「う~、ヤッター!!」
ここはお台場にある学校、虹ヶ咲学園高等部(通称:ニジガク)。生徒数は三千人を超えるくらいのマンモス校であるが、今、ここでは、高校生なら誰でもなれるアイドル、スクールアイドルの祭典ともいうべき「スクールアイドルフェスティバル」が開催されていた。この祭典であるが、虹ヶ咲のスクールアイドルが集いし部活、「スクールアイドル同好会」、が中心となって東雲学園を含む近隣の学校はおろか、全国的にも有名なスクールアイドル、μ's、Aqours、すらも巻き込むくらいの大規模な祭典となった。そして、雨などのトラブルもあったものの大成功を収めたのである。そのため、同好会のみんなはその成功と称して一緒に大声をあげて喜んでいたのである。
そんななか、1人の少女がある少女を見つめていた。
(せつ菜、私のライバル・・・。いつかはせつ菜に勝ちたい!!)
その少女の名は朝香果林、ニジガクの3年生であり同好会の一員であった。そんな果林には1つの野望があった。その野望のために果林が見つめていたのは同好会のエースにして全国的にもスクールアイドルとして有名であった優木せつ菜であった。そのせつ菜であるが、ニジガクの2年生でありながらもスクールアイドルとして活躍しているところ以外誰も見たことがない、幻のニジガク生徒と言われていた。が、その正体は・・・、元生徒会長の中川奈々であった。同好会に果林が入ったときには生徒会長としてニジガクの生徒たちを引っ張っていたのだが、とある理由で奈々が生徒会長を辞めて以降、奈々は、いや、せつ菜はスクールアイドルとして頑張り、今や同好会を引っ張っていく存在となっていた。そして、全国的にも名の知られたμ'sやAqoursと一緒に行動していくうちに同好会のエースとして同好会を盛り上げては同好会の名を全国的規模まで押し上げるまでになった・・・のだが、そんなせつ菜のことを果林は・・・、
(せつ菜は私にとってライバル・・・。だからこそ、私が勝ってせつ菜を乗り越えていきたい!!)
と一方的にライバル視していた。
では、なぜ、果林はせつ菜を一方的にライバル視していたのだろうか。それは、果林の性格による。身長167センチと、μ's、Aqours、のメンバーの誰よりも身長が高い、いや、ニジガクを含めて3グループのなかでも1番身長が高く、さらに手足も長いほど高校生徒は思えないくらいのルックスとプロモーションを有しており、読者モデルとして活躍もしてきた。また、3年生で見た目が「セクシーなお姉さん」ということもあり、お姉さんキャラとして、さらに、職業的・精神的にも非常に頼れる尊大であり、メンバーの相談にも応じる、いつも冷静で多少のことでは動じない、それくらい、「The お姉さん」、というべき存在であった。だが、そんな果林ではあるが内向的には果林には譲れないものがあった。それは・・・。
「負けず嫌い」
であった。たとえば、μ'sのメンバーのなかで燃焼器のころからバレエなどしていたこともありダンスが得意な絵里とゲームセンターでダンス対決したときも1度は負けてしまうも精一杯ダンス練習をして再戦、勝利するほどだった。それくらい果林は「負けず嫌い」なところがあり、勝つまでは何度でも挑戦するくらい、というのもざらにあった。
そんな果林にとって今の目標というべき勝ちたい相手がせつ菜であった。果林曰く、
(私はスクールアイドルとしてこのスクールアイドルフェスティバルのステージに立った。多くのお客さんの目の前に立った。けれど、そのお客さんの多くがニジガクのエースともいうべきせつ菜に向いている。対して、私の方を向いているお客さんの数はせつ菜より少ない。それが、私とせつ菜の差。だけど、私はその差を埋めたい。いや、せつ菜を超えたい!!私はせつ菜に勝ちたい!!絶対に勝ってせつ菜を超えていきたい!!)
とのこと。それくらい果林は同好会のエースというべきせつ菜のことを、ライバル、いや、絶対に負けたくないライバル、として認識していた。
一方、せつ菜はというと・・・、
(なんか、果林さんの視線が痛いのですが・・・。ですが、今は目の前にいるお客さんに私の「大好き」を、スクールアイドルなど、私たちの「大好き」をみなさんに伝えないといけませんね!!)
と、果林のことを思いつつもまずは自分の目の前にいる観客たちに対し、いつもの通り、自分の「好き」を、せつ菜が好きなもの、ラノベ、アニメ、そして、スクールアイドル、その「大好き」の気持ちをみんなにばらまこうとしていた。ちなみに、せつ菜が少ないをしている理由、それは、「自分の好きを大々的に言える、それを誰も否定しない世界」を造る、ことであった。そのため、せつ菜は「「大好き」を世界中にあふれさせちゃうスクールアイドルになる!!自分の好きを他人に押し付けず、みんなの「大好き」を誰も否定しない」、そんな想いをもってスクールアイドルをやっていた。それがニジガクの同好会のエース、優木せつ菜、であった。ただ、このとき、まさか果林から一方的にライバル視されているとは今のせつ菜には思いもよらなかった・・・というか、このあと、せつ菜のもとであることが起きるなんてこのときの果林もせつ菜も知る由もなかった・・・。
そのスクールアイドルフェスティバルから1週間後、果林にとってまたとないチャンスがやってきた。
(まさか愛がこんな面白いことを提案するなんて思いもしなかったわ・・・)(果林)
なんと、同好会のメンバーの1人である愛がスクールアイドルフェスティバルが大成功に終わったこともあり、その勢いのまま、メンバーの技術向上のために、各メンバーの得意な分野(ただし、スクールアイドル関連に限る)で氏名したメンバーと1対1の勝負をする、名付けて、「虹ー1グランプリ!!」を行うことを提案してきたのだ。で、その大会なら面白いことになる、自分たちの技術向上にも役に立つ、ということもあり、同好会メンバー全員賛成したことによりこの大会は行われることとなった。ただ、このとき、同好会メンバーの1人で果林のお世話役?のエマは少し浮かない表情をしていた。
メンバーそれぞれ自分の得意なことを言ってはその相手を次々と指名していく。そして、果林の番となった。果林、
(私の得意なことでせつ菜を倒すことができればライバルであるせつ菜に勝ったことになる!!絶対に勝たないと・・・)
という思いが強いせいか、すぐさま、
「私は・・・、そう、ライバルであるせつ菜を指名します、私の得意なダンスでね!!」
と大声をあげた。これには、せつ菜、
(うお~、珍しく果林さんが燃えています!!こんな熱い展開、私、大好きです!!)
と逆に燃えたのか、すぐさま、
「わかりました!!私も果林を指名します、もちろんダンス対決で!!」
とまだ相手を指名をしていなかったせつ菜が果林を逆指名してしまったのだ。まぁ、せつ菜としては、この熱い展開、とても大好き・・・、というか、せつ菜自身、熱い展開が繰り広げられるファンタジーやスポーツもの、それがとても大好き、ということもあり、この果林との熱い展開はせつ菜にとってとても嬉しいものとなった。
なのだが、ここで1つの疑問が同好会を駆け巡った。同好会のエースのせつ菜ではあるが、果林みたいにダンスが得意のだろうか、いや、果林のダンスの実力を超えることができるのだろうか、である。たしかにせつ菜の同好会のエースである。だが、誰しも一芸が秀でているものである。果林の場合、モデル並みのルックスやプロモーションから繰り出されるセクシーなダンスは誰もが魅了される。対し、せつ菜は同好会のエースとはいえ果林並みのダンスが得意・・・といえるか疑問だったのだ。
だが、そんな疑問に対し、せつ菜、
(くぅ~、こんな逆境だからこそ、私は燃えるのです!!いや、私のダンス裁き、とくと見ててください、みんな!!)
と、逆に燃えてしまったのか、せつ菜、突然、果林を含めた同好会みんなの前で踊り始めた。すると、果林、
(えっ、せつ菜って、ダンス、うまいわけ・・・)
と唖然となってしまう。そう、せつ菜のダンスはとてもキレがあった・・・というか、せつ菜なりに必死になってダンスをしていたせいか、せつ菜のダンスはとてもダイナミックでなおかつ誰もが唖然となるくらいのものだった。もし、果林のセクシーなダンスが静ならせつ菜のダンスは動である。静と動、相反するものであったがせつ菜のみせたダンスは果林のものとは1つも引けを取らないものだった。
そんなダイナミックなせつ菜のダンスを見た果林、唖然となりつつこう思ってしまう。
(う、うそ・・・。せつ菜って、ダンス、あんなに得意だなんて・・・。これじゃ、私の同好会での立ち位置が・・・、「クールなお姉さん」という立ち位置が・・・、なくなってしまうじゃない・・・)
そう、果林の同好会での立ち位置が危ういものになっていたのである。果林はこれまで同好会のなかでダンスの実力はピカイチであった。特にセクシーなダンスについては右に出る者がいなかった。だが、その静ともいえる果林のダンスに対しせつ菜のダンスは動である。静と動、どちらが優位かというと、せつ菜、果林といった若い世代だと一般的には動の方が優位になるだろう。そうなると、果林の同好会でのダンスクイーンの称号がなくなってしまう、いや、少なくとも果林のセクシーなところ、お姉さまっぽいところがかすれてしまうかもしれない、それくらいインパクトあるせつ菜のダンスだったのだ・・・。
まぁ、そんなこともあり、果林はある心配をしてしまう・・・。
(このままだと、私、せつ菜の強烈なダンスのせいで・・・、せつ菜のライバル・・・どころか、ただのモブキャラになってしまう・・・)
そう、果林がただのモブキャラになってしまうのではないか、そんな心配だった・・・。
だが、そんな果林に対し悲劇・・・というかそれに近いことが起きる。それは・・・、
(えっ、エマがスイスに帰ってしまう・・・)(果林)
そう、果林にとって大親友であり同じ同好会のメンバーであるエマがスイスに帰ってしまう、というわけである。とはいっても、別にエマが永遠にニジガクに戻ってこない、というわけではなかった。実は、ニジガクは2週間程度の長期休暇に入ろうとしていたのだ。なので、それならばとエマはその休暇をつかって、エマの母国、スイスに里帰りをすることになったのだ。
ところが、それは果林にとって死活問題になってしまった。なぜなら、果林は・・・エマなしでは生きられない・・・というかもしれないくらいポンコツだったのだ。たとえば、朝は1人では起きられないくらい朝は非常に弱い、部屋を片付けるのは苦手、など・・・。まだにエマがいないとなにもできない・・・ほどのものだった。そして、果林とエマは同じ寮に一緒に住んでいるので、エマがいなくなると果林の世話をしてくれる人が誰もいなくなってしまうのである。そのことを自覚しているせいか、果林、
(私、これからどう過ごしていけばいいわけ・・・。この2週間、エマがいないと、私、なにもできないじゃない・・・)
と、愕然となってしまった。そのためか、果林、
(私、この2週間、どう生きていけばいいわけ・・・)
と、絶望に満ちた声を上げると共に大きな涙を流していた・・・。
だが、それでも現実は待ってはくれない。エマは、
「果林ちゃん、そんなに泣かないで。私ね、そんな果林ちゃんのこと、心配だから、強力な助っ人を呼んだからね。だから、安心して」
と言うことを言いつつもスイスへと旅立ってしまった・・・。
う~う~ う~う~
エマがスイスへと里帰りしたせいか泣きじゃぐる果林・・・ではあったが、泣き疲れたのか、果林、
グ~グ~
といつの間にか眠ってしまった・・・。
そして、翌日の朝、意外な音で果林は起きてしまう。それは・・・。
「う~、あともう少し・・・」
と、いつもながら寝言を言う果林。そんな果林に対し果林にとってなじみある声が聞こえてくる。
「果林さん、もう朝です!!休日とはいえ早く起きてください!!」
その声が聞こえてきたのか、果林、
「う~、エマ~、もう少し寝かせて・・・」
とエマのことを呼ぶとすぐさま、
「果林さん、私はエマさんではありません!!私です、私!!」
と大きな声で果林に言うと、果林、
「えっ、エマじゃない!!」
とはっとして起き上がった。
そして、果林、目をぱちくりしながら部屋の様子を見渡すと・・・、
「あれっ、私、部屋の掃除をしたかな・・・」
といつもとは違う部屋の光景にびっくりしてしまう。だって、果林の部屋はとても散らかっていた、いや、エマが果林の部屋を掃除しようものなら「そのままでいいのに・・・」と言っては掃除をさせないくらい部屋は散らかっているのだが、今の部屋の様子は綺麗になっていた。いや、それどころか、
ブーン
という掃除機の音が聞こえてきたのだ。これには、果林、
「え~と、誰かいるの・・・」
と眠い目をこすりながらまわりを見渡す。
すると、
「果林さん、ようやく起きましたね!!」
と言う声をあげて果林の前で仁王立ちをしていた少女がいた。その少女を見て、果林、はっとしたのか、大きな声をあげてこう言った。
「せつ菜、どうしてここにいるわけ?」
そう、果林の目の前で仁王立ちしていた、いや、果林の部屋を掃除をしていたのは果林の(一方的な)ライバルであったせつ菜であった。ただ、これには、せつ菜、
「果林さん、部屋が汚かったからついつい片付けてしまいました~」
と、まるで何事もなかったのようにあっさりと答えてしまった。
だが、突然のせつ菜の登場に、果林、パニック!!
(なんで、私のライバルであるせつ菜がここにいるのですか・・・。せつ菜はたしかこの寮に住んでいないはず。なのに、なぜ、せつ菜はここにいるわけ・・・)
いや、それどころか、果林、
(いやいや、それ以上に私がポンコツのとこ、ライバルであるせつ菜に見せてしまった・・・。これでは私のイメージが・・・、私の「セクシーなお姉さま」というイメージが崩れてしまう・・・。一体どうすれば言い訳・・・)
と、一体どうすればいいのかわからなくなってしまった。
ただ、そんな果林に対し、せつ菜、ここにいる理由を話し始めた。
「果林さん、私がなぜここにいるのかわからないみたいですね。実は私の両親が2週間ほど海外旅行に行くことになったのですが、私は学校があるから、というわけで両親の旅行についていくことができませんでした。ですが、それだと家には私だけになるので私の両親が心配になるから、という理由で特別にこの寮に泊めてもらうことにしたのです」
そう、せつ菜がここにいる理由、それは、せつ菜の両親の海外旅行が原因だった。2週間、せつ菜の両親は海外旅行に行くことになったのだが、せつ菜は学校が休みとはいえ学校関連でニジガクに行くことがあったために両親の旅行についていくことができなかった。ただ、一人っ子のせつ菜だけ家に残していてはなにかあったときが怖いため、両親の勧めもあり、果林のいる寮にせつ菜は2週間お世話になることにしたのである。あっ、ちなみに、せつ菜が泊っている部屋は一時的に学生を泊めるための部屋・・・ではなく、
(エマさん、部屋を貸してくれてありがとうございます!!これで、この2週間、スクールアイドル三昧な生活ができます!!)(せつ菜)
と、スクールアイドルのグッズがたくさん置いていあるエマの部屋だった。これには、エマ、
「せつ菜ちゃん、私の部屋、貸してあげる!!そのかわり、私がいないとダメダメになる果林ちゃんのお世話をお願いね!!」(エマ)
と、せつ菜に果林のお世話を条件に自分の部屋を貸した、という裏話があるのですがね・・・。
とはいえ、果林のお世話を条件にスクールアイドルのグッズがたくさんある部屋に住むことができる、ということもあり、せつ菜は二つ返事でOKをだしたのだが、ものをかたずけずに散らかしぱなっしの果林の部屋を見たせつ菜、
(このままだと果林さんの部屋は汚部屋になってしまいます!!なので、ここはこの私がなんとかしないといけないのです!!)
というわけでして、果林のことを思ってか、せつ菜、果林の部屋を掃除することにしたのである。で、今に至る、というわけである。
ただ、ここにきて、果林、ついついこんなことを考えてしまう。
(う~、このままだとせつ菜に幻滅されてしまう!!私のライバルであるせつ菜なのに、この私がポンコツであることがバレたら・・・、いや、私が自分の部屋を片付けていないこと、朝が弱いとこ、それはバレてしまったけど、それ以上にポンコツであることがせつ菜にバレたら絶対に幻滅してしまう・・・。いや、「私は果林のライバルでありません」、なんて言われてしまう・・・。それなら、ポンコツであること、バレないようにしないと・・・)
そう、もうこれ以上自分がポンコツであることを説案いバレたくない、その思いが果林のなかで目覚めてしまったのだ。それくらい果林のなかでは切羽詰まるものがあったのだ・・・。
だが、人というのは切羽詰まる程失敗するものなのである。そう、果林も例外ではなかった。翌日・・・。
(もうせつ菜に私のダメなところをみせたくない!!だからこそ私1人で起きてみせる!!)
と、せつ菜によって片付けられてすっきりした自分の部屋で眠る果林、であったが、その日は、
「う~、朝・・・」
と、果林、珍しく1人で起きてきた。だが、
「う~、むりゃむりゃ・・・」
と、まだ寝ぼけているのか、そのまま、
パタンッ
と、果林、自室のドアを開けては部屋の外に出てしまってはどこかに消えて・・・、
「って、果林さん、どうしたのですか?まだ寝間着のままじゃないですか!!」(せつ菜)
なんと、果林、せつ菜のいるエマの部屋に寝ぼけたまま、それも、寝間着の姿で突撃してきたのだ。
ただ、突然、エマの部屋に突撃した果林、そこにいるせつ菜に対し一言。
「エマ~、着替えさせて・・・」
なんと、果林、せつ菜をエマと間違えては自分の服を着せてもらおうとしていた・・・というのも、果林、朝が非常に弱いことは前述の通りだが、1人では起きられない、以上に、1人で着替えることもできない、それくらい、朝に非常に弱かったりする。ただ、今はエマが里帰りでいない・・・はずなのに、果林、寝ぼけているのか、せつ菜をエマと間違えては自分の服を着せてもらおうとしている、というわけである。
もちろん、突然の果林の襲来で、せつ菜、
(えっ、果林さん、どうしたのですか・・・。ま、まさか、私を襲いに・・・)
と、ライバル宣言をした果林なので、もしかして、自分になにかしようとしている・・・と身構えてしまったのだが、
「エマ~、着替えさせて・・・」
という果林の言葉に、せつ菜、
(あ~、果林さん、私に自分の服を着せてもらおうとしているのですね!!)
と、すぐに果林の言うことを理解すると、寝ぼけている果林に対し、
「ところで果林さんの服ってどこにあるのですか?」
と尋ねると、果林、
「それは・・・あっち・・・」
と指をさす。すると、そこには「果林BOX」と書かれた大きな箱が置いてあった。せつ菜、その箱を開けると果林の着替え一式が入っていた。せつ菜、その箱から果林の着替えを取り出し、
「はい、果林さん、万歳してください!!」
と言うと、果林、万歳をしてしまう。せつ菜、それを見て、
「それじゃシャツを脱がせます!!」
と言うとそのまま果林の寝間着のシャツを脱がせてしまった。
すると、せつ菜、果林の裸を見てついうっとりしてしまう。
(果林さん、凄いプロモーションをしています・・・、私がついうっとりするくらいに・・・、いや、果林さんのプロモーションに憧れるくらいに凄いです・・・)
そう、せつ菜は果林の整ったプロモーションについ憧れてしまったのだ。せつ菜のプロモーションはそんなに悪くない。だが、モデルをしている果林はせつ菜以上に体のプロモーションがしっかり整っていた。それは果林のたゆまない努力のおかげである。果林はそのプロモーションを維持するためにいつもブドウ味のプロテインを飲んでいた。また、果林の食生活は栄養やカロリー計算を徹底して行っていた。ただ、それだと長く続かないため、羽目を外すときはしっかりと外して好きなものを食べる、その分をどこかで調整する、それくらいの努力をしていたのだ。なので、せつ菜が果林のプロモーションを見て憧れを抱くのも無理ではなかったのだ。
とはいえ、このまま果林を裸の状態にしていてはいけない、ということもあり、せつ菜、すぐに果林に服を着せては食事する場所へと誘導していった、その途中で、果林、ようやく寝ぼけがとれたのか、果林を誘導しているせつ菜に対し、
「あれっ、私、どうして服を来ているのかしら?」
と尋ねると、せつ菜、
「それは、果林さん、寝ぼけて私の部屋に、いや、エマさんの部屋に突入しては「服を着せてください」って言ったからですよ」
と正直に話してしまう。これには、果林、顔を真っ赤にしては、
(えっ、まさか、エマにいつもしていることをせつ菜にさせてしまったわけ・・・。うそでしょ・・・)
と、ライバルであるせつ菜に対してまたもやポンコツのところを見せてしまったことに愕然となってしまった・・・。
だが、果林がせつ菜にポンコツなところをみえたのはこれだけではなかった。その日の夕方、長期休暇のために出された宿題をしているのか、果林、その宿題の本を見て一言。
「う~、この漢字、わからないわ・・・」
その宿題であるが果林が頭を悩ます問題はこれだった。
「次のひらがなを漢字になおしなさい。 おうえん」
この問いの答えは「応援」、なのだが、果林、答えのところに「応えん」と「えん」のところだけひらがなにしてしまったのだ。そう、果林は勉強が大の苦手であった。なので、ひらがなを漢字になおす問題につまずいてしまったのだ。
で、この果林の答え果林の隣にいたせつ菜、
(あっ、果林さんが困っています。ここは私が助けてあげないと・・・)
とつい思ったのか、問いの答えに困っている果林に対し、
「そのひらがなですがこう書きます」
と言っては紙に「応援」と書くとともに、
「でも、果林さん、頭の回転が早いから大丈夫ですよ!!」
と慈しみの言葉を果林に送った・・・。ちなみに、せつ菜は果林とは違い、真面目で向上心もあり、さらにゲーム感覚で勉強を楽しんでいることもあり上位の成績をとっている。
そんな優等生であるせつ菜からの言葉に、果林、
(う~、またもやせつ菜にポンコツなところを見せてしまうとは・・・。う~、恥ずかしい・・・)
と困惑めいたものを感じていた。
そして、ついに極めつけのことが起きてしまった。それは果林が部室棟にある同好会の部室に行こうとしたときのことだった。
「たしか、この方向で間違っていないはず・・・」
と果林は同好会の部室に向かおうと歩いていた・・・のだが、そこに、
「あれっ、果林さん、そちらの方向は部室棟ではなくて特別教室棟ですよ」
と、せつ菜、偶然そこに居合わせては果林にこう言ってきたのだ。これには、果林、
「えっ・・・」
と絶句してしまった・・・。そう、実は、果林、かなりの方向音痴であった。その度合いもただの方向音痴ではあらず、3年間通っている校舎すら迷うくらいである。いや、一切迷いなく目的地とは反対方向に歩いてしまう、地図も読めない、シューティングゲームでもなぜか別の方向に銃を向けてしまう、などなど、世間一般の方向音痴とは次元が違うくらいのものだった。
まぁ、そんなとこもあり、結局のところ、
(このままだと、果林さん、ずっと迷ったままになってしまいます。なら、この私がなんとかしないとです!!)
とせつ菜の心意気もあってかこの日はせつ菜に部室まで連れて行ってもらった果林であった。
が、これには、果林、
(う~、なんでいつもいつもポンコツなところをライバルであるせつ菜に見られるわけ・・・。う~、とても恥ずかしい・・・)
と、恥ずかしい思いをしてしまった・・・。
と、そんな具合に自分のポンコツぶりを自分がライバル視しているせつ菜にみせてしまった果林、
(このままだとせつ菜に私がポンコツすぎると思われて幻滅してしまうに違いない・・・、私は・・・、私は・・・、せつ菜のライバル・・・なのに・・・)
と、このままだライバル視しているせつ菜に幻滅されると思ってか自分のことを卑下しようとしていた。果林にとって「いつもクールなお姉さん」というイメージとはかけ離れたポンコツぶりにはあのせつ菜すら幻滅してしまう、そうなってしまってはライバル宣言した意味がない、いや、せつ菜にライバルすらみられない、そう果林は危惧してしまった。
ただ、悲観している果林であったが、ふとあることに気付く。それは・・・、
(でも、そんなポンコツな私を見せてしまったにも関わらず、せつ菜、なにひとつ嫌がらずに私のために世話をしてくれている・・・)
そう、いくらポンコツな果林であってもせつ菜はなにひとつ嫌がらずに果林の世話をしてくれていたのである。これには、果林、
(本当なら嫌がってもいいのに、せつ菜、それを嫌がらずに私の世話をしてくれている・・・、だから、せつ菜は人が出来ているのかもしれない・・・、私がせつ菜の世話をずっと受けたいと思うくらいに・・・)
と、せつ菜のことを褒めていた・・・のだが、このとき、
ドキッ
となぜかときめいてしまった。これはせつ菜と同じく果林の世話をしているエマのときには感じることができなったものだった。エマの場合、果林からすれば(エマの包容力によるものだが)まるで自分の母親から受けているようなものを感じていた。だが、せつ菜の場合、そのエマのものとは違っていた・・・、まるで、自分のことを愛している人が、いや、ライバルすら超えた真実の愛でもって果林に接している、そんなものを果林は感じていた。そのため、果林、せつ菜にときめくものを感じるとすぐに、
(えっ、なんで私がせつ菜にときめいているわけ・・・)
とさらに困惑してしまった・・・。
一方、せつ菜はというと・・・、
(なんか果林さんを見ているとこれまで私の知らない果林さんが見られる、そんな感じがします・・・)
と接していくうちに「いつもクールなお姉さま」というイメージを持つ果林の意外な一面、いや、ポンコツぶりがみられることに喜びを見出していた。
そんなせつ菜であるがエマの部屋のなかにある書棚から一冊のラノベを取り出す。実は、せつ菜、とても堅物な両親のせいで自宅の自分の部屋にラノベやアニメなどといったものを置くことができなかったのだ。で、生徒会長をしていたときは生徒会室にこっそり持ち込んではそこに隠していた。だが、生徒会長を辞めた今、それすらできなくなったため、同好会の各メンバーに自分のラノベやアニメDVDを預けてもらっていたのである。で、エマの部屋に隠していた1冊のラノベをせつ菜は取り出したのである。。
で、そのラノベを広げたせつ菜、
「あぁ、こんな恋愛もあるのですね・・・」
と言っては考え込んでしまった。そのせつ菜が今読んでいるラノベのタイトルの名は、
「女神さまはみている」
であった。このラノベ、実はある女子高の伝統「スール関係」(指導役の上級生が下級生と疑似的な姉妹関係になること)を取り扱ったラノベである。で、そのなかで、外見はカッコいいのだが中身はダメダメな上級生がしっかりものの下級生とスール関係を結ぶもの、そんなダメダメな上級生に文句の一つを言わずに世話をする下級生自身恋をしてしまう、という展開も繰り広げられていたのだ。これには、せつ菜、
(なんか、今の果林さんと私との関係みたいです・・・)
と、ラノベに出てくるしっかりものの下級生と自分を合わせているのか、それとも、その下級生みたいに上級生である果林のことを思っているのか、ふとこうつぶやいてしまう。
「もし、私が果林さんに恋をしたらこのラノベのような展開があるのでしょうか・・・。私、中川奈々、いや、優木せつ菜、果林さんのこと、ほっとけないです・・・」
そう、このとき、せつ菜は感じていた、せつ菜が読んでいるラノベの下級生みたいな気持ちでいることを・・・。
そんななか、ついに対決の日が決まった。その日は1週間後・・・。ちょうどニジガクの2週間の休暇が終わろうとする日だった。ただ、このことを聞いて、果林とせつ菜、2人のこれに関する捉え方は相反するものだった。せつ菜はというと、
「私は全力で果林さんに挑みます!!私はたしかにニジガク(の同好会)のエースです!!ですが、今回はチャレンジャーとして果林さんに挑みます!!そして、勝ったあかつきには・・・」
と、最後、意味深長な発言をするも、対決の日にむかって自分の持てる力を高めようとしていた。
一方、果林はというと・・・、
(う~、せつ菜にダメダメなところを、ポンコツなところをみせたばかりか、それでも私を世話してくれるせつ菜にときめいてしまった・・・。一体どうすればいいの・・・)
と悩んでいた。そのためにあまり練習に身が入らない状態が続いた。いつもみせているセクシーなダンスは身を潜め、ただのダンス練習になってしまっていた。これには、果林、
(このままだとせつ菜に負けてしまう・・・、ライバル宣言したのに、タダの弱犬になってしまう・・・。なんとかしないと・・・)
と焦るも逆にその焦りがせつ菜の動きを鈍くしてしまった。こうなるとダンスのキレも悪くなる。それにより練習をすればするほど悪くなるといった悪循環に果林は陥ってしまった。
ただ、たとえそうになっても果林は苦しみながらもなにか打つ手段がないか考えようとしていた。果林、曰く、
「このまま苦しんでいては絶対に、せつ菜に、ライバルに、負けてしまう!!なら、ここは1つ、あの手段を・・・、私といい勝負をしたあの人のもとに行こう。そうすればなんとかなるかもしれない・・・」
とのこと。そう、果林はついに決断した、このままではらちが明かない、なら、あの人のもとへ、果林とのダンス対決で甲乙つけがたい、そんな勝負を繰り広げたあの人のもとに行けばなんとかなるのではないか、そう思った果林はその人のもとへ、その少女のもとへ出かけることにした・・・。
一方、せつ菜はというと・・・、
(う~、なんか、果林さん、元気なかったです。一体どうしたのでしょうか・・・)
と果林のことを心配していた。とはいえ、果林との対決の日は近い。そんなこともあり、せつ菜はダンス練習に明け暮れていた。
だが、そんな練習の最中、せつ菜のもとにある少女がやってきた。
「せつ菜さん、こんにちは・・・」
その少女を見たせつ菜はその少女の突然の来訪にびっくりしたのか、
「えっ、一体、どうして、あなたが今ここに・・・」
と言うと、その少女はせつ菜に対しあるお願いをしてきた。
「せつ菜さん、お願いです・・・、私の相談にのってください・・・」
その少女の言葉にせつ菜はこう言ってしまう。
「海未さん、なにかあったのですか・・・」
そう、せつ菜の前に現れた少女、それは、μ'sのメンバーの1人、園田海未、であった・・・。