せつ菜は海未が来た理由を尋ねると海未は自分の身に起きたことを話し始めた。μ'sのリーダーで海未と同じ2年の、さらに海未とは幼馴染、音ノ木坂の生徒会長である穂乃果が大ケガをして入院したため、海未がその生徒会長の代理をしていること、ただ、これまでリーダーとしての経験が海未にはないために前の生徒会長でμ'sのメンバーの1人である絵里がその海未の指導をすることになったこと、最初のうちは絵里の厳しい指導に海未は真面目に受けていてとてもうまくいっていたこと、そして、そのなかで、狭いグランド(1つの部活が全体練習できるくらいの広さしかない)の占有をめぐって野球部とサッカー部が言い争いになり話し合いを何度もしても平行線のままだったので最終的には生徒会長代理である海未の判断になったのだが、海未自身、互いにしこりを残さないようにしたいと思っているせいか、野球部とサッカー部のどちらかを選ぶことができず、絵里にアドバイスを求めようとするもその絵里から突き放されてしまい仕方なくニジガクの前生徒会長であるせつ菜にアドバイスをもらいに来た、とのことも・・・。このときのせつ菜は海未の言葉を聞きながらもうなずいていた。
そして、海未はせつ菜に対し困惑した素振りをしながらこう告げた。
「せつ菜、なにも決めることができない私に対してどうかアドバイスをください!!私、一体、どうすれば、野球部とサッカー部、どちらにもしこりを残さないようにできるでしょうか?」
この海未の必死の問いかけに、せつ菜、こう思ってしまう。
(海未さん、これはある種のジレンマに陥っていますね、リーダーとしては必ず通る道に・・・)
そう、リーダーというのはある種の決断をするとき、なにかの犠牲を伴うことも考えないといけないのだ。だが、その犠牲についてはリーダーは詫びをいれつつもときには残虐とも言われようとも目をつむるしかできないときもあるのだ。リーダーの決断とはそれくらい苦しいものであった。だが、それを嫌がって決断を先延ばしにした場合、場合によってはその犠牲以上の犠牲を伴うことだってある。だからこそ、リーダーの判断、決断というのは、そのとき、そのときで必要だったりするのだ。だが、海未はそれすら避けたがっている。そのために、海未自身、その判断、決断にいまだに苦しんでいるだけでなく、その先伸ばしによってさらに問題を悪化させているかもしれないのだ。
そのことを踏まえた上でせつ菜は海未に対しこう告げた。
「海未さんが苦しんでいることはわかりました」
このせつ菜の言葉に、海未、
「それでは、この私になにかアドバイスを・・・」
と言うと、せつ菜、意外な言葉を言う。
「ですが、海未さん、私も絵里さんと同じく、この案件に対してアドバイスを送ることができません・・・」
このときのせつ菜はこの思いでいっぱいだった。
(たしかに、私は海未さんになにかアドバイスを送りたいです。ですが、部外者でありその案件についてあまり知らない私が関わるのはお門違いでしょう・・・)
そう、せつ菜としてはその案件で苦しむ海未を助けたいと思っていた。が、その案件は音ノ木坂の案件である。まったく違う学校(ニジガク)に通うせつ菜にとってその案件をどうこう言うのは、さらに、その案件について海未からあらましを聞いただけなので詳しいことなんて知らないのにその案件についてアドバイスを送るというのはたしかにお門違いと言えざるをえない。そのため、きっぱりと海未にアドバイスを送るのをせつ菜は辞めにしたのである。
一方、そんなせつ菜の答えに、海未、
(えっ、それでは、いったい、どうすればいいのですか・・・。私、どう動けばいいのかわかりません・・・)
と、一瞬絶望を覚えてしまう。絵里と同じ前生徒会長のせつ菜ならなにかいいアドバイスをもらうことができる、そう期待していた海未だったが、絵里と同じ答え、アドバイスをもらうことができなかった、そのことに海未は愕然となったからだった。
だが、そんな海未に対し、せつ菜、ある言葉を送る。
「ただ、生徒会の先輩としてはなにかアドバイスを送ることができます」
そのせつ菜の言葉に、海未、
「えっ、それって一体どのようなアドバイスなのでしょうか」
となにか期待を含ませながらせつ菜に迫ると、せつ菜、こうアドバイスした。
「これはこの案件へのアドバイスというか、リーダー全体として言えることなのですが、リーダーとしての判断、決断に関しては絶対に「0か1か」という答えしかないというわけではないのです。その答えには、2、もしくは、0.5、があってもいいと思えるのです」
このせつ菜の答えに、海未、
「えっ、それって・・・」
とその言葉の真意をせつ菜に尋ねると、せつ菜、こう解説した。
「海未さんは「0か1か」のどちらしか決めることができないと思っているみたいでした。ですが、答えは「0か1か」だけではありません。お互いともに特になるような答えだってあるはずです!!海未さんはそれに気づいていなかったのかもしれません」
たしかにせつ菜の言う通りかもしれない。リーダーが下す判断、決断は「0か1か」しか認められていない、というわけではない。2や0.5だってあってもいいのだ。もし、2つのグループのうちどちらか一方に絶対に有利な判断を下した場合、もう一方の方は自分たちに有利な判断をしなかったことをリーダーに対して恨むことだろう。そうなってしまうと海未の心配している通りにしこりが残ってしまう。だが、どちらとも有利にかつリスクもどちらとも同じであること、妥協点をみつけることができればお互いともにそれほどしこりを残すことなくできるはずである。その点をせつ菜は海未に伝えたのである。
そんなせつ菜のアドバイスもあり、海未、まるで目からうろこのごとく、
「あっ、たしかにその通りかもしれません。だって穂乃果がそうでしたから」
と穂乃果のことを思いだしては納得していた。穂乃果の場合、自分では知らないうちにそのような考え方である問題に対して判断していたのである。まぁ、穂乃果本人は自分だけでなくまわりがどう楽しむことができるのか知らずのうちにそう考えてから行動するのですがね・・・。
とはいえ、これで海未の悩みも解決・・・したのか、海未、せつ菜に対し、
「とてもいいアドバイスだと思います。せつ菜、本当にありがとうございます」
と感謝の言葉を告げるとせつ菜も、
「いやいや、私自身、海未さんの力になれたら嬉しい限りです」
と照れながら言った。
そんなせつ菜であったが、いきなり、真面目な顔をして海未にこう告げた。
「海未さん、突然なのですが、私の悩みを聞いてください」
このせつ菜の言葉に、海未、
「せつ菜、私の悩みを解決してくれたよしみです。聞いてみましょう」
とこちらも真面目に聞く態勢をとると、せつ菜、自分の悩みを話し始めた。
「実は、私、果林さんに恋したかもしれないのです・・・」
そのせつ菜の言葉に、海未、
「それってどういうことですか」
と逆に尋ねてみるとせつ菜はそれについて話してくれた。
「実は、今度、果林さんとダンス対決をするのですが、その果林さんを世話することがありました。そのなかで私の知らない果林さんをどんどん見つけていったのです。そんな果林さんを見て、私、「もっと果林さんの世話をしていきたい」と思うようになりました、このラノベみたいに・・・」
そして、せつ菜は海未の前に1冊のラノベを出してきた。それを見て、海未、はっとする。
「そ、それって、「女神さまはみている」ではありませんか!!」
そう、海未は知っていた、そのラノベが「女神さまはみている」であることを・・・。このラノベを見て海未は子どものように言い始めた。
「そのラノベ、私、よく読んでいます!!しっかりもののお姉さま(上級生)から厳しく指導を受ける妹(下級生)、それって絵里と私の関係とそっくりです!!あぁ、私もそんな関係を築きたいです!!」
この海未の言葉にせつ菜も、
「たしかにその関係には私も憧れてしまいます・・・」
と呼応してしまうもすぐに自分のことに話を戻す。
「そして、そのスール関係を結んだ姉さま、妹のなかに私と果林との関係に近い姉妹がいたのです。私はその妹に似ている、というか、果林さんとそれに近い関係、展開になればと思うようになったのです・・・」
そして、せつ菜がそんな姉妹関係、いや、スール関係になりたい理由を語り始めた。
「私は一人っ子でした。だから、小さいときから姉妹というものに憧れをもっていました。そんななか、私の好きなラノベのなかにスール関係を結んで疑似的な関係を結ぶものがあったのです。私はそれによってスール関係のことを知りました。そして、私はその関係を誰かと結びたいと思うようになりました。ですが、私の両親はかなりの堅物でそんなことができずにいました。そんななか、私は寮で果林さんと一緒に住む機会があり、そこで果林さんの世話をしていくうちに果林さんのことがほっとけなくなっただけでなく、私、そんな果林さんに恋をしたのです・・・」
そう、せつ菜は果林に恋をしたのである。せつ菜はもともと一人っ子であった。そのために姉妹というものに憧れをもっていた。そのなかでせつ菜の好きなラノベでスール関係のことを知るとそんなスール関係な疑似的な姉妹を誰かと結びたいと思うようになったのである。が、前述の通り、せつ菜の両親は堅物、厳格な方であり、そんな関係すらせつ菜は結ばれることができなかった。だが、偶然にも果林のいる寮に短期間とはいえ一緒に住むようになると偶然にも果林の世話をせつ菜はするようになったのである。そして、そうしていくうちにいつしか「女神さまはみている」のなかに登場するある姉妹みたいな展開をせつ菜が求めるように、いや、果林に恋するようになったのである。
そんなせつ菜の言葉に、海未、
「せつ菜さんの思い、私、わかります!!私も絵里とはそんな展開になりたいと思っていますから!!」
と自分の思いを伝えるとすぐに、
「ところで、あの「クールでセクシーな果林のどこにひかれたのでしょうか」
とせつ菜に果林にひかれた理由を尋ねてみる。
すると、せつ菜、すぐにこう答えた。
「それは果林さんが意外とポンコツなところです!!」
これには、海未、
「えっ、あの果林が・・・。信じられません・・・」
とびっくりした風に言うとせつ菜はこう言ってしまう。
「たしかにクールでセクシーに見えて意外なポンコツなのです、果林さんは!!」
そして、果林のポンコツなところをせつ菜はあげていった。
「まず、果林さんは朝が非常に弱い!!朝1人で起きることができないのです!!それに、なぜか1人で着替えることすら出来ずに私に着替えさせようとするのです!!」
そんなポンコツ話を聞いてからなのか、今度は海未が絵里について話し始める。
「それだったら絵里もしっかりしているようにみえて結構ポンコツなところがあるのです!!」
これには、せつ菜、
「えっ、あのしっかりものの絵里さんがですが!!」
と驚いた表情をみせると海未が絵里のポンコツ話を始めた。
「実は、この前、合宿をしたのですが、絵里、暗いところが苦手みたいでして、あたりが真っ暗になると明るいテントの方に逃げていったみたいです」
この絵里のポンコツ話に、せつ菜、
「へぇ~、しっかりものの絵里さんからは信じられないエピソードですね」
と驚くとすぐに、
「でも、果林さんも負けていません」
と言ってはさらなる果林のポンコツ話を出してきてしまった。
「まずは果林さんは頭の回転は早いのですが勉強が苦手ですね。この前も「おうえん」という漢字を書くことができませんでした。それに、部屋の片付けが苦手みたいで私がその部屋の片付けをしました。それに、かなりの方向音痴!!今なお学校で迷うことがあります!!」
と、ここで海未も負けじと絵里のポンコツの話を始める。
「それなら絵里も負けていません!!小さいときにおもちゃのチョコレートを食べようとしていました。極めつけはこちらです!!絵里がμ'sに加入したあと、そのスクールアイドル活動を知った教師たちから散々なことを言われてしまったのです。そのとき、教師たちにある自分のイメージが壊れたことを知りショックを受けた絵里は教師たちにこう言ったのです、「エリチカ、おうちに帰る!!」。この話を聞いて、私、絵里も人知れず苦労しているのだとわかりました」
これには、せつ菜、
「それって絵里さんらしいエピソードですね!!」
と妙に納得の表情をすると、そのまま、すぐに、
「dめお、果林さんも負けていません!!」
と果林のポンコツ話をさらにしだした。こうして、せつ菜と海未は果林と絵里の話をずっとすることとなった・・・。
そして、1時間後、話は尽きないものの時間が経ったということで、せつ菜、
「うわ~、果林さんと絵里さんの話をしているだけで1時間も経ってしまいました!!」
と、果林と絵里の話だけで1時間経ったことに気付くとともに、
「でも、それくらい、私たちは2人のことを好きなんですね!!」
と言うと海未も、
「たしかにそうかもしれませんね」
と、自分も絵里のことが好きであることを自覚した。
そんな海未に対しせつ菜はこう語った。
「私たちは「女神さまはみている」のキャラクターに似ているのかもしれません。私と果林さんは外見はカッコいいけど中身はダメダメな姉としっかりものの妹の姉妹、海未さんと絵里さんは厳しく指導する姉とその指導に必死についていこうとする妹の姉妹。タイプは違いますが4人ともこのラノベに出てくるキャラにそっくりです。いや、それ以上に、私たち、互いに愛し合っているのかもしれません!!」
そのせつ菜の言葉に、海未、
「たしかにその通りかもしれません」
と自分の気持ちを正直に認めた。
そして、せつ菜は海未に対してこう言った。
「私の思いは定まりました。私、ダンス対決のあと、果林さんに告白します!!海未さんはどうでしょうか」
これには、海未、
「私も野球部とサッカー部の案件が片付いたら絵里に告白しようと思います」
と言うと続けて、
「せつ菜、今回は私の相談にのって頂きありがとうございます。今回の埋め合わせは近いうちに行うつもりです」
と言うとせつ菜も、
「ううん、海未さん、私も海未さんと話し合うことができて本当に嬉しかったです。これで私の気持ちに整理がつきました。本当にありがとうございます」
と海未にお礼を言った。
こうして、2人はお互いにさよならを言ったあと、果林、絵里のもとへと帰っていくのであった・・・。