楽しんでくれると嬉しいです。
それではどうぞ。
潮ゼリーを取りに行くお使いを終えて、パーレルに戻ってからの2日目の朝。
悠里はフィナとカノンの3人で朝ご飯を作っていた……
「「ふあぁー……」」
「おはよ。ソナタ、セレナ」
「「おはよう……」」
ちょうどソナタとセレナが起きてきた。
まだ小さく欠伸をしてるが、大丈夫だろうか?
「んあー!! 上手くできなーい!!」
そう唸りながらやって来たのは、髪が上手く結べてないキャロだった。
この後、カノンがキャロの髪を直してあげた。
「はい。できましたよ」
「ありがと♪ カノン♪ そして今日の朝ご飯は……」
「ふわふわパンケーキのベリーソースがけだよ~」
「…と、ミントシャーベット。パーレルに来てから、全然作ってなかったから」
フィナと悠里がキャロに朝ご飯のメニューを教える。
ちなみにミントシャーベット、5人は当然食べた事がない。何せ、悠里が作るオリジナルデザートなのだから。
「あら……珊瑚糖が空っぽだ……」
「…本当だ。この前に僕が見た時は半分と少し残ってたけど……」
セレナが珊瑚糖が空っぽな事に呟く。
それに釣られて悠里も見ながら、最後に見た時の分量を呟く。
「そしたらアタシ、フェルマさんに分けて貰ってくるよ!」
キャロはそう言うと、空っぽの瓶を持って寮から出て行った。
なるべく早めに戻るねと言いながら。
「凄い。あっという間だね……」
「朝からパワー全開だ……」
「あの元気は何処から湧いてくるんでしょうか……」
そんなキャロを見て、それぞれ疑問に思う5人なのであった……
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「シーン23、カット2、スタート!」
パーレルの一角にて。
そこでは映画の撮影が行なわれていた。
悠里達6人はそのお手伝いに来ていた。今は邪魔にならないよう、見学中。
『この場にいたことに感謝だ』
『心がホワホワしてるよ』
『あたしも感動しちゃった!』
『それ! ワクワクのドキドキが止まらない』
『ちょ……みなさん邪魔に』
「…………」
5人の会話……というか、ジェスチャー……正確には、マーメイド用語を使ったマーメイドジェスチャーをしてる5人を見て、悠里は面白いなぁ……と思っていた。
「あなた達、何やってるの?」
そこへアルディがやって来た。
「頼んだ寮の準備は終わった? 撮影隊の皆さんが泊まるんだから……」
『『『『『うわあああ……』』』』』
急に慌てだす5人。
『シーですよ、シー!』
『声が映画になっちゃう!』
『すなわち発声禁止だ!』
キャロ、フィナ、セレナがアルディに訴える。
ソナタとカノンも頷いていた。
「…5人が面白いから僕黙ってたけど……あれ、リハーサルだから」
「「「「「え?」」」」」
「だって。ユーリ君、分かってたのね?」
「…元の世界で、幼馴染みが元子役で現若手女優なので。僕も昔、撮影現場に足を運んだ事があったので……」
直ぐに分かりましたと答える悠里。
何せ、千聖が子役の時によく一緒に撮影現場に行った経験があるので、撮影隊の人達が何をしてるのか来て直ぐに分かったのだ。
「「「「「むうぅぅぅ~~~~っ!!!」」」」」
この後、悠里はちょっと涙目になりながら頬を膨らませた5人にポコポコと叩かれる羽目になった。
……別に痛くはなかったが。
「なんだか、お祭りみたい」
「ね~。みんな楽しそう~」
「…残りの機材を持って来れば、最後みたいだから早く終わらせよっか」
「了解だ。急ごう」
撮影隊が持って来た機材を運ぶ6人。
「この機械で映画が作られるんだよね……」
「なんか不思議です……」
「…機材自体は僕が居た世界と変わらないっていうのが、ちょっと安心感があったり……」
すると気になった機材を見つけたのか、キャロが手に取る。
「あ! これなんだろ?」
「もじゃもじゃだ……」
「ポコみた~い♪ よしよ~し♪」
「…それ名前なんて言ったっけな……? 声や音関連の機材だった筈だけど……」
キャロが持ってる機材の名前を思い出そうとする悠里。
機材の事に詳しい
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────そして次の日。
今日はエスポワールでの撮影だった。しかもそこには衣装姿のキャロの姿が。
なんでも映画の主人公の友達役の貝殻姉妹に抜擢されたらしい……
ちなみにジュゴン役も捨てがたいという話になったが……
『なんだったら、アルクにやらせましょうか?』
という悠里の何気ない衝撃発言で、ソナタ達や撮影隊の皆さんが驚愕していたのはご愛嬌。
結果、その話は保留になった。
何故なら伝説の歌姫にそんな簡単にオファーできないらしい……
それを何処から聞きつけたのか、アルクが悠里のデッキケースから現れ……
『ユーリのお願いなら、やってもいいですよー? あ、どうせだったら、隠れ役みたいな感じでー』
……と、隠れアイドルを探せみたいなノリで撮影隊の監督に言ったら、ぜひお願いしますと悠里にお願いされた。
その後はパーレルで、アルクのサイン会が行われるという珍事件も発生。キャロが特に興奮していた。
セレナ曰く、キャロはアルクの大ファンで憧れの人らしい。
────という出来事があり、今に至る。
「エーベルさん、入られまーす」
そこに1人のマーメイドの女性が撮影現場に入る。
都会で女優をしているエーベルだ。
「よ、よろしくお願いします……!」
「よろしくね」
エーベルの顔を見たキャロの表情が緊張気味になった。
それを見た悠里は……
「(キャロ大丈夫かな……女優のオーラに圧倒されてるけど……)」
少し心配気味だった。
そう思いながらも撮影がスタートされる。
「カット。次のケーキを……」
「すみません。もう用意したケーキが無くなってしまって……」
「おいおい……」
「このシーンは明日にしましょう……」
「はぁ~……そうだな……」
結果はカットの連続で、気づけば夕方になっていた。
シーンに使うケーキが無くなってしまい、今日の撮影は明日になった……
「もぅ……ダメ……これ以上……ケーキ……食べられ……ない……うぐっ……」
「「「「「うわあああっ!?」」」」」
ケーキの食べ過ぎでノックアウトになったキャロがそこにいた。
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「どどど……どうしよう~!? アタシのせいで映画が完成しなかったら……みんなあんなに頑張っているのにお蔵入り!? うわあああん~……」
「キャロ、落ち着いて!?」
「慌てても何も解決しないぞ!?」
寮に戻って、撮影の件で失敗したせいか、もしもの事があったらどうしようと嘆くキャロ。
それを見てソナタとセレナが慰めていた。
「キャロ。気持ちは分かるけど、落ち着きなって……」
「そうだよ~。明日まで時間もあるし……」
「そうですよ。次の撮影に向けて立て直しましょう!」
それを聞いたキャロは涙目で立て直すってどうやって?とカノンに訊く。
「それは……そうですよね……私は壁にぶつかりパーレルに逃げてきた身ですし……立て直す方法なんて思いつく筈……」
「「ずーん……」」
「ちょっと!? 2人共!?」
ついにはカノンまで落ち込んでしまった。
「キャロの場合、撮影の際に緊張しちゃうみたいだから……そこをなんとかすればいいんじゃないかな?」
「緊張か……よし! 任せろ!」
するとセレナが何か思いついたのか、ホワイトボードに書き出した。よく見ると、『セレナの映画講座』と書いてあった。
「今回キャロが感じてる緊張は、対象を知らない事による恐怖心から生まれるものに違いない。故にまずは映画作りを知る事だ」
流石はセレナ。分かりやすいと頷く悠里。
「こほん。では第一に、イマジナリーラインについて」
「え? イマジナリー……ライン……?」
「映画用語のようですね」
イマジナリーラインについて説明するセレナだったが、キャロの理解度が追いつかず、目を回してしまい倒れてしまう……
他の4人も色々と試してみたが、結果はあまりよろしくなかったようだ。
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そのまた次の日。
外はどんよりとした曇り……と思われたが、よく見ると大量のイワシが竜巻のような陣形をしながら海面を埋め尽くしていた。
「「イワシストーム?」」
「って……なんですか……?」
「時々あるのよねぇー……」
「イワシさん達がね? 餌を探して大移動するの」
フィナの説明に納得する悠里とカノン。
しかもセレナ曰く、こうなってしまうと、ほとんどの確率で今みたいに1日中、真っ暗になるのだとか。
「今日はラストシーンの撮影ですよね……」
「うん……主人公の大事なシーンだし、印象的な光をイメージしてたんだけど……」
アルディと監督が話す。
ちなみに明日じゃダメなんですか?と悠里が訊くと、エーベルのスケジュールが今日までしかなく、明日は別の仕事が入ってしまってるとの事。
それを聞いた悠里は納得せざるを得ない。何せ、千聖もそういう時があったのだから。
時間を作るのは大変なのである……
仕方ないので、急遽今日は室内で撮れるシーンをやる事になった。
「残念ですね……」
「楽しみだったけど、仕方ないね……」
一方で悠里達は、映画館で今日も映像がちゃんと動くかどうか観ていた。
「うぅ~……うわああん……絶対、アタシのせいだー! 余計な事をしちゃったから……」
「余計な事とは……?」
「何をしちゃったの……キャロ……」
「もしかして、てるてるクラゲでしょうか……?」
「「「ああ……」」」
カノンの言葉に納得する悠里とキャロを除いた3人。
「晴れるのを祈って作ったのに……うぅ~、やっぱりアタシがダメダメだから……勢いで慣れない事をして、上手くできなくて……それで迷惑かけちゃって……」
こりゃ相当だな……と悠里が思ってると……
「決めた! アタシ、イワシさんに突撃してくる!」
「「「「ええええっ!?」」」」
「…キャロ。とうとう頭のねじが外れた……?」
4人が驚く中、思ってる事を思わず口にしてしまう悠里。
それくらいの驚きだったのだ……
「だって、このまま待ってるだけなんて嫌だし、やっぱ何か役に立ちたいから!」
「気持ちは分かるが……」
「アタシが絶対、パーレルに光を取り戻す!」
だから止めないでー!と言うと、外に出ようとするキャロ。
とりあえず彼女を止めようとした時、ポコがキャロの尾ひれに当たってしまい、衝撃で天井まで飛んで行ってしまった。
しかも、天井に穴が開いてしまったではないか。
「ちょっと君達! これはどういう事!?」
タイミングが良いのか悪いのか、撮影隊の人達が劇場に入ってきた。
これはまずいと思い、悠里が謝るが……
「なんでもいいから外を見て!」
何故か監督の表情は笑っていた。
とりあえず6人は言われるがまま、外に出てみると……
「「「「「うわああ……」」」」」
そこには劇場の光がイワシの鱗を反射して、眩い光がパーレルに広がるという幻想的な光景があった。
そして────
『ね、君も食べる? すっごく美味しいよ!』
「ちょっともー! 何回観れば気が済むわけー?」
6人はキャロのシーンを劇場で観ていた。
「あれー? 照れてるー?」
「~~~っ!? ええ~……」
ソナタの指摘に図星なのか、キャロは何も言い返せない。
「撮影隊の人が、このシーンだけを特別にキネオーブにしてくれたんだもん♪」
「あと55回は観る予定だ」
フィナとセレナの言葉に、もう好きにしてと言うキャロ。
「映画の完成はまだ先なんですか?」
「う、うん。今はヘンシュウっていうのしてるんだって」
「映画を作るのって、たくさんする事あるんだね~」
まぁ映画を作るのは、かなり大変だからね実際。編集も凝ると、かなり時間が掛かるんだよ?と悠里がフィナの言葉に付け加えた。
「ねぇ。公開されたら、みんなで観に行こうよ」
「いいね~♪」
「…となると、隣町かアトランティアに行く必要があるな……」
セレナがそう言うと、他の3人もうーんと考え込んだ。
「…カノンが良ければ、案内してもらう……とか?」
「はい。案内しますよ♪」
悠里の言葉にカノンは笑顔で言った。
「「「「やったー!」」」」
4人が喜んでる光景を見て、悠里も実際にアトランティアって、どんな場所なのかなと内心楽しみにしていた。
読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
今回のEDは『シャボン-キャロver.-』をイメージしてください。