「Oh,No~!!嘘だよね・・・」
ミアはそう大声を出して嘆いていた。ここはお台場にある三千人以上もの生徒が通うマンモス級高校虹ヶ咲学園高等部、通称「ニジガク」、その高校に通う生徒たちが集う寮の中にあるある掲示板の前であった。そこでミアはその掲示板の前で嘆いていたのである。
って、ミアって誰?という読者の方にミアについて簡単に解説しよう。ミア、本名はミア・テイラーといい、たった14歳にして高3のニジガクの生徒である。って、14歳で高3?と驚きの方も多いと思うが、ミア、こう見えてかなりの天才児・・・であった。彼女の故郷、アメリカでは飛び級してすでに大学生であるものの、とある理由でニジガクにおいては高3として在籍していた。で、その理由とは・・・、それは彼女の本業によるものが大きい。というのも、ミアの名を聞いただけで、音楽の道に進むもの、海外での生活が長い人ほど驚いてしまう、それくらいの有名人・・・、いや、とても有名な作曲家であった。世界でも有名な音楽一家、テイラー家の次女として生まれ、小さいときから作曲家として名をはせていた。さらに、1日で50曲も作曲できるくらいの天才・・・なのだが、あまりに作曲に集中してしまうあまり、数日間も徹夜することもザラ・・・なんてことも・・・。それくらい、作曲家としては超一流・・・というか作曲というだけの生活をしている、なんてこともあったりする。で、その作曲の腕を買われ、ニジガクの1年生でニジガクの生徒会長をしている栞子(1年生)の幼馴染の(2年生の)ランジェに誘われてニジガクの3年生として編入、紆余曲折を経てニジガクのスクールアイドル同好会に入部した、という経歴の持ち主であった。
で、話を元に戻すと、ミアは寮の掲示板に貼ってあるあるものを見て嘆いていたのだが、ミア、この第一声のあと、こんなことを言ってしまう。
「Oh~、まさか、寮が改修工事のために1週間もClose(閉鎖)するなんて・・・」
そう、なんと、ニジガクにある寮が1週間ものあいだ、閉鎖されることが決まったのである。というのも、この寮、実家が遠方にあるなどの理由で自宅から通えない生徒たちのために開設されたものなのだが、もうすぐ冬休みに入る、ということもあり、その冬休みのある1週間、寮の改修工事が行われるため、そのあいだは寮は閉鎖されることになったのだ。まぁ、冬休み期間中ということもあり、寮にいる生徒の多くが地元に帰省したり家族と一緒にどこかに旅行に行くことになっていた。だが、ミアの場合、自分の家族はアメリカにいること、その家族も世界的に有名な音楽一家ということでこの時期はもっとも忙しい、ということもあり、ミアは帰国せずにあるイベント以外は寮で年を越すことを決めていたのである。で、そこにきて突然の寮の閉鎖、ということもあり、
「ボ、ボク、どうすればいいわけ・・・。この1週間、どこで暮らせばいいわけ・・・」
と絶望するしかなかった。
とはいえ、いくらミアがそのことについてニジガクに文句を言ったところでこれは決定事項なので逆らうことができない、ということはミアはわかっていた。そのため、ミアは急いで手当たり次第に連絡先を知っている友達・・・といっても数人しかいないのですが・・・、寮が閉鎖せれる1週間ものあいだ、どこか泊めてもらえないか問い合わせることにした。
ただ、問い合わせる前にミアはただ、
「まぁ、ステイツ(アメリカ)では、こんなこと、よくある話だし、なんとかなるはず!!」
と高をくくっていた。というのも、アメリカの大学の場合、夏休み期間中、サマースクールが開催される。そのため、この夏休み期間中、その大学の寮はサマースクールに通学する学生のための滞在施設にするため、もともといたその大学に通学するためにその寮で暮らしていた学生たちを追い出す・・・というか、夏休み期間中にその寮を使うこと(もちろん、滞在することも)禁止されることがざらにあった。そのことをミアも知っていたため、情に訴えればきっとどこか泊めさせてくれる、そうミアは簡単に思っていたようだ。
だが、現実はミアにとってその淡い期待すら打ち砕くものとなった・・・。というのも、
「ミアさん、ごめんなさい。ランジェの子守り(失礼!!byランジェ)で精一杯なのです。本当にごめんなさい」(栞子)
「ミアさん、ごめんなさい。冬休みのあいだは年末年始の行事で精一杯なのです。期待に沿えず申し訳ございません」(しずく)
といった具合にいろんな理由ですべて断られてしまったのだ。いや、そればかりか、
「ミアちゃん、ごめん。私、家族と一緒に行くところがある。だから、ミアちゃんを泊めることができない。本当にごめんなさい・・・」
とミアにとって一番仲がいい璃奈にも断られてしまう。そのためか、
「What!!なんで誰もボクのことを助けてくれないんだ・・・。これからどうすればいいんだ・・・」
と途方に暮れるしかなかった。
そんなわけでして・・・、ミア、仕方なくニジガクの近くの公園で、
「Phew~(ふ~)、これからどうすればいいんだ・・・。ボク、この1週間、宿なしなのかな・・・」
と深くため息をついていた。ミアと同じく寮に住んでいる、ランジュ、エマ、果林はすでにほかのところに行ってしまい(ランジェは栞子のところに、果林とエマは果林の地元である八丈島に一緒になって里帰り)、今、寮にいるのはミアだけとなってしまった。そんなこともあり、ミアはこの1週間宿なしになってしまった・・・。でも、ミアは有名な作曲家だから、お金、たくさんあるのでは?という疑問も出てくるのだが、ミアの稼いだお金はすべてテイラ一家共通の口座に振り込まれるため、ミアの稼いだお金の管理はその口座を管理しているテイラー家が契約した会社がしているのでミア自身が仕えるお金は微々たるものだった。むろん、冬休み、ということでどこのホテルも満室であり、ミアがすぐさま泊まれるところなんてなかった。いや、それどころか、ミアは高3であるが中身はただの14歳、ということもあり、ミア単独でホテルに泊まること自体無理な話であった。なので、ミアはこのままいけば、宿なし、なんてことになってしまうのは目に見えていた。これではミアが深いため息をつくのも仕方がないことである。
と、そんなときだった。突然、ミアに対し声をかける少女がいた。
「あっ、ミアちゃん、こんばんわ」
その少女の声に、ミア、すぐさま反応。
「Oh・・・、歩夢・・・」
そう、ミアに声をかけてきたのはミアと同じニジガクに通う2年生でスクールアイドル同好会でミアと一緒に活動している歩夢であった。その歩夢がミアに対し、
「ミアちゃん、なんか深いため息をしていたよね。どうしたの?」
と深いため息をついた理由を尋ねてきた。歩夢からすれば今のミアの状況になにか困ったことが起きているのでは、という心配な思いでいっぱいになっていた。いや、「私に話してごらん」、そうミアに訴えているようなものだったのかもしれない。
そんな心配そうに見てくる歩夢を思ってか、ミア、ただたんに歩夢に対し、
「Oh、歩夢、実は・・・」
と、今、困っていること、冬休みの一週間、ニジガクの寮が改修工事のために閉鎖されること、そのあいだの宿を探しているものの見つからないこと、そして、このままだど自分は宿なしになってしまうことを話してしまう。
すると、歩夢、ミアの話を聞いて突然こんなことを言いだしてしまった。
「なら、ミアちゃん、私のところに来て!!」
な、なんと、歩夢、突然、ミアに対し、「自分のところに来て!!」と言ってきたのだ。というのも、実は、歩夢、困っている人をこのままにしてはいけない、自分がなんとかしてその人を救いたい、そんなご奉仕精神の持ち主であった。いや、それ以上に、もし困っている人がいれば助けないといけない・・・、それが歩夢にとっての絶対的使命であった。そんなこともあり、歩夢、たとえ、小さいことで困っている人がいればすぐにでも、奉仕、助けてあげる、そのようなことがしょっちゅうあった。そんな彼女だからこそまわりには彼女を慕う友人でいっぱいだった。で、今回も宿なしになりかけていたミアのために一肌も二肌も脱ごうとしている、そんな歩夢の姿があったのだ。と、ここで歩夢と同じ人格者に歩夢とミアと同じくニジガクでスクールアイドル同好会に所属しているエマがいるのでは、と思う方がいると思うが、エマの場合、どちらかというと、お母さん補正が強め、だったりする。一方、歩夢はというと・・・。
と、それは置いといて、ミア、突然の歩夢からの申し出に対し、
「歩夢、ボクをstay(泊めて)してもいいわけ、勝手にそのことを決めて・・・」
と尋ねると、歩夢、はっきりした言葉で、
「大丈夫だよ!!ミアちゃんは私の部屋に泊めるから!!それに、私の両親もミアちゃんの今の状況を知ればきっと許してくれるはずだよ!!だから、ミアちゃん、心配しないで!!」
と力強く言った。これには、ミア、
「Woo~」
とうなるとともに、
(でも、このままじゃ、ボク、絶対に宿なしになるし、仕方がないか・・・)
とこれからのことを思うと歩夢の好意にあまえるしかない、と思ってしまう。
そんなわけで、ミア、すぐに笑顔になると歩夢に対し、
「OK!!歩夢の好意に甘えることにするよ!!歩夢、I appreciate your kindness(お心遣いに感謝します)!!」
と笑ってそう答えた。これには、歩夢、
「ミアちゃん、よろしくね!!」
と笑顔で返してくれた。
こうして、冬休み突入後、ミアは寮の閉鎖を受けて歩夢の家へと向かう準備をすることに・・・。
「Hoo~、まずはパソコンに着替えに・・・。これでOK!!」
ミアが準備したもの、それは、少しの着替えと仕事用のパソコンが一台・・・。昔は作曲するためにいろんな機材や楽器が必要であったが今やパソコン一台あればなんでもできる、という時代になったのだ。それくらい、科学技術の進歩はすごいものかもしれないのだが、ミアはそんなことなんて気にせずに意気揚々とそれらを大きなキャリーケースにまとめ、歩夢の家に向かうことに・・・。
そして・・・、
「Hey、歩夢、来た!!」(ミア)
「あっ、ミアちゃん、こんにちは。それよりもあがって!!」(歩夢)
とミアが歩夢の家に到着するなり、歩夢はすぐに自分の部屋へミアを連れて行く。すると・・・、
「Oh、ここが歩夢のRoom(部屋)なんだ・・・。なんか女の子のRoomだね・・・」
と唖然となってしまっていた。というのも、ミアの寮の部屋は備え付けのベッドやテーブル、テレビ以外は床に置いたパソコン以外なにもない、それくらい殺風景なものだった。対して、歩夢の部屋はピンクを基調にした壁紙、床などに置かれたぬいぐるみなど、少女のお部屋、ともいうべき部屋であった。そんなミアからの言葉に、歩夢、
「そ、そうかな・・・」
とただたんに苦笑いするしかなかった・・・。
こうして、2人の1週間限定の同居生活が始まるのだが・・・、2人をみてみると、なにかに似ている、そんな風に見えてきたりする。たとえば、2日目の朝・・・、
「ミアちゃん、起きて!!朝だよ!!」
と歩夢が寝ているミアを起こそうとするも、ミア、
「Woo~、あともう少し・・・、あともう少しSleep・・・、寝かせて・・・」
と小言で寝言を言う。というのも、ミア、いつものことながら徹夜していたのである。歩夢の部屋に泊まれる、その嬉しさのあまり、作曲にも身が入ったらしく、夜遅くまで作曲をしていたのである。その後、太陽が昇るころまで作曲を続けてから寝たばかりだったのだ。ただ、そんなことも露知らず、歩夢、ミアを起こそうとしたのだ。ただ、寝たばかりのミアなので・・・、
「ミアちゃん、早く、起きて!!」
と歩夢は何度も起こそうとするもミアはただ、
「まだ寝かせて・・・」
との一点張り・・・。
こうして、いくら歩夢が起こそうとしても起きなかったミアはお昼まで起きることがなかった。
また、こんなことも・・・。その日のお昼過ぎ、起きてきたミアには歩夢にこんなことを言いだしてきた。
「歩夢、Go Out!!一緒に出かけよう!!」
これには、歩夢、
「ミアちゃん、ちょっと待って!!もうすぐお昼だよ!!」
ともうすぐ昼食であることをミアに伝えると、ミア、
「Woo~、歩夢、ボクは歩夢と一緒に外に出て(ミアの好きな)ファーストフードを食べに行きたいんだけど・・・」
とわがままを言うと、歩夢、そんなミアに対し、
「ミアちゃん、もうすぐお昼ができるのに今になって外に食べにいくわけ?」
と問いかけると、ミア、ただたんに、
「ボク、歩夢と一緒にファーストフードを食べたい!!」
とさらにわがままを言うと、歩夢、仕方がないとばかりに、
「でも、お母さんがせっかくお昼を作っているし・・・。ここは仕方がないよ。ミアちゃん、お昼を食べてから外に出かけることにしよう」
と代わりの案をだす。すると、ミア、
「Woo~、仕方がない・・・」
とその場を収めることにした・・・。
と、いった具合にアメリカ人からなのか、マイペースで自分の思った通りに物事を進めようとするわがままな妹のようなミア、対して、歩夢はそんな妹みたいなミアのことを大事に思っているのか、そのミアのお世話をしている、それでいて文句ひとつも言わない、そんな奉仕精神あふれる姉みたいになっていた。それはまるでミアと歩夢が1つの姉妹になっている、そんな雰囲気を醸し出していた。
ただ、そう言われると2人とも拒否しそうな感じなのだが・・・、その逆だったりするんだよなぁ~。たとえば、ミアは歩夢との関係について、
「これでもボクの方が学年が上!!つまり、ボクの方が上!!だから、歩夢はボクの言うことを聞いていればいいわけ!!)
と思っていたりする。これでもミア自身14歳であったとしてもアメリカでは飛び級して大学に進学しているし、ニジガクでも歩夢(2年生)より学年が1つ上の3年生である。なので、歩夢からすればミアは年下なのに学年的には上、だから、自分の方が姉、だというのだ。と、いうわけで、自分のわがままを歩夢は聞けばいいだけ、という論理が通じてしまうのである、自分の妹なんだから、歩夢は・・・。まぁ、ミアの場合、自分のまわりが年上ばかり、ということもあり、そのまわりからなめられないように、高3ということもあり、自分自身お姉さんぶりを徹底している、という年下あるあるみたいなことをしているのですがね、ミアは・・・。ですが、ミアがなんでこんな態度をとるのか、についてはちゃんとした理由があるのですがね・・・。まぁ、それについてはおいおい話すこととして・・・、その一方でミアにはこんな思いを持っていた。それは・・・。
「でも、そんなボクのわがままを言ってもそれを歩夢がボクが納得するような形で叶えてくれることを考えると、ボク、このままでもいいかも・・・。いや、なんか心地いい感じがする・・・。これがずっと続いて欲しい。いや、ずっと、歩夢のそばにいたい・・・」
と、自分のわがままを聞きつつもミアが納得するような形でそれを叶えてくれる歩夢の優しさにミアは甘えていたのだ・・・。
では、歩夢はというと・・・、こちらもこちらでこんな思いでいっぱいだった・・・。
「ミアちゃんのお世話をする!!これも(ミアより年上な)私の務め!!よ~し、ミアちゃんのために頑張るぞ!!」
とこちらもこちらでまるで本物の姉のようにミアのお世話をする、そんなご奉仕精神あふれる歩夢らしい思いを持っていた。
と、いった具合に、ミアと歩夢、2人とも違った思いを持ちつつもそれでもお互いに今の関係に満足していた・・・。