果南、その男たちのそばに行き、

「こんにちは、みなさん、この内浦海岸にようこそ!!」

と、その男たちに挨拶をすると、続けて、

「ところで、なんでこんなところに来たのですか?」

と、ここに来た理由を尋ねてみる。すると、その男たちのリーダーらしき男から、

「あっ、僕たちはこの近くのホテルに合宿に来ているのですよ!!あっ、挨拶が遅れてしまいましたね!!僕たちは東京にある〇〇大学のライフセービング部の者です!!僕たちはここで今からライフセービングの練習をしようと思っているのですよ」

と、尋ねてきた果南に対し優しそうに答えてくれた。どうやら、この男たちは〇〇大学ライフセービング部の仲間たち、みたいだった。この大学生たちは今からここでライフセービングの練習を行うつもりのようだ。

 ライフセービング。海水浴場で楽しく泳いだり日光浴をしている、そんな人たちを陰から見守っている、そんなライフセーバーたちの日々の訓練・技術をスポーツにまでに昇華させたスポーツ、それがライフセービングである。ライフセーバーたちは日頃の訓練を重ねながら海水浴場に来てくれたみんなを陰から見守っている、そのため、その訓練の延長線上にあるライフセービングを楽しく・・・とまではいかないが、一生懸命頑張っている、そんな男たちこそ、彼ら〇〇大学ライフセービング部、である。そんな大学生たちにつながるかどうかはわからないが、その心意気は果南たち浦の星女学院スクールアイドル部Aqoursにも通じている・・・かもしれない。なぜなら、彼女たちも彼らと同じく、スクールアイドルを見に来てくれたみんなに感動を与えるために、日々、きつい練習を行っているのだから。むろん、浦の星女学院存続のため、ラブライブ!というスクールアイドルの甲子園に優勝するため、といった目的もあるのだが、そのためにも、Aqoursを見に来てくれたみんなに、スクールアイドル、そして、Aqours、のすごさ、楽しさ、感動を与えていかないといけない、そんな使命感を果南たちAqoursは持ち合わせているのかもしれない。そんな果南たちであるが、その根底にあるのが、「スクールアイドルを心の底から楽しむこと、その楽しさを自分たちを見に来てくれたみんなに伝えること」、その心、なのかもしれない。そして、その楽しさを伝えるためにも毎日のきつい練習をこなしていく、そんな努力の積み重ね、が必要なのかもしれない。そんな努力の積み重ねを果南たちAqoursはこれまでやってきたのである。その努力の積み重ね、その根底にある「スクールアイドルを心の底から楽しむ」こと、そんな果南たちAqoursメンバー全員の心意気のおかげか、これまでAqoursがみんなのまえで披露したステージはどれもこれも、Aqoursを見に来てくれたみんなに、スクールアイドルの素晴らしさを伝えるだけでなく感動すらも覚えてしまう、そんなものだった。でも、その陰には日々のきつい練習という見えない努力が隠されていた、のかもしれない。ただ、今回の「地獄のトライアスロン」はちょっとやりすぎ・・・だったのかもしれない・・・。

 

 と、いいつつも、物語はさらに進んでいく。大学生たちと果南のやり取りのあと、大学生たちは一列になってウォーミングアップを始める。対して、果南以外のAqoursメンバーはというと・・・、少しの休憩と果南が渡してくれたスポーツドリンクのおかげで体力がほんの少し回復・・・したものの、もうこれ以上練習を続けるほどの体力は残っていなかった。

 と、いうわけで、

「もうここらで練習をおしまいにしたほうが・・・」

と、ダイヤ、今日の練習を打ち切ることを提案。これには、果南以外のAqoursメンバーから、

「もう、マリー、HP、ぜんぜんありませ~ん!!これで、the END(しおどき)で~す!!(鞠莉)

「お姉ちゃんの言う通り、だね!!」(ルビィ)

と、ダイヤの提案に次々と賛同していった。が、果南はというと・・・、もっと練習したい、そんな気持ちみたいだった。

 と、そんなときだった。大学生たちがウォーミングアップを終えるとすぐに砂浜に小さなフラッグを立てては、そのリーダーから、

「よ~し、それじゃ、これからビーチフラッグの練習にはいるぞ!!」

という力強い声が海岸中に響き渡る。どうやらビーチフラッグの練習を始めるつもりのようだ。ビーチフラッグ、ライフセービングの競技の一種であり、小さなフラッグを立ててはそのフラッグめがけて選手たちが全力でそれを狙って全力で走りこんでいく、そして、一番最初にそのフラッグを取った選手が勝利となる、そんな競技だった。というわけで、大学生たち、まずはスタートの形である寝そべりの態勢にはいり、スタートの合図とともにフラッグめがけてダッシュをする、そんな練習を行い始めた。

 で、その練習を見て心ときめくAqoursメンバーが1人いた。そう、果南である。あの「地獄のトライアスロン」をこなしてもいまだもって体力を残している、そんな果南にとって、そのビーチフラッグの練習は極上のもの、だったのかもしれない。自分の知らない練習をしている大学生たちに交じって自分もその練習に参加したい、そんな気持ちがただ漏れだった。

 で、そんな果南に対し、ダイヤ、すぐにこんなことを言いだしてきた。

「果南さん、なんか、あの大学生たちと一緒に練習をしたそうに見えますけど・・・」

これには、果南、

「だ、ダイア、鋭い・・・」

と、ダイヤの指摘にびっくりするも、ダイヤ、すぐに、

「でも、私たちの練習が・・・、と言いたいのですが、果南さん考案の「地獄のトライアスロン」の影響で、私を含めて、果南さん以外のメンバーはは練習を続けるほどの体力がもう残っておりません。なので、今日はここで私たち(Aqoursの)練習はお開き、ですわ」

と、果南に向かって言うと、果南、

「じゃ・・・」

と、ダイヤにある期待をすると、ダイヤ、すぐに、

「果南さんの思っている通り、あの大学生たちの練習に参加してもいいですよ」

と、果南に大学生たちとの練習に参加してもよい、そんなGOサインを果南にだした。これには、果南、

「ダイヤ、ありがとうね!!」

と、ダイヤにお礼を言うと、そのまま、その大学生のところに行っては、

「あの~、私もこの練習、参加させてもいいですか?」

と言って、ちゃっかりその大学生たちのライフセービングの練習に参加してしまっていた。

 と、いうわけで、ありあまるほどの体力がゆえに「地獄のトライアスロン」以上?に過酷な練習に参加してしまった果南、その「地獄のトライアスロン」により全体力を消費してしまいこれ以上練習する体力すら残っていない果南以外のAqoursメンバー、なので、ここでダイヤの提案通り、今日の(スクールアイドルとしての)練習はここで終了・・・となってしまった。

 

「千歌ちゃん、また明日ね!!」(曜)

「うん、曜ちゃん、また明日!!」(千歌)

と、近くの海の家(内浦の自治会が運営)で制服に着替えた果南以外のAqoursメンバー、次々と家路につくのだが、そのなかで、たった1人だけ砂浜海岸すぐのいつもの石階段に座ってはライフセービングの練習を全力で行っている果南をずっと見つめているメンバーがいた。

(果南ちゃん、なんてすごいの!!あの「地獄のトライアスロン」で疲れているのに、それでもまだ全力でライフセービングの練習についていくなんて、ああ、私からしたら、あこがれのヒーロー、に見えてしまうよ!!)

そのメンバーはそう思うと、目をキラキラにさせながら果南の方をずっと見つめていた。で、このメンバーの名前・・・であるが、そのメンバーの名前は・・・、桜内梨子、そう、梨子である。その梨子・・・であるが、梨子にとって果南はあこがれの存在・・・であった。それは梨子特有のある性癖に関係していた。それは・・・。

(ああ、あの力強い果南ちゃん、そんな男っぽい果南ちゃんに、私、攻められてもらいたい・・・)

そう、あの果南から攻められたい、そんな願望を梨子は持っていたのだ。実は、梨子、みんなに隠している(つもり・・・)なのだが、かなりの百合志向の持ち主、なのだ。東京に行くときは必ず秋葉原の百合関連のお店に行くくらいの重度の百合フェチであり、ラブライブ!夏季大会静岡県予選と同時期に開催されていた東京でのピアノコンクールに梨子が参加したときもコインロッカーに入りきれないほどの百合本(古本)を買っていたほどの強者である。特に、男らしい女性から壁ドンをされる、といった相手から攻められる、そんなシーンに梨子はあこがれを抱いていた。それほどのドM体質であった、梨子は・・・。そんな梨子にとって身近な存在、というのが、Aqours、だったりする。そのAqoursメンバーの中で一番男っぽい性格をしているのが果南である。そんな果南に対し、梨子は常日頃からこんな思いを抱いていた。

(あの「地獄のトライアスロン」だけでなく、それ以上に過酷かもしれない、ライフセービングの練習に平然とついていく、それだけの体力と根性を持っている果南ちゃん、それに、時々見せる、大人っぽく、サバサバとした姿、それでいて、私たちの姉御的存在ともいえる、そんな果南ちゃんの姿、私にからすれば、なんて男っぽい、そう思えてくるんだよね~)

そう、果南は「地獄のトライアスロン」すら平気でこなせるほどの有り余るほどの体力、そのとても過酷な練習であっても決して音をあげないほどの根性を持っているだけでなく、ときどき大人っぽくみせてはあまり物事にこだわらない、あっさりとして、というよりも、サバサバした性格の持ち主、だったりする。と、同時に、梨子からみたら、果南の姉御的存在?的なところにも梨子が果南にひかれる原因のひとつだった。と、そんなわけで、その男っぽい性格をしている果南に梨子はメロメロになっていた。そして、いつはか、そんな果南から攻められてもらいたい、そんな願望を梨子は持ち続けていたのだった。

 そんな梨子であるが、ライフセービングの練習に必死に頑張っている果南の姿を見て、梨子の頭のなかでは大変なことが起きようとしていた。それは・・・。

(ああ、果南ちゃん・・・、わ、私をもっと攻めて!!あの、「シャゼリア☆キッス」のときみたいに・・・エメラルドが桜を攻めたときみたいに・・・)

どうやら、梨子、頭の中で自分の記憶と願望がごちゃ混ぜになってきたみたいだった。このままだと梨子の頭の中が機能停止に陥ってしまう、そんな状況を引き起こしかねない、そんな感じに梨子はなってしまっていた。

 と、いうことで、ここで1つ疑問が出てきてしまった。梨子の心の声に出てきた「シャゼリア☆キッス」、それって何だろうか。この「シャゼリア☆キッス」であるが、梨子の偏った性癖にもかかわるものだった。「シャゼリア☆キッス」、正式名称、「沼津戦隊シャゼリア☆キッス」、であるが、実は、梨子が小さいときに全国に放送されていた特撮番組、だった。当時、琉神マ〇ヤーや超人ネ〇ガーなど、地方で活躍している特撮ヒーローことローカルヒーローが全国で流行していた、いや、全国を席巻していたのだ。そのなかで、沼津を舞台に活躍していたのが「沼津戦隊シャゼリア☆キッス」だった。沼津のとある高校に通う女子高生9人が「シャゼリア☆キッス」に変身し沼津の名産品をこっそり盗もうとする敵の組織と戦う(というか、敵、目的がしょぼすぎ・・・)そんなストーリー、なのだが、女子高生が変身するいう意外性、あまりにはっちゃけすぎるメンバーの個性、などのなんでも設定がありすぎる、といったこともあり、沼津のケーブル局で放送されるなり「シャゼリア☆キッス」の人気はうなぎのぼり、結果、全国に放送されることにもなった、そんな特撮番組だった。そんな「シャゼリア☆キッス」であるが、そのメンバーのなかで一番男っぽい性格をしていたのが「シャゼキス☆エメラルド」であった。そのエメラルドであるが、変身前も変身後も男っぽいセリフを言ってはキザっぽい行動をとる、そんなとんでも設定だったのだが、それでも、誰かが困っていれば黙ってその人を助ける、そんな誰に対しても憎まれない、そんな性格の持ち主だった。

 そんなエメラルドの得意技、であるが、男っぽい性格のためか、ライダーキック、ならぬ、エメラルドキック・・・ではなく、なぜか、壁ドン、であった。じゃ、敵に向かって壁ドンをしてしまう・・・わけでもなく、なんと、「シャゼリア☆キッス」のあるメンバーに対して壁ドンをしてしまうのである。それは戦いの最中にも関わらず・・・にだ。で、いつもエメラルドに壁ドンをされているメンバーとは・・・、それは、「シャゼキス☆桜」であった。この桜ではあるが、「シャゼリア☆キッス」のメンバーのなかで一番乙女ちっく、であり、いつも「シャゼリア☆キッス」のメンバーに自分が焼いたクッキーを差し入れしたり、戦いのない日常のなかでは気が向いたときにピアノやビオラを弾いていたりしていた。それほど女子力ナンバーワン、乙女ちっく度ナンバーワンの桜に対し、エメラルドは戦いの最中であっても平気で桜に壁ドンをしてきたりするのだ。で、これについては桜もまんざらでもなかった、のだが、この壁ドンシーン、当時小さかった梨子からすれば、

(うそでしょ!!あの乙女ちっく度ナンバーワンの桜が男っぽさナンバーワンのエメラルドに壁ドンされている!!)

と、毎回毎回敵との戦いのなかで桜に対して壁ドンを繰り出しているエメラルド、そして、それに(少し)驚いている桜の姿に梨子は毎回ショッキングな思いをしてしまっていた。まっ、こんなエマラルドと桜の百合的なやり取りも全国規模の人気になった要因の一つなのだが・・・。

 と、いうわけで、梨子、この特撮番組を毎回見るうちにそんなショッキングな思いに少しずつではあるが慣れていくのだが、それと同時にある思いが梨子の中で芽生えようとしていた。それとは・・・。

(なんか、「シャゼリア☆桜」、なんか私みたい・・・)

そう、桜と梨子、なんか似ている、そんな気がしてきたのだ。桜と同様に梨子も小さいときからピアノやビオラを習っており、ピアノとビオラの演奏もお手の物だった。さらに、梨子、そんな桜になりたいのか、料理を母親から教わるなど、少しでも女子力を高めようとしていた。そのためか、梨子自身も桜みたいに乙女ちっく?な少女へと育っていった・・・のだが、それとは別にある思いも育ってしまった。それは・・・。

(私と桜、なんか似てきた気がする。いや、それ以上に、桜みたいに、エメラルドみたいな男っぽい女性に攻められる、そんなものに憧れてきた気がする・・・)

そう、なんと、梨子、桜と自分を重ね合わせることに飽き足らず、桜みたいにエメラルドのような男っぽい女性に攻められてみたい、そんな願望が芽生えてきてしまったのだ。

 といった具合に、「シャゼリア☆キッス」は数年間の放送をもって大団円を迎えるのであるが、その特撮番組の影響で梨子は「男っぽい女性に攻められたい」そんな変な性癖・・・もとい、乙女っぽい心をもってしまったのである。これが梨子が百合志向に目覚めてしまった、そんな理由にもなってしまった。ちなみに、この梨子の性癖に梨子の母親はというと・・・、

「お父さん、私、いつでもオープンですよ!!どんどん攻めてきてください!!」

と、こちらもドM志向が強かったりする。もしかすると、梨子の性癖は親譲り・・・なのかもしれない・・・。

 

 と、そんな具合に、男っぽい性格の持ち主である果南に攻められる自分の姿・・・を想像していた梨子・・・であったが、時間がたつのはあっという間・・・ということもあり、すでに空の色は赤くなっていた。どうやらお日さまはもうすぐ沈み込んでしまう、そんな時間になってしまっていた。

 と、いうわけで、最後のストレッチを終え、大学生たちのリーダーは仲間たちに向かって、

「よし、今日はここまで!!」

と、ライブセービングの練習を終えることを宣言すると、その仲間たちはみな、

「ありがとうございました!!」

と、大きな声で返事をする。これに負けじと果南も、

「ありがとうございました!!」

と、おなかの底から大きな声を張り出すと、その果南の周りにいる大学生の仲間たちから、

「よう、そこの彼女(果南)よ、よく俺たちのきつい練習についてこれたな!!なんていう体力と根性の持ち主なんだ!!とてもすごいぞ!!」

と、果南のことをほめたたえる。これには果南も、

「あ、ありがとうございます!!」

と、大きな声でお礼を言った。

 そんなほんわかとした光景を遠くから見ていた梨子、

(なんか新しい果南ちゃんの素顔が見れて、私、嬉しいよ!!)

と、自分の知らない果南の姿を見てうっとりしていた。

 とはいえ、ライフセービングの練習が終わったのでこれ以上この場にいても仕方がない・・・ということで、梨子、

(さてと、自分の家に戻りますかね)

と、そのまま自分の家に帰ろうとする・・・わけではなかった。突然、梨子はこう叫んでしまう。

「ああ、果南ちゃんのことを見つめていたら、のど、乾いちゃった!!」

ずっと果南のことを見つめていた梨子、そのためか、強い日差しのなかでのどが渇くのを忘れるくらい果南に熱中していたのだ。そして、それも終わったことにより、梨子、のどが渇いたことにようやく気付いた、みたいだった。

 と、いうわけで、梨子、自分の家の近くにある商店のジュースの自販機の前に立つと、

「え~と、スポーツドリンク、ドリンク!!」

と言ってはスポーツドリンクを買うと、そのままその場で一気にそのスポーツドリンクを飲んでしまった。

 そんななか、その梨子に対し、梨子を呼ぶ声がする。

「ねぇ、そこのお姉ちゃん、ちょっと、この近くを案内してくれないかな?」

その声を聞いた梨子、すぐにその声がするほうを向いてみると、そこには・・・、

「えっ、だれ?」

と、唖然としてしまう。そう、梨子の前にいたのは・・・梨子が全く知らないあかの他人、それもとてもがたいがいい、そんな男たちだった。その男たちに対し、梨子、すぐにこう尋ねてみる。

「え~と、なにか御用ですか?」

この梨子の言葉に対し、その男たちの1人が梨子に向かって大きな声でこう叫んでしまう。

「あのね、もう一度言うけど、お姉ちゃん、この近くをちょっと案内してくれないかな!!」

この男の言葉のあと、その男たちは梨子に迫ろうとしてきた。これには、梨子、

(こんなだれかもわからないようなあかの他人にこの近くを案内する、そんな義理はないですよ!!)

と、思ってか、つい、

「そんなの嫌です!!」

と、強気の発言をその男たちにしてしまう。と、同時に、梨子、両手を前に出しては完全拒否の姿勢をとってしまう。

 が、これが梨子に迫っていた男たちの気に障ったらしく、とつぜん、

「へぇ~、こんな俺たちに向かってそんな態度をとるんだね!!こちらがわざと下手にだしているのに、そんな(完全拒否の)態度をとるなんて、許せない!!この俺たちがかわいがってあげるよ!!」

と、男たちの1人から罵声を梨子に浴びせると、そのまま梨子の手を持ってはこちらに引っ張ろうとする。これには、梨子、

(えっ、えっ、私、どうしたらいいの!!このままだと、私、侵されてしまう!!もうダメ!!だ、だれか助けて~!!)

と、μ'sの花陽ばりに心の中で助けを求めようとする。が、実際のところ、梨子、あまりに男たちが怖すぎて、「助けて」、の声すらあげることすらできなかった。いや、それどころか、梨子、あまりの怖さに目を閉じてしまい、その目を開けることすらできないほどおびえていた。このまま梨子はこの男たちに侵されるのだろうか。

 

 が、そんなときだった。突然大きな声が聞こえてくる。

「お前たち、これ以上梨子ちゃんに近づくな!!」

その声は梨子にとってとても聞きなれた声だった。さらには、梨子に襲い掛かる男たちの声なのか、

「だ、だれだ!?」

と、少しおびえたような声もしてきた。この一連の流れに、梨子、

(えっ、だれか私のことを助けにきたの・・・)

と、なにかに期待している、そんな気持ちになっていく。その梨子だが、恐る恐る目を開けてはその聞きなれた声のするほうを向く。すると、そこにいたのは・・・、

「か、果南ちゃん!!」

そう、果南だった。その果南はすぐさまその男たちのあいだを割って入ると、そのまま梨子とその男たちを遮るようなかたちで梨子と男たちのあいだに立つ。このとき、梨子は果南からしてくるある匂いに気づく。

(あっ、果南ちゃんからとてもいい匂い、いや、(自分にとって心安らぐ)汗の匂いがする・・・)

この果南から漂ってくる果南の汗の匂いに梨子は落ち着きを取り戻す。どうやら、果南、大学生たちとの練習が終わった後、汗を流すために千歌の家である旅館へと移動していたところ、見知らぬ男たちにかまられている梨子の姿を見つけてしまい、いてもたってもいられずに梨子を助けに来た、みたいだった。

 しかし、そんな梨子を助けに来た果南に対し、梨子に迫っていた男たちからすれば・・・、

「は~、ただの女子高生じゃないか!!こんなもの、怖くもかゆくもないわ!!」

と、果南のことをただの女子高生としか見ていないのか、果南のことをかなりなめていた。これには、果南、

「だからってそれがどうした!!」

と、男たちに対して威勢を張る。が、この果南の行動にも男たちは微動だにしない。それどころか、

「ほ~、威勢を張るのだけはいっちょまえだな!!だとしても、この俺たちにはちっとも響かないよ!!この三下が!!」

と、果南のことを見下してしまう。いや、それどころか、男たち、

「ねえねえ、威勢だけはいっちょまえのお姉ちゃん(果南)よ、いつまで王子様気取りをしているつもりでちゅかね!!」

と、果南のことを小ばかにする。いや、それどころか、この男の発言にその男の仲間たちからは、

「いよっ、名言中の名言だね~」「もっと言ってやれ!!」

と、その男のことをはやし立ててしまう。こんな男の仲間たちの発言を聞いてか、果南、

「うう!!」

と、悔し顔になってしまった。

 そして、自分のことをはやしたてる仲間たち、悔しい表情をみせる果南の顔を見てか、その男は気をよくしてついにこんなことまで言いだしてしまった。

「おい、そこの威勢だけはいっちょまえの王子様(果南)に守られているだけのかわいそうな子(梨子)よ、いつまでもそんな王子様に守られないといけないのでちゅかね~。本当にかわいそうでちゅね~」

そう、その男、今度は梨子を小ばかにしてきたのだ。この男の言葉を聞いた梨子、

(うう、私はそんなにかよわい子じゃないよ・・・。でも、それを言い返すことができないなんて、本当に悔しいよ・・・)

と、その男たちに言い返すことができない、そんな悔しい思いをしつつも、

(でも、果南ちゃん、果南ちゃんだけでも逃げて!!私はどうなってもいいから、果南ちゃんだけでも逃げて!!)

と、果南のことを心配していた。

 と、そんなときだった。いきなり怒声が聞こえてくると、すぐに、

ドンッ!!

と、梨子の耳にも聞こえてくる、とても大きな音が聞こえてきた。その音は梨子の耳の鼓膜を激しく揺らすほどの大きな音だった。これには、梨子、

(な、なにが起こったの!!)

と、きょとんとなるも、すぐにその音がした方を向いてみる。すると、そこには誰かの手があった。いや、自分の顔のそばにその手があったのだ。その手を見て、梨子はこう思った。

(か、果南ちゃん・・・)

 

「いつまでもそんな王子様に守られないといけないのでちゅかね~。本当にかわいそうでちゅね~」

この男の言葉を聞いた果南、その瞬間・・・、

プチッ

という音が果南の体のなかに響き渡る。どうやら果南の堪忍袋の緒が切れたみたいだった。

 そして、ついに果南は怒ってしまう。梨子のことを小ばかにした男たちに対して怒りの一言。

「私のことだけならまたしも、梨子ちゃんのことをバカにするなんて、もう許せない!!」

これまでに見たことがない、そんな果南のキレたときの顔、それは鬼の形相といっても過言ではなかった。また、そのときの果南の声は本当に怒声といってもよかった。

 さらに、キレた果南、ある行動にでる。なんと、果南、突然手をあげては、

グイッ

と、まるでだれかに張り手をぶちかます、そんな態勢にはいる。これには男たちも、

「ヒィッ!!」

と、身を構えてしまった。

 が、そんな男たちにはなにも起きなかった。そのかわり、いきなりこんな音が聞こえてきた。

ビューン ドンッ!!

この音が気になったのか、男たちはその音がするほうを見る。すると、なんと、果南が意外なところに張り手をかましていたのだ。その果南の姿を見て、男たち、こう言ってしまう、いや、小ばかにした。

「なんで自販機に、張り手、いや、壁ドン、しているんだよ!!」

そう、果南、なんと、男たち・・・ではなく自販機に張り手をかましたのだ。それに気づいた男たち、なんで自分たちではなく自販機に張り手をかましてしまった、そんな果南のことを小ばかにしたのだった。

 が、その果南を見ては大変な思いをしている、そんな少女がいた。その少女はその果南がした張り手、それがまったく別の意味、というよりとても大変な行為としてみえてしまったのである。その少女の名は・・・、その少女は自分の顔の近くで張り手をした果南を見てこう思った。

(か、果南ちゃん・・・)

そう、その少女の名は、梨子、だった。梨子、男たちが怖くて目を閉じていたものの、いきなり自分の近くで大きな音がしたので目を開けて確認すると、そこには果南の手があった。これに気づいた瞬間、梨子、

(か、果南ちゃん・・・)

と、頭が真っ白になってしまった。そして、ついにある事実を知る。

(あっ、か、果南ちゃんが、果南ちゃんが、この私に、壁ドン、をしてしまった・・・)

そう、この果南の自販機への張り手、それを梨子は、自分に対する壁ドン、と思ってしまったのだ。果南が自分に対し壁ドンをしてしまった、そう思った瞬間、梨子の心臓の鼓動は今まで以上に激しいものとなってしまった。いや、いまにも心臓が破裂する、そう思っても仕方がなかった。なぜなら、それは、ある意味、梨子にとっては、夢、いや、願望が叶った瞬間、だったからである。梨子の願望、それは男っぽい性格の持ち主である果南から壁ドンをされる・・・というか攻められること、だった。それが、まさか、このタイミングで叶うとは、とうの梨子からしても想像だにできないことだった。そして、それが梨子にある思いをもたらすことにならう。その思いとは・・・。

(か、果南ちゃん、だ、大胆過ぎだよ~!!わ、私、もう限界・・・、いつ心臓が破裂してもおかしくないよ~!!)

そう、梨子にとってある意味自分の限界を迎えてしまった、そんな思いだった。果南のいきなりの壁ドンにより梨子の心臓の鼓動はついに限界を突破した。そして、果南の壁ドン状態はいまだに継続中である。こうなると、いつ梨子の心臓が破裂してもおかしくない、そんな危険信号が梨子の体のなかを駆け巡っていた。

 が、そんな梨子、であったが、さらにこんなことまで考えてしまう。

(そ、それに・・・、これって・・・、あの、「シャゼリア☆キッス」のエメラルドと桜の壁ドンのシーンと一緒・・・だよね・・・。ま、まさか、あのシーンの再現、じゃないよね・・・)

そう、実は梨子が小さいときに見ていた特撮番組「シャゼリア☆キッス」、そのなかでも梨子がショックを覚えてしまったあのシーン、エメラルドが桜に向かって壁ドンをする、そのシーン、それと、今の状況がとても似ているのだ。敵のとの戦いで桜がピンチに陥ったとき、エメラルドがあらわれてはその桜に向かっていきなり壁ドンをくりだす、そのシーンである。そのシーンを毎回見ていた梨子にとってみればとてもショッキングな思いを毎回していたのだ。そのシーン、それと同じことが今まさに自分の目の前に起きているのだ。これには、梨子、ただでさえあこがれの存在だった果南からまさか壁ドンされるとは思ってもいなかったので、そのシーンと今の状況を重ね合わせてしまい、もう限界を迎えていた梨子の心臓の鼓動、それをさらに激しくする、そんな感じすらしていた。

 と、いうわけで、梨子、

(ううう、うわわわ・・・)

と、頭のなかがパニック、いや、機能不全に陥ってしまう。いつ心臓、いや、自分の欠陥すべてが破裂する、いつ死んでもおかしくない、そんな状況に梨子は陥ってしまった。

 

 と、そんな具合に、突然自販機に向かって壁ドンをしてしまった果南、その壁ドンにより今にも自分の心臓や欠陥が破裂しそうで死んでもおかしくない、そう思っていた梨子・・・であったが、とうの(梨子を取り囲んでいた)男たちはというと、

「本当に笑えるわ!!俺たちではなく自販機に壁ドンを繰り出した王子様気取りの子(果南)とそれにときめいている子(梨子)、なんちゅう笑える2人だな!!)

「本当にそうだな!!2人そろって、本当にバカ、なんだな!!」

と、果南と梨子のことをバカにしては笑っていた。

 と、そんなときだった。果南と梨子、2人を笑っていた男たちの足元からこんな音が聞こえてきた。

コトンッ!!

この音に気付いたのか、男の仲間の1人が、

「うっ、なんだ、この音は!?」

と言っては自分の足元を見る。すると、そこには・・・、なぜか未開封の缶ジュースが転がっていた。その缶ジュースに気づいたその人はすぐに缶ジュースを拾い上げようとした、そのときだった。いきなり自販機から変な音が聞こえてくる。

ガラガラガラ

その音のあと、自販機の取り出し口の扉が、

コトンッ

という音とともに下に落ちると、同時にその取り出し口から、

グワンッ!!グワンッ!!

と自販機の中にあった缶ジュースが次々と飛び出してきたではないか。それにあわせてか、梨子を囲んでいた男たちのあいだから、

「痛!!」「痛い、痛い!!」

と、突然自販機の取り出し口から飛び出してきた大量の缶ジュースに当たったのか、悲鳴ともとれるような声が次々と聞こえてきた。

 で、この様子を見ていた果南、

「ハハ、ハハハ・・・」

と、苦笑いしてしまう。どうやら、果南の壁ドン、とても勢いが強すぎたのか、自販機そのものを壊してしまった・・・みたいだった。むろん、これには、梨子、ただただ唖然とするしかなかった。

 そんな梨子であったが、ついあることを思い出してしまう。

(あっ、これって、もしかして、私が昔見ていた「シャゼリア☆キッス」、あのシーンと同じかもしれない・・・)

そのシーンとは、そうである、ピンチになった桜に対しエメラルドがいきなり壁ドンをする、そのシーンであった。実は桜に対しエメラルドは壁ドンをするのだが、男勝りの絵メアラルド、ということで、壁ドンの勢いがありすぎて、壁ドンのつもりがその壁そのものを壊してしまう、もし壊さなくてもエメラルドの手が壁にめり込んでしまう、それがオチ、というかお決まりであった。で、そのお決まりと果南が壁ドンで自販機を壊してしまったこと、それがとても似ている、と、梨子はつい思ってしまったのである。ちなみに、絵馬ラルドが桜に対し壁ドンをするものの勢いありすぎて壁を壊してしまう、もしくは自分の手が壁にめり込んでしまうこと、そのお決まりであるが、実はエメラルドがわざとしていた、という裏設定があったりする。なぜなら、その行為により敵は戦意喪失してしまい桜とエメラルドから逃げていく、それをエメラルドは狙っていたものだった。これにより桜を無事に救出できるだけでなく、余計な犠牲者を増やさなくてすむ、そんなエメラルドの思いやりから生まれた壁ドンだった、という裏設定であった。なお、今回の果南の壁ドンについては果南がエメラルドと同様に自販機をわざと壊して梨子を救出・・・したかったのかどうかについてはいまだもって不明であった。

 

 そして、自販機が壊れて大量の缶ジュースがいきなり飛び出してきた、その大量の缶ジュースが梨子を取り囲んでいた男たちにあたり悲鳴をあげて痛がっていたのだが、そんなタイミングで痛がっている男たちに対しこんな言葉が飛び込んでくる。

「おい、お前ら、なんでそこにいるんだ!!」

この言葉に対し、梨子を取り囲んでいた男たちはみな、

「は、はい!!」

と、気をつけの姿勢をするとその声がするほうを向く。むろん、この声に対しては梨子も果南も、

(だ、だれ!?)(梨子)

と、思ったのか、その声がするほうを向く。

 すると、梨子を取り囲んでいた男たちとは別の男たちの集団があらわれたではないか!!その男たちの集団を見て、果南、すぐにこう叫んだ。

「あっ、今さっきまで私と一緒にライフセービングの練習をしていた大学生のみなさん!!」

そう、その別の男たちの集団とは・・・今さっきまで果南と一緒にライフセービングの練習を行っていた、あのがたいのいい大学生たちだった。

 で、その大学生のリーダーは梨子を取り囲んでいた男たちに向かって威勢のある声でこう言った。

「おっ、これは果南殿ではありませんか!!今日の練習、ご一緒にさせてくれて本当にありがたいものです!!そして、今度は僕たちの後輩たちがお世話になっているみたいですね!!」

どうやら、梨子を取り囲んでいた男たちはきついライフセービングの練習を果南と行い、果南と一緒に汗を流した、その大学生たちの後輩みたい、だった。そのことを知った果南、その大学生のリーダーに向かってこう言った。

「あなたの後輩さんには本当にお世話になりました!!特に、私の後輩(梨子)がかなりお世話になったみたいです、悪い意味でね・・・」

この果南の言葉を聞いた大学生のリーダー、梨子を取り囲んでいた男たちこと後輩たちに向かって、

「ほう、果南殿の後輩がお世話になったというわけですね・・・」

と、にらみながら言うと、ついにリーダー、後輩たちに対し怒りの鉄槌を下す!!

「お前ら、なにをしているんだ!!か弱い女子高生に向かって無理やり迫るなんて、なんてことをしてくれたんだ!!それでも男の端くれか!!」

このお怒りの言葉を聞いた後輩たち、いろんな言い訳をするも、リーダー、聞く耳持たず。しまいには、リーダー、

「もう許さん!!おい、すぐにバスを用意しろ!!」

と怒り口調で言うと、そのリーダーの仲間の1人がすぐにバスを手配、ものの1~2分でバスが到着してしまった。

 そして、リーダー、なんと、がたいのいい後輩たちを猫のように軽く持ち上げたは、

ポイッ

と、そのバスのなかに放り込んでしまった。

 その後、後輩たち全員をバスのなかに放り込んでしまった大学生たちのリーダーは果南と梨子に対し、

「本当に申し訳ない!!この自販機の弁償はこちら側で、というか、あなたたちに迷惑をかけた後輩たちに絶対させる!!とはいえ、後輩たちがあなた方に対して怖い思いをさせてしまい、本当にすまない!!」

と、全力で謝罪すると、リーダーたちもそのバスに乗り込みそのままどこかに行ってしまった。これには、果南、梨子、ともに、

「「・・・」」

と、唖然とするしかなかった。

 

 と、いうわけで、大学生たちが去っていった今、その場にいるのは梨子と果南の2人だけだった。が、それだけではなかった。梨子、唖然となったままだったが、すぐに、

(あっ、よくよく考えると、まだ、あの状態が続いていた・・・。あこがれの果南ちゃんから、壁ドン、されたままだった・・・。ど、どうしよう~)

と、今の状況に気づき慌てふためく。そう、いまだに果南の壁ドン状態は続いていたのだ。なので、梨子、

(う~、そう考えると、今さっき収まったはずの心臓の鼓動が再び早くなってきたよ~!!心臓の鼓動が止まらないよう!!)

と、またもやドキドキが止まらない、そんな状況に陥ってしまった。

 が、そんな夢物語はついに終わりを迎える。いきなり、果南、

ぷいっ

と、自分の手をさっと引っ込めると、赤くなった顔を隠すかのように方向転換、そのまま千歌の家である旅館へと駆け足で去っていってしまった。これには、梨子、

(か、果南ちゃん・・・)

と、なんか寂しそうな心情になってしまった。

 と、いいつつも、ついに終わった夢物語に、梨子、

(ふ~、まさかこんな形で私の願望が叶うなんて思っていなかったよ・・・。でも、もう、こんなことを味わう機会がないと考えるとちょっと残念だったかな・・・)

と、ちょっと残念そうに思うも、

(でも、この夢物語の記憶はばっちり覚えたよ!!で、この記憶を少しだけ再生して・・・)

と、これまでの夢物語の記憶を頭のなかで再生してしまう。

 だが、それが間違いだった。梨子、頭のなかでその記憶を再生すると、

(うわっ、うわわ!!)

と、突然パニックを引き起こしてしまった。それに合わせて梨子の心臓もバクバク、心臓の鼓動が激しくなり、今にも梨子の心臓は破裂しそうになる。で、その記憶の再生が終わるとすぐに、

(う~、なんていうか、耽美的な世界、だったな・・・。なら、も、もう一回だけ、再生!!)

と、梨子、その記憶を何度も何度も再生してはその都度、パニック、心臓バクバク、そんなサイクルを繰り返してしまった。まるで、梨子、なにかの依存症にかかった、そんな感じになってしまった・・・。

 

 そして、その日の夜、何度も何度も夢物語のような、果南の壁ドン、その記憶をなんども再生してしまった梨子、

(う~、眠れない・・・)

と、興奮しすぎて眠れずにいた。これまで夢、というか願望だった、果南の壁ドン、それがまさかこんな形で叶うなんて思いもしなかったこと、そして、それを実際に経験し覚えた記憶、その記憶を何度も頭の中で再生したことによりその経験が自分にとってとてもショッキングな経験へと変わってしまったこと、これらにより、梨子はその経験からかなり時間が経った今でも心臓の激しい鼓動が収まらない、いつ心臓が破裂してもおかしくない、そんな思いで梨子はいっぱいだった。とても悶々とした気持ちに支配された梨子であった。

 そして、眠れない梨子はバルコニーにでては夜空を見上げてこう叫んでしまった。

「果南ちゃん、この私のドキドキ、どうすれば鎮めることができるのか、どうか教えてください!!果南ちゃん、どうか、この私のドキドキ、鎮めてください!!」

 

                               終わり・・・?

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