ドラゴンクエスト~世界は砕けて千切れて混ざる~   作:鈴亜サクサク

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少年ヤンガスと不思議なダンジョンのしゃくねつのほら穴のbgmが流れてるイメージ


火山拝みし熱森林
猛暑の森


 肌に纏わりつくような暑さと湿気。

 旅の扉の先はどこを見渡しても葉の緑で覆われていた。

 腕を動かしただけでも枝葉が肌を引っ掻く。

 人間一人いるだけでも狭苦しい空間だ。

 

 「こっから出るのが先決かね」

 

 何とか通り抜けられそうな道を見つけ腕に切り傷を作りながらも枝葉をかき分け前へ前へ。

 自分が出した音以外にも葉が擦れる音が近くから聞こえてくるが、生物との遭遇はなく広い空間に出ることができた。

 

 「うわっ! お前どっから出てきてんだ!」

 

 竜仁のものではない女性の声。

 その女性は茂みの音を聞いて魔物の襲撃に備えたのか刀を構えていた。

 

 「待て待って! 敵じゃないって!」

 「……それは、見れば分かる」

 

 女性は握っていた刀を鞘に戻し、一つ吐息を溢す。

 竜仁も冷静になって女性を観察する。

 そして、髪型や服装からまるで彼女が侍であるかのような印象を受けた。

 

 そこへ茂みから一匹のキャタピラーが飛び出してきた。

 竜仁が聞いた葉が擦れる音はこいつが出したものだ。

 キャタピラーは二人を敵と認識し、車輪のように体を回転させて飛び掛かってきた。

 

 「やっぱり敵もいるじゃないか!」

 

 女性は再度刀を抜き、ぶつかってくるキャタピラーを横に一斬り。

 その一撃によりキャタピラーは三つに切り分けられ、そのまま絶命。血痕を残して消滅する。

 

 「さて、聞きたい事は色々あるが……まずは互い名乗っとこうか。私はサザレ。君は?」

 「竜仁っす。ここにはついさっき来ました」

 「む、ついさっき? ってことは……」

 

 サザレと名乗った女性は竜仁が通った茂みの中へと潜る。

 しばらくして葉っぱが髪や服に付いてるのを気にせず戻ってきたサザレは誰が見ても良いことがあったと分かるような表情をしていた。

 

 「竜仁! これは大手柄かもしれんぞ!」

 「え? な、何が?」

 「君が使った旅の扉だよ! そこは未発見のはずだ!」

 

 今竜仁の手には手柄となるものが握られている。

 しかし、自分一人で手柄を独占しようとは思っていない。

 一つ、良いアイデアが頭に浮かんだ。

 

 「だったら、旅の扉は二人で発見したって事にして、この世界について色々教えて欲しいです。訳あって自分の記憶が曖昧で……」

 「いいの!? それくらいお安いご用だ! っと、はしゃぎすぎたな」

 

 二人の周りにはキャタピラー×3、メラリザード×2の魔物の群れが集っていた。

 相手がどう動くか全神経を集中させて逃げる構えを取る竜仁に対して、サザレはさっきまでとは裏腹に冷静な面持ちだった。

 

 「竜仁、戦えないんだったらしゃがんでな」

 

 竜仁はサザレに全てを委ねるつもりで指示通りに体を屈めた。

 襲い来る魔物に対して、サザレは刀をぶんまわした。

 それだけで不用意に近付いてきた魔物は撃破。

 メラリザードの一匹は離れた位置から火の息を吐いて攻撃してくるが二人にさほどダメージは通らない。

 サザレはメラリザードの元まで駆け寄り、刀の一撃を浴びせる。

 それで魔物の群れは全て撃破。

 

 「ここは魔物も出るし場所を変えようか。付いてきて」

 

 サザレは手招きをしてから傾斜となっている森を下へと走っていく。

 竜仁も遅れまいとそれに続いた。

 

 

 

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