続けての投稿です。
それではどうぞ。
…えっ? この作品のOP? 『Wonderland Girl』でいいんじゃないですか?
「…ここは……何処?」
悠里が周りを見て呟く。
見渡す限り……海、海……いや、正確には海底だ。
確か自分は高校2年生になって、最初の休日は何をして過ごそうかと思い、早めに就寝したのは覚えてる。
そして目が覚めたら、知らない場所……というか海の中にいた。
「…………」
試しに自分の頬を殴ってみる。
……地味に痛い。
どうやら夢ではないようだ。
「…服は……藍音学院の制服のままだ。そっか、制服のまま、昨日は寝ちゃったんだっけ」
次に持ち物。
デッキケースはある。あと生徒手帳と財布。
まぁ後は、超小型の工具と裁縫道具くらいだ……
「…海中なのに、なんで息ができるとかは気にしないでおこう」
他にも藍音学院の制服が特注で濡れないとはいえ、海中で息ができるという点ぐらいか……気にするのは……と悠里はそう判断した。
さて。
これからどうするか?と考えてた悠里の背後から僅かだが、音や声が聞こえた。振り返ると、珊瑚に囲まれた村らしきものが視えた。
「…なんだ。後ろは村だったんだ……あそこでここが何処だか訊いてみよう」
ちょっと安心した悠里は早速、手掛かりを探す為に村に向かうのであった……
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ここはパーレル村。
その村の一角に『エスポワール』というカフェがあった。
そこに2人の女性……マーメイドの女性が居た……
「まあ♪ いい香り」
「でしょう? 今年の新茶だから、先週摘んできたばかり」
店主であるマーメイドの女性がもう1人の女性に説明する。するとちょっと待っててと言い、棚に置いてある入れ物を取る。
「我が町パーレルが誇る特産品、珊瑚糖よ。お茶の香りが引き立つわ。お疲れの首長さんにはお勧め」
「やっぱり最高……フェルマ、ありがとう」
この村の首長、アルディが店主のフェルマに言う。
「日頃のお勤めでバタバタ過ごしちゃうから、こういう静かな時間は本当に────」
「今日絶対にクリームタルトね! 他の頼みそうになったらアタシの事、絶対に止めてね!?」
いいわねとアルディが言おうとした時、店の外から少女の声が聞こえてきた。
その声にフェルマも驚き顔。
「ソナタお願い」
「キャロさ、この間もそんな事言ってなかった?」
「今日は絶対に変えない!」
店の外では4人のマーメイドの少女達が移動していた。
その中の一人、ソナタがキャロの言葉に、この間も同じ事を言ってなかった?と訊く。キャロは今日は絶対に変えないと言った。
「好きなの頼めばいいんだよ」
「フィナちゃんは何にする?」
「あ。セレナは? わたしはセレナと一緒がいいな~」
好きなのを頼めばいいとキャロに言うフィナ。
その隣で、セレナがフィナは何がいいかを訊く。
「ええっ!? みんなで別々の方が楽しいよ! 絶対!」
「一口ちょうだいね♪」
「嫌だ。断る」
「うわぁ~、セレナが厳しい~」
ぶーぶーというキャロにソナタが自分のを少しあげるからと言った。
「よくもケーキ1つで、そんなに騒げるもんだね~……」
「だって大問題じゃないですか!」
「こんにちは~♪ アルディさん、フェルマさん」
4人の会話を聞いたアルディがやれやれと言う。
「気分じゃないケーキを間違えて食べた時のショックといったら……」
「ケーキでショックとか、ありえない」
「「「ありえるの~!!」」」
セレナがキャロにそう言うと、キャロとソナタ、フィナまでもが抗議した。
「はいはい、座って。入口で溜まって浮いてないの」
「「「「はーい」」」」
フェルマがそう言うと、4人はカフェの中に入った。
「学校は終わったの?」
「今日は午前中でお終いです~」
アルディの言葉にフィナが答える。
「そういえば、ここに来る途中で変な噂を聞いたぞ」
「「噂?」」
何かを思い出したのか、セレナが言った。
その言葉にアルディとフェルマが首を傾げる。
「…小耳にはさんだ程度だが、見た事もない服を着た人が聞き込みをしてるって……」
「それ、あたしも聞いた!」
セレナの噂の内容にソナタが一体どんな人なんだろうと言った時だった────
「あの。すみません、ちょっとお尋ねしたい事があるんですが────」
聞いた事のない声が入口から聞こえたので振り返ると、村では見たことのない服を着た1人の少年が立っていた。
「見た事もない服を着てて~……」
「聞き込みをしてる……って、この人だー!!」
フィナとキャロが噂の少年……悠里を見て言った。
件の悠里はと言うと……
「…………(一体どんな噂が流れていたんだろう?)」
噂の内容が内心気がかりだった。
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「はい。どうぞ♪」
「…あ。どうも、ありがとうございます」
フェルマから紅茶を貰い、お礼を言う悠里。
ちなみにソナタ、セレナ、フィナ、キャロの4人は、悠里に自己紹介をした後、アルディの頼み事をされ、ここには居ない。
最初は敬語で悠里に話してた4人だが、悠里が君らと同年代だから、敬語じゃなくてもいいよと言ったのは余談である……
「えーっと、聞き込みをしてる人がいるって噂で聞いたんけど……あ。あたしはこの村の首長のアルディよ」
「ご丁寧にどうも。僕は……悠里、水無月悠里と言います(南先生の声に似てるのは気のせい……かな?)」
目の前の人物というかマーメイドの女性が首長だった事に安心する悠里。
……同時に、アルディの声が幼馴染みの母親に似てるのは気のせいだろうかと思ったそうな。
「それで……何を聞きたいのかしら?」
「はい。あの……ここって何処なんですか?」
「? 変わった事を聞く子ね。ここはメガラニカにあるパーレル村よ」
「…メ、メガラニカ……? って事は……ここって惑星クレイ?」
それを聞いた悠里は、唖然とした。
自分がいる場所はなんと架空の世界『惑星クレイ』だった。
悠里が住む地球では、『ヴァンガード』というカードゲームが流行っている。その舞台となる架空の世界に来てしまったのだ……
「…目が覚めたら異世界転生とかシャレにならない。てかこれって異世界転生なのかな……?」
「い、イセカイテンセイって……何かしら? フェルマ、聞いた事ある?」
「さあ……流行りの言葉かしら?」
この場合、この世界の住人にどうやって説明すればいいかと思った悠里は思考を巡らす。すると数分で、思いついた。
とりあえず、世界地図みたいなものはありますか?と訊くと、フェルマが奥から持って来てくれた。
「…えっーと、信じてもらえないかもしれないですけど……僕はこの世界の住人じゃないんです。なんて言えばいいかな……地球……この世界だと『アース』って言えばいいんですかね」
「『アース』って確か、ユナイテッドサンクチュアリでよく聞く、もう1つの惑星よね……」
「ええ。確か、クレイとは縁ある星だって言い伝えであるわ……」
悠里が限りなく分かりやすくそう言うと、2人は聞いた事があるようだ。
良かった~、ヴァンガードやってて本当に良かった~と心底思った悠里だった……
「アルディさーん!」
するとソナタ達が戻ってきた。
しかも紫色の水晶体のような物を持ってきて。
「あらあらあら……」
「結晶現象を起こすなんて何があったの?」
水晶体の中には、
フェルマの言葉にそれを見た悠里が、結晶現象ってなんですか?と訊ねる。
「あたし達マーメイドは、心や身体に無理がかかると、こうなるらしいけど……実際はあまり見た事もなくて……」
それを聞いた悠里はマーメイド特有の現象なのかなと推測する。
「この子、どうしてアルディさんの所に?」
「あたしの
「貝殻姉妹……セレナとわたしみたいな?」
あ。
「…同じ貝殻から産まれた……言わば姉妹ですよね? この世界だと……ぺルラとペルルみたいな」
「まぁ♪ あの姉妹の事も知ってるなんて、物知りなのね♪」
「「「「この世界?」」」」
事情を知らない4人に悠里はざっくり説明する。
自分は、この世界の住人じゃないと。
全員、驚きの表情だったが。特にキャロ。
「そ。彼女とはしばらく会ってないんだけどね……」
「今……アトランティアに住んでるんだっけ? それでしばらく面倒を見て欲しいって言われてた……」
「えっ!? パーレルに住むの?」
アルディとフェルマの会話を聞いて、キャロがここに住むのかと訊ねる。
「まぁ、そうしたければね……本人の考えを聞かなきゃいけないけど」
そう言うと元々入ってた水晶体にヒビが更に入り、黒髪のマーメイドの少女がうっすらと目を覚まし始めた。
「おはよう、カノン。気分はどう? 出てこれる?」
アルディが黒髪のマーメイドの少女……カノンに呼びかける。
「…カノンって言うんですね。この子……僕の世界の幼馴染みと同じ名前で安心感があるなぁ……」
アルディから名前を聞いた悠里は、カノンの近くに寄り、元の世界でのクラゲが好きで迷子になりやすい幼馴染みを思い浮かべていた、その時だった。
「…………」
悠里と目が合うと水晶体が完全に割れ、悠里が次に気づいた時にはカノンに抱きつかれていた。
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「…あー、よく寝た………」
惑星クレイに迷い込んでからの後日。
悠里は背伸びしながら目を覚ました。あの後、元の世界に帰る手掛かりを探す間、寝泊まりはどうしようか?と悩んでいたら……
『それならユーリ、私達の寮に来ないか? 空き部屋があった筈だぞ』
『セレナ、ナイスアイディア!』
『さんせー。アタシ、ユーリの話とか聞いてみたーい』
『わぁ~♪ 賑やかになりそうだね~♪』
セレナの提案で彼女達4人が住む寮にしばらく住まわせてもらう事になったのだ。
とんとん拍子で。
カノンもそこで住む事になった。
ていうか、異世界の自分がそんな簡単に受け入れられるのかと思ってたら……
『首長さんからは聞いてるわ。必要最低限の家具は揃ってるから安心してね?』
セレナ達が住む寮の管理人のレジェが悠里とカノンの2人を快く受け入れてくれた。
ちなみに悠里が疲れていたのか、うっかり『暫くの間お世話になります、母さん』……とレジェに失言をしてしまい直ぐに謝ったが……
『いいのよ~♪ 息子ができたらこんな感じかしら~♪』
何故か上機嫌だったのは余談である。
「ユーリ~、朝ご飯みんなで食べよー?」
制服に着替え終わると、ソナタがやって来た。
後ろには、セレナ、フィナ、キャロ、カノンの4人もいた。
「…分かった。今行くよ」
朝早めに起きて内緒で作ったお弁当を持ち、5人について行く悠里。
「ここからだとパーレルがずっと見渡せるんだ! …まぁ……何も無いんだけど……」
「中で食べるより美味しい気がするっしょ!」
ソナタとキャロが言う。
連れてこられたのは、パーレル村の景色が見渡せる村の外。
「はい。これ♪」
「ありがと……」
「新ひじきのサンドイッチ持ってきた」
フィナからお皿を渡される悠里とカノン。
そしてセレナから、ひじきのサンドイッチを渡された。
もしかしてここの名産なの?と悠里が訊くと、自慢の名物だ!とドヤ顔で言うセレナ。
惑星クレイにも、海産物……特にひじきが存在する事に驚く悠里。
『いただきま~す』
さっそく食べ始める4人。
悠里もひじきのサンドイッチを口にする。レタスの食感、そしてひじきとアボカドが上手くマッチしていて今まで食べた事のない美味しさだった。
同時に新しいレシピを発見した瞬間であった……
「…美味しいなコレ……(カノンは……っ!?)」
悠里が横目でカノンを見ると、ひじきのサンドイッチをこれでもかってくらいの勢いで食べているカノンの姿があった。
「あはは……食べるのは好き?」
「好きっ……ですけど……」
「…こんな事もあろうかと僕も作ってきたんだけど……良かったらみんな食べて?」
少し多めに作ってきて良かったと悠里は言いながら、お弁当箱を5人の前で開ける。
「うわぁ~、美味しそう♪」
「た、食べていいのか?」
「…うん。遠慮しないで」
ちなみに悠里が作った手料理は5人に大好評だった。
特にセレナとフィナからは、料理を教えて欲しいと頼まれたのは余談である。
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「はいはい♪ 待ってたわよ。アルディに言われてるから、好きなものを食べて」
喫茶店、エスポワールにやって来た6人。
ソナタ曰く、昨日の頼まれ事をこなしたのに、ケーキをもらってなかったの事。
そういえばそんな事、言ってた気がする……と思った悠里。
「…やっぱりこの紅茶、美味しいです……フェルマさんが淹れてくれるというものありますが」
「あらあら♪ それは嬉しいわね♪」
ソナタ達5人が話してる間、悠里はカウンターで紅茶を飲んでいた。
外を見ると、大量のクラゲが移動していた。
「あらいけない。急いで。扉を閉めなきゃ。手伝って」
険しい顔をしたフェルマに言われ、店の扉を閉める。
その直後、巨大な海流が音を立てながら横切る……
海流が去った後、店の扉を開けた。
「…あれ? さっきより海面が綺麗に澄んでるね」
「細かい砂粒とか埃とか全部持っててくれるからね。だから、あたし……大海流はちょっと怖いけど……嫌いじゃない」
「そうなんだ? 僕も海流自体は嫌いじゃないよ」
悠里の疑問にソナタが答える。
なるほど、掃除屋みたいな役割を持ってるのかと納得した。
自分も海流自体は嫌いじゃない。
「大海流はいきなりやってきて、いきなり去っていくの。気を付けてね、カノンちゃん。ユーリ君」
「あ、はい……」
「分かりました」
そしてフェルマから、みんなにパーレル村を案内してもらったら?と言われ4人に案内してもらう事になったカノンと悠里であった。
「それにしても、あんなに大きいのは久しぶりだ……」
「普段は小さいの?」
「うん。いつもは音も小さいし、さっきみたいな地鳴りも鳴らないんだよ」
セレナの言葉に悠里が訊くとフィナが答える。
「あーあー。木が倒れてる……」
キャロの言葉に悠里が視線を向けると、珊瑚で出来た木がなぎ倒されていた。
近くに行って見ると何かの建物の屋根が確認できた……
「なにこれ~?」
「えっと……今まで並木で塞がれて、入口が視えなかったって事?」
敷地内に入りながら、フィナの疑問にセレナが答える。
「ここは何?」
「わかんない……」
「…見た感じ、年季が入ってるみたいだし、随分と放置されたっぽいけど……」
悠里は5人にそう言いながら、扉に触れ開けてみる。
鍵はかかっておらず、簡単に開いた……
「また扉だ……」
中に入ると、また扉があった。
最初に思った事は自分の世界にある一昔前の映画館に近かった……
「劇場だ……」
キャロが言う。
薄暗くてはっきりと分からないが、劇場のようだ。
「ねぇ。これ……」
「映写機! 本で読んだ事がある……」
ソナタとセレナが映写機を発見した。
悠里の世界にも西洋風なデザインだった……
「これで映画を上映するの?」
「…多分ね」
「どうやって?」
「…こういうのは大抵、近くに起動させるスイッチがある筈なんだけど……」
悠里がそう言いながら考えると、ソナタが何かを発見したようだ。
見たところ、水晶玉に見えるが……
「…ソナタ? どうしたの……って、何これ? 水晶……?」
「キネオーブです。この中に映画が入ってるんです」
「…僕の世界で例えるとフィルムか。カノン、これってどうやって動かせるの?」
「はい。ユーリが触れれば、動く筈です」
カノンがそう言うと、悠里はキネオーブに触れてみた。
すると映写機が動き出した。
先程まで暗かった風景は、明るさを取り戻し……映像にはマーメイドが映されていた。
読んでいただきありがとうございます。
あー、みんなの口調、難しかった……(特に一人称が)
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
EDは『シャボン-ソナタver.-』をイメージしてください。
本日はありがとうございました。