ラブライブ!アラカルト   作:la55

19 / 37
ODAIBA’S HOLIDAY~お台場の休日~ SETUNA side 第3話

 そして、奈々は黒縁メガネと三つ編みのまま生徒会室にある書庫の鍵を開けてはある本を取り出してこう言った。

「さてと、今日はあまりziぶんお時間がありません!!まだ生徒会長モードのままの姿ですが気にしません!!ここは私のターンです!!今日も私の好きなラノベ、「スペース・ホリデー」で私の「好き」というフラストレーションをなだめます!!」

そう、奈々が書庫から取り出したのは、今、奈々が一番好きなラノベである「スペース・ホリデー」であった。いや、よく見れば、その書庫、なぜか生徒会とか関係ないラノベばかりであった。実は、奈々、こっそりと生徒会室に自分のラノベを持ち込んではその書庫に隠していたのだ。まぁ、これには奈々にとってとても重要なことのせいでこうなってしまったのだが・・・、これについてはあとで話すとして、奈々は生徒会の役員が帰ってから完全下校時間になるまでのあいだ、たった1人でこの生徒会室に籠ってはこの書棚にあるラノベを読んでは自分の「好き」というフラストレーションを少しでもなだめようとしていた。ただ、そのラノベを読んでは、

「やっぱり、この展開は熱いですね!!」

と、熱く叫んでしまう・・・というか、自分の「好き」を叫んでしまうことがたびたびあった。そのためか、

「中川生徒会長、なにやら、生徒会役員のみんなが帰ったあと、1人でこっそり生徒会長の仕事をしては叫んでいるみたいですよ・・・」

と、役員たちが帰る時間と奈々が帰る時間に差があることもあり、奈々はに対する変な噂がニジガク内で流されたりもしていた。ただ、これについては、奈々、

「あれはちゃんと生徒会長としての仕事をしているのです。叫び声?あれは誰かの空耳でしょう」

と、たんたんと答えていた。まぁ、噂なのだから信じるか信じないかはあなた自身・・・といえるのですがね・・・。あっ、ちなみに、ニジガクの図書館はラノベが充実しているのですがこれは奈々のおかげというかなんというか・・・。

 そんなわけで、自分だけの至福の時間、いや、自分のなかに溜まる「好き」というフラストレーションを少しでもなだめようと奈々は自分の好きなラノベ、「スペース・ホリデー」、を読んでは、

「うぅ、この別れのシーン、とても泣けます!!何度読んでもいつもここで泣けてきます!!」

と、つい熱く叫んでしまった。

 そして、今日もこのまま奈々だけの至福なターンが続く・・・と思われていた、そのとき、奈々、「スペース・ホリデー」、を読み終えては自分のなかにあるラノベに対する「好き」というフラストレーションがつい出てしまったのか、突然、

「うわ~、やっぱり泣けます!!このラノベは私にとって一生のバイブルになる、そんな気がします!!」

と、熱く叫んでしまった、そのときだった。突然、生徒会室のドアが開いては、

「せつ菜先輩!!」

という声が聞こえてきた。これには、奈々、

(えっ、しずくさん!!まさか、私、せつ菜であること、バレてしまったのではないでしょうか・・・)

と、一瞬びっくりしてしまう。自分がせつ菜であることはまわりには内緒である。それが同じ同好会メンバーであったしずくにバレてしまった・・・と一瞬びくっとしたのだ。そう、生徒会室のドアを開けたのはしずくだった。

 だが、しずくの様子は少し違った・・・。なぜなら、

「って、中川先輩!!」(しずく)

そう、しずくは奈々のことをせつ菜ではなく、普段の自分の姿、奈々であると思ったのだ。それには、奈々、

(あっ、私、今、そのままの姿、生徒会長モードである私の姿のままでした・・・)

と、自分がせつ菜とは違う、いちもの生徒会長の奈々の姿であることに気付く。そう、奈々は自分の格好によってスクールアイドルである自分の好きを大々的に言えるせつ菜モードとクールで真面目な生徒会長である生徒会長モードの2つを使い分けていた。その格好とは、いつも奈々のときにしている黒縁メガネと三つ編みであった。黒縁メガネと三つ編みによりいかにも真面目そうな奈々のときは生徒会長としてクールで真面目な生徒会長をしている、演じているのだが、黒縁メガネをとって三つ編みをほどけばたちまち長い黒髪のスクールアイドルせつ菜へとモードチェンジ、これによりせつ菜は自分の好きを大々的にいる、みんなに自分の好きを叫ぶことができるのである。ただ、同好会を休止にしたときに次のライブでスクールアイドルを引退する身になるため、奈々は次のライブまでせつ菜モードを封印した・・・のだが、いつも自分の好きというフラストレーションをなだめるために自分尾好きなラノベを読むときは一瞬せつ菜モードを解除していたのものの、今回は下校予定時間である完全下校時間まで時間がない・・・ということで、黒縁メガネと三つ編みをしたままの状態、生徒会長モードのままでラノベを読んでいたのだ。そのため、しずくが自分がせつ菜であることに気付かなかったのだ。

 まぁ、そんなことに奈々は気づいたためか、奈々、叫ぶ、しずくに対し、

「ここは学校です。少しは静かにしてください」

と注意すると、しずく、

「本当に申し訳ございませんでした」

と反省していた。

 だが、このとき、しずくは奈々の前にある本を見てか、ついこんなことを言いだしてきた。

「ところで、中川先輩、先輩の目の前にある本ってなんでしょうか?なんか、中川先輩、私たちが帰ってから今までその本を呼んでいた気がするのですが・・・」

 すると、奈々、

(しまったです。このラノベのこと、忘れていました!!)

と、一瞬はっとしてしまう。そう、奈々、突然のしずくの来訪で自分の目の前にあるラノベをしまうのを忘れてしまっていたのである。なので、

「こ、これは・・・」

と、言葉に窮してしまった・・・奈々、ついにフリーズしてしまったようだった。

 と、ここで、しずく、追撃とばかりにこんなことを言ってしまう。

「中川先輩、この本って、今話題になっている「スペース・ホリデー」では・・・」

 だが、この瞬間、奈々、

(し、しずくさんがこのラノベに興味を持っている!!なら、この私がちゃんとこのラノベについて説明しないと!!)

と、なぜか、生徒会長モードの状態にも関わらず、いつもの奈々、自分の「好き」をみんなに伝える、まるで、ラノベの、自分の「好き」を伝道師みたいになったのか、歯止めが利かずに、

「しずくさん、この「スペース・ホリデー」はですね・・・」

と、ラノベ「スペース・ホリデー」の説明を熱く語り始めてしまう・・・といったものの、実は、奈々、相手に対し自分の好きなラノベのプレゼンをするとき、簡潔でうまく、聞く相手を巻き込んでしまうくらい、それくらい、伝道師としての能力が高かった。そのため、プレゼンをした相手は奈々が布教したラノベの虜になるくらいの高い不況成功率を奈々は誇っていた。なので、しずくに対しても奈々はそのラノベの布教をしている、プレゼンをしている、そんな気がしているようだった。

 ただ、いつもはせつ菜モードで布教しているのに、今は生徒会長モードで布教しているせいかい、「スペース・ホリデー」の布教を奈々が終わったあと、しずくから、

「中川先輩、なんか、いつもの感じ、真面目でクールな生徒会長ではない感じがします・・・」

と逆に指摘されると、奈々、

(うわ~、やってしまいました!!私、まだ、生徒会長モードのままでした!!それなのに、せつ菜のときみたいに熱く自分の「好き」を語ってしまいました・・・)

と思っては奈々の頭のなかはパニック、またフリーズしかけるも、次の瞬間、しずくから、

「まるで、私にとってあこがれの先輩、せつ菜先輩みたいです・・・」

と言われると、次の瞬間、奈々、

(えっ~~~!!私がせつ菜だとバレちゃったわけ!?そんなわけないですよね、しずくさん・・・。それに、しずくさん、私のこと、いや、せつ菜のこと、「憧れの先輩」って・・・)

と、頭のなかがパニック・・・、いや、もう完全にフリーズしてしまったかのか、奈々、

「せ、せつ菜先輩って誰のことですか?」

と、とんでもないことを言ってしまった・・・。

 ただ、そんな奈々を尻目に、しずく、

「まぁ、たしかに、私、私の憧れの先輩の方でしたから中川先輩がせつ菜先輩であると誤認してしまったみたいです。中川先輩、困惑させてしまって申し訳ございません・・・」

と謝罪してきた。これには、奈々、

(って、なんだ、バレたわけではなかったのです・・・)

とつい一安心してしまった。

 そんな一安心する奈々に対ししずくはある質問をした。

「ところで、中川先輩、この「スペース・ホリデー」、好きなのでしょうか?この本は、今、世間で話題になっておりますが、それでも「ラノベ」ですよね・・・」

そう、この「スペース・ホリデー」のジャンルはラノベである。で、いつもクールで交えな生徒会長をしている奈々自身、一種の娯楽小説であるラノベを読むというイメージがなかったりする。なので、しずくはその点を奈々に指摘してきたのだ。

 ただ、これには、奈々、

(し、しまったです!!私の今のイメージって「クールで真面目」というが一般的だから、ラノベを読む、そんなイメージがなかったりするのです!!それなのに、娯楽小説であるラノベを読むこと自体おかしい気がするのですから・・・)

と、またもや頭のなかがパニックなったのか、奈々、しずくに対し、

「そ、それは・・・、あのアニメの映画「鬼滅〇刃」みたいに流行しているからです!!たしかにこの本はラノベですが、私とて1人の人間です。流行になっているものを読んでみたい、そんな思いだってちゃんとあります!!だからこそ、このラノベを読んでいるのです!!」

と慌てながら言ってしまった。

 だが、そんな奈々の態度を不思議に思ったのか、しずく、いたずらっぽく、

「本当ですか~?」

と言うと、奈々、意地になったのか、

「えぇ、本当です!!」

と、大声で反抗するように答えるとこぶしをあげてしまった・・・。

 だが、その瞬間、突然あげた奈々のこぶしがある書庫の扉に当たってしまい、その書庫の扉が開いてしまった。その開いた書庫の中身を見て、しずく、つい、声をあげてしまう。

「こ、これは・・・ラノベの本!!」

そう、奈々が誤って開けてしまった書庫、それは奈々がこっそり自分の家から持ってきた大量のラノベの本を入れていた書庫だった。その書庫の中身、ラノベの本がぎっしりとそろっている書庫の中身をしずくはついに見てしまったのだ。これには、奈々、

(あっ、終わった・・・、私の人生が・・・、生徒会長としての私の人生が・・・)

と、なにか自分の中でなにかが崩れ去った、そんな気になってしまった・・・。

 そんな意気消沈気味の奈々に対し、しずく、追撃する。

「中川先輩、これはどういうことなのでしょうか?」

このしずくの追撃についに「いつもクールで真面目な生徒会長」、そんな化けの皮が剥がれて意気消沈の奈々、正直に、

「しずくさん、ごめんなさい!!このラノベ、すべて私のものです・・・」

と白状してしまった。ただ、これについては、しずく、

「でも、なんで、生徒会長である中川先輩がラノベをなぜ隠しているのかわからないのですが・・・」

と、奈々に尋ねると、奈々、

(これには深い理由が・・・、私の家に関する理由が・・・)

と思うとすぐに、

「実はとある理由で私のラノベをここに隠しているのです。私にとってラノベは命の次の次に大事なものでして・・・。でも、私の家だとそのラノベを置くこともできず、仕方なくここに隠しているのです・・・」

とただたんに答えてしまった。

 そんな奈々を見たのか、しずく、ついにこのことすら指摘したきた。

「そして、今日みたいに、自分の好きなラノベをいつも読んでいた、そんな感じ、ですよね・・・」

これには、奈々、

(うぅ、しずくさんにはもう秘密を押し通せません・・・)

と、いつも生徒会の役員たちが帰ったあと、自分一人で好きなラノベを読んでいた、その秘密の時間がしずくにばれてしまった、そんな秘密すらもう押し通すことなんてできない、そう観念したのか、奈々、

「はい、そうです・・・」

と、自分だけの秘密を認めるとともに、

「このことはほかのみんなには内緒にしておいてください、しずくさん・・・」

と、まわりのみんあには秘密にするようにしずくにお願いをした。

 ところが、ここでしずく、奈々が思っていもいないような行動に出てしまう。しずく、なんと、自分のカバンからいつも持ち歩いている本を取り出しては奈々の隣に座り本を読み始めたのだ。これには、奈々、

「し、しずくさん、どうしたのですか?いきなり私の隣に座っては本を読みだすなんて・・・」

とびっくりするも、しずく、とんでもないことを言いだしてきた。

「だって、私、そんな中川先輩みたいに、好きなこと、一緒にしたいのです・・・」

これには、奈々、

(えっ、それってどういうことなの?)

と、頭にハテナマークが浮かべてしまった。

 ただ、しずくはそんな奈々に対し自分の気持ちを正直に話した。

「いつもはクールで真面目な生徒会長、けれど、本当は隠れてまで好きなことをしよう、好きなものを言おうとしている中川先輩を見ていると私もその秘密の時間を中川先輩と共有したい、2人で好きなことをしてみたい、そんなことを思ってしまいました」

どうやら、しずくもしずくで人知れずに悩み事があるようだ。しずく、どうやら、奈々が自分の「好き」というものにふれる秘密の時間を奈々と一緒に共有したい、そんな思いがあったのかもしれない。ただ、奈々からすれば、しずくというのは、

(でも、しずくさん、いちうもは「当たり障りのないいい子」というイメージがあって、そこまで「自己主張しない」というイメージがあるのですが・・・)

と、思ってしまうくらい、しずくはあまり自己主張しない、本当に「当たり障りのないいい子」、そんなイメージがあった。そのためか、奈々、しずくに対し、

「でも、本当に私の好きを堪能する時間に付き合っていいのですか?」

と、逆に尋ねると、しずく、

「はい、中川先輩!!」

と、元気よく答えるとともに、

「それに、自分の好きを熱く語れる中川先輩のこと、とても尊敬していますから・・・」

といった思いすら答えていた。これには、奈々、

(ほ、本当なら、今の私、生徒会長モード、ではなく、スクールアイドル、せつ菜モードのときににそうするのだけどね・・・)

と、ちょっと苦笑いしつつも、

(でも、私はしずくさんに自分の「好き」を強要してしまったけど、そこまでしずくさんがダメージを与えていなくてほっとしました・・・)

と、少し胸をなでおろした。せつ菜のときに自分の「好き」をしずくに強要したことでしずくはいやな思いをした。そのために、奈々は、せつ菜は、同好会を休止にした。その負い目を、奈々は、せつ菜は、感じていた。けれど、生徒会長モードの奈々とはいえ、しずくが自分と再び相見会えることを、いや、自分との「好きなもの」を触れ合う秘密の時間を共有することができる、それどころか、

(それに、自分の「好き」が言える自分をしずくさんが尊敬しているなんて、なんか、嬉しいです・・・)

と、自分の「好き」を言える奈々のことをしずくが尊敬していることに嬉しさを感じていた。

 そのためか、奈々、

「まぁ、この姿で自分の「好き」を言うのちょっと恥ずかしいのですが・・・」

と、照れてしまった。

 ただ、そんな奈々を見てか、しずく、こんなことを言ってきたのだ。

「それに、それに、私、まさか、自分の好きを語り合える仲間に出会えるなんて初めてなのです!!だって・・・、だって、「スペース・ホリデー」、実は、その原作が私の好きな「ローマの休日」なのです!!」

この言葉を聞いた瞬間、奈々、一瞬、しずくが自分のカバンから取り出し自分の目の前に置いた本のタイトルを見てこう思った。

(「ローマの休日」・・・、あぁ、しずくさんらしいといったらしずくさんらしいですね・・・)

そう、ラノベ「スペース・ホリデー」、その原作は映画のなかでも名作中の名作の「ローマの休日」・・・というのは前述の通りだが、実は、ストーリーラインなどは「ローマの休日」をベースに「スペース・ホリデー」は作られていた。その「ローマの休日」の主なあらすじであるが、ある国のお姫様が自分の業務に不満をもち、宮殿から脱出、身分を隠して街のなかに行くとそのお姫様はある新聞記者によって保護されては新聞記者の家にお姫様をかくまうことに。その後、その新聞記者は自分が保護した娘ことお姫様の正体に気付くもそのことは姫には話さずに姫にこのあとどうしたいか尋ねてみたところ、街(ローマ)で遊びたい、ということで2人は1日だけローマでの散策・・・というかデートをしてしまう。と、同時に、2人のなかではお互いのことを愛そうとしていた。けれど、その日の夜のダンスパーティーで大騒動が起き互いにひかれあうも結局のところ別れてしまう。その後、姫はこれからの自分の責務を果たすことを決め、翌日、宮殿でその新聞記者と再会するも自分の責務を全うすることをその新聞記者に伝えるとお互いにそれぞれの道へと進んでいった。これが「ローマの休日」の、身分を超えた、けれど、悲しいラブストーリーである。そのことを知っている奈々だったからこそ、

(なんか私もついに自分の「好き」を語れる仲間ができたのかもしれませんね・・・)

と感慨深いものを感じつつも、

(あっ、でも、なにか返答しないと・・・)

と、思いふけってしまったことでしずくを待たせてしまった・・・ということで、

「た、たしかに、「スペース・ホリデー」の原作は「ローマの休日」です!!」

と、元気よく答えるとともに、続けて、奈々、

「ところで、しずくさんは「ローマの休日」が好きなのでしょうか?」

と尋ねると、しずく、鼻高々に、

「はい、そうです!!それに、今、私がカバンから取り出した本、それは「ローマの休日」の小説版ですから!!」

と、答えてくれた。

 そんなこともあり、自分の願望が叶った、そう思ったのか、奈々、しずくに対し、

「たしかに、私も「スペース・ホリデー」を読んでからそのラノベの原作である「ローマの休日」を見てみたい、誰かと語り合いたいと思っていました」

と言うとしずくも、

「はい、お願いします、中川先輩!!」

と元気よく答えた、とともに、しずく、続けて、

「それでは、中川先輩、いや、奈々さん、私と一緒に、私たちの「好き」を・・・、「ローマの休日」と「スペース・ホリデー」について語り合いましょう、私たちだけの秘密の時間を通じて・・・」

と言うと奈々も、

「うん、そうですね・・・。私たちだけの秘密の時間、一緒に共有しましょう」

と、元気よく答えていた・・・。

 

 そして、翌日の放課後・・・。

(なんか、しずくさん、嬉しいのか、考え込んでいるのかわからない表情をしています。大丈夫でしょうか?)

と、奈々は自分の隣で生徒会の仕事をしているしずくをみてはコロコロ変わるしずくの表情に心配してみていた・・・のだが、それでも、奈々、

(でも、それでも、この仕事を済まして役員のみんさんを帰したら、私としずくさんだけの楽しい時間が始まります!!それまでの辛抱です!!頑張りましょう!!)

と、自分の仕事を早く終わらせようとしていた。

 そして、20分後・・・。

「みんさん、さようなら」(奈々)

と、奈々としずくの頑張りもあり、生徒会の大量の仕事をたった20分で終わらせたニジガク生徒会、そんなこともあり、生徒会役員たちは早めに帰宅することとなった・・・と同時に、

「奈々さん、私と奈々さんの2人だけになりました。ここからは私と奈々さんの時間です!!」(しずく)

「えぇ、そうです!!ここからは私としずくさんのターンです!!」(奈々)

と、これから黒縁メガネと三つ編みをした奈々、そして、しずく、2人だけの秘密の楽しい時間が始まる、そんな嬉しい気分を2人はしていた。

 その後、2人は奈々が持つ「スペース・ホリデー」としずくが持つ「ローマの休日」を交換してはお互いに黙々と読んでみた。奈々としてはいつもラノベを読んでいる・・・とお思いの方が多いと思うが、とある理由で「羅生門」などのラノベ以外の小説を読んでいたこともあり、奈々からしたらそこまで「ローマの休日」の小説版を読むのは苦ではなかった・・・というか、

(へぇ~、アン王女って少しおっちょこちょいなのですね!!これって、「スペース・ホリデー」のお姫様と同じですね!!)

(ふわ~、こんなところで王女のことがバレたんだ!!それなのに黙っているなんて、どこまで新聞記者は王女をだまし通すんでしょうか・・・)

と、「ローマの休日」の世界に奈々は引き込まれてしまった・・・。

 そして、お互いに読み終えたあと、

「どうでしたか、奈々さん、「ローマの休日」、感動しましたか?」

と、しずくは奈々に尋ねてみると、奈々、

「はいそうです!!私、「ローマの休日」の世界に引き込まれました!!」

と喜びながら答えると続けて、

「ところで、しずくさんもこのラノベは感動しましたか?」

と「スペース・ホリデー」の完走についてしずくに尋ねると、しずく、

「はい、とても感動しました!!「ローマの休日」を原作にしつつもところおかしく笑えるところが出てきてはシリアスな部分もある、まるで1つの映画を見ているような気がしました」

と感動しながら感想を述べた。

 その後、2人は「ローマの休日」と「スペース・ホリデー」についてお互いに語りあった。

「奈々さん、このお姫様、自分の髪を切ってはそれを美容室の旦那さんにあげてますよね。どうしてですか」(しずく)

「それはですね、この美容室の旦那さんが小児がんの治療のために髪をなくした子どもたちにこの美容室で切った髪をウィッグとしてプレゼントしているからなのです!!」(奈々)

とか、

「あの新聞記者さん、お姫様との1日のデートを最後まで2人だけの秘密していたのです。これって「ローマの休日」に似ていますね」(しずく)

「たしかにそうですね、しずくさん。「これは結末としては叶わなかった、その方が話として感動できるものになる」、そう、この物語の作者が言っていた気がします」(奈々)

など。2人とも互いに読みあった本についていろいろと言ってはそれをもとにいろんな会話へとつなげていく、それはまるで2人だけの会話ゲームを、どれだけ会話を続けることができるのか、そんな2人だけのゲームをしようとしている雰囲気だった・・・。むろん、これには、奈々、

(久しぶりに私のなかにあるフラストレーションが、「好き」というフラストレーションが発散されました!!私としては久しぶりのことで少しスッキリしたような感じです!!それに、このやり取り、ずっと続いてほしい、なんて思ってしまいます!!)

と、しずくとの会話ゲームによって少しフラストレーションからくる苦しみが若干緩和されたこととこのしずくとの会話ゲームがずっと続いてほしい、そんな思いになっていった。

 ただ、そのゲームは1日だけでは終わらず、次の日も、

「ところで、しずくさん、ここだけど・・・」

「奈々さん、面白い着眼点です!!」

と、2人だけの会話ゲームは続いていた。

 とはいえ、「ローマの休日」と「スペース・ホリデー」ばかり語り合うのではしのびない、ということで、しずく、奈々に対しあるお願いをしてきた。

「ところで、奈々さん、とても感動できるラノベはありませんか?私、少し、ラノベについて読んでみたいのです、演劇のために・・・」

そう、しずくは奈々がこっそり自宅から持ってきては生徒会室の書庫に隠していたラノベのなかからとても感動できるラノベを貸してほしいと言ってきたのだ。それには、奈々、

(よしよし、しずくさんも私の布教、私が「好き」なものについて少し興味をもってくれましたね。とてもいい感じです)

と、なぜかウキウキしていた。これまで演劇や映画などといったものしか見てこなかったしずくが自らラノベなどに興味をもってきてくれた、それは、自分の「好き」を、ラノベやアニメなどを布教という形で広めようとしている、いや、「好き」を大々的に言いたい、そんな世界にしたい、そんな「好き」の伝道師、こと奈々、せつ菜にとってしずくのお願いはとても嬉しいことだった。しずくとは同じ同好会に所属していた仲。ただ、自分の「好き」を強要したために自分から同好会を休止してしまった、その負い目を感じていた奈々、せつ菜にとってその負い目を少し和らげたのかもしれない、それくらい奈々にとって嬉しいことだった。

 そのためか、奈々、ウキウキしながらその書庫から300ページくらいにのぼる長さの長編ラノベを取り出してはしずくにぽんと渡して、

「それなら、このラノベがいいかもしれません。このラノベ、「スペース・ホリデー」の次に泣けると思います!!なので、とても感動すること、間違いなし、です!!」

と、渡した分厚いラノベの太鼓判を押していた。そんなこともあり、しずく、

「ありがとうございます、奈々さん。私、このラノベをすぐに読んでみます!!」

と言っては黙々とそのラノベを読んでいた。

 そして、翌日の放課後、いつもの2人だけの時間・・・、

「奈々さん、このラノベ、貸してくれてありがとうございます!!とても感動しました!!」

と、しずく、そのラノベを奈々に返してはこう言ってしまった。これには、奈々、

「えっ、たった1日であのラノベを読み切ったのですか・・・。なんかすごい気がします・・・」

と、唖然となってしまった。たった1日で300ページもの分厚いラノベを読み切るとあhさすがの奈々も口をあんぐりするしかなかった・・・。

 とはいえ、このままだと先に進めないためか、奈々、すぐにしずくにある質問をした。

「しずくさん、ところで、このラノベ、どの部分が感動しましたか?」

、これには、しずく、なにか悲しそうに話した。

「それはもちろん、主人公とお姫様が別れるシーンです!!ようやくボスを倒したのに、「これは運命だから」と互いに愛しあっているのに別れないといけない、そのシーン、何度読んでも泣いてしまいました!!」

これには、奈々、

(しずくさん、やっぱりあのシーンを選びましたか。私も何度もそのシーンで泣かされました)

と、しずくの言葉に同意していた。しずくに進めたラノベ、その1番のシーンが主人公とお姫様が別れるシーンであった。ボスを倒したのもつかの間、2人は運命によって別れないといけない、そのシーンこそ、奈々が選ぶこのラノベの感動のシーンであった。それはあのラノベ好きな奈々が推すくらいとても感動する、このラノベのなかで1番のシーンといえた。

 ただ、それだけでは奈々は終わらない。そのあと、奈々はあることを言った。

「でも、そのあと、主人公、別れて遠くの星に行ってしまったお姫様を追ってきたのだけど、それについてどうかな?」

そう、このラノベ、今さっきの感動のシーン、その続きがあった。主人公がお姫様と別れたあと、一緒に旅をしてきた仲間たちと別れ、単身、そのお姫様のいる遠くの星へと旅立ったのだ。このことをしずくも気づいたらしく、

「えぇ、とても感動的なフィナーレでした。自分の愛したお姫様を追ってこれまで一緒に旅をしてきた仲間たちと別れてたった1人でそのお姫様のもとに行く、そんな主人公の行動、とても感動しました!!」

と元気よく答えてくれた。

 こうして、このラノベにおける奈々としずくの2人は語り合う・・・というか会話ゲームを行っていた。ただ、このとき、奈々はこう思っていた。

(この2人だけの「好きなこと」を語り合うなんて、私、なんか、幸せを感じてしまします・・・)

そう、奈々は感じていた、この時間、2人だけの秘密の時間、それがずっと続いてほしいと・・・。奈々にとってこれまで自分の「好き」を語り合うことなんてなかった。それはとある理由からなのだが、それでも奈々にとってこのときのしずくは自分たちの「好き」を語り合うことができる仲間として認識していたのだ、ではあるが、このとき、奈々は知らなかった、それが奈々にとって「好き」というフラストレーションを発散させること以上に大切なことであると・・・、奈々にとってとても重要なものであると・・・。

 とはえい、時間が立つのは早いものでして・・・、

「その場面ですが・・・」

としずくが言った瞬間、

「生徒のみなさん、完全下校時間になりました・・・」

という完全下校時間を知らせる放送が流されてきた。これには、奈々、

「っと、ここでタイムアップですね。でも、しずくさんとこのラノベについて語り合うことができて幸せでした」

と、しずくにお礼を言うとしずくも、

「いえ、私の方こそ奈々さんとこのラノベについて語り合うことができて本当に幸せでした・・・」

と、逆に奈々に対しお礼を言った。

 そんなしずくに対し、奈々、

(でも、なんか、前のしずくさんと違う気がします。なんか、しずくさん、変わったというか・・・)

と、今までのしずくとは違うことに気づいたのか、突然、しずくに対し、奈々、

「ですが、しずくさん、なんか、ここ最近、私の前にいると自分の思っていることをいろいろと話してくれるようになったから、最初、生徒会室に来たときよりも自分の意見を言えるようになった気がします」

と言うと、しずく、少しドキッとしたような感じになってしまった。

 ただ、そのことには、奈々、気づいていなかったらしく・・・、

(そして、明日は休みの日です!!なので、私の願望を叶えたいと思います!!)

と、しずくそっちのけで自分の願望を叶えたいのか、奈々、しずくに対しこう言った。

「しずくさん、今日は金曜日だから明日はお休みですね。なので、しずくさん、明日、しずくさんの家に遊びに行っていいでしょうか?」

そう、なんと、奈々、しずくに対ししずくの家に遊びにいっていいのか尋ねてしまったのだ。

 ただ、これには、奈々、ちゃんとした理由があるらしく、奈々、続けて、

「しずくさんの家には「ローマの休日」のDVDがあると思います。それを2人で見たいのですが・・・」

そう、奈々の願望、それは、「ローマの休日」のDVDを見ること(ただし2人で・・・)。奈々が今一番好きなラノベである「スペース・ホリデー」、その原作である「ローマの休日」に興味をもった奈々、小説版はしずくから借りて読んだために奈々はシナリオなどは知っているのだが、その原作である映画を見てみたい、そう思って奈々はしずくに対ししずくの家に行っていいのか確認をしてきたのだ。

 ただ、この奈々の突然の言葉、あと、

「しずくさん、どうでしょうか」

という奈々のダメ押しに、しずく、顔を真っ赤にしながら、

「はい、いいです・・・」

と、恥ずかしそうに言ってしまった。まぁ、このしずくの発言に、奈々、

「しずくさん、ありがとうございます!!あとで連絡先などを交換しましょう!!」

と元気いっぱいに答えていた。

 その後、顔を真っ赤にしているしずくと無事に連絡先の交換ができた奈々、その奈々がしずくに対し、

「しずくさん、ありがとうございます!!明日、しずくさんの家に訪れますのでしずくさんの家に近づいたときには連絡します。そのときは宜しくお願いいたします」

と元気よく答えていた。そのときの奈々はというと・・・、

(これで念願の「ローマの休日」のDVDが見える!!私、なんかそう考えると嬉しくなっちゃいそうです!!まぁ、しずくさんと一緒に見るので、そのあとの語り合いも熱いものになると思います!!)

と、明日をワクワクしながら思っていた・・・。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。