ラブライブ!アラカルト   作:la55

15 / 37
ODAIBA’S HOLIDAY~お台場の休日~ SETUNA side 第1話

「スクールアイドル同好会を・・・休止します・・・」

 

せつ菜はそう言うと唇を噛みしめながらこう悔いていた。

(ここに至ったのは全て私のせいなのです!!私が、私が、自分の好きをメンバーに押し付けたのが悪かったからなのです・・・)

 せつ菜、優木せつ菜、といっても本名ではない。優木せつ菜とはいわゆる芸名である。せつ菜はニジガク・・・、お台場にある夢見る者たちが集う学校、虹ヶ咲学園高等部、その2年生であり、そのニジガクが誇るスクールアイドル同好会の実質的なリーダーであった。そして、これでも日本では名の知れたスクールアイドルであった。スクールアイドル、それは高校生なら誰でもなれるアイドルのことである。そして、せつ菜はニジガク高等部に入学してから今までスクールアイドルとして大活躍してきた、ある野望をもって・・・。それは・・・、

 

「自分の好きを大々的に言える、それを誰も否定しない、そんな世界を造る」

 

ことであった。せつ菜は生粋のラノベ・アニメおたくである。そのため、ラノベやアニメなどの二次元的なものがとても好きであった。それはラノベやアニメを見る際、その登場人物に感情移入しすぎてしまい、まるでその登場人物になりきってしまう、それくらいのものであった。そして、スクールアイドルのこともせつ菜はとても好きであった。いや、スクールアイドルになること自体せつ菜の小さなときからの夢だった。スクールアイドルはせつ菜にとってバイブル的なものだった。スクールアイドル、それは自分の好きを大々的に言える、そうスクールアイドルのことをせつ菜はそう思っていた。いや、「きらびやかなステージ衣装を着ながら自分の好きや思いを歌としてダンスとして表現していた」、と、初めてスクールアイドルを見たときのせつ菜はこう感じてしまったのである。それ以降、せつ菜のなかでは、

 

スクールアイドル=自分の言いたいことを、好きなことを大々的に言える存在

 

という思いが生まれてしまった。そのため、せつ菜は高校生になったら絶対にスクールアイドルになって自分の好きを大々的に言いたい、そう思っていた・・・というか、あることが原因で絶対にそうなりたいと思っていたのだ。むろん、せつ菜の好きなもの・・・それは・・・、せつ菜が好きなもの、ラノベやアニメなどのことである。むろん、そんなかにはスクールアイドルも含まれていた。

 そして、せつ菜はニジガク高等部に入学すると優木せつ菜という芸名でスクールアイドルとして活動をするようになる。その際、せつ菜は自分の好きを、ラノベを、アニメを、そして、スクールアイドルを、大々的に歌として、ダンスとして自分の好きなものとして表現してきたのだ。そんなこともあり、せつ菜が1年生を終えるころ、せつ菜はニジガクが誇るスクールアイドルとしての地位を確立するとともに全国的にも名の知れたスクールアイドルにもなっていた。

 そして、せつ菜が2年生になったとき、そんなせつ菜のもとにスクールアイドルになりたい若者たちが集まってきた。いつもは寝ているが料理の腕は学園一な妹想いの3年生、スクールアイドルのことが大好きで自分もスクールアイドルになりたくてスイスからニジガクに編入してきた優しき3年生、かわいいもの好きで自分が一番かわいいと豪語するコッペパンを造ってしまう小悪魔的な1年生、そして、スクールアイドルとして自分の演技の幅を広げたい、そんあ向上心を持った演劇部にも所属している1年生こと桜坂しずく、この有志4人とともにせつ菜はスクールアイドル同好会を創部した。

 そして、せつ菜は同好会を始めるにあたってこんな構想をもっていた。まず、日本でも名の知れた自分自ら先頭に立って同好会の実績をつくる、その上で集まった有志たちというかスクールアイドルになりたての有志たちを自分が引っ張っていく、育っていく、それにより同好会を盛り上げていく、そんな構想だった。そのため、週末のイベントではせつ菜がニジガクのスクールアイドル同好会の看板をもちスクールアイドルとして活躍することでニジガクのスクールアイドル同好会の名を世の中に広めるとともに平日は初心者である有志たちをせつ菜が育てることにしたのである。

 だが、そのなかでせつ菜と同好会のあるメンバー・・・というか、その有志の1人であったしずくとのあいだであるいざこざが起きてしまったのである、それはせつ菜のある思いによって・・・。せつ菜はしずくに対しスクールアイドルとしての、そして、同好会最初のイベント、同好会お披露目ライブに向けての指導をしていた。せつ菜は、当初、しずくがスクールアイドルを目指した理由、それがスクールアイドル活動を通じて自分の演技力を伸ばしていくこと、だと思っていた。そのためか、せつ菜の指導を通じてしずくはスクールアイドルとしてのいろはをいろいろと学んでいったのである・・・のだが、最初のころは良かった。だが、そのあとが悪かった。しずくはせつ菜の指導を熱心に受けていたものだから、せつ菜、

(しずくさん、教えがいがありますね!!なら、私、もっともっと、いろんなこと、しずくさんに教えてあげます!!)

と、つい指導に熱を込めるようになってしまったのである。で、せつ菜、ラノベやアニメのなかでも「熱い展開のファンタジーやスポーツ」といった熱血系のものが特に好きである、そのせいか、指導しているときもつい熱が入るとスポ根系というのか、熱血的な指導に陥りやすい、そんな欠点があったりする。で、今回もそれに該当ししまった・・・というのがオチであった。いや、それ以上に、しずくに対し、せつ菜、

「あれはあれで、これがこれで、こうしないといけないのです!!そうでもしないと自分の熱意なんて伝わらないのです!!」

と、自分の好きなもの・・・というか、スクールアイドルに対する熱意そのものをしずくに押し付けてしまったのである。むろん、せつ菜が熱血的な指導をしていくうちにせつ菜が当初しずくがスクールアイドルとして目指しているもの(と自分が思っていたもの)、自分の演技力を伸ばしていくこと、それとは程遠いものに次第になってしまった。せつ菜自身がスクールアイドルとして目指しているものは「自分の好きを大々的に言える」ことであり、しずくがスクールアイドルとして目指しているもの(とせつ菜が思っているもの)は「自分の演技力を伸ばしていく」ことであった。2人が目指すべきスクールアイドル像はとてもかけ離れているものだった(と、このときのせつ菜はそう思っていた)。そんなこともあり、しずく、熱く指導しているせつ菜に対し、突然、こんなことを口にしてしまった。

「せつ菜先輩、本当に申し訳ありません・・・。私、せつ菜先輩みたいになれません・・・。だって、私・・・、私・・・」

このしずくの言葉を聞いた瞬間、せつ菜ははっとしてしまう。

(わ、私・・・、いつのまにか、自分の好きを・・・、自分の思いを・・・、しずくさんに押し付けてしまいました・・・)

そう、せつ菜は気づいたのだ、自分がしずくに対し自分の好きを、自分の思いを、押し付けてしまったことを・・・。せつ菜は、最初、しずくに対し、スクールアイドルとして活躍させたい、その一心で指導してきた。だが、その指導に熱を入れてしまったばかりにしずくが目指しているもの?、「自分の演技を磨きたい」、それとはかけ離れてしまい、せつ菜の好きを、スクールアイドルが好きであること、それを熱意をもって無理やり伝えてしまった、しずくに対し自分の好きを押し付けてしまったのだ。それはせつ菜が目指しているもの、もう一つのものに反していた。それは・・・、「自分の好きを誰も否定しない」、ということだった。しずくが目指しているもの?、それをせつ菜は無視してまで自分の好きを、自分の思いをしずくに強要している、押し付けているのであれば、それ、すなわち、しずくが好きなものを否定することにもつながってしまう、そうせつ菜は、このとき、そう思ってしまったのである。そのしずくが好きなもの、それ、すなわち、演劇、である。演劇が好きだからしずくは演劇とは分野が違うスクールアイドルの世界に入り自分の演技力を伸ばしていきたい、そうせつ菜は当初思っていた。だが、そんなしずくの思い?すら無視してまで自分の好きを熱意をもってしずくに対し強要しているのであれば、それは「しずくの好きを否定しない」、それを否定している、いや、しずくに対しせつ菜の好きなものを強要してそれを言わせようとしている、そうみられても仕方がない、と、せつ菜は気づいたのである。

 そんなこともあり、せつ菜はしずくとの対応についてこう反省してしまった・・・。

(私、しずくさんに対しいけないことをしてしまいました・・・。私は「私の好きを大々的に言える、だれもそれを否定しない、そんな世界を目指していました。そのために私はスクールアイドルとして活動してきました。けれど、私はしずくさんに対し、しずくさんの好きなもの、演劇、その実力を伸ばすためにしずくさんは同好会に入ってそれを目指そうとしていること、それを無視して、私の大好きを、「スクールアイドルが大好き」、をしずくさんに押し付けてしまいました。いや、私の大好きなものをしずくさんに言わせようとしていました。それは私の決めた私が目指しているもの、「自分の好きを誰も否定しない」、そのことに反しています・・・。それ、すなわち、(私からすれば)同好会を率いる資格なんてない、いや、スクールアイドルとして失格・・・ということですね・・・)

そう、せつ菜は自分が目指しているスクールアイドル像とはかけ離れたことをしてしまった、そのことにより、もう自分が同好会を引っ張っていく、リーダーをする資格なんてない、それどころか、スクールアイドル失格、という烙印を自ら押してしまったのである。だが、それくらい、せつ菜がしずくに対し行ったことは絶対にいけないことだとせつ菜は猛省していたのである。

 そして、その猛省がせつ菜にある決断をさせた。それは・・・、

(ならば、ここで私としてはケジメをつけないといけません・・・。私がしずくさんにしてきたこと、それによって私がやれること・・・、それは・・・、スクールアイドル同好会・・・休止です・・・。私がスクールアイドル同好会を休止すればほかの同好会メンバーたちは晴れて自由の身です。私がこれ以上私の大好きを強要せずに済みます。そのメンバーたちがまだスクールアイドルをやりたいのであれば誰かが私の代わりにリーダーとして新しいスクールアイドル同好会を始めるはずです。その新しい同好会には私はもうおりません。なので、メンバーたちは自分の目指すスクールアイドル像を目指すことができます。なので、私の作った同好会は今日で終わりにします!!)

そう、今のスクールアイドル同好会を休止にすることだった。今のままだと、また、いずれかはせつ菜は自分の大好きをほかのメンバーに対して強要してしまう、そうならないためにも、1度、今の同好会を休止にしてせつ菜のいない新しい同好会を作ってもらえばいい、そうせつ菜は決断したのだった。

 さらに、それ以外にもせつ菜はある決断をしていた。それは・・・、

(そして、今回の責任をとって、私、優木せつ菜、次回のライブをもって、スクールアイドルを引退します!!私は自分の大好きを大々的に言いたい、それを誰も否定しない、そんな世界を目指してスクールアイドルを続けてきました。ですが、しずくさんにしずくさんの思いとは反対なことを、しずくさんの大好きなことを無視してまで私の大好きなもの、スクールアイドルを強要してしまいました。それは私の目指すべきものとはまったく違うものです!!それを私はしてしまいました。そして、これからも私はそれをしてしまうのでしょう。なので、そうならないためにも、今回のケジメとして、私、優木せつ菜、スクールアイドルを辞めます!!)

そう、せつ菜は今回のしずくの件のケジメとして次回のライブをもってスクールアイドルを辞めることを決断したのである。それは自分の目指すべきスクールアイドル像とはかけ離れてしまった、そのケジメ、だけではなかった。もし、せつ菜がスクールアイドルを続けているとまた今回の件と同じことが起きてしまう、それを危惧しての考えだったのである。せつ菜は、ラノベ、アニメのなかでも熱血的な展開のものが好きだったりする。そのため、せつ菜が人に指導するとき、ついスポ根じみた熱血あふれることをしてしまう傾向があると今回の件でせつ菜はそう自分を分析していた。それが、今回、しずくの指導の際に起きてしまった、そして、これからも同じことが起きてしまう、そうせつ菜は考えたのである。それを防ぐ意味でもせつ菜はスクールアイドルを辞めることを決断したのである。

 そして、今、せつ菜は自分の今回のケジメとしてしずくをはじめとする同好会メンバーに対し同好会休止を伝えたのである。むろん、ほかのメンバーからいろんなことを言われたがせつ菜の意思は強かった。こうして、せつ菜がリーダーの同好会は休止・・・というか、空中分解してしまった・・・。

 その後、せつ菜は自分の家に戻ると小声でこう言った。

「これでいいんです・・・。私の・・・せつ菜としての・・・人生は・・・もう終わったのです・・・。私は私のせいで同好会を休止しました・・・。それこそ、私がとれる、私の目指すべきものとは正反対のことをしてしまった・・・、そのケジメなのです・・・。もうこれでいいのです・・・。すべて私の責任なのです・・・」

ただ、せつ菜がこう言っているあいだ、せつ菜の表情はとても暗いものだった。いや、自分のせいでスクールアイドルを・・・同好会を・・・終わらせてしまった・・・、それによる・・・自分のなかに残った・・・悔い・・・、そんなものが染みだしていた・・・。

 

 せつ菜の同好会休止宣言から数日後・・・、せつ菜は・・・、黒縁の眼鏡をして、髪を三つ編みにして、生徒会室にいた。そこではここ数日に舞い込んでいた大量の仕事をせつ菜を含む数人で手分けして処理していた。そのなかで、せつ菜、その数人の人たちにたいしある命令をだした。

「この案件はすぐに承認しますからすぐにこの承諾書を職員室に持って行ってください。ではないと、これほど緊急の案件でニジガクの生徒たちを困らせたくないですからね」

優木せつ菜、それは芸名である。で、せつ菜の本当の名前であるが、本当の名前、それは、中川奈々、である。そして、なにを隠そう、せつ菜、いや、奈々はこの虹ヶ咲学園高等部、その生徒会長を務めていた。そして、奈々はニジガクの生徒会長として、ニジガクの生徒たちのために、明るい学校運営のために、日夜頑張っていた。その一方、空いた時間、特に放課後やニジガクが休みになる週末祝日はスクールアイドル優木せつ菜として活動してきた。が、奈々自体せつ菜としてスクールアイドル活動していることをまわりには隠していた、とある理由で・・・。なので、せつ菜の存在自体ニジガクの隠された謎の1つとして生徒たちに言われてきた。たしかにせつ菜はニジガクが誇るスクールアイドルである。だが、その存在をスクールアイドルのステージや同好会の練習以外に見たことは誰もいなかった。そのため、せつ菜はニジガクのスクールアイドルである、けれど、それは幻の存在、いや、幽霊ではないか、と噂されていた。その正体がニジガクの生徒会長である中川奈々本人であることは学校中でごく数人しか知らなかった。それくらいせつ菜はニジガクにとってトップシークレット的な存在だった・・・。

 そんな奈々であるが、生徒会長としての能力もピカイチだった。たとえ重要な案件であってもすぐに的確な判断を下すことができる、それくらい有能であった。そのため、ここ数日で舞い込んでいた大量の仕事をそつなくこなしていた。そんな奈々であったが、その仕事の最中、こんなことを考えてしまった。

(あぁ、私の好きなものに対するフラストレーションがどんどん溜っていきます・・・。スクールアイドルを辞めるから、その好きのフラストレーションを吐き出すことができません・・・。このままだと、私、いつかは爆発してしまいそうです・・・)

そう、奈々のなかにある、ラノベ、アニメ、そして、スクールアイドルに対する大好きの気持ち、フラストレーションがどんどん蓄積していっているのだ。実は、奈々、自分がラノベ、アニメ、スクールアイドルが好きであることをひた隠していた。それはとある理由によるものからだったが、通常、奈々はそのものが好きであることを隠しながらニジガクの生徒会長として、優等生として、日々暮らしていたのだ。だが、その好きをひた隠していくうちに奈々のなかではその大好きという気持ちというかフラストレーションがどんどん溜っていったのである。そして、それが限界を迎えようとしたとき、奈々はあることを思いついたのである。それがスクールアイドルとして自分の大好きというフラストレーションを歌やダンスとして吐き出す、ということだった。大好きなスクールアイドルをすることで自分のなかにある溜っていた大好きというフラストレーションを一気に吐き出してしまおう、奈々にとってみれば一石二鳥ともいえるアイデアだった。だが、とある理由でスクールアイドルをしていることをひた隠ししないといけなかった、というわけで、芸名優木せつ菜としてスクールアイドル活動を陰に隠れて奈々は行っていたのである。で、そのフラストレーションがいつも膨大だったため、奈々は、せつ菜は、スクールアイドルとしてステージに立ち歌を披露しているときはいつもその膨大なフラストレーションを一気に吐き出していた。そんなこともあり、せつ菜のステージはいつも鬼気迫るもの、いや、それくらい熱いものだった。そういうこともあり、せつ菜の人気もうなぎのぼり、こうして、せつ菜は日本でも名の知れたニジガクのスクールアイドルとして認知されたのである。

 だが、奈々がスクールアイドル優木せつ菜であることは必死になってひた隠したこともあり、そのニジガクの生徒たちすらせつ菜を実際に見たことがない(せつ菜のステージや同好会の活動のとき以外)、そんな普通ならありえないような状況になっていた。

 なお、ステージ以外で奈々がそのフラストレーションを吐き出す方法はあと1つあった。それが同好会として同好会メンバーとともにスクールアイドルとして一緒に行動することであった。いわゆる、同好会活動も、奈々が、せつ菜がそのフラストレーションを吐き出す方法の手段となっていた。

 とはいえ、せつ菜がしずくとの一件で同好会を休止し、スクールアイドル優木せつ菜を辞める、そんな決断をしたとき、そのときから自分の大好きという気持ち、フラストレーションはどんどん溜まる一方であった。でも、そのフラストレーションを吐き出す方法、スクールアイドル優木せつ菜として同好会活動をすることを失った今、次の最後のライブまでそのフラストレーションを吐き出すことが奈々にはできずにいた。そのため、奈々の大好きというフラストレーションをはどんどん溜まっていった。そして、その限界を迎えようとしていた、奈々は・・・。なので、そのフラストレーションがいつ爆発してもおかしくなかった。

 ではあったが・・・、それでも奈々は黙々と生徒会の仕事をこなしていた。それは奈々の責務からのものであった。これでも奈々は優等生であり、ニジガクの生徒たちから選ばれてた生徒会長でもあった。なので、奈々自身、生徒会長であることを誇りに思っていた・・・というよりもそれが自分の責務であり、自分の実績作りに必要である・・・と思っていた。むろん、その思いに至った理由は奈々が大好きなもの、ラノベ、アニメ、スクールアイドル、それをまわりにひた隠している、そして、まわりに隠れてスクールアイドルとして活躍していた、その理由にも通じるのであるが、そんなことお構いなしに奈々は生徒会の大量の仕事に邁進していた。

 だが、そんな奈々であったが、その奈々の表情はまわりのみんなが心配するくらいのものだった。そう、このときの奈々の表情はとても苦しいものだった・・・、なにかによって奈々自身苦しんでいるみたいに・・・。奈々を苦しめているもの、それは・・・、奈々のなかに限界まで蓄積された、奈々の大好きという気持ちという名のフラストレーション、であった。そして、そうなった原因となった、しずくに対しての、自分の大好きを強要してしまったこと、それによるケジメ、同好会休止、そして、次のライブでスクールアイドルを引退する、それらによる悔い、であった・・・。

 

 そんな苦しい表情というか自分のなかにあるフラストレーションや悔いによって苦しんでいた奈々であったが、それでも自分の責務を果たすため、生徒会長の仕事を黙々とこなしていったが、その仕事量は半端ないものだった・・・。そのため、すべての仕事を終わらしたときにはまわりが暗くなろうとしていた。

 そして、すべての仕事を終え、まわりのみんな、というか、生徒会役員たちみんなを帰したあと、夕日を見ては奈々はこうつぶやいていた。

「うぅ、私のなかにある大好きという気持ち、フラストレーションの気を紛らす、そんな時間はもうありませんね・・・」

実は奈々のなかにあるフラストレーションを吐き出す・・・とはいかないまでもその気を紛らす方法はあるのはあるのだが、それ方法については後述するとして、その方法をとる時間はもうすでになかった。なぜなら、膨大な生徒会の仕事を全部こなし終わったときにはすでに外の空は暗くなろうとしていた・・・というよりも完全下校時間まであとわずかになろうとしていた。

 そんなわけで、奈々、

(今は苦しいですけど、私が我慢すればいいだけです・・・。今日は早めに帰ってそのまま眠ってしまいましょう・・・)

と、思ったのか、そのまま奈々は学校を後にした・・・のだが、自分が思っている以上に苦しかったのか、

(うぅ、この私がこんなに苦しめられるなんて、私のなかにある悪はとても手強いですね・・・。まるでラスボスクラス、世界を悪に染めてしまった、そんな魔王みたいなものですね・・・。それでも私は負けません・・・。だって、私は絶対に負けない、それくらい、勇気あるものですから・・・)

と、ラノベ、アニメ好きな奈々ばりに自分を鼓舞しつつも自分のなかにある悪・・・というかフラストレーションと悔いと戦っていた・・・。

 けれど、それもついに限界を越えてしまった・・・。奈々、ニジガクの近くにある公園のベンチに、

(もう私は限界です・・・。とても悔しいです・・・。もう私に戦う気力なんてありません・・・。みなさん、申し訳ございません・・・。私はここで終わりです・・・)

と、敗北感をだしつつも座っては倒れそうになっていた。そんなときだった。突然、よく聞きなれた声が聞こえてきた。

「大丈夫ですか?なにか苦しんでいるみたいですけど・・・」

そんな声が聞こえてきたせいか、苦しんでいた奈々は重たい目を広げながらその声のするほうを見て小さな声でこう言った。

「しずく・・・さん・・・」

そう、倒れそうになっている奈々に声をかけてきたのは・・・、同じ同好会のメンバーだった・・・、そして、せつ菜が熱血に指導をしていた、桜坂しずく、しずく本人であった・・・。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。