楽しんでくれると嬉しいです。
それではどうぞ。
「うわあ~、モンブラン美味しそう~。やっぱそっちにすればよかったかな~……」
「じゃあ、そのミルフィーユと交換ね♪」
「えっ!? えっ……!? ちょっ……ちょっと待って!? ああ……一口だけ……」
キャロが映画の撮影に出演し終えた日から次の日。
生憎、本日のパーレルの天気は雨だった……
なので6人は、エスポワールでケーキを食べに来ていた。
「パーレルの言い伝えでは、だいたいこんな感じかな……」
「…なるほど……」
悠里はアルディから、パーレルが出来た昔話を聞いていた。
そして今度の満月の夜が昔話に出てきた真珠とクラゲ達のお祭り……『パールバール』という訳とフェルマが付け足す。
「素敵……」
その話を聞いたカノンは目をキラキラさせていた。
乙女チックだなぁと悠里は彼女を見て思った。
「(…現状のメインデッキは……こんな感じでいいのかな? かな?)」
それと同時にテーブルにカードを広げてデッキの構築をする悠里。
前々から気付いたのだが、トリガーユニットのパワーアップ値とシールド値が変わっていたのだ……
今までは、トリガーのパワーアップ値が+5000だったのに対し、+10000に変わっていたのだ。
シールド値も10000から、15000に変更されていた。
特に驚いたのは、ヒールトリガーだ。
何せ、シールド値が20000に変更という、Gガーディアン並のガード値……
「…こうなると……ガード要求値……どうな「何がだ? ユーリ?」…びっくりした……」
考え込んでいるとセレナが割り込んできた。
突然の事に悠里はびっくり。
しかも気づけば、他の4人も悠里の近くに寄って来た。
「…僕の世界の娯楽? いや……ヴァンガードって娯楽でいいのかな? いや、スポーツ? いや……便利なツールか。まぁそれのデッキ作りでちょっと悩んでた……」
「ヴァン……ガード……? ってなんですか?」
「…翻訳すると『先導者』、もしくは『導く者』って意味」
カノンが頭に?マークを浮かべていたので、意味を教える。
ついでに、カードファイトの事も彼女達に懇切丁寧に教えた悠里。
「…こんなもんかな。ちょっとケーキを食べて糖分補給を……って、5人は何してるの?」
自分のケーキを食べようとした矢先、そこには自分達のケーキを笑顔で悠里に差し出す5人の姿があった。
「「「「「………………」」」」」
訂正。何故か火花が散っている。
「あたしのケーキ、一口あげるよ。美味しいよ?」
「ユーリ、私のケーキを分けてあげよう。美味しいぞ?」
「いえいえ。私のが美味しいですよ?」
「違うよ~。わたしが食べてるのが美味しいよ~?」
「いやいやアタシのが美味しいって?」
その光景を見ていたアルディとフェルマは、あらあら♪と言いながら楽しんでいたそうな。
結局、悠里は5人が分けてくれたケーキを食べる事になった。
自分の分も含めて。
────映画館の掃除が終わり、寮に戻った6人。
「…えっ? 映画を撮る?」
「うん♪」
「これ、まだ記録されてないキネオーブだったって事?」
ソナタの手には記録されてない状態のキネオーブが。
なんでも映画館の掃除をしていた時にソナタが見つけ、コーダに確認してもらったところ、ついでに撮れる機材も貸してもらい今に至る。
「凄い! これが撮影機!」
「コーダが作ってくれた!」
ソナタがそう言うと、キャロが機材を手に持ち、辺りを見渡す。
近くにいたフィナが何が視える?と訊く。
「うーん♪ みんなが視える♪ フィナ♪ ソナタ♪ セレナ♪ カノン♪ ユーリ♪ みんないい感じ♪」
それからポコと言い、機材をソナタに渡す。
「で? アタシはどんな役?」
「あ。私……まだ心の準備が……」
「わたしだって~……」
するとカノンがここまで色々やれたのは、ソナタなんだしと言い、まずはソナタがどんなお話が良いかを聞く事になった。
「…まぁ、そのキネオーブを見つけたのはソナタでもあるんだし。何かやってみたいのはないの?」
「うーん……」
「それって、どんなお話にするかって事?」
「やっぱり、わたしは恋のお話がいいなぁ~♪ わたしとユーリの恋のお話とか……えへへ~」
「アタシは冒険物♪ 最終的にー、ユーリと結ばれる的な……♪」
「私はもっとこう……複雑な……うーん……ユーリと二人旅しながら……恋愛とか……」
ソナタが悩んでるのをよそにキャロ、フィナ、セレナがこんなお話がいいと意見を出した。
ちなみにカノンだったらどんなお話がいい?と悠里が訊くと……
「そうですね……私だったら3人の案にミュージカル系を少し足したお話がいいですね……ユーリが王子様で……私がお姫様……」
カノンらしい案が出てきた。
さっきから自分の名前が出てくるのは気のせいかと思った悠里だが、気にしない事にした。
とりあえず、焦る事ないし、ソナタが撮りたい物にすればいいんじゃないかな?という悠里の案でひとまず保留になった。
────その日の夜中。
悠里が寝てる時に扉がガチャ……と開いた音がした。
「…………」
「ひゃっ!?」
近くに置いてある手作り抱き枕から変な声が気がしたが気にする余裕がなかった。
ちなみに悠里、ぬいぐるみを抱き枕にしながら寝るという変わった趣味があった……
これにはちゃんと理由がある。安眠効果を得たい為である。
「…………(あれ? いつも使ってる抱き枕……こんなに柔らかったっけ?)」
しかも感触が柔らかいうえに良い匂いがする。
今日はいつも以上に寝れそうだと思い、悠里は眠りについたのだった……
尚、これが後にとんでもない事実だったという事を知る事になろうとは……
次の日。
6人は映画館に来ていた。
なんでもソナタがとりあえず撮りたいと思ったものを撮ってみたらしい。
とりあえずキネオーブを映写機にセットし、映し出されたのは……
「「「だああああああ(きゃああああ)っ!??」」」
セレナ、フィナ、キャロの絶叫が劇場内に響く。
「おっ……おしり!? おしり!?」
背を向けて、こっちにお尻を向けてるキャロの映像……
「うわあぁぁ……し、死んでる……」
死んでる……というより、寝相が悪いフィナ。しかもポコを押しつぶしてしまってる映像……
「私は幽体離脱してるし……」
幽体離脱のように空中で浮かびながら寝てるセレナの映像……
「…カノンって寝相いいよね?」
「あ、あんまり見ないでください……恥ずかしい……」
それに引き換えカノンは普通に寝つきが良かった映像……
これで終わりかなーと悠里が思った時だった……
「「「「「……は?」」」」」
ソナタを除いた5人が唖然とする。
カノンの次に映し出されたのは、悠里の寝相の映像だった。
そこまでならまだいい。問題はその先だった……
ソナタがもうちょっと近くで撮ろうと思ったのだろう……しかし悠里がソナタを抱き寄せたのだ。
しかも彼女を抱き枕のように強く抱きしめる悠里……そしてそこで映像は終わった。
「「「「「…………」」」」」
「え、えっと……とりあえずほんとに撮れるかどうか試したんだけど……なかなか上手く撮れたと思うんだけど……どうかな?」
「「「「ソッナッタッ!!!(ちゃん!!!)」」」」
「う、うぇぇ……!? だ、だって……」
4人がソナタに凄い覇気で詰め寄る。
対して悠里はショックを受けてた。抱き枕だと思ってたのが、まさかソナタだったとは……
「(セレナとフィナとキャロが怒る理由は分かるけど……カノンまでなんで怒ってるんだろ?)」
その理由は単純に嫉妬なのだが、悠里は知る由もない。
────なんだかんだあって、その日の夕方。
「物語じゃなくて……村のお祭りの様子を撮ってみようかと思って……」
「お祭り……」
「ドキュメンタリー……という……やつですか?」
「ドキュ……メンタ……?」
寮の談話室にて。
ソナタはパーレルのお祭りの様子を撮ってみたいと言った。
ちなみに悠里が抱き枕の件についてソナタに謝ったら……
『う、ううん! あたし全然気にしてないよ!? 寧ろウェルカムっていうか……もっとしてほしかったっていうか……その……』
頬を赤くしながら気にしてないと言ってたのは余談である。
「えっと……記録映画って事?」
「うん。アルディさんがね? 村のお祭りの記録が今まで何も無いんだって。で、いい機会だから、準備してるところから終わるまで。あたしに映画で記録してくれるとありがたいって……」
それを聞いた悠里は確かに理にかなってるし、何を撮るか迷って悩んでいたソナタにうってつけなんじゃないと言った。
「ふーん……で? ケーキ何個で引き受けたの?」
「「「「チョップ!!」」」」
「ぐはっ……」
キャロが余計な事を言ったので、ソナタを除いた4人でチョップをかましておいた。
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パーレルのお祭り当日。
時刻は早朝に近かった……
「…ね、眠い……ねぇソナタ、僕初めてなんだけど、お祭り当日ってこんなに早いの?」
「うん……毎年ね。あたしも正直言って眠い……」
まず悠里の一言。眠い。
何せ、朝方近くに起こされたのだから……
特にソナタは映画の記録係をするのだから、余計に大変だろう。
「皆さんはもう行った事があるんですか? その……」
「黒い谷」
「うん、もうすぐ。あの岩の向こうだから……ふわぁ~」
カノンの質問に答えるセレナとキャロ。
わたしも初めて行った時はびっくりしたよと補足するフィナ。
「…………(谷……というより、イガグリとウニを足して2で割った岩だな)」
まず感想がそれだった。
というか、それ以外に表現するものが無かった。
奥まで進むと、大量のクラゲが密集しており、アルディの指示で村から持参して来た巨大な網でクラゲを捕獲した。
その後は捕獲したクラゲを村まで持って行った後、各家に放ち、夜になったら海面に向かってクラゲを放つ……
その光景は、とても綺麗だった。
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────次の日の朝。
悠里とフィナは朝ご飯を作っていた。
ちなみにセレナが今しがた起きて、本を読んでいた。
「ふわぁ~……おはよ……」
「おはよう」
「おはよう、キャロちゃん」
「おはよ、キャロ。髪ぼさぼさだよ?」
ちょうどキャロが起きてきた。
髪は寝起きのせいか、ぼさぼさである……
「あれ? ソナタとカノンは?」
「今、カノンがソナタを起こしに行ってる」
2人がいない事に気づいたキャロにセレナが理由を述べる。
実はキャロが起きるちょっと前に、カノンがソナタを起こしに行ったばかりなのだ。
「ソナタ、寝坊かー。まー昨日まで大変だったからなぁ……」
「わたしもそう思うけど、カノンちゃんが気になるって……」
「なにが?」
「昨日夜遅くまで、根詰めてたみたい」
セレナの言い分も分かる。
実は悠里も夜中にソナタの部屋が明るかったのを見たので、体調を崩さないか心配だったのだ……
「人生寝れば、問題の半分は解決するよ♪」
「それ……キャロだけだと僕は思う……」
「確かにな。後の半分は?」
「ご飯食べて解決する♪」
「「…………」」
ある意味キャロらしい発言を聞いて呆れ半分、尊敬半分になる悠里とセレナ。
「そういえば……カノン遅いね。ソナタを起こそう思ったら二度寝でもしちゃったのかな?」
悠里がそう呟いた途端、ちょうどカノンがやって来た。
しかしどういう訳か慌てた様子……
「…噂をすれば影だね。カノン遅かっ「大変なんです! ソナタがいないんです!!」えっ……?」
「「「ええええ~!?? ソナタ(ちゃん)がいない~!?」」」
まさかのソナタ行方不明になっていた。
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悠里は4人を落ち着かせ、映画館に向かう事になった。
おそらくソナタは高確率でそこにいるだろうと思ったからだ。
証拠に彼女の部屋にキネオーブと記録できる機材が見つからなかったからだ。
そして案の定、映画館の劇場内に入るとソナタはいた。コーダも一緒だった。
「…ほらやっぱり。ここにいた」
「えっ? ユーリ、それにみんな……」
「お客さんも揃ったな。さ、みんな席に着いて。ソナタ、始めるのだ」
「えっ……でも……」
どうやらこれからキネオーブを映写機に映すらしい。
しかしソナタの表情は何故か晴れなかった……
「大丈夫。隠すような事じゃない。何はともあれ、みんなに観てもらいたくて撮ったんだろ?」
「それは、そうだけど……」
「ちょっと待ってー。今、アルディが来るから~」
すると別の声が後ろから聞こえ、振り返るとフェルマがいた。
「ほら早く! 早く!」
「えっ!?」
「あら。増えちゃったみたい」
アルディの他に、フラゼ、マルトレ、シャンテも来ていた。
「お待たせしちゃったかしら? これでもけっこう急いできたのよ?」
「アルディからの緊急呼び出しなんて……私達が寮で暮らしていた時以来かも」
「なんかときめいちゃったわ~」
「あの頃、楽しかったなぁ~♪」
そのやり取りを聞いた悠里は、まさか首長権限を使ってまで呼び出しのかと思った。
同時にアルディさんって色んな意味で凄いなと思ったそうな……
「あの……違うんです! アルディさん……ごめんさない!」
ちょうど始めようとした時、ソナタがアルディに謝り出したのだ。
すると彼女はその訳を話し始める。
「上手く撮れませんでした。アルディさんにパーレルのお祭りをきちんと記録してって、頼まれたのに……なんか、なんか変なものばかり撮っちゃって……もうお祭りは終わっちゃったし……あたし……」
そう言うと、落ち込んでしまった。
ソナタの話を聞いてて、悠里は違和感を感じた。
「…ソナタ。観てから考えよ?」
「……えっ、ユーリ?」
「映像とかは撮れてはいたんでしょ?」
「う、うん……」
とりあえずソナタが撮ったものを観てから考える事にした。
キネオーブを映写機にセットし、起動させると……
「「「「「ええええええ~~~!??」」」」」
何故か悠里達の映像から映し出されたのだ。
キャロの後ろ姿、フィナの寝相の悪さ、セレナの幽体離脱、カノンの寝つきの良さ、そしてソナタが悠里に抱き枕されてる映像が流れると……
「「「あらあら~♪」」」
「見てるだけでときめいちゃうわ~♪」
「そうね~♪ 私達もこういう事されたかったわ~♪」
アルディとフェルマ、フラゼは凄い笑顔であらあらと言い、マルトレとシャンテに至っては、若いっていいわね~と言う始末。
そしてソナタはと言うと……
「~~~~~っ!?? アルディさん達に見られるなんて……は、恥ずかしいよ……あ、穴があったら入りたい……」
真っ赤になりながら、両手で顔を隠していた。
まぁ……彼女からしたら公開処刑以外の何者でもないだろう……
悠里は映像が流れた時点で既に諦めてたが。
すると次に流れた映像はお祭りの時の映像だった……
クラゲを懸命に捕まえようとするカプリ達ちびっ子3人組……
ポコの尻尾だけが映ってたり……
何故か悠里の横顔が映ってたり……
そしてパーレル村、クラゲが海面に浮かんでいく姿がしっかりと映っていた。
「コーダ? ソナタが使った撮影機って、
映像が終わり、フェルマがコーダに訊く。
するとコーダは、そうだと言わんばかりに頷いた。
「ああ。撮影している人が撮りたいものが勝手に写る優れもの♪」
「そう♪」
その話を聞いた悠里は、なるほどと納得した。
それはつまり……
「…ソナタが撮りたかったものが撮れてたって事」
「え……?」
「…まだ分かんない? コーダも言ってたでしょ? 撮影してる人が撮りたいと認識したものが勝手に写るって……」
「あ……」
その意味を理解したソナタ。
難しく考え過ぎなのは君の悪い癖だぞ?と悠里が言うと……
「うん……うん……!」
「ちょっとソナタ!? なんで僕に抱きつくの!?」
嬉しかったのか、悠里に抱きつくソナタ。
まぁ……何はともあれ、パーレルのお祭り『パールバール』の記録は無事に成功したのであった……
余談だが。
「…ところで僕はいつまでこのまま?」
「も、もうちょっと……だけ……」
「「「「ソッナッタッ!!!(ちゃん!!!)」」」」
いつまで悠里に抱きついているんだと言わんばかりに、4人のマーメイドの少女達がソナタを引き離そうとしてた事をここに記す。
読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
今回のEDは『シャボン-ソナタver.-』をイメージしてください。