「私も主人公みたいな恋愛をしてみたいです・・・」
海未はそう言うと呼んでいたラノベを読み返していた。今、海未が読んでいたラノベ、それは、「スイーツパニック」、そして、「女神さまはみている」、であった。この2冊のラノベはだが2冊ともあるテーマを取り扱っていた。そのテーマとは・・・、
「あぁ、何度読んでもとてもいいものです。特にスール関係に悩む主人公の心情はとてもいいものです・・・」(海未)
スール関係・・・、それは指導役の上級生が下級生とのあいだで疑似的な姉妹関係を結ぶことである。現実的にはあまりみられない関係といえるが、「スイーツパニック」「女神さまはみている」においてはその舞台は女子高であり学校の制度としてスール関係を結ぶことが決まっているため、そこに1つの物語が生まれてしまったのである。いや、それ以上に、そのスール関係により1つのラブストーリーが生まれた、といっても過言ではなかった。
とはいえ、そんな恋物語に浮かれている海未であるが、まわりからの海未のイメージは「大和なでしこ」であり、礼儀作法も完璧な少女、よくいって真面目、悪くいえば堅物、そんな少女であった。そんな海未であるが意外にもピュアなところ、というか妄想癖なところがあったりする。たとえば、穂乃果の部屋で妄想しながらの「ラブアローシュート」というアイドルっぽい決めゼリフを口にした、などなど。まぁ、そんなところもあるため、海未の中学時代、ポエムをよく書いていたりしていた。海未からすれば黒歴史ともいえるのだが、それが講じてμ'sの作詞担当になったりしていた。
そんな海未であるがこのラノベを通じてある思いが生まれていた。それは・・・、
「私もこのラノベの主人公みたいな恋がしてみたいです・・・。先輩の誰かとスール関係を結んでその先輩に恋をする、なんていい響きです・・・」
そう、このラノベの主人公みたいに先輩と、というか、3年生とスール関係を通じた恋愛をしてみたい、そんな願望を海未は持っていたのだ。海未はとても真面目である。ただ、その裏では妄想を通じたピュアさがあったりする。そのためか、海未のイメージとはかけ離れているとおもうものの、そんな海未だからこそスール関係による恋愛に興味をもったのかもしれない。
とはいえ、そのラノベを海未が読み進めていくうちに、海未、
「なぜ、ここでお姉さまは主人公をふるのですか!?ここは結ばれないと・・・」
とラノベの展開に一喜一憂していた。そんなときだった。突然、海未のスマホから、
You Gut Mail!!
という着信音が聞こえてきた。その音に、海未、
「あっ、ことりからです!!」
と、ことりからメールが届いたことを知ると自分のスマホを撮りそのメールを開くと、
バタンッ!!
と、海未、自分のスマホを落としてしまった。そして、海未、一言。
「穂乃果が、穂乃果が、大ケガをしてしまいました・・・」
そのスマホの画面にはこう表示されていた。
「穂乃果ちゃんが、穂乃果ちゃんが、大ケガで入院したよ・・・」
「う~、ことりから穂乃果が大ケガしたと連絡があったから病院まで急いできましたが、そこまで大ケガというわけでなくてよかったです・・・」
と、海未、穂乃果が入院している病院に急いで行っては穂乃果の見舞いに行ったのだが、予見したほどひどい大ケガではなかったのでほっとした。
なのだが、一瞬のうちに海未は鬼の形相になってしまう。なぜなら・・・、
「しかし、穂乃果の大ケガの原因、それが、学校下の階段の手すりにのって下まで滑ったからとは・・・、後先のことを考えずに行動したのが悪いのです!!」
そう、穂乃果の大ケガの原因、それは穂乃果の行動によるものだった。穂乃果はよく学校の校門下にある階段の手すりにのっては滑っていた。だが、今日は運悪く雨が降っていたためにその手すりは濡れていた。それを穂乃果は見落としてはいつもの通り手すりにのって下まで滑ってしまったのである。で、いつもなら手ブレーキでブレーキをかけてスピードを落とすもののその手すりが濡れていたためにブレーキが効かず、そのまま穂乃果は下まで滑っては放り出されてしまい下の道路に激突・・・という流れであった。まぁ、これは穂乃果の完全な不注意が原因なので海未が怒るのも無理ではなかった。
ただ、ここで海未に1つの大きな問題が起きてしまう。それは・・・、
「ですが、今はそのことよりも大事なことがあります。穂乃果が入院しているあいだ、この私が生徒会長代理として活動していかないといけないことです!!」(海未)
おす、穂乃果が入院しているあいだ、海未が生徒会長代理として生徒会業務をしていかないといけない、ということであった。実は穂乃果は海未たちが通っている高校、音ノ木坂の生徒会長だった。このまえ、音ノ木坂で生徒会長選挙があった。そこで全生徒のほとんどの票を集めて穂乃果が生徒会長になったのである。なので、その前任者の絵里から生徒会業務を引き継いだ矢先、その穂乃果が大ケガをした、というわけである。では、なぜ、それが海未と関係あるのか。それは、海未はその穂乃果から副会長を任されたからであった。海未は小さいときから穂乃果とことりと一緒に遊んでいた。そのなかでリーダー格の穂乃果に対し海未は参謀役、ナンバー2の立ち位置にいることが多かった。その流れもあり、生徒会長になった穂乃果から直々に副会長を海未は打診され、海未も穂乃果の言うことだから、といった理由で二つ返事で副会長就任を承諾していたのだ。だが、
そのトップである穂乃果が大ケガで入院した
→そのあいだは学校を休まないといけない
→生徒会長である穂乃果が不在
→副会長、ナンバー2である海未が穂乃果の代わりに生徒会長代理として生徒会と引っ張っていかないといけない
というわけである。
ただ、それが海未にとって悩みの種であった。だって・・・、
「私、これまで穂乃果みたいにリーダーみたいなこと、みんなを引っ張っていくこと、なんて経験したことがありません。本当に大丈夫でしょうか・・・」(海未)
そう、これまではリーダー的なことは穂乃果がやってきた、対して、海未は参謀的地位にいることが多かった。そのため、海未自身、穂乃果みたいにリーダー的なことをした経験が皆無だった。それがのちにある事件が起こる原因ともなるのだが、それはほっといて、これまでリーダー的なことをしたことが海未にはないため、海未は本当に生徒会長代理としてやっていけるのか心配になっていたのである。
「私、あんまり自信がありません・・・、穂乃果の代わりに生徒会長代理を務めるなんて・・・」
これまでやったことがないリーダー、生徒会長代理をやること、自体初めての経験、そう考えただけで海未は自信をなくしてしまう。これまでは穂乃果がみんなを引っ張ってきた。だが、そんな穂乃果の代わりに今度は海未が生徒会長代理として短期間とはいえ音ノ木坂の生徒たちを引っ張っていかないといけないのだ。それに対する重責、いや、それに対する重い想い責任は真面目が取柄の海未にとってかなりのプレッシャーとなっていた。(対して、穂乃果の場合は穂乃果が持つ楽天さも相まってそんなプレッシャーにはなっていなかったかもしれません。一方、海未は真面目に物事を考えてしまうため、普通の人が思っている以上にそれがプレッシャーになっているのだ)そのため、海未には珍しく弱気になっていた。
「本当に大丈夫でしょうか。心配で・・・心配で・・・」
と、時間が経つごとにどんどん弱気になっていく海未・・・、そんなときだった。突然、海未のいる生徒会室のドアが
バタンッ!!
と大きく開くといきなり大声が生徒会室に響き渡った。
「海未、しっかりしなさい!!穂乃果がいない今海未しか生徒会長代理は勤まらないなずです!!」
この大声に、海未、
「えっ、誰ですか!?」
とびっくりして声がするほうを向く。
すると、海未、その少女の名を叫んでしまう。
「絵里・・・。一体、どうしてここに・・・」
そう、海未の前に現れたのは前生徒会長で3年、さらに、μ'sのメンバーの1人である絢瀬絵里であった。その絵里は海未に対しこう叫ぶ。
「海未、あなたはμ'sメンバーのなかで一番真面目でどんなときも冷静に物事に対処してきました。それはリーダーとしてある意味必要なことです。それなのに、なぜ、そこでくよくよと悩んでいるのですか?」
たしかに絵里の言う通りである。穂乃果みたいに楽天的であるものの「自分がみんなを引っ張っていく」という勢いのままに突き進むリーダーもいるが、その一方で、海未みたいに真面目にかつ冷静に物事を判断して対処・行動していくのもリーダーとして必要なことだったりするし、それこそ海未の長所だったりする。ただ、今の海未はそんな長所のことすら忘れ、「自分にはできない」とただただ悲しんでいる、としか見えなくもなかった。
そんな絵里から指摘を受けた海未はこう反応してしまう。
「しかし、私は穂乃果みたいにリーダーとしての経験がありません。それなのに、私にいきなりリーダーなんて無理なのです!!」
だが、そんな海未に対し、絵里、こう訴える。
「海未、しっかりしなさい!!穂乃果がいない今、その次に生徒会長をするのは副会長である海未なのです!!それに、そこまで海未にリーダーとしての素質がないというわけではありません!!むしろ、リーダーとしての素質があります!!自信をもって!!」
この絵里の言葉に、海未、
「絵里・・・、本当にそうでしょうか・・・」
と絵里に尋ねると、絵里、そんな海未に対し、
「前生徒会長である私が保障する!!」
と断言した。
この絵里の言葉に、海未、
「たしかに絵里の言うことでしたら・・・」
と少し自信を取り戻すもついつい弱音を吐いてしまう。
「でも、私はこれまでリーダーをしたことがありません。それでも大丈夫でしょうか・・・」
そんな海未に対し絵里はこう発言する。
「だからこそ、この私が海未の目の前に現れたのです!!」
この絵里の言葉に、海未、
「絵里、それってどういうことでしょうか・・・」
と逆に尋ねると絵里はその言葉に真意を話してくれた。
「海未はたしかにこれまでリーダーとしての経験はしていません。ですが、その海未に対してこの私が前生徒会長としてフォローするし、リーダーとして必要なことは私が海未に教えるつもりです!!」
この絵里の言葉に、海未、
「私をフォローしてくれるのですか、絵里・・・」
ともう一度尋ねると絵里は強い口調でこう発言した。
「だからこそ、この私がここに来たのです!!」
この絵里の力強い言葉に、海未、
「絵里、ありがとうございます!!」
と、絵里にお礼を言った。
(あっ、ちなみに、絵里が海未のフォローに入ることを絵里にお願いしたのは穂乃果と海未の親友であり生徒会の書記をしていたことりであった。ことりは悩んでいる海未を見かねて前生徒会長である絵里にコンタクトをとり海未のお手伝いをしてほしいと絵里に頼んだのである。それくらいことりは穂乃果や海未のことを第一に考えている本当に心優しい少女であった・・・)
そして、海未は絵里の厚いサポートのもと、たった2週間ではあるが生徒会長代理として音ノ木坂のみんなを引っ張っていこうとしていた。たとえば、
「絵里、この資料はこう作ろうと思いますがどうでしょうか」
と絵里にアドバイスを求めると、絵里、
「海未、このままだとページ数が多すぎて要点がみえなくなります。もう少し要点をまとめなさい!!」
と強く注意する。
このように、資料作成1つにしても絵里は海未に厳しく指導している・・・というよりも絵里の海未に対する指導の厳しさは半端ないものだった。これについては穂乃果に対してのものとは180度違うようにみえるのだが、これも絵里からしたら「愛のムチ」・・・というか海未に対する期待のあらわれ、だったのかもしれなかった。なぜなら・・・、
(海未は私と同じで真面目で融通が効かない子。なら、私は海未に対して厳しく指導するの1番だと思います。だって、そうした方が海未の成長を促すことができるから・・・)(絵里)
そう、海未は絵里と同じく真面目で融通が効かないところがあった。それならば、厳しく接することで海未の成長を促すことができる、そう絵里は考えたのである。その考え方はどちらかというと体育会系の考えに近いものだが、海未も弓道部で先輩たちの指導を受けていたのでその点については海未もあまり深く考えていなかったのかもしれない、むしろ、海未からすれば絵里からの厳しい指導は絵里からの強い期待のあらわれだと思っていたかもしれない。
ところが、絵里からの厳しい指導に対して、海未、別の意味でそれを楽しんでいた。だって・・・、
(絵里からの厳しい指導、これこそ、私が求めていたシチュエーション、です!!)(海未)
そう、絵里の厳しい指導を海未自信楽しんでいたのである。だって・・・、
(私が求めていたもの、それは、指導役であるお姉さまが私にきつく指導してくれるシチュエーション、これこそ、私が求めていた関係、スール関係、です!!)(海未)
そう、海未は絵里との疑似的なスール関係を楽しんでいたのである。それは、指導役である絵里から妹役である海未に厳しく指導している、そんなものだった。海未にとって日舞の家元に育ち、礼儀作法も完璧にこなすくらい両親から厳しいしつけを受けてきた。ただ、それは両親が娘である海未にどこにいっても恥ずかしくないように厳しくしつけしたためのものだった。絵里みたいに海未本人の成長のために厳しく指導するものだはなかった。一方、絵里は海未本人の成長のために厳しく指導していることは海未本人もわかっていた。わかっていたからこそ、海未はその絵里の厳しい指導に耐えることができただけではなく、そんな絵里のために頑張ろうとしていた。そのため、絵里の厳しい指導に対して、海未、
(絵里は私のために厳しく指導してくれている。なら、私もその期待に答えないと。だって、私にとって今の絵里との関係は、一時的とはいえ、スール関係、ともいえます。だからこそ、絵里の期待に応えるためにも、私、頑張ります!!)
と、自分を鼓舞するがごとく、いや、海未にとってその疑似的なスール関係のためにも必死になって頑張ろうとしていた。
そんな海未の頑張りを見てか、絵里も絵里で、
(私の教えを海未はどんどん吸収しています。私にとってとても嬉しい限りです!!なら、私も海未のためにもっといろんなことを教えたいです!!)
と、どんどん自分の教えを吸収している海未に対し自分がもつものすべてを海未に伝えようとしていた。いや、それどころか、
(なんかこうしているとこの関係がずっと続いてほしいと思えてきます・・・)
と、絵里、今の海未との関係がずっと続いてほしい、そう思えるようになってきた。
いや、それは絵里だけではなかった。海未もそれに近いような、いや、一種のある気持ちが芽生えてしまう。ある日、海未に対し絵里はこんなことを言ってきた。
「海未、あともう少しでこの資料は完成します。もう少し頑張りましょう」
この絵里の言葉に、海未、
「わかりました、絵里!!」
と元気よく返事した・・・と同時に海未はこんなことを考えていた。
(あの絵里が私に「頑張れ」と言ってきました。それほど私に対して期待をしているということですね。その言葉を聞いただけでジーンとしてきました)
その絵里の言葉は海未にとってとてもいい響きだったのかもしれない。いや、それ以上に、
(私は絵里から期待されています。そのために絵里は私に厳しい指導をしてくれます。それって私にとってとても嬉しいことです。だからこそ、私は絵里からの愛情を深く受け止めてないといけないのです!!)
と、なぜか絵里からの厳しい指導を自分に対する深い愛情だと受け取ってしまったのだ・・・。
そして、そんな絵里からの深い愛情に、海未、ついにある思いに達してしまう。
(私、そんな絵里に対して、なんか惚れてしまいました。厳しい指導という名の愛情を私に施してくれる絵里に、私、恋をしたのかもしれません・・・)
と、こんな具合に、一方的とはいえ、スール関係を結んだ、厳しい指導をしてくれる絵里に惚れてしまった海未、対して、自分の厳しい指導を受けては自分の期待以上に成長してくれている海未をみて「この時間がもっと続いてほしい」と思えるようになった絵里、2人とも、心の中ではお互いのことが気になるようになったのだが、ここで1つの大きな事件が起きてしまう。それはある2つの部活のあいだで起こったある揉め事が原因だった。
「海未、ここはこうしなさい!!」
と絵里はある資料を見ては海未に指導をすると海未も、
「はい、そうですね」
と絵里の言うことに同意していた・・・とき、突然、
パカッ
という生徒会室のドアが開く音がしたかと思おうとそのドアから2人の部長が生徒会長代理である海未のもとに近づいては2人揃って海未にこう訴えてきた。
「「園田(海未)生徒会長代理、グランド利用についてお話があります!!」」
これには、海未、
「2人とも落ち着てください!!一体どうしたのですか?」
と2人の部長を落ち着かせようとする。
すると、2人の部長のうちの1人が大声でこう訴えてきた。
「私は野球部の部長です!!園田生徒会長代理、野球部のグランド占有を認めてください!!」
だが、この野球部の部長の訴えに対し、もう一人の方も黙ってはいなかった。
「私はサッカー部の部長ですが野球部の部長の訴えなんて聞かないでください!!それよりも、サッカー部の方にグランドの占有を認めてください!!」
この2人の訴えに、海未、
「2人とも落ち着きなさい!!」
と一喝すると2人ともなにか言いたそうにするも黙ってしまった。
そして、海未は2人からそれぞれの訴えを聞いてみる。2人の訴えを聞いてみるとなにのことで揉めているのか海未にはすぐにわかった。それはグランドの占有についてであった。実は、音ノ木坂、都心の一等地に学校があるため、グランド自体そんなに大きくなかった、というか、1つの部活の練習をするくらいの広さしかなかった。そのため、野球部、サッカー部、ともにグランドの占有を生徒会長代理である海未に訴えてきたのである。2つの部活ともグランドを占有すればそれだけ全体的な練習ができる、つまり、上位の成績を残すことができるかもしれない、というわけである。ただ、小さなグランドでは1つの部活が練習することしかできない、なので、2つの部活ともグランドの占有を訴えてきた、というわけである。
ただ、海未からすれば、
(2人の言い分は理解できます。しかし、私としては穏便に解決できればと思っております)
と、2人の言い分は理解しつつも平和的に穏便に解決したい、そう思っていた。
そんなわけで、海未は毎日、野球部、サッカー部、両方を集めては数度にわたり話し合いをするも、
(野球部、サッカー部、ともに自分たちの言い分をただ言うだけです・・・。このままいけば話し合いは平行線のままです・・・)
と海未が困り果てるほど2つの部の話し合いは平行線をたどるだけだった。
そして、野球部とサッカー部がグランド占有について話し合ってから数日後、ついに2つの部の部長はしびれを切らしてしまった。
「もう我慢できません!!園田生徒会長代理、あなたが決めてください!!」(野球部部長)
「そうです!!生徒会長代理、早く決めてください!!」(サッカー部部長)
と、2つの部の部長は生徒会長代理である海未に対し早く決めてもらうように迫ってきたのだ。これには、海未、
(たしかにそうですけど・・・、お互いにしこりが残らないようにするにはどうすればいいのですか・・・)
と困り果ててしまう。海未としてはできる限りこの問題にしこりを残したくないのだが、どちらか一方の言い分を認めてしまうともう一方の方にしこりが残ってしまう、という思いが強かった。だって、グランドを1つの部活が占有するとなれば選ばなかったもう一つの部活はどこか練習できるところを探さない限り全体的な練習すらできなくなるのだから。いや、それ以上に、海未自身1人で重要なことを決断するという経験が皆無だった。というのも、これまでは重要なことには、穂乃果、ことり、海未のグループのリーダーである穂乃果が決めていたか3人で話し合って決めてきた。ただ、それに関しても、人の、いや、部みたいな大きなグループの命運を左右するものではなかったため、海未としては重要なことに関して決断することに関してはこれが初めてであった。そのため、海未としては戸惑いを感じていた。また、そんな海未ではあったが、野球部を選ぶべきか、それとも、サッカー部を選ぶべきか、どちらか一方を選ばないといけない、そんなゼロサムゲームみたいな考えに海未は固執してしまっていた。海未にとって初めての経験であったことも影響しているのもあるのだが、海未はとても真面目であり物事の判断も0か1かという判断をしないといけない、という思いが強かった。ただ、それだとどちらか一方が大きな痛手を被ることも重々承知している海未にとってその思いこそ1番の障害だったのかもしれない。
と、ここで海未はあることを考えてしまう。
(そうです!!ここは前生徒会長の絵里に決めてもらいましょう。それならどちらとも絵里の言うことに従ってくれるはずです!!)(海未)
そう、絵里にすべてを決めてもらおうと海未は考えたのである。これまで重要なことを決断するという経験をしたことがない海未に対し、絵里はこれまで生徒会長としていくつもの重要な案件をいくつも決めてきた経験がある、ならば、その経験がある絵里に決めてもらえばいいのでは、と、海未はそう判断したのである。
そういうわけでして、海未、自分の隣にいた絵里に対しこうお願いした。
「絵里、大変申し訳ないのですが、この案件、前生徒会長である絵里からなにかアドバイスをしてもらいたいのですが・・・」
と、絵里に決めて・・・、いや、アドバイスをしてもらおうとするも、絵里、海未の考えとは異なった反応をしてしまった。
「海未、これは、海未たち、伊万お生徒会が決める案件です。なので、私みたいな一生徒がそう簡単にアドバイスなんて送れません。なので、海未、あなたがそれを決断してください」
たしかに絵里の言う通りである。この案件については現生徒会である海未のもとに届いたものである。なので、前生徒会長とはいえ、今は一生徒の身分である絵里が勝手に決めていいものではなかった。また、この案件いついては生徒会長代理である海未が公平な判断のもとで決めるべきことであり、一生徒である絵里がアドバイスすることなんてできない、そう絵里は考えていたのである。まぁ、そんなことを重々承知している絵里だったので絵里は海未に対し突き放すような対応をしないといけなかったのである。
だが、それが海未にとってかなりのショックとなった。
(えっ、私を厳しく指導してくれる絵里から私を突き放そうとするような言葉を言われるなんて・・・)
と、海未、絵里の対応にショックを受ける。これまでは(スール関係の)姉のように厳しく指導を絵里は海未にしてきた。そして、今回もそれを海未は期待していた。だが、そんな絵里から出てきた言葉は海未にとって突き放されたものだと感じられた。これも厳しい指導の1つだと海未は思えくもなかったが、海未からしたら自分が期待していたアドバイスすらもらえなかったことのほうがショックが大きかったようだ。そのためか、海未、絵里に対しこう反論してしまう。
「絵里、あなたは私が困っているのに私になにかアドバイスをしてくれないのですか?そんなに薄情な人だったのですか?」
これには、絵里、こう反論する。
「海未、あなたが今抱えている案件はあなたしか決断できないことです!!それなのに、一生徒である私の意見を鵜呑みにしてしまいそうです!!だからこそ、私は海未に対しアドバイスをしなかったのです!!」
だが、これが海未の癪に触ったようだ。海未、絵里に対し大声で、
「絵里、私は・・・、私は・・・、絵里のこと、本当のお姉さまとして私に対し厳しい指導をしてくれていたと思っていました。それなのに、今となって私のことを助けてくれないなんて・・・、
そんな絵里なんてもう知りません!!絵里のわからずや!!」
と叫んでは生徒会室を飛び出してしまった・・・。
その後、野球部とサッカー部の部長2人はあっけにとられてしまうも、生徒会長代理である海未がいなくなった、ということで仕方なく生徒会室をあとにした。そして、生徒会室には絵里だけが残ってしまった。
その絵里であったが海未の対応について、絵里、
(えっ、私のことを「お姉さま」と海未は言っていたよね。それって・・・、もしかして・・・、海未、私のこと、かなり頼っていた、ということだったわけね・・・。そんな海未の気持ちなんて私は気にせずに正論を海未にぶつけてしまいました・・・。それによって海未を苦しめるなんて・・・、私としては「バカなことをしてしまった」というわけですね・・・)
と自分の行動にある種の苦しみを感じていた・・・。
そして、外に飛び出した海未であったが時間が経ったためか次第に冷静になるとすぐに、
(でも、絵里の言う通りかもしれません。絵里は前生徒会長とはいえ今は一生徒でしかありません。その絵里の意見を鵜呑みにしては公平な判断ができないと言われても仕方ありません・・・)
と絵里の言うことに理解を示すようになった。
だが、それでも、この案件については、
(とはいえ、野球部とサッカー部の案件については私1人で決断しようにも「どちらにもしこりが残らないようにしたい」という思いが強くて簡単に決めることができません。どうしたらいいのでしょうか・・・)
と、かなり悩んでいる様子。海未の決断によってすべてが決まってしまう、それはどちらか一方が大きな痛手を負うことは必須になってしまう、それが嫌だから決められずにいる、そのことが未だに海未を苦しめていた。
そんななか、海未は1つの細い希望を見つける。
(あっ、そうです!!たしか私の親友の1人に絵里と同じく前生徒会長である子がいました!!他校の生徒ですがなにかアドバイスをもらえるかもしれません!!)
そう、海未の親友の1人に絵里と同じく前生徒会長だった子がいたのだ。その子は他校の生徒ではあるが第三者としてなにかアドバイスをもらうことができないか、と海未はそうにらんだのである。
そして、海未は、
「ならば、その親友のもとに行きましょう!!」
と叫ぶとその親友のいる場所へと向かった・・・。
一方、そのころ、絵里はというと・・・、
(私の言動のせいで海未を傷つけてしまった・・・。これからどう海未と接すればいいの・・・)
と、海未に対してこれから先どう接すればいいか悩んでいた・・・そのときだった。突然、絵里のもとにある少女が現れてはその少女は絵里に挨拶をした。
「絵里、こんにちは・・・」
その少女を見て絵里はこう言った。
「果林、どうしたのですか?」
そう、絵里のもとに現れたのは絵里たちμ'sと同じスクールアイドル、虹ヶ咲スクールアイドル同好会、通称ニジガクの朝香果林(3年生)であった。
その果林であるが突然絵里に対しあるお願いをした。
「絵里、お願いがあるの。私にダンスを教えてくれないかしら」
その果林の言葉に、絵里、
「えっ、私に果林のダンスの講師を・・・」
とびっくりしてしまった・・・。