ラブライブ!アラカルト   作:la55

25 / 37
ODAIBA’S HOLIDAY~お台場の休日~ SETUNA side 第6話

 その土曜の早朝・・・、

(今日はしずくさんとのデート、そして、私、優木せつ菜の引退の日・・・。私にとって大きな節目の1日になります。だからこそ、今日は悔いが残らないように楽しんで、自分がこれまでため込んでいた「好き」というフラストレーションを一気に発散しましょう!!)

奈々は鏡の前で黒縁メガネと三つ編みをセットすると、生徒会長モードになりながら自分にそう言い聞かせようとしていた。

 しずく以外の前でみせる生徒会長モードのときはいつもクールで真面目であることを演じていた。しかし、あの日、生徒会長モードのまま、生徒会室で書庫に隠していたラノベ「スペース・ホリデー」を読んでいるところをしずくに見つかってしまってからはしずくの前では生徒会長モードのときでもせつ菜モードのときのように自分の「好き」を大々的に言っては自分のなかにあるラノベ・アニメ・スクールアイドルに対する自分の「好き」というフラストレーションを発散していた。

 だが、奈々んがせつ菜を辞める・・・それは・・・つまり・・・、

(私は今日でせつ菜を辞める・・・、それは、つまり、自分の「好き」を大々的に言えなくなることを意味します。私はしずくさん以外の前では生徒会長として自分の「好き」を封印して「クールで真面目」を演じてきました。そして、ときおり、せつ菜になっては自分の「好き」を大々的に言ってきました。けれど、せつ菜を辞める・・・、それは自分の「好き」を封印すること・・・、もう自分の「好き」を言えなくなるのです・・・。なぜなら、これからは生徒会長としていつも「クールで真面目」でいなければいけないから・・・、自分の「好き」を大々的に言えなくなるから・・・」(奈々)

そう、奈々がせつ菜を辞める・・・、それは、奈々自身にある「好き」という気持ちが言えなくなる、「好き」という気持ちを封印することにつながるから。生徒会長モードのときはしずく以外いつも「クールで真面目」を演じてきた。それは自分の「好き」という気持ちを前にだすことができない、自分のなかにある「好き」という気持ちに蓋をする、そんな時間であった。だって、そうでもしないと奈々の好きなラノベ・アニメ・スクールアイドル自体を否定する両親にたてつくことを意味するから、両親から幻滅されてしまうから・・・、いや、両親だけじゃない、ニジガクに通う全生徒にも幻滅される可能性があるから・・・。なぜ、ニジガクの全生徒から幻滅されるのか、それは、しずく以外のニジガクの生徒がもつ奈々のイメージが生徒会長モードのときの・・・「いつもクールで真面目な」生徒会長なのだから・・・。そんなこともあり、奈々はせつ菜を辞めることで自分の「好き」という気持ちすら封印してしまうことすら考えていたのだ。ただ、そうすると、無尽蔵に湧く奈々の「好き」というフラストレーションは溜まる一方で、そのはけ口を失ってしまうと奈々の体はいずれ・・・。ただ、そのことすら無視して、奈々、

(とはいえ、まあずはしずくさんとのデートをめいいっぱい楽しむつもりです!!)

と、まずはしずくとのデートをめいいっぱい楽しもう、そんな思いでしずくとのデートに挑むことにした・・・。

 

 そして、待ち合わせの場所であるダイバシティのガンダム立像の前に約束の9時半・・・、

(もうすぐしずくさんとのデートが始まります・・・。少し緊張します・・・)

と、いつもとは違った気持ちに少し戸惑いをみせていた・・・。

 そんななか、

「奈々さん、お待たせしました!!」

としずくが奈々のもとに駆け寄ってくると奈々も、

「しずくさん、おはようございます!!」

としずくに対し挨拶をした。2人とも初めてのデート・・・ということもあり、しずくも緊張した心持ち・・・だとお思いだろうが、2人とも違った思いをほかに持っていた、しずくはしずくなりの・・・、奈々は・・・、

(今日、私は説案を引退します。なので、このデートで少しでも自分のなかにある「好き」という気持ちを発散させて引退ライブの本番を迎えたいです!!)

奈々なりの思いをもっていた。2人ともこのデートで2人の別々の思いをもって、それでも、このデートをめいいっぱい楽しもう、それを感じさせることが予想できた・・・。

 

 その後、2人は午前中、ダイバーシティやヴィーナスフォートなどのショッピングモールで、

「あのかばん、奈々さんにお似合いです!!」(しずく)

「しずくさんだってあのバッグ、とてもお似合いですよ!!」(奈々)

と、じゃれつくようにウィンドーショッピングを楽しんでいた。

 ただ、このときの奈々はというと・・・、

(しずくさんのデート、とても楽しいです!!)

という嬉しい気持ちとともに、

(ですが、これも今までの本当の私、自分の大好きを大々的に言える、そんな私にさよならをするための最後のひとときになります。なので、悔いが残らないように楽しまないとです!!)

と、悔いが残らないようめいいっぱい楽しむ、そんな思いをもっていた。

 

 それから2時間後・・・、

「う~、歩き疲れました・・・。どこかで休みましょう、しずくさん・・・」

と、奈々はしずくに休むようにお願いしてきた。そりゃそうだろう。だって、かれこれ2時間もウィンドーショッピングをしながら歩いていたのだから。なので、奈々、

(2時間も歩くだけで疲れるとは・・・、私ももう歳・・・なのでしょうか・・・・。このまま行くと、このあとの引退ライブを行うほどの体力は残っているのでしょうか・・・)

と、このあとのせつ菜引退ライブを行うほどの体力を残すことができるのか、つい心配してしまっていた。

 そんな奈々に対し、しずく、少し笑いながらいきなりこう言いだしてきた。

「奈々さん、歩き疲れたのならあそこで休憩しましょう!!」

これには、奈々、

「あの場所って?」

としずくに尋ねると、しずく、不敵な笑いをしながらこう言ってきた。

「お台場で大々的に休める場所って言ったらあそこしかないのです!!」

これには、奈々、

(もしかして、あの大観覧車!!)

と、お台場にある巨大な観覧車のことを思いだす。あそこなら休むこともできるし、しずくと奈々、2人だけの時間を過ごすことができるから・・・。

 

 ところが、しずくが奈々を連れてやってきたのは意外な場所だった。

「えっ、大江戸温泉物語!!」(奈々)

そう、しずくが連れてきたのはお台場にある温泉、「大江戸温泉物語」であった。ここはスーパー銭湯・・・よりも大規模な、いわゆる、温泉のテーマパークみたいなものであり、巨大な温浴エリア、全長50メートルもの足湯、はては縁日まで、まるで昔の大江戸にタイムスリップ・・・したような老若男女楽しむことができるテーマパークであった。

 が、ここで、奈々、しずくに対し、

「で、でも・・・、ここってメガネを・・・」

と躊躇する。だって・・・、奈々・・・このとき・・・、

(ここではメガネはともかく三つ編みをほどかないといけません。そうなってしまうと、私がせつ菜であることがばれてしまいます!!)(奈々)

と思っていたから。たしかに奈々が心配している通りであった。「大江戸温泉物語」はいわば温泉のテーマパーク。なので、温浴エリアは、基本、全裸、である。むろん、メガネ・・・は別として、三つ編みをしたまま温泉に入るわけにもいかない。でも、奈々がメガネと三つ編みを外せば・・・、せつ菜にそっくり・・・、いや、奈々の場合、せつ菜モードのときと同じ状態になってしまう。こうなってしまうとしずくは自分の正体を、自分がせつ菜であることがバレてしまう、それを奈々は危惧していたのである。

 が、しずく、そんな奈々のことなんて関係なしに、

「奈々さん、今日は私たちのデートです!!なので、裸のつきあい、しましょう!!」

と、いつもとは違って強気に出てしまったのか、これにはさすがの奈々も、

(い、いつものしずくさんではありません・・・。ここはおとなしく従うしかないです・・・)

と思ったのか、仕方なく、

「は、はい・・・」

と、黙ってしずくの言うことをきくしかなかった・・・。

 こうして、しずくと奈々は「大江戸温泉物語」のなかへと入っていった・・・。

 

 フロントで浴衣を借りてそれを着たしずくと奈々、さっそく温浴エリアで・・・、そこでしずくはさっさと浴衣を脱ぐと奈々に向かってこう言った。

「奈々さん、温泉なのですから、メガネと三つ編みを外してくれませんか」

そう、奈々はまだメガネと三つ編みを外していなかった。だって・・・、

(この2つを外せば私がせつ菜だってバレてしまいます!!)(奈々)

そう、奈々がせつ菜であるとしずくにバレてしまうから。そのため、この2つは死守しよと奈々は思っていた・・・が・・・一瞬・・・、

「奈々さん、えいっ!!」

という掛け声とともにしずくは奈々の三つ編みをほどいてしまった・・・。もちろん、これには、奈々、

「し、しずくさん、なにをやっているのですか!?」

と、しずくに反論するも、しずく、続けて、

「それでは、メガネの方も!!」

と今度は奈々のメガネを外そうとしてくる。

 と、ここで、奈々、

(このままではしずくさんの思い通りになってしまいます。なので、私、ここで反撃、します!!)

と思って反撃する!!

「どりゃ!!」

と、奈々、しずくめがけてチョップ!!これには、しずく、突然の奈々からのチョップをもろに食らったのか、

「痛いです、奈々さん・・・」

と奈々に抗議するも、奈々、

「しずくさん、これは温泉でも着用できるメガネなのです。このメガネがないと、私、なにも見ななくなります!!」

と反論する。実は、奈々、たまたま今日のメガネは温泉でも着用できるメガネをしてきたのだ。温泉でメガネを着用することはマナー違反にはならないが、普通のメガネだとそのメガネの寿命が縮まってしまうことがある。なので、温泉でも着用できるメガネ、お風呂用メガネで楽しんだ方がいい。で、これには、奈々、

(先ほどのウィンドーショッピングでメガネ屋で確認したのがよかったです・・・)

と、安心していた。実は、先ほどのウィンドーショッピングでメガネ屋に立ち寄った際、奈々は温泉でも着用できるメガネと同じものを見つけてのである。そのメガネのところに「このメガネは温泉でも着用できます」というPOPが貼ってあったのである。それを思いだした奈々は自分も今日それと同じものをしていることに気づきその真実を奈々に伝えたのである。

 で、そんなことを聞かされたしずくは、

「まぁ、たしかに奈々さんの言う通りです・・・」

と、メガネを外すことを諦めてしまった。

 その後、奈々はほどいた髪を束ねては浴室に行くことにした。

 

 まぁ、そんなことがあったものの、

「ジェット風呂・・・、気持ちいい・・・です・・・」(しずく)

「ほ、本当ですね・・・」(奈々)

と、ジェット風呂を楽しんだり、

「このミストサウナに入っているとなんか気持ちいい気がします・・・」(奈々)

「うん、そうですね・・・」(しずく)

と女湯だけのミストサウナに入って日々の疲れをとったり、

「ここの足湯、花が浮かんでいてとても綺麗です!!」(しずく)

「土日限定みたいです。でも、たしかに美しいですね!!」(奈々)

と、土日限定の足湯エリアに花を浮かべるイベを堪能したりと2人の時間を楽しんでいた。

 とはいえ、奈々はというと、このとき、

(ふ~、なんかしずくさんに私の正体がバレずにすみました・・・)

と安堵の声とともに、

(でも、それはこのあとの私の引退ライブの精気を養うためなのです。このあとのためなのです)

と自分になにか言い聞かせるようにしていた。

 

 そして、しずくと奈々は縁日エリアで遊ぶこととなった。縁日エリアではスーパーボールすくいやダーツなどがあるのだが、2人が選んだのは・・・、

「奈々さん、手裏剣、投げてみませんか?」(しずく)

なんと、手裏剣投げであった。これには、奈々、

「手裏剣ですか・・・。たしかにあまり経験したことがありません。なんか楽しみです」

とかなりの乗り気の様子。

 そして、手にした手裏剣を奈々

(ここは派手にいきますか!!)

と思ってか、的にめがけて、大声で・・・。

「それでは参ります。私の力を今こそ解き放て!!

 

深紅の八つ裂き光・・・」

 

 だが、このとき、しずく、そんな奈々に対し、イエローカードを突き出す。

「奈々さん、それ、禁句です!!まわりにいる子どもたちに悪影響を与えます!!」

どうやら、「八つ裂き」のところがNGだったようだ。なので、しずく、奈々に対しイエローカードを突き出してしまったようだ。で、これには、奈々、

「これは、しずくさん、大変申し訳ございませんでした」

と謝ると、一転、今度はNGワードを出さないように新調に言葉を選んではこう叫んで手裏剣を離した。

「それでは、参ります。私の力を今こそ解き放て!!

 

クリムゾン・レッド・フラッシュ!!」

 

 で、その奈々が投げた手裏剣はそのまま的にぐさりと突き刺さると、しずく、

「奈々さん、凄い・・・。まさか一発で的に当てるなんて、凄いです・・・」

と驚いてしまった。もちろん、奈々も、

「やっぱり声を張り上げて投げたら当たるものなのです!!えっへん!!」

と勝ち誇ったように仁王立ちしていた。このとき、奈々、

(やっぱり大声で技の名前を言うのはとても気持ちいいことです!!なんかスッキリとした気分になります!!)

と、自分のなかにあるなにかが消えた、スッキリとした、そんな感じがしていた。

 だが、このとき、奈々はあることに気づいていなかった。それは、奈々のある行動によるものだった。そう、奈々は大声で技名を、中二病みたいな技名を叫んでいたことである。実は、奈々のもう一つの顔、せつ菜も同じような行動をしていたのだ、いや、よく同じ行動を、物を投げるとき、中二病みたいな技名を言ってしまうことを・・・。

 

 そんななか、しずくはあるものを見つけた。

「奈々さん、真実の口があります!!」

としずくは大声で言うとんあもつい叫んでしまった。

「えっ、なんでここに真実の口があるのですか・・・」

真実の口、それは、イタリア・ローマにある人間の顔をした円形のモニュメントである。そして、その真実の口にはある言い伝えがあった・・・。

 と、ここで、奈々、

(でも、ここに真実の口があるなんて信じられないな・・・)

と、真実の口のまわりをよく見てみる。すると、奈々、しずくに対しこう言った。

「しずくさん、これ、どうやら、真実の口を形どった占いの機械みたいです・・・」

その奈々の発言に、しずく、

「えっ、占いの機械ですか・・・」

と、唖然となってしまう。実は、昔、真実苦の口を模した占いの機械が全国でブームになったことがあった。それがここで現役として働いていたのだ。あっ、ちなみに、この機械の占いの仕方は口の部分に手を入れて手相で占う、というものだった。

 そんなわけで、占いのモードを相性占い西、さっそくしずくから口の部分に手を入れる。すると、しずく、少し手を入れるのを躊躇するもしばらくしてから口の部分に手を全部入れた。

 ところが、突然、しずくが慌てだした。なぜなら・・・、

「な、奈々さん、手が抜けなくなった・・・みたい・・・」

そう、しずくの手が抜けなくなったのだ。これには、奈々、

(えっ、うそですよね。真実の口から手が抜け出せないなんて、私、なんとかしないと・・・)

と思ったのか、手の抜けなくなったしずくに対し、

「えっ、手が抜けなくなったのですか?一体どうすれば・・・」

と言うと続けて、

「しずくさん、すぐにスタッフを呼んできますから待っていてください!!」

と、慌てつつもスタッフを呼ぼうとする。

 すると、しずく、そんな奈々に対し、

「奈々さん、ちょっと待ってください。もうすぐ抜けますから!!」

と、奈々のことを引き留める。これには、奈々、

「ならいいのですが・・・」

と、少し安心したのか、スタッフを呼ぶのをやめにした。

 ところがここでちょっとしたハプニングが起きる。しずくの手が

スポッ

と抜けたのはいいのだがなんと肝心のしずくの手がないのだ。これには、しずく、こう言ってしまう。

「あっ、私の手、真実の口に食いちぎられてしまいました・・・」

どうやら、真実の口によってしずくの手が食いちぎられたようだ。これには、奈々、

(えっ、うそでしょ!!まさか、真実の口の言い伝えが本当に起きるなんて・・・)

と、愕然となってしまう。実は真実の口の言い伝え、それが、偽りのある者が真実の口の部分に手を入れるとその人の手首を食いちぎってしまう、というものだった。それが、ここで起きるなんて、奈々からすれば信じられないことだった。そのためか、奈々、

(う~、どうすればいいのですか!!私、どうすれば・・・)

とパニックになったのか、

「う、うそでしょ!!あれは迷信のはずです!!それなのに、しずくさんの手が食いちぎられるなんて、嘘、ですよね!!」

と慌てふためいてしまった。

 だが、そんな奈々に対し、しずく、すぐにネタ晴らしをしてしまう。

「奈々さん、そんなにびっくりしないでください。私の手はちゃんと・・・」

と、食いちぎられたはずのしずくの手がポンとでてきた。どうやら、しずく、奈々へのドッキリのために自分の浴衣の袖のところに自分の手を隠しては自分の手が食いちぎられるようにみせたようだ。これには、奈々、

「あっ、しずくさんの手が食いちぎられたと思いましたよ!!驚かさないでください・・・」

と、脱力したのか、その場に座り込んでしまうと、

(うぅ、本当に心配したのですから・・・からかわないでください!!)

と少し怒ってしまう。なので、奈々、しずくに対し、

「しずくさん、こんなドッキリはもうしないでください!!私、本当に心配したのですから・・・」としずくに注意すると、しずく、

「奈々さん、本当にごめんなさい・・・」

とかわいい顔をして謝ってしまった。

 そんなときだった。このしずくの表情に、奈々、

ドキッ

という心臓の鼓動が聞こえてきた。これには、奈々、

(えっ、うそですよね・・・。まさか、私、しずくさんにときめいたわけでしょうか・・・)

と一瞬戸惑ってしまうも、すぐに、

「そ、それならいいのですが・・・」

と言葉を詰まらせてはいつもの通りに平然とみせようとしていた。

 その後、2人はもう一度真実の口の相性占いをした。しずくが手を入れたあと、奈々も口の部分に手を入れる。すると・・・、

ドキドキ ドキドキ

という心臓の鼓動が奈々のなかに響き渡る。これには、奈々、

(止まって、私の心臓!!じゃないと、私、壊れてしまいます・・・)

と困惑するも手をそのまま入れてはしばらくしてさっと手を引っこ抜いてしまった。

 で、結果は・・・、相性100%!!これには、奈々、

(私はしずくさんの先輩であり私の秘密を共有している仲なのです・・・。そんな私がしずくさんにときめくなんて・・・、それに、相性100%だなんて・・・)

と、さらに困惑してしまった・・・。

 

 そして、「大江戸温泉物語」でのひとときもあとあともう少し、というところでしずくはあるものを見つけた。

「奈々さん、今日の記念に、プリクラ、一緒にとりませんか?」

そう、ここにはプリクラの機械が設置されていた。この温泉んい入場してきた人たちはここでプリクラをとってはここに来た記念として持って帰ることが多かった。それを奈々としずくもしようというのだ。ただ、このとき、奈々、

(私の引退ライブまでもう時間が残っておりません。はやくこの場から脱出しないとです!!)

と時間を気にしていた。実は、奈々の、せつ菜の引退ライブまで残っている時間は少なかった。なので、少しでもここからはやく脱出してライブ会場まで行きたかったのだ。そのため、奈々、

「しずくさん、今日はちょっと・・・」

と断ろうとすると、しずく、ここは負けじと、

「すぐに終わります。今日のデートの記念に撮りましょう!!」

と強引に奈々を誘う。これには、奈々、

(今日のしずくさんはかなり強引です。いつものしずくさんではありません・・・)

と普段とは違うしずくの様子に困惑しつつも、

(でも、それによってしずくさんの仲をこじらせたくはありません。ここは仕方ないですね)

と、ついに白旗を上げたのか、奈々、しずくに対し、

「わ、わかりました!!1枚だけです!!」

と言うと、しずく、すぐに奈々を連れてプリクラの機械のなかに入っていった。

 そして、しずくがシャッターボタンを押すとプリクラのほうから、

「それではいきます。10秒前!!」

とカウントダウンの声が聞こえてきた、そんなときだった。突然、しずくが、

「ごめんなさい、奈々さん・・・」

と言っては奈々のメガネを外しにきたのだ。これには、奈々、突然のしずくの行動に、

(えっ、しずくさん、なんで・・・)

と、一瞬フリーすると、しずく、その瞬間に奈々のメガネを外してしまった。そのため、奈々、しずくに対し、

「し、しずくさん、メガネを・・・」

と言うも、しずくは奈々が予想だにしなかったことをしてきた。それは・・・、

(えっ、私のほっぺにキスッ!!」(奈々)

なんと、しずく、奈々のほっぺにキスをしてきたのだ。いや、それどころか、今度は奈々の唇めがけて、

(わ、私の初めてが・・・)(奈々)

なんと、しずく、奈々の唇にもキスをしてきたのだ。これが初めての・・・というくらい奈々は動揺しつつも、

「し、しずくさん、ちょっと落ち着いて・・・」

と言ってはしずくを強引に引き離した。

 すると、しずく、いきなり、

「な、奈々さん、ごめんなさい・・・。あの真実の口の占いを見て、私、つい、その気になってしまいました・・・。本当にごめんなさい・・・」

と言っては謝ってきたのだ。

 だが、このとき、奈々の心臓は、

バクバク バクバク

と、これまでみたことがない速さで波立っていた。これには、奈々、

(う~、しずくさんの顔なんて見れないです・・・)

と赤面していた。

 その後、プリクラの撮り直しができるらしく、奈々、

(このままだとこのプリクラの写真を見て私が悶絶してしまいます・・・。取り直さないと・・・)

と思ったのか、

「このままだとお互いに気まずくなりますから取り直しますね」

としずくに告げると、しずく、

「いいえ、このままでいいです・・・。これは私と奈々さんとの大事な証ですから・・・」

とちょっと照れくさそうに言いながらも撮り直しをしなかった。このとき、奈々、

(わ、私にとってとても恥ずかしいものになりました。ですが、どこかで少し安心したような気にもなっています。私、どうしたのでしょうか・・・)

と自分の気持ちに整理がつかなくなってしまっていた。

 

 その後・・・、

(うぅ、体が冷えてしまいました・・・。はやくお手洗いに行きたいです・・・)

と、外の空気が冷たいのか、突然トイレに行きたくなった奈々。今はまだ春の真っただ中である。なので、夕方になるとまわりの空気が冷たくなってしまう。それに加えて、今まで温かい温泉に入っていたのだから外の冷たい空気にあたれば是が非でも体は急激に冷えてしまう。そんなわけで、奈々はトイレに近くなったわけである。

 まぁ、そんなこともあり、奈々、自分の横を歩くしずくに対し、

「ごめんなさい、少し体が冷えてしまいました。なので、しずくさん、お手洗いに行ってきます・・・」

と言うとすぐに近くのトイレに駆け込んでしまった。

 

 そして、5分後・・・、

(ふ~、スッキリしました。でも、これからは体を冷やさないようにしないとです・・・)

と、自分に言い聞かせるようにしている奈々であったが、その思い以外にも、

(そして、あと数十分後には、私の、せつ菜としての引退ライブを行います。それは仕方がないことです。だって、これは、私のケジメ、ですから。しずくさんに自分の「好き」を強要した、私の両親と同じこと、強要、をした、それに対する自分へのケジメ、ですから・・・)

と、今から数十分後には始まる自分の引退ライブに向けて、自分のケジメをつけないといけない、そうしないといけない、と、自分に言い聞かせるようにしていた。

 だが、このとき、奈々の目からは一筋の涙が流れていた。これには、奈々、

(えっ、なんでここにきて涙を流しているわけなのですか・・・。いったいどうして・・・)

と、自分の気持ちに整理がつかない、そのことに困惑してしまった・・・。

 

 だが、それでも時間は待ってくれない。そのため、奈々、

(でも、今は泣いている暇はないのです!!まずは私の引退ライブをするのが先です!!)

と、自分に言い聞かせたのか、涙を自分のハンカチで拭うとともに何食わぬ顔でしずくのところへと戻っていった。

 そして、しずくのところに戻るなり、奈々、なにか暗そうにしているしずくを見てか、

「あっ、しずくさん、待ちましたか?」

としずくに声をかけるも、そのしずくから、

「な、奈々さん・・・」

と困惑しているような声をあげて奈々に言ってくると、奈々、

(しずくさん、なにかあったのでしょうか?)

と、ふと疑問に思ったのか、しずくに対し、

「しずくさん、なにかあったのですか?」

と尋ねてみる。ただ、これには、しずく、

「な、奈々さん、なんもありません。ちょっと目にゴミが入っただけですから・・・」

となにもなかったかのごとく言い返すと、奈々、

「ならいいのですが・・・」

という言葉を発するとともに、

(さてと、私はこれから自分のケジメをつけないといけません。だからこそ、そんなしずくさんとの時間はもうおしまいです・・・)

という決意とともにしずくに対し・・・、しずくにとって悲しすぎる言葉を投げかけてしまう。

「ところで、しずくさん、大変申し訳ないのですが、このあと、私、用事がありまして、ここでさよならをしたいのですが・・・」

 だが、しずくからは意外な言葉が出てきてしまった。

「奈々さん、突然のさよならって、なんで・・・」

これには、奈々、

(し、しずくさん、私は今からしないといけないことがあるのです!!それはしずくさんに対する私のケジメなのです!!それに、私の正体を・・・、私がせつ菜であることを・・・、しずくさんには知られたくないのです!!なので・・・)

と、少し、これから行うことを、ケジメをつけること、さらに、自分の正体をしずくに知られたくない、その気持ちとともに、しずくに対し、

「しずくさん、そのことについては詳しく言えないのです・・・。ごめんなさい・・・」

と、言葉を濁しつつもやんわりと断ってしまった。

 けれど、それでも、しずくは食い下がった・・・。

「奈々さん・・・、私から・・・離れないでください・・・。だって・・・」

そんなしずくであったが、奈々はそんなしずくの姿を見てか、

(このままだとしずくさんには辛い思いを・・・、私がせつ菜であることがバレてしまう、いや、しずくさんに対してケジメをつけることができなくなります!!ならば・・・)

と、ここはしずくに対してケジメをつけるためにわざとしずくを突き放すようなことを言いだしてしまう。

「しずくさん、私にとって外すことができない用件なのです。なので、ここでさよならです」

この言葉のあと、奈々、

(しずくさん、さよなら、です!!もう会うことはないでしょう。しずくさん、私はあなたに対してケジメをつけるため、私は、優木せつ菜は・・・、中川奈々は・・・、しずくさんから、さよなら、です!!)

という悲しい決意とともにその場から離れようとしていた・・・のだが、

「しずくさん、ついてこないでください!!しずくさんがいると、私、その用件をこなすことができなくなります!!」

と、奈々が大きな声でしずくに対し言うくらいしずくは奈々のあとを一生懸命追っていた、この言葉を言いながら・・・。

「そんなの、嫌です!!私は奈々さんについていきます!!」

 

 そして、奈々が着た場所、それは、ニジガクの玄関・・・。実は、奈々、ニジガクの玄関前にある大階段のところでせつ菜引退ライブを行うことにしていたのだ。もともとはスクールアイドル同好会お披露目ライブの場所として奈々が、いや、同好会代表のせつ菜が抑えていたのだが、同好会を休止にした今、その同好会休止の原因である自分の「好き」をしずくに強要してしまった、そんな自分に対するケジメをつけるため、そのケジメのつけ方である優木せつ菜の引退、そのライブをこの地で行うことを、奈々は、せつ菜は、決めたのである。

 だが、それでも、奈々のそばには、

「しずくさん、はやくどっかに行ってください!!」(奈々)

そう、しずくが立っていた。そんなしずくに対し、奈々、さらに大声でこう叫んだ。

「しずくさん、お願いです、どっかに行ってください!!そうじゃないと、私は・・・」

 だが、しずくの答えは意外なものだった。しずく、奈々に対しこう答えてしまう。

「でも、このままだと、奈々さんは・・・、奈々さんは・・・」

そのしずくの言葉を聞いた瞬間、奈々は瞬間的に身構えてしまった。

(しずくさん、それ以上言ったら、私としずくさんの関係は破綻・・・)

そんな奈々の思いもむなしく、しずくはついに禁断の言葉を言ってしまう。

 

「このままだと、奈々さんは・・・、好きを大々的に言える奈々さんと・・・、いや、せつ菜先輩と・・・完全に・・・さよなら・・・になってしまいます!!」

 

 このしずくの言葉に、奈々、

(しずくさん・・・、もう、私の正体を知ってしまったんですね・・・)

と、ついにしずくが自分の最大の秘密がバレてしまったことを悟ったのか、しずくに対しこう述べた。

「しずくさん・・・、まさか、・・・、私の正体を・・・」

その奈々の言葉を受けてか、しずく、大声でこう叫んでしまった・・・。

「はい・・・、奈々さん・・・、私、このデートで、奈々さんの正体、わかってしまいました・・・。

 

私の好きな、好きなことを大々的に言える、そんな奈々さん・・・、その正体は・・・、

 

ニジガクのスクールアイドル・・・、優木せつ菜さん・・・ですね!!」

 

To be contenued

(続く・・・)

 

If you haven’t read the story of Shizuku,

(もし、せつ菜の物語を読んでいないなら)

Please proceed to the story of Shizuku.

(せつ菜の物語をお読みください)

If you have read the Story of Setuna & Sizuku,

(もし、しずくとせつ菜の物語を読んでいるなら)

Let’s move on to the next Story, “Love it, Like it”

(次の物語へとお進みください)

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。