翌日の土曜日・・・。今からしずくの家に行こうと自分の家から出た奈々、そんなとき、奈々のスマホにSNSアプリを介して家族のある人からメッセージが届いた。
「奈々、今日は友達の家で勉強会って言っておるが本当かね」
このメッセージに奈々はこう返信した。
「はいそうです、父さん。今から友達の家に行って勉強会をします」
さらに、奈々、
「それでは行ってきます・・・」
とただたんにそのメッセージを送った。このとき、奈々、
(あぁ、しずくさんみたいに自分の「好き」を認めてくれる家族であったら一番いいのですが・・・)
と、自分の家族のことについて思ってしまった・・・。
そして、奈々、いざ、しずくの家へ・・・、
「って、しずくさんの家、めちゃ遠いのですが・・・」
と、電車に乗り継いでいる最中に奈々は愕然していた。だって、しずくの家は・・・、
「しずくさんの家、なんで、鎌倉、なんですか・・・」
そう、しずくの家があるのは鎌倉だった。なので、奈々、
「これでは、本当に、「いざ、鎌倉へ」という鎌倉時代の御家人の気持ちがわかるような気がします・・・」
と、なぜか鎌倉時代の御家人の気持ちになろうとしていた奈々であったが、それと同時に、
「だから、たった1日で300ページもの長編のラノベを読んだのですね・・・」
と、前日、300ページもの長編ラノベをたった1日で読み切ったしずくの謎が解明できた、というよりもしずくのすごさを奈々は噛みしめることとなった・・・。
だが、奈々が驚いたことはそれ以外もあった。
「しずくさん、しずくさんの家の近くに到着しました」
と、奈々、しずくの家の近くに到着したことを伝えると、しずく、
「はい、わかりました。それではちょっと待っておいてください」
と言っては電話を切った。
そして、数分後、
「奈々さん、おはようございます!!」
と、しずくが奈々を迎えにいくと奈々も、
「あっ、しずくさん、おはようございます」
としずくに挨拶をした。そんな奈々に対し、しずく、
「奈々さん、こんな遠くまで来てくれるなんて嬉しいです」
と言うと奈々も、
「まさかしずくさんの家が鎌倉にあるなんて知りませんでした。しかし、鎌倉から毎日通学しているなんて、私、びっくりです」
と、驚きの表情で言った。とはいえ、そこはやっぱりしずく、鎌倉にある実家からニジガクにあるお台場までの長時間通学のあいだも演劇のセリフを覚えたりするなど有意義に時間を使っているみたいで、そんなしずくの姿に、奈々、
(うわ~、やっぱりしずくさんは素晴らしいです!!)
と、しずくのことを褒めていた。
その後、しずくの案内でしずくの家に到着した・・・のだが、奈々、驚きの表情でこう言った。
「うそ・・・、しずくさんってお嬢様、だったのですか!?」
そう、なんと、しずくの家、歴史を感じさせる家屋であり、玄関で「ただいま」と言っても遠くの部屋まで届かないほどの広さをもっていた。これには、奈々、
(これだと、しずくさん、本当に「ローマの休日」のアン王女、みたいにみえてしまいます・・・)
と、唖然となるほどだった。
とはいえ、しずくの自室に通された奈々。と、ここで、奈々、
(あまりに多きは家だから驚きましたが、ここに来た理由はただ1つ、しずくさんと一緒に「ローマの休日」を見ることです!!)
というわけでして、到着するなり、
「ところで、しずくさん、早速ですが、「ローマの休日」のDVDを一緒に見ましょう!!私、「ローマの休日」のDVDをしずくさんと一緒に見たくてしずくさんの家に来たのですから!!」
と、自分の目的を果たそうとしずくに言うと、しずく、なぜか顔を真っ赤にしながらも、
「あっ、それならもうすでにプレイヤーにDVDをセットしてあります。さっそく見てみましょう」
と言っては「ローマの休日」のDVDをさっそく2人で見ることにした・・・。
その「ローマの休日」であるが、小説版とはいえ、奈々は1回「ローマの休日」を読んでいる。そのため、だいたいのシナリオについては知っていたのだが、映画版となればそれとは別である。奈々は熱心に映画を見ては真実の口に新聞記者が手を入れては出すときにふざけて真実の口に自分の手が食いちぎられたようにみせたときには、
「うわ~、痛そうです・・・」
と、怯えているような感じをしてみたり、アン王女が表敬訪問した新聞記者に対し自分尾責務を話すために新聞記者と別れるクライマックスシーンでは、
「アン王女、とてもかわいそうです・・・」
と泣いていた。それはまるで自分がアン王女になったような気がしているものだった。
そして、TVの画面に「Fin」という文字が出てくると、奈々、
「うわ~、とても感動ししました・・・。アン王女と新聞記者の身分を超えた恋愛、なのに、最後は結ばれないなんて、とても悲しいです・・・」
と、「ローマの休日」の感想を述べるとそれを受けて、しずく、
「私も何度も「ローマの休日」を見ていますが、シナリオといい、アン王女役のオードリー・ヘップバーンさんの演技も素晴らしいものがありました。やはり、オードリー・ヘップバーンさんは私にとって目指すべき人です!!」
と答えてくれた。これには、奈々、
(たしかにしずくさんは演技を志す人、だから、大女優のオードリー・ヘップバーンさんを目指すのもうなづけます)
と思うとすぐに、
「へぇ~、しずくさんはオードリー・ヘップバーンさんを目指しているのですね」
としずくに尋ねると、しずく、
「はい、私はオードリー・ヘップバーンさんみたいな女優になりたくてニジガクに編入したのです!!」
と力強く答えた。これには、奈々、
「なるほど。しずくさんなら絶対にオードリー・ヘップバーンさんみたいな女優さんになれると思います!!」
と太鼓判を押した・・・のだが、なぜか顔が真っ赤になっている?しずくはだた、
「な、奈々さん、ありがとうございます!!」
とお礼を言った・・・のですが、それでも顔が真っ赤になっているしずくを見ては、奈々、
(あぁ、しずくさん、なにか緊張しているみたいです。それなら、この私がその緊張をほぐしてしまいましょう)
と思ってか、突然、奈々、
「それとも、しずくさん、お笑いに進むのも手かもです!!鬼瓦!!」
とわざとふざけるように言うと、しずく、
「そ、そっちの方には進みません!!」
と逆に拗ねてしまった。とはいえ、そのしずくの表情は心の底から笑っているような感じだった・・・。
このあとはいつもの通り、「ローマの休日」映画版について2人で、
「オードリー・ヘップバーンさんってこれが初主演でしたね。それなのに、あのアン王女の演技、とても素晴らしいものでした!!」(奈々)
「確かにその通りです。だから、私はオードリー・ヘップバーンさんみたいな女優になりたいのです」(しずく)
ととことん語り合うことに・・・。
とはいえ、ここでもいつもの通り、時間がたつのも早いものでして・・・、
「あっ、もうすでに17時を過ぎてしまいました。もう家に帰らなないと・・・」
と奈々が悲しそうに言うとしずくも、
「たしかにそうですね。奈々さんは有明に住んでいるのですね。もう帰らないと夜になってしまします・・・」
とこちらも少し残念そうにしていた。
そんなわけで、奈々、帰る準備に入ろうとしたとき、しずくからこんな質問がとんできた。
「ところで、奈々さん、私、少し不思議に思ったのですが、私だけの時間のときだけ自分の「好きなこと」を熱く語れるくらいの情熱派なのに、それ以外のときはなぜ「クールで真面目な生徒会長」をしているのですか?」
このしずくの質問に、奈々、
(えっ、しずくさん、それって・・・)
と、突然のしずくの指摘に一瞬フリーズ・・・、そのためか、奈々、
「そ、それは・・・」
と言葉に窮してしまった・・・。
だが、それでもしずくは強気に、
「奈々さん、答えてください!!」
と言っては奈々に迫ってきた。
こうなるとこのままいけばしずくは奈々に極限まで迫ってくる・・・ということもあり、奈々、
(このままいけばしずくさんからの圧に負けてしまいます。ここは真摯にしずくさんの問いに答えたほうがいいかもしれません)
と、ついにしずくに自分の真実を伝えることを決心するとともに、しずくに対し、
「しずくさん、それでしたら、明日、私の家に来てください。そこで、その理由をお話ししましょう」
と強い言葉とともに言った。これには、しずく、奈々の意を受け取ったのか、
「はい、わかりました。明日、奈々さんの家に行くことにします」
と力強く答えてくれた。
だが、このとき、奈々は別のことも考えていた。それは・・・、
(そして、本当のことをしずくさんが知ったとき、それは、私としずくさんとの楽しい時間も終わりを迎えるでしょう。それに、しずくさんと一緒に自分の「好き」を言える、いや、本当の自分と、「大好き」を大々的に言える、そんな自分と別れるときとなるでしょう。だって、あのケジメをつけないといけないから。自分の信念を反故にしたケジメ、自分の「好き」をしずくさんに強要したという自分の信念を反故にしたことへのケジメ、そして、私の両親が求めるべき人になるためのね・・・)
翌日の日曜・・・、
ピンポーン
と、奈々の家にチャイムが響き渡る。これには、奈々、
「はい、お待ちください」
と、言ってインターホンにでようとする。そのとき、突然、奈々のスマホが鳴る。これには、奈々、
「お父さんからですね」
と、仕方なく自分のスマホを取り出しその画面を見る。すると、そこには、
「友達か?」
という文字。これには、奈々、
「はい、そうです」
と返信した。
そして、インターホンの受話器を奈々が取るとそのスピーカーから、
「桜坂しずくです。奈々さん、いらっしゃいますか」
としずくの声が聞こえた。すると、奈々、すぐに解除ボタンを押してはエントランスのドアを開けてはしずくが自分の家の前に来るのを待った。
その後、玄関のインターホンが鳴ったので、奈々、すぐに玄関まで行き、玄関のドアを開けるとそこには・・・、
「あっ、しずくさん、こんにちは!!」
と、奈々の言葉とともにしずくがあらわれた。しずく、すぐに、
「おじゃまします」
と言っては奈々の家にあがる、そのときだった。突然、奈々のスマホが鳴る。これには、奈々、
「うぅ、また父さんからです・・・」
とうんざりした感じで自分のスマホを取り出すとその画面を見ては奈々はまたうんざりする。その画面には、
「奈々、友達を読んだそうだがちゃんとした友達だろうな?」
という文字。これには、奈々、
(毎回のことですが、そこまで父さんは私の友達を吟味しないといけないのでしょうか・・・)
とうんざりした様子。それでも、奈々、すぐに、
「はい、お父さん、(今回訪れた)しずくさんは私の後輩で生徒会の手伝いをしてくれるいい子です。心配しないでください」
と返信した。すると、すぐに、
「いいか、友達はちゃんと選べよ!!奈々はちゃんとしたリーダーにならないといけないのだからな!!」
という奈々の父親からの返信が届いた。
この一連の流れに、奈々、
(あまり父さんが私の友達を吟味していたら、いくら友達とはいえ、みんな、びびってしまいます。現に、しずくさん、びくっとしていました。このままだと、私の友達、絶対にいなくなります・・・)
と、ちょっと自分の父親に反抗しつつも一瞬びびったしずくに対して、
「しずくさん、あまりびくっとしないでください・・・」
と、しずくのことをフォローしていた・・・。
そして、しずくは奈々の部屋に入った瞬間、
「あ、赤本ばかり・・・」
というくらい、ラノベ・アニメなどが好きな奈々のイメージとは違った・・・、いや、「クールで真面目な生徒会長」・・・を体現しているような勉強部屋が展開されていた。詳しくいうと、書棚には赤本をはじめとする大学受験のための参考書などがずらりと並び、ラノベの本すらない状況・・・、さらに、それ以外だと勉強のための机といくつかのトロフィー、それにベッドが1つ・・・、ただそれだけ・・・。しずくが予想していたオタク部屋とは180度違う、本当に勉強するだけの部屋となっていた。なので、しずく、
「あ、あの・・・、私が・・・想像したものとは違う気がするのですが・・・」
と唖然となりつつも言うと、奈々、
「たしかにしずくさんの想像した通りです。この部屋はまさに勉強部屋です。そして、この部屋こそ私が「クールで真面目な生徒会長」をしている理由の1つでもあるのです・・・」
としずくの言葉を肯定しつつもある真実を少し伝えると、しずく、奈々に対し、
「奈々さん、もしかして、まるで奈々さんのことを監視しているような発言をしているお父様との関係によって・・・」
と指摘すると、奈々、そんなしずくに対し、
「実は生徒会長になったのも私の実績作りのためだったのです・・・」
と言ってはなぜ、自分が「クールで真面目な生徒会長」を演じている理由を語り始めた。
「しずくさん、実は私の両親は笑顔の少ない堅物な人なのです。また、私の両親は私に対して「リーダーシップがとれるような人間になってほしい」という願望を押し付けようとしています。そのため、リーダーはとても真面目でないといけない、と、私の両親が思っているらしく、小さいときから私はアニメやバラエティーはおろか、ラノベや漫画、ゲーム、スクールアイドルすら存在を否定するばかりではなく、それらを見ることもやることも禁止していました・・・」
この奈々の言葉に、しずく、
「うそ・・・」
と絶句するも、奈々、
(でも、それが小さいときの当たり前だったのです・・・0
と思っては昔を振り返った。奈々は小さいときから奈々の両親が求めるリーダー像を強要されていたこともあり、アニメ・ゲーム・漫画・ラノベ、こういったものに触れることすら許されなかった。いや、その両親がそれらの存在を否定し、それを触れることすら否定したため、その存在自体、奈々は触れることができなかった。ただ、その両親の強要とは裏腹に奈々は小さいときからのことをこう思っていた。
(私は両親が小さいときから真面目であることを強要されていたこともあり、おのずと自分の「好きなもの」をしてみたい、という欲求が強くなってしまいました。そして、ついに、その「好きなもの」と巡り合ったのです・・・)
その小さいときからのことを思いだしては奈々はしずくに対し話の続きを言った。
「しかし、私はそんな両親に反発したいためか、私は自分が「好きなものをしたい」「「好き」を大々的に言いたい」、その欲求がどんどん大きなっていきました。ただ、小さいときはその「好きなもの」が定まることがなかったため、私は小学校中学年のときまで両親が「自分たちの言いつけを守っている」と思えるくらいいい子を演じていました。ですが、小学校中学年のときに私はあるものに出会いました。それは、たまたま友達の家で見ていたアニメでした。そのアニメは単発物でしたが、私にはそのアニメに深く感動しました。そのアニメがきっかけとなり、私は次第にアニメはおろかラノベといったものまで「好き」になっていきました・・・」
この奈々の言葉に、しずく、
「だから、奈々さんはラノベやアニメが好きになったのですね」
と言われると、奈々、
「たしかにそうですね」
と相槌を打った。このとき、奈々、
(私は、あのとき、アニメと出会ったことで自分が好きなもの、ラノベ・アニメ、そして、スクールアイドルと巡り合うことができました。いや、それまで両親がそれらから遠ざけていたからおのずと好きになったのかもしれません・・・)
と、昔のことを、アニメ・ラノベなどが好きになったときのことを思いだしてはその出会いこそ奈々にとって運命と思えるくらいのことを感じていた。人というのは他人によってわざと遠ざけられているものに触れた瞬間、これまでとは違った瞬間に出会った、そんな運命的なものを感じるのかもしれない。それは、自分にとって、未知の世界、なのかもしれないが、未知である分、それに対する探求心が強くなってしまう。特に、「「好きなもの」をしていきたい、大々的に言いたい」という欲求を持っていた奈々にとって、アニメ・ラノベといった未知との遭遇は奈々自信を単なる両親の人形から自分の「好き」を言える少女へと変貌を・・・、いや、その二面性に苦しむきっかけになったのは間違いなかった。
さらに、奈々、しずくに自分の話の続きの続きを語った。
「ですが、私の両親は私に「ちゃんとした真面目なリーダーになってほしい」と強要してきたため、私は仕方なく、自分の「好きなもの」、ラノベ・アニメ、そして、スクールアイドルなどを隠しつつ両親が求めるリーダー像目指して真面目に頑張ってきました。その両親の願望を少しでも叶えるために私はニジガクに入学、その実績作りのために生徒会長になりました。しかし、それによって私はあることに苦しむことになります。自分の「好きなもの」をずっと隠してきたことにより、もしくは、ずっと、クールで真面目な自分を演じてきたため、少しでも自分の「好き」を言ってしまうとそれにより私の両親に、本当の私、ラノベ・アニメ・スクールアイドルなどが好きな自分がバレて怒るかもしれない、幻滅するかもしれない、そのことを危惧したかどうかはわかりませんが、それらにより、私は生徒会長のときは、いつものときは、本当の自分、「好きなもの」を大々的に言うことができない、クールで真面目な生徒会長をずっと演じないといけなかった、クールで真面目な生徒会長、というイメージがついてしまい変えることができなくなってしまった・・・のです・・・」
この奈々の長々とした理由を聞いて、しずく、
「な、奈々さんが奈々さんの両親のせいで苦しんでいるなんて・・・」
と、これにも絶句していた。そう、奈々は自分が求めるもの、両親が求めるもの、2つのあいだで苦しんでいた。このとき、奈々はこう思っていた。
(私はずっと自分の「好き」を大々的に言える本当の自分ことせつ菜モード、そして、両親が求められて演じていたクールで真面目な生徒会長モード、その2つを使い分けてきました。ニジガクに入り生徒会長になってクールで真面目な生徒会長をしてニジガクのみなさんのために、いや、それ以外にも両親が私に追い求めている真面目なリーダーとしての実績を作り、昔みたいに両親のための人形みたいにクールで真面目な偽物の私を演じるともに、スクールアイドル優木せつ菜として自分の「好き」を大々的に言える、そして、それを誰も否定しない、そんな世界を作る、いや、それどころか、自分のなかに長年溜った「好き」というフラストレーションを吐き続けるために「好きなこと」をやっている本当の自分、その2つを使い分けてきたからこそ、生徒会長としてのイメージとして、「いつもクールで真面目」といったものが定着してしまいました。もし、そのイメージを変えようとした場合、そのイメージが崩れてしまい、それが私の両親に伝わってしまうでしょう。そうなれば、私の両親は私に求めている理想のリーダー像から逸脱してしまう、自分たちが否定しているもの、禁止しているものをしている、そんなわつぃに幻滅しては怒ってしまうでしょう。そうなれば、私は「好きなこと」ができなくなります。だからこそ、今からも2つのモードを使い分けていけないのです・・・)
奈々にとって自分の「好きなもの」を大々的に言える、自分のなかにある「好き」というフラストレーションを吐き出すことができるスクールアイドルとしてのせつ菜モード、両親の願望によりその「好き」を封印しては両親が求める「クールで真面目なリーダー(生徒会長)」を演じている生徒会長モード、その2つのモードを使い分けることで奈々自身を両立してきたのである。ただ、それにより、ニジガクの生徒、そして、奈々の両親には「いつもクールで真面目な生徒会長」というイメージが固定化されてしまったのである。それを、もし、少しでも変えてしまうとその固定化されたイメージによりたとえ小さなことでもかなり目立ってしまうものでさる。もし、それが奈々の両親にバレてしまうと奈々の「好きなもの」、ラノベやアニメ、スクールアイドルなどそのものを完全否定し奈々からそれらを遠ざけるだろう。奈々はそれを危惧しているため、この二面性を今でも続けている、というわけである。
だが、そんな奈々が苦しんでいることをしずくに告白した矢先だったが、そんな奈々の二面性に苦しんでいる奈々に対し、しずく、少し考えてはとってよしのないことを提案してきた。
「そんなに苦しんでいるのなら、奈々さん、今度の土曜日、私とデートをしましょう!!デートをして、お台場のいろんなところに遊びにいきましょう!!私、これ以上、奈々さんを苦しませたくない、と思います!!だからこそ、奈々さん、今度の土曜、私とデートをして、自分の「好き」を発散させてください!!」
このしずくの提案に、奈々、
(し、しずくさんとデート!!なんでそこまで飛躍させるのですか、しずくさん!!)
と、奈々にとってとっておしのない提案に驚くとともにしずくとのデートという単語を聞いただけで、
ドクンッ
という心臓の音が聞こえてきたことでさらに、
(って、なんで、私、こんなときに心臓が波立のですか!!「しずくさんとのデート」と聞いただけで、なぜ、ドクンッって鳴るのですか!?)
と、完全にパニック状態・・・。
とはいえ、さすがの生徒会長・・・なのだろうか、奈々、すぐに、
すーはー すーはー
と、少し深呼吸して自分の心臓を落ち着かせるとすぐに、
(でも、たしか、今度の土曜は私にとってケジメをつける日なのですが・・・)
と次の土曜は奈々にとってなにか重要な予定があったことを思いだしては、
「し、しずくさん・・・、その日は・・・」
と、何か言いたそうになるも、しずく、そんな奈々のことなんて気にせずに話を勝手に進めてしまうしずく。
「私にも悩みがあります。なので、私もこのデートを通じてその悩みを解消させたいと思っております。だから、奈々さん、私と一緒にデートをして私たちの悩みを発散させましょう!!」
と力強く言うしずくに対し、奈々、
(でも、その日は私にとって・・・)
となにか言いたそうになるも、それでも、しずく、
「奈々さん、私、奈々さんとデートをしたいです!!」
と、昨日みたいに奈々に迫ってきた。
そんあんわけで、昨日みたいに強く迫ってくるしずくにまた根気までしたのか、奈々、
「は、はい・・・」
とうなずいてしまった・・・。
ただ、このとき、奈々はあることを考えていた。それは・・・、
(でも、しずくさん、ごめんなさい。私、その日は自分にケジメをつける日だと決めています!!なので、そのケジメをつける時間までのデートとなります!!)
そう、来週の土曜、しずくとのデートの日、それは奈々にとってあるケジメをつける日であった。そのケジメとは、そう、自分の「好き」をしずくに強要したこと、自分の信念に反することをした日、そのケジメをつけることだった。そのケジメの付け方とは・・・。
(しずくさん、ウキウキしながら帰っていきました。それくらい、私とのデートをすることが嬉しいのでしょう。ただ、それでも、私はしずくさんに自分の「好き」を強要してしまいました。今はなりゆきで自分の「好き」の時間をしずくさんも同伴していますが、それでも自分の信念に反することをしたのです。ならば、私としてのケジメのつけ方、それは、優木せつ菜を辞めること。私は「好き」を大々的に言えるように、それを誰も否定しない、そんな世界を作ろうとせつ菜を続けてきました。いや、それ以外にも私のなかにある、ラノベやアニメ、スクールアイドル、その「好きなもの」に対するフラストレーションを、私の両親によって抑制されていたために溜っていた「好き」というフラストレーションを私の好きなスクールアイドル、優木せつ菜として活動していくことで発散させてきました。しかし、私はその「好き」をしずくさんに強要してしまいました。私はあの私の両親が私に強要してきたのと同じように私もしずくさんに強要したのです。それは同じことなのです!!私はしずくさんに強要する、ということは「自分の考え」を、自分の「好き」を大々的に言える、それを否定しない世界を造る、そのために、人に対し、自分の「好き」を強要せずにお互いの「好き」を互いに認め合いながら一緒に進んでいく」、その私の信念から逸脱しています。そんなの、私からすれば許されることではありません!!そのためのケジメ、それこそ、私が優木せつ菜を辞めることなのです!!」
そう、長々と奈々はウキウキ気分で帰るしずくを見ながらそう思った。奈々は、せつ菜は、これまでの「自分の好きを大々的に言える、それを誰も否定しない世界を造る」、その信念のもと、優木せつ菜として活動してきた。それは、「真面目なリーダー像」を強要してきた両親によって封じ込まれた奈々の「好き」に対するフラストレーション、それを介抱するために活動してきたのかもしれない。もしくは、本当にその世界を造るためにせつ菜として活動してきたのかもしれない。ただ1つだけいえること、それはその世界実現のために奈々は優木せつ菜としてスクールアイドル活動をしてきた、ということである。ただ、その信念の裏では「人に対し自分の「好き」を強要せずにお互いの「好き」を互いに認め合いながら一緒に進んでいくこと」、そんな隠れた信念があったのかもしれない、奈々には。それは、「真面目なリーダー像」を強要してきた両親に対するアンチテーゼ、の意味があったのかもしれない。けれど、その隠れた信念を、奈々は、せつ菜は、破ってしまった。奈々は、せつ菜は、自分の「好き」をしずくに強要してしまったのだ。それは、奈々は、せつ菜は、自分の両親が奈々にしてきたのと同じこと、自分の両親が奈々に対して自分たちの願望の奈々に強要しているのと同じこと、ではないか、そう思えてきたのかもしれない。そんな自分に対するケジメ、それが、自分が優木せつ菜を辞めること、だった。自分の信念のもと、行動してきた奈々、せつ菜、であったが、その信念の裏にある隠れた信念を破った今、自分自身がせつ菜を続ける意義を失った、そう奈々は判断したのだろう。だからこそ、奈々はせつ菜を辞めることでしずくに対しケジメをつけようとしているのかもしれない。
そんな思いのなか、奈々はカレンダーを見た。そこには次の土曜に赤い丸が書かれていた。その赤い丸を見て、奈々、力強く言った。
「本当ならこの日はスクールアイドル同好会お披露目ライブの日でした。ですが、私がしずくさんに自分の「好き」を強要した結果、同好会を休止にしてしまいました。なので、本当ならなにもない日です。でも、それでも、私はこの日に私だけのライブを行います。そう、私の、優木せつ菜の、ケジメをつけるための、引退ライブの日、です!!」
そう、次の土曜、しずくのデートの日、その日は奈々にとって、せつ菜にとって、1つのケジメをつける日、奈々がせつ菜を辞める日、せつ菜引退ライブの日であった。そのことを奈々は噛みしめながらその丸をもう一度見直すと、奈々、しずくのことを思い返してはこう言った。
「しずくさん、ごめんなさい。私はせつ菜を辞めます。辞めることで自分の「好きなもの」を大々的に言える、そんな、本当の自分から卒業します・・・」