楽しんでいただければ幸いです。
それではどうぞ。
劇場の奥で映写機を見つけた6人。
悠里が映写機に触れて、映像が流れ始めたがほんの数分で終わってしまった……
「…………」
「ソナタ? どうしたの?」
悠里が隣にいるソナタに声をかけるが、彼女はボーっとしていた。
他の4人も声をかけるが反応なし。
「…えいっ」
「めっ!?」
とりあえずソナタにデコピンする悠里。
突然の事に周りを見て現実に戻るソナタ。
「ユーリがデコピン………」
「セレナのチョップより痛そ~」
その光景を見てセレナとキャロがそれぞれ述べた。
先程の映像をもう一度見たいとソナタが言ったが、とりあえず映写機を見てみないと解らないと悠里とセレナが言った。
「「…………」」
「セレナ~、ユーリ~、直せないの?」
「私を全知全能の完璧な神だと思われては困るよ」
「…こればかりはね。それにセレナ、この場合は全知全能の完璧な可愛い人魚……という表現が僕は正しいと思う」
「か、かわっ!? ほ、褒めたって何も出ないぞ!」
悠里が澄まし顔でセレナに可愛いと言ったので、顔を赤くするセレナ。正直な事を言っただけなんだけど……と悠里が追い打ちをかけるとセレナは更に真っ赤になった。
「直せないって事だね。しかもセレナ、顔が真っ赤だ~」
「~~~っ!? ふんっ!!」
「痛った~!?」
キャロに指摘され、チョップをかますセレナ。
「叩いたら直らないかな? 直れ! 動け!」
「ソナタ、テレビじゃないんだから止めておいた方がいいよ。映写機は精密機械だし……」
「ユーリの言う通りだぞ。それにこれはかなり古っぽいし、扱いには注意しないと……」
映写機を斜めに叩くソナタに、悠里とセレナが止める。
とりあえずここを出ようとなった6人だった。
「残念だったね~、ソナタちゃん」
「仕方がない。世の中には出来る事と出来ない事がある」
「…誰にだって、得手不得手はあるよ。映写機があったというのも僕的には収穫だったし」
フィナ、セレナ、悠里が答える。
「セレナのお裁縫とか、フィナの数学とかね」
「キャロちゃん、ひっど~い!」
「キャロにチョップしていいぞ。フィナちゃん」
それを聞いたキャロは止めて~!?と言いながら逃げ回る。待て~と言いながら追いかけるフィナ。
「そうだ!」
「どうしたんですか?」
「分からないんだったら、分かる人に訊けばいいんじゃない?」
ソナタの思い付きを聞いて、確かに一理あるねと頷く悠里。
「分かる人? 誰?」
「それは……パーレルの誰か……」
「遠回りな方法だな……」
「うぅ……」
「…ソナタ、そんな顔しないの。僕も乗り掛かった舟だし手伝うよ」
「本当!? ユーリ、ありがとう♪」
嬉しさのあまり、悠里に抱きつくソナタ。
分かったから年頃の女の子が異性に抱きつくんじゃないとソナタに注意する悠里。
「あっ。う、うん……でも……あたしは嫌じゃなかったな……」
「…仕方ない。私も手伝おう(…なんかムカムカするな……この気持ちは一体なんだ?)」
そして流れで、キャロ、フィナ、カノンも手伝うと言った。
「まず機械ものに詳しそうなコーダさんでしょ。それからパーレルの歴史を知ってそうなのはシャンテさんかな。よし……うわてっ!?」
詳しそうな人達を指で数えるソナタ。後ろを向きながら移動してたせいか誰かとぶつかってしまった……
その正体は村の首長のアルディだった。
「あ、アルディさん!?」
「さっきの大海流のせいか。まぁでも、おんぼろ映画館だ。この程度で済んで良かった」
「アルディさん、ここの事、知ってるんですか?」
ソナタが訊くと、アルディは知ってるも何も昔は何度も観に来たもんだと言う。
しかし設備が古くなって客足が減り、随分前に閉館になったとの事。
「閉館……」
「そ。さ、みんな出て。ここは立ち入り禁止だよ」
「え!? やだ! こんな素敵なところ……どうして立ち入り禁止にするんですか?」
「どうしてって……もうずっと使われていなかったんだし。第一、何か事故が起こって怪我をしたら危ないだろう?」
「でも……」
ソナタが何か言おうとした時、二階の階段の手すりの一部が取れ地面に落ちた。
「ほら。こういう事。さっさと出て」
言われるがまま、悠里達は外に出た。
入口に鍵をかけたアルディは、他の場所を見回って来ると言い、このまま真っ直ぐに寮に戻りなさいと悠里達に言った。
「カノン」
「?」
「カノンにも荷物が届いていたよ。それをちゃんと片付けるようにね?」
「あ。はい……」
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「残念だったねー……せっかく楽しそうなところ見つけたのに」
「でもアルディさんの言う事は尤もだ……」
「そんな危ないかなぁ~?」
寮に戻る最中、キャロ、セレナ、フィナが言った。
「……(やっぱり気になるよね)」
カノンがソナタに声をかけるが、やはり先程の映画館が気になるんだろうなと悠里は思った。
「ソナタちゃん、映画館の事、気になるの~?」
「なるよー。でも、しょうがないよね。アルディさんが禁止って言うんだもんね。それより、カノンの荷物」
気になるけど禁止って言われたんだし、しょうがないよと言うソナタ。
「お菓子とか入ってないかなぁー? 一口ちょうだい? その代わり、お片付け手伝ってあげる」
「え?」
「呆れた。キャロはカノンのおこぼれに預かるつもりだぞ……」
「だって~。都会のお菓子とか気にならない? きっとすっごくオシャレなんだと思うなー♪」
キャロの言葉を聞いて悠里は、よっぽどお菓子が好きなんだなーと呆れながらも思った。
「片付けは1人で出来ます」
「断られた……」
「でも、お菓子が入ってたら一緒に食べましょ」
「やったー♪」
カノンとキャロのやり取りを見て悠里は、ちょうど仕上げれば完成しそうなお菓子があったのを思い出したので、寮に戻ったら作ろうと思った。
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「…よし。後はバケットに詰めて完成」
寮に戻り、お菓子を完成させた悠里。
お菓子……と言ってもクッキーだが。悠里が作ったクッキーは、卵を使わない『スノーボール』、卵白を使った『メレンゲクッキー』、よく作る『紅茶クッキー』、口の中で解ける『ソフトクッキー』、幼馴染みからも好評だった悠里のオリジナル『レモンクッキー』の5種類。
後は貝殻の形をしたバターケーキの『マドレーヌ』。
フレーバーティーのように、5種類の味を悠里が独自に作ったのだ。バターの調節が大変なのが難しいのだが。
「…さて。ちょっと持って行こうかな……」
片付けをちゃちゃっと終わらせバケットを持つ。
ここからだと、カノンとソナタがいる部屋が近いかなと考えながら悠里は移動する。
……今更だが、この世界での水中移動にも慣れたものだ。
そんな事を思ってると、カノンと会った。
彼女もソナタに用があったらしく、一緒に行く事に。
「…ソナタ? いる? 入るよ……あれ?」
「お出かけ……でしょうか……?」
ソナタの部屋に入ると彼女はいなかった。
それを見たカノンが出かけてるんじゃないかと言うが、こんな時間にどこに行ったのだろうと考える。
「…とりあえずソナタが行きそうなところ行こうか」
昼間の出来事を思い出した悠里はカノンを連れて、ソナタが行きそうな場所に向かうのであった。
2人がやって来たのは、アルディに立ち入り禁止と言われた映画館。
「…入口は開けてもいいけど、やっぱりこういう時は……」
「どうするんですか?」
「他の場所から入る。例えば……」
そう言うと悠里は映画館の左側に移動する。
カノンもそれに続くと、悠里が窓を押した。
「開いた……」
「…こういうのは窓側が手薄なんだよ。ソナタも多分こうやって入ったんじゃないかな……」
やれやれと言いながらも悠里は中に入り、カノンの手を引く。
「あっ……ありがとう……ございます」
何故かカノンが顔を赤くし俯きながら悠里にお礼を言うが、気にしなくていいよと言った。
「…さっき明かりみたいなのが一瞬視えたから……多分この辺に……」
悠里がそう言った時だった。
カノンが何かを掴んでしまい、驚きのあまり悲鳴を上げ悠里にしがみついた。
「しーっ! 静かにっ! あたしよ、あたし」
その正体はソナタだった。
どうやら先程カノンが掴んだ何かは、ソナタの髪の毛だったようだ……
「ユーリとカノンも……なんでここに来たの?」
「ソナタに用があってカノンと部屋に行ったんだけど、ソナタがいなかったから。ここにいるだろうと思って」
「えっ? なんですぐに分かったの?」
「「普通に」」
息ピッタリに言う悠里とカノンにへこむソナタ。
「どうしよう~……アルディさんにバレたら~……」
「…言わないから、安心して。自分で言うのはアレだけど、僕は口が堅いって事は自負してるから……」
「私も絶対に言いません」
ソナタを落ちつかせるまで、少し時間がかかったのであった。
「あ。私が箱ごと押し潰しちゃったから……形がちょっと……」
「全然大丈夫。美味しい」
「うん。凄く美味しい……」
「良かったです……」
3人は外に出て屋根で、カノンが持って来たマドレーヌを食べていた。
形が崩れても、味が変わるわけじゃないからと悠里が付け加える。
「手伝ってくれる……のは嬉しいけど……なんで?」
「それは……結晶の中でもうずっと眠っていたいと思っていた時に小さな声が聞こえてきて……」
「……?」
ソナタの問いにカノンは悠里を見る。
視線に気づいた悠里は首を傾げた。
「…何の声?」
「多分、ユーリの。その声がとても優しくて、それと初めての筈なのに懐かしくて。だから私……外に出ようと思って」
「…そうかな? ソナタ達の方が優しいと思うけど……」
「「~~~っ……」」
カノンに言われ、悠里は別に自分はそんな事ないし、ソナタ達の方が優しいと思うよ?と言った。
面と向かって言われたソナタとカノンは顔を赤くする。
「こ、このマドレーヌ……ほ、本当に美味しいね?」
「そうだね」
「もっと食べてください。ユーリも」
じゃあもう1個だけ貰おうかなとマドレーヌに悠里が手を出した時……
「こら!」
横からセレナが現れた。
ソナタとカノンも驚く。後ろを見ると、フィナとキャロ。そしてフィナと一緒にいるカワウソのポコもいた。
「みんな!?」
「ソナタちゃんもいなかったから、ここだと思って……」
「お菓子、3人だけ禁止!」
キャロが悠里達だけでお菓子食べるなんてズルイと言うので……
「…はいはい。みんなの口に合うかどうか分かんないけど、僕もお菓子作ってきたから……」
機嫌治してよと言いながら、悠里は持って来たバケットを取り出し、中を開ける。
「「「「「うわあ~~~♪」」」」」
全員寄ってきて目を輝かせていた。
「なんですぐ分かったの?」
「それはだって……」
「普通に」
「ふ、普通に……」
「ねぇ~」
悠里とカノンと同じく、セレナ達も普通に分かったと言う。
それを聞いたソナタはこんなに簡単に分かっちゃうなんて……と軽くショックを受けていた。
「アルディさんにだって、すぐバレそう……」
「大丈夫! アタシ達が手伝うからさ!」
「いつもはみんなの事を一番に考えて、あんまり自分の事を言わないじゃないか」
「ソナタちゃんが珍しくやりたいって言い出した事なんだもの。手伝わせて♪」
キャロ、セレナ、フィナが言う。
ソナタがありがとうと言おうとしたが……
「なんだこれは!? クッキーなのに、レモンの味が口の中に広がるぞ! 後味も良い!」
「こっちのクッキー、まるで紅茶を飲んでるみたい~♪」
「このクッキー、美味しい! 口に入れると解けるから何個でも食べれそう♪」
悠里が作ったクッキーに夢中だった。
「あたしより、ユーリが作ったお菓子の方がいいんだ~~!?」
ソナタが叫ぶ。
ちなみに悠里が何か気に入ったのあったかと言うと、5人はどれも美味しいけど特に『レモンクッキー』が大好評だった。
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そして後日。
6人とはパーレルの広場に集まっていた。
「考えたのだが……短期決戦でいくべきだ」
「さっすがセレナ。作戦本部長」
「時間かけてるとバレちゃうもんね?」
「アルディさんのぐりぐり嫌だー!」
「…てか、ぐりぐりって何? 僕、初めて聞く単語なんだけど……」
「悪い事したり、怒らせたりすると、拳骨で、ここんとこをぐりぐり~……」
「涙が出そうです~……」
カノンがそう言うとセレナがこほんと1度咳払い。
「ぐりぐりを回避する為に、二手に分かれて調査を開始する」
「…妥当な作戦だね。役割分担はどうするの?」
「ソナタ、カノン、キャロは図書館で映画館の歴史を調べる。私とフィナちゃん、ユーリはコーダさんのところに。映写機やキネオーブの事について聞き込み」
セレナがそれぞれの役割を指示する。
悠里はセレナとフィナと一緒だ。
「…短期決戦ってセレナは言ってたけど、みんな。分かってると思うけど……バレずに行動する事」
「そうだぞ。バレたら……ぐりぐりが倍になるかもだぞ!」
「あら♪ みんなお揃いね」
悠里とセレナが注意すると、フェルマが6人に声をかけてきた。
なんというタイミングである……
「こ、こんにちは、フェルマさん」
「寄らないの? 今日は久しぶりにスフレを焼いたのよ」
「えー♪」
「スフレー!?」
スフレという単語に釣られるキャロとカノン。
「「…ふんっ!!」」
「「痛ぁー……」」
すかさず2人にチョップをかます悠里とセレナ。
しかも息ピッタリである……
「フェルマさん、今日はちょっと勉強しなくてはならない事があるので……」
「そうなんです。僕もパーレルに来て浅いから、セレナ達に教えてもらう約束があるので……せっかくのお誘いで申し訳ないですが……みんな。早く行こ? 時間は有限なんだから!」
セレナの説明に合わせる為、悠里が尤もらしい理由をフェルマに伝える。
そして隣にいたフィナに目線で合図を送る……
「失礼します~」
とりあえずある程度の距離まで離れ、セレナが伝えた通り、二手に分かれて各々行動を開始するのであった。
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夕方近くになり事前に決めた場所に集まる一同。
「…ソナタ、収穫はどうだった?」
「映画館はパーレルの経営で、毎日お休み無しで上映してたらしいよ」
「古い写真もあった」
キャロが写真を見せる。
それを見た悠里は、大分あの映画館が古いというのを理解した。
絶対に10年以上は経過しているだろうと思った。
「ユーリ達は?」
「えっと……」
「コーダさんの話……長かった~……」
フィナがコーダに貸してもらった機械を2つ取り出す。
「何コレ?」
「コーダさんのコレクション。映写機をうにゃうにゃうにゃ~するんだって~……」
「うにゃうにゃって……何?」
「とりあえず専門用語だったって言っておくよ……」
「素直に映写機を直して欲しいなんて言えないからな。ユーリが上手く説得してくれたからというのもあるんだぞ」
その後、悠里達は寮に戻り、マニュアルをセレナと読んだ。
「それにしてもユーリって、この世界の言語とか解るの?」
「僕の世界でも一部の予備知識としてマーメイド用語があったからね。暇だから、シャルに教わった事があるんだ」
「シャルって誰?」
ソナタに聞かれたので、悠里はマーメイド用語について答える。
地球で『バミューダ△』を使ってるファイターのみだが、マーメイド用語の本が貰えてたので、その時に相棒だったユニットのシャルに教わった。
「……シャルは人間の父親とマーメイドの母親の間に生まれたハーフマーメイドで、この世界だと『初のセレブアイドル』で有名な筈だけど……」
「知ってるぞ! 確か私達と同年代で、レインディアさんやリヴィエールさんと同じ伝説のアイドル!」
シャルについて軽く説明すると、セレナが興奮気味に言った。
確かにシャルは、レインディアやリヴィエール、エリーのように有名ではないですが、私の歌が好きだという人もいましたと言っていた。
昔と変わらず今も『私はマスターだけの歌姫です♪』と悠里に言うのだ。
そう思ってると落ち着いたのか、
セレナが一度このマニュアルと照らし合わせて試したい事があると言ったので、悠里もそれが良いと言った。
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再び映画館にやって来た6人。
どうやら映写機に仕掛けがあるとマニュアルに書いてあったのだ。
マニュアル通りにボタンを押すと、扉が開いた。
「……(なるほど。地下通路か)」
これだけの広さなら納得する悠里。
道なりに進むと、物置のような場所を見つけた。
「キネオーブがこんなにたくさん……」
「割れてるー……」
キネオーブだった。
だが、ところどころ割れてたり、良くてヒビが入っていたのだ。
「棚から落ちたって割には……」
「そうだな。管理が悪かったせいだろう……」
悠里とセレナが分析していた時……
「出てきなさい!!」
後ろからアルディが現れた。
まずい。これ完全に見つかったと思った一同だった。
「フェルマから様子がおかしいと聞いて来て見れば……案の定だ!」
説教を受ける悠里達。
アルディの後ろにはフェルマもいた。
よくよく考えたら、悠里はソナタがポーカーフェイスが苦手なのを忘れていた。おそらくフェルマはそこに気付いたんだろう……
「言っただろう。ここは立ち入り禁止だ。建物自体を解体するしかない」
「ダメっ! ダメっていうか……あの、嫌っていうか……」
「どうしてこの古い映画館に拘る。隣町に行けば、最新鋭の映画館があるだろう?」
尤もらしい理由に、ソナタもそうかもしれないけど……と言うが。
「この1つ1つに、わくわくやドキドキがたくさん詰まっていて……でもっ!! それが誰の目にも映らないなんて……」
「可哀想……」
「寂しいよ……」
「つまんない」
「損失だ」
ソナタに続いてカノン、フィナ、キャロ、セレナもそれぞれ言う。
「お願いです! あたし達、みんなに映画を観てもらいたいんです! 私が……私達が見せてあげたいんです! この映画館を……あたし達にください!」
「く、ください!?」
ソナタのとんでもないお願いを聞いて驚愕するアルディ。
そこで悠里も一言いいですか?と言う。
「…ソナタ達、本気なんです。部外者……いえ、この世界の住人じゃない僕が言うのは図々しいのは百も承知です。僕が言っても説得力は────『いいえ。そんな事ありません』」
悠里が説得力はないと言おうとした時、誰かがそれを遮った。
突然の事に驚く一同……
すると悠里の懐のデッキケースから
光が収まると、そこには白いドレスを着こなし、金色のウェーブ髪をたなびかせる1人のマーメイドの少女が居た。
「…シャル……?」
「はい。マスター……」
彼女は地球では悠里だけのパートナーで、惑星クレイのマーメイド達の間では伝説と言われる歌姫……シャルロットだったのだから。
「先程の話はマスターを通じて聞いておりました。首長さんの言う事は尤もだと思います。ですが私は彼女達5人にやらせてあげてもいいと思います」
「どうしてそこまで……」
「私の……いえ。
シャルがそう言うと再び悠里のデッキケースからカードが飛び出し、蒼のドレスを着こなした銀髪のマーメイドの女性がシャルの隣に現れた。
「れ、レインディアさんだ……ど、どうしようフィナちゃん……」
「せ、セレナ、落ち着いて~……」
セレナがあわあわと驚く。
そう。シャルと同じく、悠里だけのパートナーで『深遠の唄姫』と言われる伝説の歌姫、レインディアだったのだから……
「この様な形で出てしまい申し訳ありません。ですが私もシャルと同じです。ユーリは私が新人だった時からも見捨てず、優しく接してくれました。彼が彼女達5人を信じると言ったんです。ならば私達は迷わず信じます。ユーリは私達のマスターですから」
シャルに続いて彼女ははっきりとアルディにそう言い切った。
「うっふふふふ……♪ こんな大きなおねだり聞いた事ないわ。しかも伝説の歌姫2人に言われたら断れないんじゃないの?」
フェルマにもそう言われてアルディは溜息を吐く。
「認める訳にはいかない。ここは村の物だ。勝手に君らにあげる訳にはいかない」
やはり無理なのかなと悠里も思った時……
「ただし……この映画館を管理する係に任命する。週に1度、状況を報告する事。いいね?」
「アルディさーん」
条件付き……ソナタ達5人を映画館の管理人するという条件で許可した。
「報告を忘れたらペナルティだから」
そのペナルティ……ぐりぐりだと聞いて、ソナタ達は頭を反射的に抑えてた。
「…ありがとね。シャル。レインディアも」
「はい♪」
「ふふっ♪ レイって呼んでも良いのよ。昔みたいに。私は貴方だけの歌姫なんだから」
「……分かったよ、レイ」
喜んでる5人達を見ながら、悠里と歌姫2人はそんな事を喋ってたそうな。
読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
今回のEDは『シャボン-フィナver.-』をイメージしてください。