デュランに転生したから、本気でマナの樹を守ってみる   作:縁の下

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読む前にプイプイ草を準備しとこう。






第二話 未来の人の話を考えたけど、わけわからんから大事なことだけ覚えてみる

 

 

 

 父の訃報を聞いて1ヶ月が経った。やはり、竜帝の手によって黒耀の騎士となってしまうのだろうか、と、そのことばかり考えてしまう。

 

 やれることをやろうと、家族の手伝いと修業を日課に生活する毎日だ。

 原作ではいまいちわからなかったが、騎士の家系であることから、毎月収入があったようだ。黄金の騎士の家の大きさは、周りと比べるとやや造りも立派に見える。

 

 もう少し大きくなったら、畑仕事に行く子どもや商人としての勉強を始めるものがいる中で、騎士の家系は剣術を修めるのがフォルセナの主流らしい。

 

 まぁ、うちには畑がないから、騎士として身を立てるしかないわけだが、原作の設定だと傭兵となっていたのがいまいちわからない。

 

 それはいいとして、今後の方針だ。

 

 まず、王子に話を聞きたい。ペダンや、最後の戦いのことだ。

 未来の俺は何を託したのか、それがこれからの旅に大きく影響するはず。

 

 それから、マナの樹を守ると決めた以上、原作を効率よく進める必要がある。

 

 つまり、早いうちから精霊に助力を請おうということだ。

 

 結局のところ、裏で暗躍していた敵が聖域の入り口を開くために、マナストーンの解放をしてしまうことが問題なのだと思う。そのせいで、世界のマナのバランスが崩れてしまったわけだから……。

 もちろん、神獣から力を取り込もうという一石二鳥も狙っていたことは間違いないだろう。

 

 とりあえずの方針は、奴らが動き出し、マナの大変動が起き始める前に出来るだけ精霊を集め、聖域に向かう準備をすることが大事かな。

 

 先にマナの剣を手に入れ、かつ、暗躍している敵を倒すこと、が勝利条件となるのだろうか。

 

 うーん、できるのか、それ?

 

 そもそもマナの聖域で敵が三つ巴でやりあったから、倒す勢力がひとつで済んだって考えることもできる。

 

 奴らが共闘することはないのだろうけど、それぞれ潰していくのは難しい。

 仮面の導師と、黒の貴公子だっけ。

 黒の貴公子はマナの剣がなければ復活しないから、こいつは問題ない。

 仮面の導師に関してはよくわからないんだよな。竜帝にやられるくらいなわけだが……。これに関しては手足のように動いている死を喰らう男を倒せばいいのか?

 

 たしか、ヒースというウェンデルの神官が死を喰らう男にさらわれるという出来事が、主人公の一人、シャルロットのプロローグにあったはずだ。それを阻止できれば、仮面の導師の企みを一つ潰せるかな。

 

 じゃあ、精霊集めと並行して、聖都ウェンデルへ向かい、ヒースに警告すること。あとは、ナバールがローラントを襲撃して王子をさらうのも阻止できれば、黒の貴公子側にも打撃になるか。

 

 残る問題だが、紅蓮の魔道士の方もなんとかしないとダメか。17歳の剣術大会までに、奴を倒すくらい強くなれるのかってとこだが。

 ラスボス前の敵にクラス1の強さでは難しいだろうな……。

 

 やはり、マナの剣を最速で手に入れる必要を感じるけど……。でも、フェアリーに選ばれなければマナの剣って抜けないわけで。

 

 前提として、マナの剣を抜かなけりゃ安全って考えは捨てた方がいいか。マナの剣を変質させるような力を持った奴らだし、手間をかければ剣を手に入れられる可能性だってある。

 

 あの聖域の戦いでそうしなかったのは、三つ巴の戦いのあと、すぐに主人公たちが来たからと考えることができる。

 

 自分たちが用意したなんらかの手段よりも、抜いた聖剣を奪う方が効率的だから、とか。

 まさか、邪悪な自分たちがマナの剣を抜くことができないという前提を知らないなんて話はないだろうからな。

 でなけりゃ初めからマナの剣を狙ったりなんかしないだろうし。

 

 あー!考えることもやることも多すぎ!

 

 ちょっと可能性を度外視して考えてみるか。例えば、最短はこんなんかな?

 

 紅蓮の魔道士と出会い、倒す。

 竜帝は力を取り戻せない。ドラゴンズホールにいるだろうから退治。

 死を喰らう男からヒースを助け、かつ、奴を倒す。敵陣営、動けなくなる?

 美獣をローラントか、火炎の谷で倒す、かつ邪眼の伯爵を火山島ブッカで倒す。

 敵陣営動けなくなる?

 

 うーん、あんまいい手じゃないか。そのあと黒幕がどう動くか予想できないし、どこに隠れてるかも知らないし。

 てか、やっぱり紅蓮の魔道士をそのときまでに倒す実力がつかないだろうから、破綻しているし、他にも突っ込みどころ多すぎ。

 何が最短なのか。って感じだわ。

 

 じゃあやっぱり、マナの聖域までは俺が入り口を開いてご招待からの、マナの剣は手に入れさせずに三つ巴をさせて、かつ、マナストーンに手を出させない。

 

 これかな?

 

 あれ、てかこれしかなくない?

 

 三つ巴で潰しあって一勢力になったあと、仮にマナストーンを放出されて、神獣退治をしたとしても、マナの剣は抑えてるから超神化されることもないし……。

 それに、聖域への扉が開いたら、剣を手に入れることが最優先になるから、マナストーンの解放もいったん中止するんじゃないか?

 

 あとはフェアリー誘拐さえ回避すれば、有利な状況になるはずだ。

 

 ということはやっぱり、マナの剣まで最短を目指すのがベストか。

 あとは各地の精霊が素直に力を貸してくれるかどうかだな。

 

 うーん。

 

 

 

 

 

 

 そんなふうに毎日頭を悩ませていたある日、リチャード王子がなんの前触れもなく訪ねてきた。

 

 そんなにほいほい城を空けて大丈夫なのかと思わなくはないが、以前よりもやつれた顔つきに、深刻そうな表情で現れたこともあり、俺の緊張感も高まる。

 

 戦後のごたごたをいったん落ち着かせてきたって肌で感じる。というか、察する。

 時間がないのか、挨拶もしないうちに王子が切り出した。

 

「デュランよ、少し2人で話がある」

「は、はい」

 

 母は複雑そうな顔をしていたが、俺は大丈夫と一声掛けて、母はウェンディを連れて二階へと上がって行った。

 

「お礼を言うのが遅くなりましたが、殿下のお気遣いのおかげで、母の命が救われました。本当にありがとうございました」

「……よい。まさかもうすぐ6歳になるだけという童に、そのようなことを言われるとはな……。ロキもさぞかし将来を期待したことであろうに」

「……そんなことは」

 

 しまった。不意のことでちょっと言葉に詰まってしまった。

 失言と思ったのか、咳払いをすると王子が言葉を切り出した。

 

「今日来たのは、デュランが聞いたという神託のことだ。あの日、ペダンで確かにお前のいう『デュラン』に会った」

「本当ですか⁉︎ その者は、一体何を話したのか、教えてください!」

「うむ。まぁ、いろいろあってな。その者から、お前への伝言を頼まれていたのだが、落ち着いてから折りを見て話そうと思っていたのだ。内容はこうだった。『全ての仲間を集めろ』、それから、『常識に囚われるな』、最後に何のことかはわからぬが、『俺のルートは失敗だった。向かうべきはペダンではない、主人公はお前だ』と」

 

 は?

 

「俺のルートは失敗だった、とは?」

 

「わからぬ。が、そう話した後に、まるでそこに誰もいなかったように忽然と姿を消してしまった」

 

 いや、おいおい、失敗だった原因は何だったのかわからんとまた同じ失敗をするだろ!未来の俺何してんの!

 

 報告、連絡、相談のホウレンソウをちゃんとしてくれよー!

 

「ほ、他には何かありませんでしたか?」

「それ以外はない」

「そうですか……。では、父は『デュラン』を見て、なんと?」

「——いい面構えをしている、まるで息子の成長した姿のようだ、とな。そのあとで、デュランはこの剣士を超えるだろうと、笑っていたよ」

「父がそんなことを……」

 

 それも未来の俺なんだけど、それを更に超えろって、なかなか無茶を言ってくれる。思わず笑みがこぼれてしまう。

 

「ハハッ、さすがに嬉しそうだな。お前が笑うのを見られると我も嬉しいぞ」

「すみません、少し、いや、だいぶ嬉しくて」

「……あれは、お前の未来の姿か、いや、未来のお前が何らかの力であの場に居合わせたのだろう?」

「それは——」

「よい。それもマナの女神のお導きであろう。目的は、父の死を食い止めるため、か。しかし、向こうのデュランは、我らに策を与える前にお前への伝言を残して消えてしまった。きっと、その行動にこそ、意味があるはずだ。父の死よりも、もっと重大な真実が、な。それを考え続けるのだ、デュラン!」

 

 そうか。そうかもしれない。意味がない行動をするはずがない。

 たぶん、一周だけでは無理なことが起きたんだ。だから、俺は父を救うことよりも、この周期を生かす道を選んだ。

 あるいは父を救う道はなかったからかもしれないけど、そのことを考えるのはやめよう。

 

 運命の賽は投げられたのだ。

 

「——我の話はこれで終わりだ」

「貴重なお話をありがとうございました」

「時が来たら、そうだな、お前が旅に出るときには必ず我に相談に来るのだ。女神の神託により、いずれそうなる日が来る予感がするのだ。そのときまで腕を磨けよ」

「——御意。必ずや殿下の前に参ずることを約束致します」

 

 こうして、王子との二度目の邂逅を終えた。

 王子がさっ、とフードを目深にかぶって人混みに消える。身のこなしもそうだが、気配を消すことにも長けていることにさすがと思わずにはいられない。

 

 さて、大事な話は聞けたが、考えることが多いな。

 一個一個懸念事項を潰していくしかない、か。

 

 『全ての仲間を集めろ』ね。その発想はなかった。思えば全員がクラス3になれるような逸材なわけだし、父や王子もきっとクラス3のロードかパラディンであろうことは想像できる。最後の敵と戦うのに、そのくらいの戦力が必要になるってわけだ。

 

 それに仲間にしていいのが3人って制限もないからな。

 

 『常識に囚われるな』ってのは、よくわからないが、原作知識に囚われすぎるなって意味にも感じられる。俺から俺への伝言だから、普通の意味であるはずがない。たぶんそういう意味であろうが、何に対してなのかは推測していくしかない。

 

 仲間集めにしてもそうだからな。常に疑っていこう。

 

 ただ、問題は3つ目だ。

 『俺のルートは失敗だった。向かうべきはペダンではない、主人公はお前だ』という言葉。

 

 まず失敗とは何を指す?

 

 俺の目的はマナの樹を守ることだ。単純に守りきれなかったと考えるべきだろうか。

 

 だが、作中でペダンに行くタイミングは闇のマナストーンの場所を特定するときのはずだ。

 そのときにペダンに行っていては遅すぎる。だから、向かうべきはペダンではない、と言いたいのか?

 

 しかし、それでは自分で間に合わないことがわかっていて、ペダンに行ったことになる。急いでも間に合わないことがわかっていたから、あえてペダンに寄ったのか?

 

 それとも全てが終わったあとにペダンに行ったのか、かな。そのときは次元の歪みがギリギリ繋がっていた、とか。

 

 あー!わからん!答えがわからんから余計もやもやする。

 あと失敗って何をだよ!

 

 仕方ない、他のワードから推測してみよう。

 主人公はお前だ、というのは、ラスボスが竜帝となることを指しているのだろうか。

 それとも、そうなるようにフラグを立てろということか?

 でないと失敗する、という意味を込めているかもしれない。

 

 あっ、そうか。

 

 前提として、闇のマナストーンの場所を聞くためにペダンに行ったんだ。

 主人公は俺。だから、ガラスの砂漠に闇のマナストーンは現れ、三勢力の内、竜帝が最後に生き残った。

 だから、向かうべきはペダンではなく、ガラスの砂漠、もしくはドラゴンズホールということ。

 失敗だった、はペダンに寄ることの時間のロスを言っているのか。

 それとも、父を助けられなかったことなのか。

 

 うーん。でも生き残った勢力がどこだったかは、マナの剣の騒動ではっきりするよな。三つ巴がうまく起きればだけど。

 

 そう考えると、もしかして俺、マナの剣奪われたんじゃないか?

 その失敗のことか?

 

 そこから予測すると、俺はペダンに寄らないでドラゴンズホールに直行するだろう。神獣のことは放って、まず竜帝から片付けるはずだ。わざわざ超神化させる理由がないからな。

 でも、これを伝えるってことは、すべての結果が出た後だろうし。

 

 んんっ?わけわからんな。

 ってか、答えにいたる材料少なっ!

 

 何でこんな回りくどいことをしたんだ、と思ってしまうところだが……。

 リチャード王子に全てを話しても伝えきれないと思った可能性が高いか。

 これから死闘をする人間に悠長にこの先の未来を話しても信じてはもらえないと判断したのだと思う。

 

 あとは、——そうか。

 

 それを話していなくなったってことは、たぶん、この伝言が俺に届く未来が確定したことで、『未来のデュラン』の未来と辻褄が合わなくなったから、か?

 

 ゲームではいきなりペダンからいなくなるような演出やイベントはなかったことからもそんな予想がつく。

 つまり、もっと具体的な話をしようとしたが、出来なかったって感じかな。

 さすがだな、未来の俺。ギリギリのラインで情報を伝えようとしたわけだ。

 

 でもぼやっとしすぎだけどね!

 むしろ失敗した不安が押し寄せてきてるけどね!

 

 ただ、確実なのは、未来が変わったってことか。

 ここからが成功になるか、失敗になるかは未知数だってことだ。

 

 より良い未来になるか、それとも最悪な未来になるか。

 

 まぁ考えても答えは出ない。切り替えよう。

 心に留めておくことは、マナの剣を手に入れて、奪われないこと。ペダンに寄る必要がないこと。

 だろうか。たぶん。

 

 ペダンに行かないことで生じるタイムパラドックスがうんぬんとかは、考えない。この人生が全てだからな。

 ただ、もしも父を救う道があるなら……。

 いや、やめやめ。忠告に従う方針で行くぞ。

 

 まぁ、今後の方針に多少の影響はあったが、ひとまずは、旅立つ目処を立てないとな。

 各国を回れるだけの力、資金、時間、それから仲間にできそうな精霊のピックアップ、主人公たちの勧誘……などなど。

 

 はぁ、と思わずため息がこぼれた。

 

 前途多難、という言葉が頭を過ぎる。

 

「そういえば、未来デュランの話に食いつきすぎて、最後の戦いの話聞きそびれたな……」

 

 いや、今はまだやめておこう。王子にも、俺にも心の整理が必要だからな。

 

 神託の通りになってしまったと王子は考えているかもしれない。

 俺も、言わなければ違う結果があったかもしれないって、どこかで思ってる。

 

 聞けるようになったら、必ず聞こう——

 

 

 

 

 

 





自分でも書いてて混乱したから、読者も混乱のバッドステータスになったはず。
何のこと言ってたかはきっとおいおいわかってくる…予定。
草がない人ようにマーマーポトの油、まいときますね。パシャパシャ
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