月の少年と5人のマーメイド   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回は予告通り、オリジナル回になります。
ちょっと暗めの展開もありますが、ご了承ください。

※今更ですが、悠里のイメージBGMをご紹介します。

イメージBGM:『星のカービィ64』のリップルスター・ステージセレクト

それではどうぞ。


第12話 小さな光となって輝いて

「…ここは……?」

 

目を覚ます悠里。

起き上がり辺りを見渡す……真っ白で虹色の渦のような物体が周囲を徘徊してるだけだった。他は特に何も無い。

 

「お目覚めですか? マスター」

 

聞き覚えのある声がした。

そこには、悠里のパートナーユニット……シャルがいた。

否、彼女1人だけではなかった……

 

「…レイ、ぺルラにペルル……それにフラッテにルミエも……」

 

レインディア、ぺルラ、ペルル、フラッテ、ルミエ……5人もいた。

5人共、シャルと同じく嬉しそうに微笑んでいた。

 

「ここはマスターの奥底にある精神世界です」

「…僕の?」

 

悠里の疑問に、はい。と頷くシャル。

言われてみれば、確かに精神世界っぽい……気がする。

 

「…僕が倒れたのって……カノンが結晶化したのと何か関係あったりするの?」

「ない……とは言い切れないんです」

 

悠里が倒れた理由がカノンの結晶化とは関係は無くはないと言うシャル。

 

「花音様……いらっしゃいますよね?」

「? かのちゃんがどうかしたの?」

 

急に花音の名前を口にしたシャル。

その表情は確信はないが、自分に言ってもいいのだろうか?と渋っていた。

とりあえず話を続けてと彼女に促す。

 

「私達の推測なんですが……花音様とカノン。『同名楔現象』と言います。マスターは2人に好かれていますから、この辺は省きますね? 具体的に言うと、どちらかに身体的苦痛、または精神的苦痛が起きた場合に、マスターにも影響が起こるんです。今回は、惑星クレイ側……つまりカノンですね」

 

少し考え込む悠里。

簡単に纏めると、自分に縁ある人物とユニットが偶々同名だったので、その影響が自分に降り注いだという事か。

地球では花音が。クレイではカノンが……どちらかに現象が起きると、悠里にも異常が起こるという仕組みらしい……あくまでシャルの推測らしいが。

 

……現に、倒れる前に強烈なめまいが襲われたので、本当なのかもしれないが。

 

「それと……マスターにこんな事をお願いするのは私達も図々しいと思っているのですが……」

「…何?」

 

言いにくそうにシャルは黙るが……意を決して悠里に向かい合い……

 

「マスター。私達のクレイを……いえ、私達のメガラニカを助けてください!」

 

真剣な表情で言った。

彼女のの瞳は薄っすらとだが涙ぐんでおり、他の5人も同じ表情だった……

 

「どういう事? メサイアとギーゼによる戦いは、この世界では終わってる筈だけど?」

 

悠里の言葉にシャル達は黙ってしまう。

パーレルの図書館で見つけたのだが、少し前まで、『創生の竜神メサイア』と『破壊の竜神ギーゼ』による大戦争が終わったばかりと書かれていた。

 

「マスターの仰る通り、あの戦いは確かに終わりました。ですが……」

 

その辺は彼女達も知ってる筈だ。

でなければ、悠里に『メガラニカを助けてくれ』なんて言わない筈だ。

きっと何か訳があると思ったからだ……

 

「ですが私達は見たんです。消滅した筈の()()()()()がメガラニカに打ち込まれたところを……」

 

破壊の竜骨。

それはギーゼの力が込められた楔の事である。

打ち込まれると、周囲の精霊を吸収して兵器と化す……つまり『ゼロスドラゴン』の出現を意味するのだ。

 

本来は、ギーゼの消滅と共に核である竜骨も消滅するのだが、シャル達は自分達でも信じたくないが、あの禍々しい楔は『破壊の竜骨』に間違いないという……

 

「…分かった。それをヴァンガードファイトでなんとかすればいいんでしょ?」

「えっ……あの……マスター、怒ってないんですか?」

「…なんで?」

 

悠里の反応にポカンとなるシャル達。

それを見て聞き返す悠里。なんで自分が怒らなきゃいけないのかと思ったが……

 

「私達……こんな大事な事をユーリに言わないで……先延ばしちゃったから……」

「…………」

 

レインディアがしゅんと落ち込みながら言う。

他の4人も同じ反応だった。フラッテは特に落ち込みが激しかった。それを言ったら、ルミエもだが……

 

「…………知ってたよ」

「「「「「えっ……?」」」」」

 

悠里の思いがけない言葉にシャル達は驚く。

 

「知ってたよ。シャル達が僕に何か言いたい事があるけど、なかなか言い出せないって。それに……クレイに僕が迷い込んだ原因ってシャル達でしょ?」

「気づいて……いたんですか……?」

 

その言葉に悠里は何年シャル達と一緒だったと思ってるの?と付け足す。

 

「迷い込んだ時にデッキが手元にあるとなると、だいたい察しはつくからね。だから別にシャル達を怒ったり、まして責めたりなんてしないよ」

「っ…………はいっ!」

 

悠里の偽りない言葉を聞いたシャル達は、涙を流しながら悠里に抱き付いた。

 

「…なってあげるさ。メガラニカの……安っぽい救世主(ネオンメサイア)に」

 

すると今度は眠気が襲ってきた。

それを見たシャル達は時間みたいですねと名残惜しそうに言うと、次に目が覚めた時の事を悠里に教えてくれた。

 

「マスターが次にお目覚めの時は、パーレルでは10年くらい経過してると思います。カノンの事なら、大丈夫だと思いますよ」

 

ですから安心してください♪

……と微笑みながら、悠里を見送った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…………」

 

知らない天井……と言うのがお約束なのだろうか?

身体を起こすと、そこはカノンの部屋ではなく、悠里が使わせてもらってる部屋だった。

あの時、倒れた際にソナタ達が自分を運んでくれたのだろうか……

 

「…あ。ひじきサンド」

 

テーブルにひじきサンドが置いてあった。

誰かが作っておいてくれたのだろう。ちょうどお腹が空いていたので、残さずに食べておく。

 

「…シャル。いる?」

『はい。マスター』

 

デッキケースの画面からシャルが現れた。

精神世界での会話のお陰か、デッキケースのユニット会話機能が普段以上に作動しているのが確認できた……

 

「破壊の竜骨が打ち込まれたのは……メガラニカで合ってる?」

『はい。正確には、アトランティア付近だと思います。ギリギリ郊外……と私も言いたんですが、打ち込まれたのはアトランティアだと割り切ってもらって大丈夫です』

 

アトランティアはマーメイド達が集まる都会だ。

破壊の竜骨が打ち込まれたのはメガラニカ。そして出現するゼロスドラゴンは……

 

「……メギドか」

『はい。どういう訳か絶海だけは、消滅時の目撃情報が少ないんです』

「他のゼロスドラゴンは、ギーゼと共に消滅したのが目撃されてるみたいだけど?」

『そちらの情報は、マスターの見解で合ってます』

 

シャル達が知り得る情報を基に、悠里は全ての持ち物を持ち寮を出る。

一応、ソナタ達は部屋にいるかどうか確認したのだが、もぬけの殻に近い状態だった。

下手したら、パーレルに居ないのかもしれないが……

 

「…パーレル自体は変わって……いや、雰囲気が変わってる」

『みたいですね。活気が以前よりもある……と言えばいいのでしょうか?』

 

ひとまず馴染みのある喫茶店、エスポワールに向かう悠里。

近くまで行くと、何やら人だかりができていた。

 

「…すみません。なんの集まりなんですか?」

「……? っ!! アルディさん! フェルマさん! ちょっと!」

 

近くにいたマーメイドの女性に悠里が話しかけると、女性は驚いて店内にいると思われるアルディと店主のフェルマに声をかけた。

一応、道を開けてもらい悠里は女性の後に続いて店内に入る……

 

「どうしたの? これからライブ中継が……っ!」

「まぁ……」

「お、おどろきら……」

「こりゃあ、たまげた」

「「「あーっ!!」」」

 

悠里の姿を見ると、店内にいた全員が驚きの声を上げた。

アザラシさんもいれば、気紛れでパーレルに来訪するマンタもいた。

面影のある3人のマーメイドの女の子が悠里を驚きの表情で指差していた……

 

「…カプリにアデル? それに……ナチュラ? 随分と大きくなったね……」

「「「ユーリ~~~!」」」

「…ぐっは……!?」

 

ロケットのように悠里に突撃してきた、元ちびっ子3人組。

思いっきり鳩尾に直撃し、危うく倒れそうになったのであった……

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「全く……ライブ中継が今日だという事にも驚いたけど、君が急に起きた事が今日一番の驚きだよ……」

「そう言わないの。あの日から10年経っても、ユーリ君は起きる気配がなかったんだから……」

「す、すみません……」

 

あの後、顔見知りから手痛いお小言を貰う破目になった悠里。

……今もだが。

確かに、次に目覚めた時は、10年の時が経過しているとシャルから聞かされていたが、アルディとフェルマの容姿が全く変わってないので、何とも言えないのである。

 

「…あの、さっきから言ってるライブ中継って?」

()()5()()のライブ中継なのだ。アトランティアでライブが行われるところなのだ」

 

コーダがテレビを直しながら悠里の質問に答える。

その5人が誰のかは察しがついた。つまりそういう事だろう……

 

「あら? ユーリ君、ライブは観て行かないの?」

「……起きて早々なんですが、今から僕、アトランティアに行かなきゃいけないんです。やらなきゃいけない事もあるし……もしかしたら5人にも会えるかもしれませんから……」

「……そう。ならこれを持って行きなさい。お弁当だけど」

 

表情を見て察したのか、フェルマは悠里にお弁当を渡した。

 

「手紙はどうする? あの子達に送っておこうか?」

「…アルディさんにお任せします。アトランティアにいるかもしれないって書いていただければ。5人共、忙しいかもしれないし」

 

5人への手紙はアルディに任せてもらい、行ってきますと言い、エスポワールを後にする悠里。

 

「…シャル。パーレルから出て、アトランティアに行くにはどうすればいい?」

『ここから東に進めば、行けますよ。道中は私達がマスターをご案内します』

「頼りにしてる。じゃ行こっか。アトランティアに」

『はい♪ マスター♪』

 

そして悠里は、パートナーユニット達と共に、迫りくる脅威……絶海のゼロスドラゴンからメガラニカを守る為、アトランティアに向かうのであった。




読んでいただきありがとうございます。      
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。


今回のEDは『シャボン-カラフル・パストラーレver.-』をイメージしてください。


※次回予告

自分の使命を果たす為、シャル達と共にアトランティアに着いた悠里。

予想を上回る賑やかな大都会。探索する悠里。

一方、アルディからの手紙で、悠里の事が書かれていて喜ぶソナタ達。彼がアトランティアにいるかもしれない事を知って、探しに行こうとなった5人。

果たして5人は無事に悠里と再会できるのか?

────次回、第13話『メガラニカの大都会 アトランティア』
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