「はい・・・、奈々さん・・・、私、このデートで、奈々さんの正体、わかってしまいました・・・。私の好きな、好きなことを大々的に言える、そんな奈々さん・・・、その正体は・・・、
ニジガクのスクールアイドル・・・、優木せつ菜さん・・・ですね!!」
この言葉をしずくが言った瞬間、奈々、
(しずくさんにもう隠すのは辞めましょう、私のことを・・・)
と思うとしずくに対しはっきりとした口調で話した、黒縁メガネととり三つ編みをほどきながら・・・。
「たしかにしずくさんの言う通り、私は優木せつ菜です!!」
そう、そこにいたのは・・・せつ菜モードになった奈々、いや、優木せつ菜であった。
そんなせつ菜に対し、しずく、
「やっぱり奈々さんはせつ菜さんだったのですね」
となにかスッキリしたような言葉を発した。
そんなしずくに対し、せつ菜、あることを尋ねる。
「ところで、しずくさん、どうして私がせつ菜だってわかったのですか?」
すると、しずくは奈々がせつ菜であることがわかった理由を語った。
「まず、最初、奈々さんもせつ菜さんも自分の「好き」を大々的に言える人だったことに気づいたのきっかけでした」
そう、奈々もせつ菜もしずくの前では自分の「好き」を大々的に言える人であったのがしずくが奈々の秘密を知るきっかけとなった。これには、奈々、
(うぅ、たしかにしずくさんの前では生徒会長モードのときもせつ菜モードのときと同じように自部のの好きを大々的に言っていました・・・。うぅ、うかつでした・・・」
と反省してしまう。奈々は生徒会長モード、つまり、黒縁メガネと三つ編みをしているときは「クールで真面目な」生徒会長を演じていた。しかし、あのとき、つい生徒会長モードのまま、自分の「好きなもの」であるラノベを読みながら叫んでいる姿をしずくに見られたときから生徒会長モードのままでもしずくの前ではせつ菜モードのときみたいに自分の「好き」を大々的にしてきた、言ったのである。それがしずくに奈々の正体がバレるきっかけになるとは奈々としては落ち度としかいえなかった。
さらに、しずくはそれを踏まえた上でその理由の続きを語った。
「そして、今日のデートでそれを確かめることができました。奈々さんがお手洗いに言っているあいだ、プリクラで撮影した写真とゲマーズお台場店の店頭に設置していたせつ菜先輩の等身大パネルを見比べてとても似ていることに気づいたのです。いや、奈々さんがせつ菜先輩であることがわかったのです」
このしずくの言葉を聞いた瞬間、奈々、
(まさかプリクラの写真と等身大パネルから私の正体がバレるとは・・・、しずくさん、やっぱり凄すぎですね・・・)
としずくの鋭さに脱帽せざるをえなかった。プリクラのとき、不意打ちとはいえ、しずくは奈々のメガネをとっている。そのため、メガネをしていない(+温泉だったため、髪をほどいていた)奈々はせつ菜そのものだったかもしれない。なので、プリクラの写真に映る奈々はせつ菜そのものだった。ただ、そのプリクラの写真と等身大パネルを見比べて奈々がせつ菜であると見抜いた、ということはそれほどしずくはものを見抜く力が凄い、ともいえた。やっぱり女優を目指しているだけのことはあった。
だが、そんなことよりもしずくは自分のやるべきことをした。それは・・・、
「奈々さん・・・、いや、せつ菜先輩、スクールアイドルを辞めないでください!!私の憧れていた、いや、好きだったせつ菜先輩を辞めないでください!!」
そう、奈々が、せつ菜を、スクールアイドルを、奈々がもっとも「好き」だったもの、を辞めるのをしずくは止めにここまで来たのだ。
だが、奈々の決心は固かった。「辞めないで」とお願いするしずくに対し、
「しずくさん、これは私が決めたことです。私はケジメをつけるために、せつ菜を、スクールアイドルを、辞めるのです。そのケジメをつけない限り私自身生きる価値がないのです!!」
と、まるで自分の意見を無理やり押し通そうとしていた。
そんな奈々に対し、しずく、あることを尋ねた。
「奈々さん、そのケジメってなんのことですか?それを説明しただけないと納得いきません!!」
そんなしずくの問いに奈々は、
「そのケジメですがしずくさんとも関係がありますがいいですか?」
と逆に尋ねてきてしまう。これには、しずく、
(私と関係があるって、まさか、あのときのことを・・・)
とそのきっかけとなった出来事を思いだしたのか、つい、口にだしたしまう。
「それってもしかして・・・、私がせつ菜先輩のことを拒絶したことでは・・・」
そう、奈々が、せつ菜が、スクールアイドルを辞める、ケジメをつけることを決めた原因、それは同好会での練習のときにせつ菜がしずくに対し自分の「好き」を、スクールアイドルを、強要したからだった。だが、これについては、しずく、
(も、もしかして、奈々さんは・・・、せつ菜さんは・・・、私が「当たり障りのないいい子」を演じてしまったために私から拒絶されたと思ってこんなことを決めたのでは・・・)
と、奈々が、せつ菜が、なにか誤解しているのではと思い、
「せつ菜先輩、それは・・・」
と、せつ菜になにか言おうとするも、奈々、いや、せつ菜は、
「しずくさんには失礼なことをしました。私は、せつ菜は、しずくさんに、自分の「好き」を、スクールアイドルを、無理やり強要してしまいました。それこそ、私がしでかした罪なのです!!」
としずくに対し言うも、しずく、
「せつ菜先輩、それは・・・」
とせつ菜を止めようとするも、せつ菜、それすら無視して、自分の思いを、ケジメを口にした。
「そんな罪深き私ができる罪滅ぼしの方法、ケジメ、それは、私の好きなスクールアイドルを辞めること。私は私の「好き」を、スクールアイドルを、しずくさんに無理やり押し付けた、強要したことでしずくさんを傷つけてしまいました。それは私の目指している世界、「自分の好きを大々的に言える、それを誰も否定しない世界」、それを反してしまいたした。強要することは、つまり、その人のなかにあるその人の「好き」を無視してまで自分の「好き」を押し付けたことになるのです!!そんな私だからこそ自分の「好き」であるスクールアイドルを辞めること、それこそ、私がとれるケジメなのです!!」
せつ菜からすれば自分の「好き」をしずくに強要したこと、それはしずくを傷つけたことにつながった、いや、自分の信念に反したことをした、だからこそ、そのケジメとして自分の「好きな」スクールアイドルを辞める、そんな風にみえた。
ただ、これには、しずく、
(せつ菜先輩、それは違います・・・)
と力強く言おう・・・とするも、ここにきて、「当たり障りのないいい子」を・・・演じる時間すら与えられないがごとく、せつ菜、
「それでは、しずくさん、せつ菜としてはバイバイです。これまで楽しい時間を私に与えてくれてありがとうございました」
と言ってはその場を去ろうとしていた。これには、しずく、
「せつ菜先輩、待って・・・、待って・・・、私の好きなせつ菜先輩・・・」
と声をあげるもしずくの声がせつ菜のもとに届くことなく、逆に、
「もうこれで私の両親みたいに自分の願望を私に押し付ける、強要してしまう、そんな過ちを私も犯さなくてすみます・・・」
という言葉とともにしずくのもとから差っていった。
その後、せつ菜はスクールアイドルのライブ衣装に着替えると自分の引退ライブをニジガクの玄関前にある大階段で行った。そのライブの音が聞こえてきたのか、その場に残ったしずくは泣きながら大声でこう叫んだ。
「もう、せつ菜先輩に・・・、いや、せつ菜さんに会うことができないわけ・・・。背t菜さんに誤解されたままここで終わってしまうの・・・。私の「好き」を・・・、私のせつ菜さんに対する気持ちを・・・大々的に言えずにここで終わるわけ・・・、そんなの・・・、そんなの・・・、いや~~~!!」
その光景はまるで自分の意思で身分の差がゆえに自分の責務を全うするために別れを告げたヒロイン、アン王女、そのアン王女と同じく自分の意思でアン王女から離れた新聞記者、そんな、「ローマの休日」・・・、とは少し違うものの、アン王女と新聞記者、その別れのシーンに似ていたのかもしれない。とはいえ、ただ1つ言えること、それは、せつ菜はすべてをやり抜くがごとく自分のなかにある「好き」というフラストレーションを全部吐き出すがごとく引退ライブを行っていたのだが、、そのすべてをやりつくしたのか、それとも、溜っていた「好き」というフラストレーションをすべて吐き出したためか、すべてのライブをやり切ったあと・・・、せつ菜、
「ふ~、これでもう悔いはないですね・・・」
と一言つぶやいた。
だが、そんなせつ菜に一筋の水滴がほほを伝って下へ落ちてきた。それに気づいたせつ菜はこう思ってしまう。
(なんか、私、すべてをやり切った・・・、悔いはもうない・・・、と思っていました。けれど、まだなにか心のなかになにかが残っている感じがします・・・)
数日後、せつ菜は・・・、いや、せつ菜を辞めた奈々であったがあの引退ライブ以降、しずくが奈々の前に現れることがなかった。いや、自分の好きなものであるラノベやスクールアイドルのDVDなどがしまっている生徒会室の書棚には奈々が厳重に鍵をしたこともあり、クールで真面目な生徒会長をななはずっと続けていた。奈々にとってケジメのライブによって自分の「好き」を永久に封印した・・・と思ってか、
(もうこれで私の両親から強要された、立派なリーダーみたいな、いつもクールで真面目な生徒会長、な私に戻ることができました。いや、これからもをれを演じていかないといけないのです・・・。これでいいのです・・・、これで・・・)
と、自分に無理やり自分の「好き」に重い蓋をしてまで自分の堅物な両親から強要されていたもの、立派なリーダー像、いつもクールで真面目な生徒会長、それを演じていればいい、そんな思いをもって生徒会業務を続けていた。
だが、それでも、奈々のなかには今にもあふれそうな思いがあった。それは・・・、
(でも、最近、なにか調子が悪いよに感じられます。なにか、私のなかに今にもあふれそうなもの・・・、フラストレーション・・・、「好き」というフラストレーション・・・、それが湧き上がっている気がします・・・)
そう、今、奈々の身に起きていること、それは、奈々の「好きなもの」、ラノベ・アニメ・スクールアイドルといった「好きなもの」に対するフラストレーション、それが無限に湧き上がっていることだった。だが、前述の通り、その「好き」を奈々は封印してしまった・・・のだが、それが今でも奈々のなかで湧き上がっているのだ。でも、それを封印している今、それは一体どこへ・・・。
と、ここで、奈々、階段に足をひっかけたのか、
「うわ~です!!」
と、大声を上げて盛大に転んでしまった・・・。ただ、そこまではケガをせずにすんだため、奈々、
「う~」
とうなるとともに、
(一体、私の体で何が起きているのでしょうか・・・)
と、自分の体のことを心配してしまった・・・。
だが、このとき、奈々の身に起きていること・・・、それは、どんどん湧き上がる奈々の「好き」というフラストレーションが暴走し始めた・・・といってもいいものだった。このフラストレーションは奈々によって無理やり封印したのだが、それにより行き場を失しなったそのフラストレーションは奈々の体中をどくろをまくように暴れていた。そのため、奈々は知らずのうちに生活に支障がでるくらいにまで悪化した、というわけである。
なら、そのフラストレーションを吐き出せばいいのでは・・・とお思いの方も多いと思うが、今の奈々にはそのようなことができなかった。なぜなら・・・、
(私はこれからクールで真面目な生徒会長に、親から強要された立派なリーダー像にならないと・・・)
という思いが強いから。自分のケジメとして奈々はせつ菜を辞め自分の「好き」を封印した。それに伴って「好き」というフラストレーションのはけ口となるスクールアイドル活動はおろかそのフラストレーションをなだめるためのラノベ・アニメに触れることすら辞めてしまったのである。なので、そのはけ口はないにも等しいものだった。いや、そのはけ口を失ったばかりに奈々hそのフラストレーションのせいで体の調子が悪くなったのである。
そんな奈々であったが起き上がるときにある生徒たちの話が聞こえてきた。
「ねぇ、優木せつ菜ちゃんが引退したらしいよ」
「うん、たしか、この前、引退ライブをしていたよね」
今のニジガクで話題になっているのはせつ菜の引退についてであった。単なるスクールアイドルの引退であればそこまで話題にならないが、せつ菜はニジガクを代表するスクールアイドルである。それに、ゲマーズお台場店など、せつ菜とコラボしているお店もあったりする。なので、せつ菜の引退はニジガクとしても大きな話題になっていたのである。
で、その話を聞いて、奈々、こう思ってしまう。
(私がせつ菜を辞めたことがここまで話題になっているんあて想像すらできませんでした。ですが、これが私のケジメなのです。それが私のケジメ・・・)
だが、このとき、せつ菜のなかに引退ライブが終わったあとに残ったあるものが動き始めた。
(って、なんか、私のなかでなにかが動いているような気がします・・・。それってなんでしょうか・・・)
それは奈々にとって、せつ菜にとって、すべてを吐き出したあとに残った・・・、淡い思い・・・だったのかもしれない。いや、それが残っているからこそ・・・。
と、ここで別の生徒がこんなことを言いだしてきた。
「ねぇ、ねぇ、そのせつ菜ちゃんの引退なんだけど~、どうやら、引退自体、嘘だったみたいだよ!!」
「え~、なんでなんで!!」
「どうやら、これまでの激務がたたって休まないといけなかったみたいだよ。でもね、数日の休みをしたおかげで復活することができたみたいだよ!!」
「え~、うそ~!!」
「本当だよ!!げんに、今日の夕方、完全復活ライブをせつ菜ちゃんがするんだって!!」
この生徒のことがを聞いた瞬間、奈々、
(えっ、そんなこと、聞いていないのですが・・・)
と唖然となってしまう。そりゃそうだ。奈々は、せつ菜は、スクールアイドルを引退した。それなのに、自分の知らないところで復活ライブを行うなんて聞いたことない、いや、やることすら初耳、だったのである。そのため、奈々、
(これは一体どういうことなのですか?私の知らないところで私の復活ライブが行わるなんて・・・)
とパニックが起こそうとした。いや、もうすでに奈々の頭のなかはパニック状態であった。
そんな奈々に追い打ちをかけるかのように、突然、奈々に対しての学校放送が流れる。
「え~、ニジガク生徒会長の中川奈々さん、大至急、部活棟○○〇号室まで来てください」
この学校放送を聞いて、奈々、
(えっ、その場所って、たしか、同好会の元部室・・・)
と、奈々が呼ばれた場所について思いだす。そう、奈々が呼ばれた場所、そこはスクールアイドル同好会の元物質であった。さらに、奈々は放送のときに聞こえてきた声の主を思いだす。
(それに、私に放送してきたのはしずくさんだ・・・)
そう、奈々を呼び出したのはしずくだった。これには、奈々、
(しずくさん、あんいを考えているのでしょうか・・・。私は・・・、せつ菜は・・・、しずくさんに自分の「好き」を強要したのです・・・。それなのに・・・ここにきて・・・なんでしずくさんが出てくるのですか・・・)
と、しずくに対しつい疑問に感じるも、
(とはいえ、私は生徒会長です。ここでエスケープしたら生徒会長としての威厳がなくなります。ここは私が行くしかありません!!)
と、生徒会長モードのまま、黒縁メガネと三つ編みのまま、そしずくに指定された場所、同好会の元部室へと行くことにした。
そして、同好会の元部室のドアを開けた奈々は開口一番、
「しずくさん、私をここに呼び出したのだどうしてですか?」
と、その部室にいるしずくに対し言うとしずくはいきなり奈々に対しこう言いだしてきた。
「それは私のセリフです!!なぜスクールアイドルを辞めたのですか?まさか、私のせいでしょうか?私がせつ菜さんにあんなことを言ったからですか?」
これには、奈々、
「私がせつ菜を、スクールアイドルを辞めた理由、それは私がしずくさんに自分の「好き」を強要したからって引退ライブのときに言いましたよね。それでは納得できないのですか?」
と、逆にしずくに問い直す。
すると、しずくは奈々に対し激しく言い返す。
「私は納得していません!!私の思いなんて聞かずに勝手に自分の考えだけで判断するなんて、私、そんなこと、許せないのです!!」
このしずくの言葉に、奈々、
「し、しずくさんの思い・・・」
と躊躇してしまうと、しずく、ここぞとばかりに、自分のあのときの、同好会でせつ菜が自分を指導しているときの思いを語った。
「奈々さん、いや、せつ菜さん、私、せつ菜さんの「自分の好きを大々的に言える」、そんなところに憧れていました。だって、私、趣味(演劇など)などで同世代のまわりの子たちとではあわないばかりに、私、まわりにはずっと「当たり障りのないいい子」で接していた、ずっと演じていました。対して、せつ菜さんは自分の「好き」を、ラノベ・アニメ・スクールアイドルが好きである、って大々的に言っていじゃありませんか。私、そのところに憧れていたのです」
このしずくのカミングアウトに、奈々、
(ま、まさか、しずくさんにも辛い思いがあったなんて・・・)
と唖然となるも、しずく、そんな奈々のことはあとにして、話の続きを語った。
「だからこそ、自分の「好き」を大々的に言える、そうなりたいと思って、せつ菜さんからスクールアイドルの指導を受けていたのです!!別にせつ菜さんの「好き」を強要されたからといって嫌だったわけではないのです。いいえ、私はそれすら受けれることで自分もせつ菜さんのように自分の「好き」を大々的に言えるようになろうと思っていたのです!!」
このしずくの思いに、奈々、
(ま、まさか、これって・・・)
となにか悟ったのか、しずうの次の言葉を待つ。
そして、その話の続きを、しずくは語った。
「ですが、私は、あのとき、自分自身が変わるのを躊躇していました。私はこれまで「当たり障りのないいい子」を演じてきましたがそれから変わるとみんなからドン引きされるのではないかと、急に変わるとそれを恐れてしまったから、私は、あのとき、せつ菜さんに嫌な意思表示を、「 当たり障りのないいい子」に、なってしまったのです!!」
このしずくの思いに触れたのか、奈々、いや、せつ菜は、
(こ、これって、私の思い違い・・・なのですか・・・)
とまたもや愕然となってしまったためか、奈々、床へとへたれこんでしまった。
だが、しずくの思いはまだまだほとばしっていた。床にへたれこむ奈々に対ししずくは自分の思いをさらにぶちまける。
「せつ菜さんは、奈々さんは、それを苦にして同好会を休止してしまいました。私としてはとても悲しい思いをしました。そのため、私は相当ショックを受けて演劇すらできず、そのために演劇部から締め出されてしまいました。そのときは、私、不幸のどん底に落とされた気持ちになりました」
このしずくの思いを耳にした奈々は、
(ま、まさか、私の一連の行動のせいでしずくさんに嫌な思いをさせてしまっていたなんて・・・、私、なんてバカなことを・・・)
と、自分の行動を、自分が行った行いによってしずくが苦しんでいたことを初めて知り、じぶんを悔いてしまう。
だが、それでも、しずくは奈々に知足近づく素振りでこう言い放った。
「でも、そんなときに生徒会長の奈々さんと出会いました。あのとき、倒れそうになっている奈々さんを公園のベンチで私が介抱したときは奈々さんがせつ菜さんとであることは知りませんでしたが、あれは私にとって大きな転換点、だったと思います」
このしずくの言葉に、奈々、つられて、
「あのときは私が同好会を休止にしたから、私のなかにある「好き」というフラストレーションが溜まりすぎてつい倒れてしまったのです・・・」
とそのときの状況を話すとしずくも、
「でも、私にとってそれは、奈々さんと、せつ菜さんのもう一つの顔である奈々さんと出会えたのですから、本当に幸せだったのかもしれません」
と言うと奈々も、
「そう言われるとちょっと・・・」
と照れてしまった。
そして、しずくはあのときの奈々の・・・本当の奈々の姿を、せつ菜を見つけたときのことを話してくれた。
「そして、翌日、奈々さんが生徒会の激務に疲れていると思った私は奈々さんのお手伝いのために生徒会室に行きました。その後、生徒会室にペンをとりに帰ったときに奈々さんの本当の姿を、自分の「好き」を楽しんでいる、そんな奈々さんと会うことができました。その際、まさか、私の好きな映画「ローマの休日」で奈々さんと、いや、せつ菜さんと、つながることができるとは思ってもいませんでした。今の私としては、運命、だと思いました」
これには、奈々、
「まぁ、たしかに、あのときの私の姿は生徒会長モードでしたから私がせつ菜とはバレませんでしたが、それでも、「ローマの休日」、私としては「スペース・ホリデー」でしずくさんとつながれたことは本当に奇跡だと思います」
と、あのときのことを思いだしてはほほ笑んだ。あのときの奈々は生徒会長モードの姿だったが、そのときに、つい、本当の自分を、せつ菜モードのときの自分の行動をしてしまい、それがしずくに見つかってしまったのである。これがことの始まりである、と同時に、
「そして、しずくさんのまえではいつも、クールで真面目な生徒会長モードのまま、本当の私を、せつ菜モードのときの私を、自分の好きを大々的に言える、そのことをするはめになったのでしたね・・・」
と、奈々、あのときの行動によってこのあとどうなっていくのか、それをしみじみしながら思い返していた。
そんな奈々に対し、しずく、
「ですが、そんな奈々さんとの楽しい時間のなかで私は、せつ菜さんの、自分が憧れていた、「自分の好きを大々的に言える」、それができるようになりました。それについては奈々さんに感謝です」
と言うと、奈々、
「え~と、それって褒められている・・・のかな・・・」
と、ちょっと戸惑っていた。とはいえ、たしかにしずくの言う通りであった。しずくはこれまでまわりに気をつかって、いや、まわりから浮かないように、「当たり障りのないいい子」を演じてきた。だが奈々との交流のなかで、自分の好きなもの「ローマの休日」、それについて語り合える仲間であった奈々を得ることができた。いや、それ以外に、自分の「好き」を大々的に言える奈々の影響を受けてしずくもせつ菜のある部分、「自分の好きを大々的に言える」、それを身につけることができるようになったのである。
と、同時に、しずくにはある思いも生まれていた。それは・・・、
「そして、私はそんな奈々さんに恋をしてしまいました・・・というよりも、奈々さんに惚れてしまいました・・・。ただ、それと同じくして、せつ菜さんにも憧れていた、というより、惚れてしまいました・・・。なぜなら、私の「好き」を大々的に言えるようにした、奈々さんのこと、せつ菜さんのこと、私、尊敬していると同時に私の「好き」を話せる仲でしたから・・・」
と目をキラキラさせながら言うと奈々からは、
「これってどう対応すれば・・・」
と思った瞬間、
ドキッ
という心臓の鼓動が聞こえてきた。これには、奈々、
(って、なんでここで私の心臓が・・・)
と突然聞こえてきた心臓の鼓動に戸惑いを感じていた。
そんな奈々のことを気にしているのかどうかわからないがしずくの話は続く。
「しかし、そんな奈々さんも両親のことで苦しんでいました。そのことを勤して私は奈々さんとデートへと誘いましたが、それと同時に奈々さんとせつ菜さんの2人に恋をした私も苦しんでいました。ですが、私はあることがきっかけでその2人が同一人物であると思うようになり、デートのあとの引退ライブのときにそうであるとわかりました。ただ、このときにせつ菜さんは引退してしまいました・・・」
この言葉に、奈々、
「それは仕方がないことなのです。だって、私はしずくさんに私の「好き」を強要してしまったのです!!それがたとえしずくさんにとってそんなに気にしていなくても、私にとってみれば自分の信念を・・・「自分の好きを大々的に言える、それを誰も否定しない世界を造る」、それを曲げることをしたのです!!だからこし、私は、せつ菜を、スクールアイドルを、辞めるケジメをつけたのです!!」
と泣きながら言うとしずくはあることを指摘した。
「それってもしかしてせつ菜さんの両親と関係があるのではありませんか」
これには、奈々、しずくに対し、自分の思いを吐き出す。
「しずくさんの言う通りだと思います。だって、私は両親から立派なリーダーになるように強要されている、そのために、クールで真面目な生徒会長モードと本当の自分であるせつ菜モードを使い分けなければなりませんでした。その私にしている両親の強要、そして、私がしずくにしてきた「好き」の強要、どっちも同じ強要ではありませんか!!」
そう、奈々にとって両親が奈々にしている強要とせつ菜がしずくにしている強要はどちらも同じであると考えていたのだ。たしかにどちらも強要・・・、自分の考えを他人に押し付ける、それは意味的にはどちらも同じかもしれない。
だが、そんな奈々の考えにしずくは一刀両断した。
「奈々さん、それは違います!!同じ「強要」であっても2つはまったく違います!!両親が奈々さんにしている強要は自分たちだけの勝ちや考えを無理やり奈々さんに押し付けてくることです!!対して、奈々さんが、せつ菜さんが、私にしてきたことは自分の「好き」をほかの人にも伝播させようとしていたことなのです!!」
そう、しずくの言う通りである。奈々の両親が奈々にしている強要は自分たちの価値観や考えを奈々に押し付ける、自分たちの願望通りな奈々にしようとしているのである。対して、せつ菜がしずくにしてきたことは自分の「好き」をほかの人にも伝播させようとしているものであった。それはオタクと呼ばれる人たちが布教と称してまわりの人たちに自分の「好きな」作品などを勧めるのと同じかもしれない。それはたんに押し付けるわけではなく、自分の「好き」を語り合える仲間を増やしたい、自分の「好き」な作品などを広めたい、それと同じことなおんではないだろうか。しずくはそれを指摘したのである。
で、そのしずくからの指摘を聞いた奈々、
「でも、それでも、私はしずくさんに自分の「好き」を強要しました。それはほかの人の「好き」を否定していることには・・・」
と、なにか言い訳じみたことを言おうとするも、しずく、強気に、奈々に、いや、せつ菜に言った。
「そんなの、関係ありません!!私は奈々さんとの、せつ菜さんとの交流のなかで自分の「好き」を大々的に言えるようになりました!!そして、今、自分の「好き」を封印した奈々さんを前に私はその「好き」を大々的に言えるとともにその「好き」を、奈々さんに、せつ菜さんに、強要しています!!それらの場合は奈々さんの私への強要によって私の「好き」を否定するものではありませんでした。逆に自分の「好き」をその人にも伝播させてその人も自分の「好き」にさせようとしていることなのです!!!!だからこそ、せつ菜さんが私にした強要はほか人のの「好き」を否定しているわけではないのです!!」
前述の通り、せつ菜がしずくにした強要はしずくに自分の「好き」を伝播させてはしずくもせつ菜と同じようにそのものを「好き」にさせるものである。それは奈々の両親が奈々に強要していること、つまり、奈々の考えなどを否定しつつ自分たちの価値観や考えなどを押し付けていることとは違ったりする、いや、しずくの「好き」なものを否定などしていないのだ。その点をしずくは奈々に指摘していた。
そんなわけで、奈々、
「それじゃ、私はしずくさんの思いすら知ろうとせずに私の考えだけで私の「好き」を封印した、ケジメをつけようとした・・・というわけですね。いやゆる、ピエロ、だったわけですね・・・」
と諦めに満ちた表情になってしまった。しずくの思いすら知ろうとせずに自分の考えだけで突き進んだ結果、自分が大切にしてきた自分の「好き」、ラノベ・アニメ・スクールアイドル、それを奈々は封印してしまった、ケジメをつけてしまった・・・、それは奈々にとって悲しいことだった。
だが、そんな奈々に対し、しずく、とんでもないことを言ってしまう。
「それなら、奈々さん、その封印を、ケジメを、失くせばいいのではありませんか?」
このしずくの言葉に、奈々、
「封印を、ケジメを、なくす!?」
と逆にしずくに尋ねてみる。
すると、しずく、そんな奈々に対しこんなことを言いだしてきた。
「奈々さん、いや、せつ菜さん、今こそ、自分の「好き」を、その「好き」という想いを、私たちに、みんなに、伝えてください!!そして、「自分の好きを大々的に言える、それを誰も否定しない世界」を造り上げてください、私が愛している、そんな、奈々さんとして、そして、せつ菜さんとして!!」
そして、しずは自分のタブレットを奈々に見せた。そこにはしずくが作ったせつ菜復活ライブの企画案があった。それを見て、奈々、
「こ、これって・・・」
と言うとしずくは元気よくこう答えた。
「私、このまま、私の愛するせつ菜さんを失いたくないです!!その想いから、私、この復活ライブを考えてみました!!さらに、この数日、私はいろんなところに回って復活ライブの準備をしてきました。そして、ついに、今日、その準備ができました。奈々さん、いや、せつ菜さん、今こそ、復活ののろしをあげるときです!!」
そう、ここ数日、しずくは奈々の知らないところでせつ菜復活ライブの準備をしてきた。それはしずくが愛したせつ菜を復活させるために、誤解したまま自分の手でせつ菜を終わらせた奈々がせつ菜を、自分の「好き」を復活させるためにしずく自身が行ったことだった。それはこれまでの「当たり障りのないいい子」を演じていたしずくでは考えられない、いや、これからは自分の「好き」のために、自分が愛する奈々、そして、せつ菜のためにしたことだった。それくらい、しずくにとって自分の「好き」、奈々、せつ菜、その大切さを示すもの、だったのかもしれない。
だが、それでも、奈々はためらいがあった。それは・・・、
「でも、私が勝手に行動会を休止したからほかのメンバーから・・・」
そう、ほかの同好会メンバーのことである。ほかのメンバーは同好会を奈々が勝手に休止したことでスクールアイドル活動ができなくなったのである。なので、それに対する恨みがあるのでは、と、奈々は、せつ菜は、心配していたのだ。
だが、それすらしずくは予想していたようだ。しずくは自分のタブレットの画面をスライドすると、そこには・・・、
「えっ、私の復活ライブのために同好会メンバー全員が手伝ってくれたわけ・・・」(奈々)
そう、その画面にはせつ菜復活ライブのためにしずくをはじめとするせつ菜以外の同好会メンバー4人全員のSNSアプリのグループチャットが表示されていた。そのチャットのなかでしずくら4人んはせつ菜復活ライブについてどう運営していけばいいのか話し合っていたのである。
で、それを見て唖然となる奈々に対ししずくはこう発言した。
「奈々さん、誰もあなたのことを恨んでいません!! それよりも、1日でも早い同好会復活を臨んでいるのです!!だからこそ、奈々さん、せつ菜さんとして、スクールアイドルとして、復活してください!!」
このしずくの言葉に、奈々、
「た、たしかに、私自身、自分の暴走ゆえに勝手にケジメと称して引退ライブをしました。ですが、たとえそうだとしてもしずくさんをはじめとするほかの同好会メンバーが私のスクールアイドル復活を臨んでいるのなら、私、復活したほうがいいのでしょうか」
と、少し上向きにせつ菜復活を考えると、しずく、
「そうですよ、奈々さん!!私たちは同好会の復活とせつ菜さんの同好会復帰を臨んでいます!!」
と元気よく答えた。
ただ、ここで奈々が少し下向きな発言をしてしまう。
「あっ、でも、また別の形で私の「好き」をみんなに強要してしまうのでは・・・」
奈々にとってしずくに強要したことはしずくの考え方によってたんなる自分の考えや価値観の押し付けではないとしずくは判断されたが、もし、それがしずく以外のメンバーにしていたらそれは別の意味での強要・・・、奈々の両親みたいに自分の価値観や考えなどをほかのメンバーに押し付けている、そう判断される可能性がある、ということである。
だが、それすらしずくは考えていたようだ。なぜなら、奈々に対しこう答えたから。
「奈々さん、そんなに心配しないでください!!これからも奈々さんの「好き」をみんなに強要を・・・、いや、前面的に押し出してください!!でも、ほかの人の「好き」を否定しないでください。ほかの人の「好き」を尊重してください!!でも、今から言うことは絶対に守ってください。
これ以上、自分の「好き」なものをなくさないでください!!
自分の「好き」を誇らしくしてください!!
そうすれば、奈々さんが、せつ菜さんが目指している世界、「誰もが自分の「好き」を大々的に言える、それを誰も否定しない世界」を造れると思います。いや、それ以上に、奈々さん、いや、せつ菜さん、みんながそれぞれもっている「いろんな「好き」」という気持ちを前面的に押し出す、そんな同好会になれると思います!!だって・・・、
スクールアイドルって、自分の言いたいことを、好きなことを大々的に言える存在
ですから!!」
たしかにしずくの言う通りかもしれない。せつ菜みたいに自分の「好き」を強要している場合、せつ菜が目指している世界、「自分の好きを誰も否定してしない世界」、であるなら、ほかの人の「好き」を否定したりすればそれは奈々の両親が奈々にしているような強要、自分たちの価値観や考えを相手に押し付けている、それに当たるかもしれない。なので、自分が自分の「好き」を相手に強要する場合は相手の「好き」を否定しないこと、相手の「好き」を尊重すること、が重要になる。また、自分の「好き」を誇らしく思えばそれは自分の「好き」をほかのみんなに伝播することができやすくなる。また、せつ菜みたいに自分の「好き」の想いを失くすことはその機会、どころか、自分の存在意義をなくすばかりかただの操り人形になりはてることにもつながる。だからこそ、自分の「好き」を誇らしく思うことは重要となる。そして、自体相手の「好き」を否定しない、自分の「好き」を誇らしく思う、その2点をクリアすれば、奈々・せつ菜が目指す世界、「自分の「好き」を大々的に言える、誰もそれを否定しない世界」を造ることができるだろうし、その世界を体現した、ほかのメンバーのいろんな「好き」を互いに認め合いながらもそれらを前面的に出す、そんな同好会ができるかもしれない。
そんなしずくの言葉もあり、奈々、
「私、私も、そんな素晴らしい同好会にしたい!!」
と、少しずつであるが前向きに考えられるようになっていった。
そして、しずくは奈々に、いや、せつ菜に対しダメ押しともいえる発言をした。
「だから、奈々さん、いや、せつ菜さん、同好会に戻ってきてください!!そして、「誰もが自分の好きを大々的に言える、それを誰も否定しない世界」を造るためにもみんなと一緒に頑張っていきましょう!!」
そのしずくの言葉のあと、しずくは奈々に対しもう一度自分のタブレットをみせた。そこには、
「せつ菜先輩、戻ってきてください!!じゃないと泣きますよ・・・」
「せつ菜ちゃん、戻ってきてほしいよ~。せつ菜ちゃんがいない同好会なんて考えられないよ~」
「せつ菜ちゃん、同好会に戻ってこないと眠れないよ・・・」
そう、しずく以外の同好会メンバーからのせつ菜へのメッセージが書かれていた。
そんなメッセージを読んだ奈々、いや、せつ菜は、
「同好会のみんなが私のことを許してくれるのですね・・・。私、とても嬉しいです・・・。もし、ここで断ったりしたらみんなに失礼にあたる気がします。それなら、私、中川奈々、私の目指す、「誰もが自分の「好き」を大々的に言える、それを誰も否定しない世界を造るため、優木せつ菜として戻り、この復活ライブ、頑張ります!!」
と力強く宣言した!!この奈々の言葉に、しずく、
「ようやく、私の好きなせつ菜さんに戻ってきてくれました・・・。私、本当に嬉しいです・・・」
と涙を流しながら言った。
だが、ここで、せつ菜、あることに気付く。
「あっ、でも、なんで、しずくさんは私のためにせつ菜復活ライブを企画するくらい頑張っているのでしょうか。それに、先ほど、私のこと、しずくさん、「好き」、って言っていましたが・・・」
そう、なぜしずくが奈々のために頑張っているのか、そして、ことあるごとにしずくが奈々のことを「好き」と言っているのか不思議に思っていたのである。
と、ここで、しずく、今度は真面目な顔をして、奈々に、せつ菜に対し、
「それは・・・、私も自分の「好き」を大々的に言いたいと思っているからです。だから、奈々さん、いや、せつ菜さん、私の「好き」を聞いてください。
私、大阪しずく、優木せつ菜さんのことが、中川奈々さんのことが、大好きです!!心の底から愛しています!!」
ついにしずくは、せつ菜に、奈々に、告白した。それは自分の「好き」を大々的に言えるようになったしずくなりの頑張りでもあった。
だが、ここにきて、奈々、いや、せつ菜、
「ちょっと待ってください。なぜ私のことが好きになったのですか?その理由を教えてください」
と、逆にしずくに尋ねてしまう。だって、いくら同じ同好会メンバーとはいえせつ菜のことがなぜ好きになったのか不思議に思ってしまったからだった。
そんな奈々、せつ菜に対し、しずく、その理由を述べた。
「私、自分にはない、これまで「当たり障りのないいい子」を演じていた私にはなかった、「自分の好きを大々的に言える」、そんなところがあるせつ菜さんに憧れていました。そのなかで私は、奈々さん、いや、せつ菜さんと一緒に自分たちの「好き」、「ローマの休日(とそれが原作となった「スペース・ホリデー」)」を通じて、「自分の好きを大々的に言える」、そんな経験をしてきました。その経験をしていくうちに私もそれができるようになりました。いや、「当たり障りのないいい子」という殻を打ち破ることができました。と、同時に、私のなかにあったせつ菜さんへの憧れはやがて惚れることへと、愛することへと昇華されていきました。私は、せつ菜さん、奈々さん、という愛する方のなかで自分の「好き」が育ちそれが大々的に言えるようになったのです!!だから、声を大にして、私、大々的に言います!!
せつ菜さん、戻ってきてください、私のもとへ!!あのときみたいに、この2週間、私に見せた、自分の「好き」を、私の前でさらけ出した、そんな、私が心の底から愛している、そんな、奈々さんに、せつ菜さんに!!」
このしずくの魂の籠った告白に、せつ菜、
ズッキューン
と心を撃ち抜かれたのか、
ドキッ ドキッ ドキッ ドキッ
と高まる自分の心臓の音を聞いた。これには、せつ菜、
(あっ、今、私、わかったかもです・・・。私も、私も、しずくさんに、恋していたのですね・・・)
と、自分もしずくに恋していることにようやく気づいたのである。
と、ここで、せつ菜、なぜ自分がしずくに恋しているのか考えてみる。
(でも、なぜ、私、しずくさんに恋しているんでしょうか・・・、なぜ、なぜ・・・)
すると、せつ菜、あることを思いだした。
(あっ、もしかして、しずくさんが私と共通の「好き」を通じて一緒に交わっていくうちに自分の「好き」を大々的に言えるようになった、のと同時に、私も、自分の「好き」をどんなときでも大々的に言えるようになったのかもしれません。いや、それどころか、しずくさんと一緒にいた時間は自分たちの「好き」を言い合うことができる、私にとって居心地のいい時間、だったのですね・・・。だからこそ、私はしずくさんに恋をしたのかもしれません・・・)
そう、せつ菜が、奈々が、普段みせている生徒会長モードのまま、この3週間、自分の素の部分、自分の「好き」を、ラノベ・アニメ・スクールアイドル、そのなかでも「好き」であった「スペース・ホリデー(とその原作であった「ローマの休日」)」をしずくのまえでさらけ出していた、ただ、普通の人ならそれをさらけすことでせつ菜を、奈々を割けることになるだろう。そのため、せつ菜は、奈々は、普段、生徒会長モードでいることで「クールで真面目な生徒会長」という殻に閉じこもってはまわりから避けられるのを防いできた。しかし、しずくは違った。せつ菜の、奈々の、素の自分をさらけだしたのを偶然見たとはいえ、しずくはそれを割けるどころか受け入れてくれた。いや、そればかりではなく、それを通じてしずくと心と心の交流ができたのである。もしかすると、それはお互いに自分の「好き」をさらけだしては一緒になってその「好き」をはぐくんだのかもしれない。とはいえ、せつ菜、奈々、にとってその交流の時間は、楽しい時間、心休まる時間であった、そう、せつ菜は、奈々は、今、気づいた、のかもしれない。そして、その時間がずっと続いてほしい、素の自分を認めてくれた、そんな、しずくと一緒に愛しては2人だけの時間をもっと共有したい、そんな自分の本当の気持ちにせつ菜は、奈々は気づいたのである。
そして、せつ菜はしずくに対しこう告げた。
「私も、しずくさんのこと、とても大好きです。しずくさんが私とのとても大事な時間を過ごしたいと思うように、私もしずくさんととても大事に時間を過ごしていきたい、そう思っております。だからこそ、しずくさん、これからもよろしくお願いします。いや、
しずくさん、これからもずっと一緒に過ごしていきましょう、私の大切なパートナー、私の恋人として・・・」
このしずくの告白に、しずく、泣きながら、
「せつ菜さん、ありがとうございます!!私もしずくさんのことが大好きです!!」
と言ってはせつ菜を抱きしめた。するとせつ菜も、
「私もしずくさんのことが大好きです」
としずくを抱きしめていた。
と、2人が抱きしめあってから1分後・・・、
「せつ菜さん、これは私からのプレゼント第1号です!!この衣装で復活ライブをしてください!!」
と、しずく、せつ菜にプレゼントを渡した。せつ菜、それを包みから出して広げてみた。すると、
「この衣装、もしかして、しずくさんの手作り、ですか?」
と1着のステージ衣装を見て喜んでいた。しずく、そんなせつ菜の喜ぶ姿を見て一言。
「はい、私、衣装を作るのも得意なのです!!この数日間、復活ライブの準備と並行してこの衣装を作っていました!!」
実は、しずく、これでも衣装を作るのは得意なのである。それは演劇部の衣装づくりを手伝うくらいであった。なので、せつ菜のデータさえ知っていればしずくがステージ衣装を作るのは朝飯前であった。
とはいえ、愛する自分のために作った衣装、ということもあり、せつ菜、
「この衣装、一生大切にします!!もう着るのがおしいくらいです!!」
と、その衣装を抱きしめながら言うと、しずく、
「せつ菜さん、この衣装を着てみんなの前に出てください!!みんながせつ菜さんの復活を待っています!!」
と言うと、せつ菜、
「たしかに、しずくさんの言う通りですね。それでは、愛する人からの衣装を着て、復活ライブ、それに向けて、優木せつ菜、出る!!」
と、自分の名に似たどこかのアニメの主人公みたいに大声を出すと、しずくが作った自分だけの衣装を着て、これまでしていた黒縁メガネと三つ編みをほどいてはせつ菜モードへと変身、復活ライブのステージへ、せつ菜の復活を待つみんなのもとへと走り始めたのである・・・。
その後、せつ菜はみんなの前に行くと、自分の「好き」を、ラノベ・アニメ・スクールアイドルが「好き」であることを大々的に言う、それをみんなに伝える、いや、みんなに自分の「好き」を強要しながら自分の「好き」をみんなに伝播させながら力強く歌った・・・、「DIVE」を・・・、「CHASE」を・・・、「Melody」を・・・、そして、「Love it,Like it」を・・・。