没落TS勇者令嬢ウィンター・ツイーンドリルルは、魔を切り裂き、光をもたらすのですわっ!!   作:クルスロット

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第七話 ウィンター・ツイーンドリルル、またまた貞操危機!

 

 

 ガラガラぴしゃんっと凄い勢いで引き戸が閉まるのを見て、私は、驚くよりも吹き出してしまいました。ふふ、おかしい。ほんとおかしいですね。あの焦った顔……笑いが止まりません。ふふふ……。ああ、まだ手の中に感触が残ってます。凄いボリューミーで、張りがあって、ぷるるんでした。ご馳走様です。

 

 ちょっとやりすぎてしまいましたかしら? いえいえ、私だって凄く恥ずかしいめに合ってるんですからイーブンでしょうイーブンです。やけにじーって見てるなあって思ったらまさか男の子だなんて! 予想もつきませんでした。男の子なんて皆固くて四角い感じじゃないですか? 分かりませんよ。……ほんとに、男の子なんて本当なんでしょうか? どう見ても可愛くて柔らかい女の子ですしね。

 

 でも虚偽看破(センスライ)は、嘘を見抜きますから正しいはずです。しかし、虚偽看破(センスライ)でも相手が嘘を事実だと思いこんでしまっていると見抜けません。虚偽看破(センスライ)の反応するのは、『相手が嘘だと理解している』ことですから。事実だと思っているとどうしようもないのです。まったく、どうしたものでしょう……。

 私は、むむーっと眉を潜めて、腕を組みます――分かりません。ふうっと浴槽の壁にもたれて、天井を見上げました。

 

 「しかし、流石に今日は、疲れました……」

 

 ツイーンドリルル領から王都まで最速で、しかも内密に来たのですから疲れて当然です。だからこうしてダラーってしても怒られないはずです。お風呂に入る時くらいは許して欲しいものです。

 でも、誰かと一緒に入るのもいいものですね……。男の子ですけど、恥ずかしいですけど。うーんでも……。

 

 「見た目、女の子ですから大丈夫じゃないでしょうか……? あーでも流石にちょっと恥ずかしいですね……。見てる感じとか、結構男の子でしたし……」

 

 ……考えれば考えるほど恥ずかしくなってきました。一旦止めましょう。でも、

 

 「折角、名前で呼び合う仲なんですから、仲良くなりたいですよね。お友達、欲しいですし」

 

 騎士団は、男の子とか男の人ばかり。侍女の子達も互いの立場的に中々、難しいです。

 

 「ウィンター様……」

 

 この呼び方だとやっぱりまだ距離感ありますよね。そうなるとやっぱり呼び捨てでしょうか?

 

 「こほん、……ウィンター」

 

 私の呟きが浴場の中を反響して、反響して……――駄目ですね。私は、頭を振って、

 

 「もう暫くは、この呼び方は控えておきましょう」

 

 しかし、今日の湯は、熱いですね。シャワーで体を冷ますことにしました。熱い、とっても。耳まで熱いです。

 

 「とりあえず、またお風呂に誘ってみましょうか」

 

 どんな顔されるんでしょう、ウインター様。想像するとおかしくて堪らなくて、また笑みが零れてしまいました。

 

 

 

 +++

 

 

 

 「ハックシュンっ!」

 

 なんだ? この寒気……。湯冷め? 風邪か? この体って風邪引くのか? うーんどうだろう。でも悪寒がするしなー。風邪かも……。素っ裸で飛び出してきたからか? にしても明日からどんな顔をオフェーリアにすればいいんだ、俺。困った。とても困った。いいアイディアも出ず、俺は、汚れ一つ無い白塗りと落ち着いた色合いのカーペットがひかれた廊下を通って、あてがわれた寝室に入ると。

 

 「疲れましたわ――!!」

 

 ぼふんと俺は、ベッドへと飛び込んだ。づかれだ……。めちゃくちゃづかれだ……。精神的に、めっっっっっちゃ疲れた。じたばたじたばた。おっぱいを揉まれる。他人に自分の体を弄くり回されるってのは、こんな気分になるんだと俺は、知った。気をつけよう。 それにしてもこの服、着心地がいい。ふわふわすべすべで、手触りも最高。オフェーリアから借りただけど着心地いい……。女性物ってこういうところいいよな。

 

 「ふへ~~柔らかいですわね~~……。ベッドもやっぱり違いますわね~~……。もう意識が持ちませんわ~~」

 

 あー駄目だ。これ実家のよりもっと良いやつだ。かー金ある……というよりは、父さんの趣味だな。こんな良い寝具じゃなくて町の宿屋くらいのランク。藁を重ねただけじゃないだけマシだな。常駐戦場とかなんとか常々言ってたしな。遠い東の国にいる友人から教えてもらったことわざだっけか。枕に顔を埋め、うつ伏せになった俺は、うとうとしながら思い返していた。

  

 「ごーろごろ……ごーろごろ……」

 

 でもやっぱりこっちのが良いよな。母さんの圧に負けて二人の寝室は、いいヤツだったんだよな。父さんのばーか。……言ってみただけで、まあ、文句は別にないけどさ。言える時に言っとくべきだなこういうの。言えなくなっちまったよ、父さん。『泣くんじゃねえ、男だろ』なんて怒りそうだな。だけどさ、今は、女の子になってるわけだし、許してくれよ。頼むからさ。

 

 「ごろごーろ……ごろごーろ……」

 

 「……あの、ホワイト、貴方なにをしてるんですの……?」

 

 「なにって、見ての通りだけど? ごーろごろごろ……」ベッドを通り過ぎて、着地「ベッドの柔らかさを全身で味わってたのさ! 僕こんな柔らかくて寝心地いいベッド久々だよ!」

 

 「え、ああ、そうですか……」

 

 にこにこご満悦顔のホワイトは、体と手でシーツを撫でるように滑らせていた。もしかして、一緒に寝る気か? ダブルベッドだから余裕はあるから二人で寝れなくもない。いや、そんなことよりもだ。

 

 「今の今までどこにいたのかしら?」

 

 「君の傍さ。君がトイレで頑張ったり、衣類でまたまた頑張ったり、鏡の前で悦に浸――あー殴らないで! ごめん! ごめんって! これからは、見ないようにするからー! ぎゃーゆるしてー!!」

 

 「まったくもう……」

 

 シャーっと威嚇しながら振りかぶった拳を収めて、俺は、嘆息をついた。色々と見られていた事実というのが耳の隅々まで熱くさせる。さっきといい今といい……俺を羞恥心で殺したいのか? ていうか疲れた。いい加減寝かせてくれ。

 

 「それで、寝るために出てきたんですの? 別に構いませんが。見ての通り、大きいですから」

 

 俺も随分と縮んだからこれくらいのベッドだとだいぶ余裕が出る。180センチ近くあった身長が今では160センチ届くか届かないか。肩幅にしろ尻にしろ色々縮んだ。代わりにこれでもかとでかくなったのは、あるけどさ。

 

 「んーそれも目的だけど……」

 

 「……なんですか、その顔」

 

 「いやさー……」

 

 急に、ジト目で見つめてきたホワイトに、俺は、怪訝な顔で尋ねた。

 

 「君、さっき王女様におっぱい揉まれてたよね? がっつり時間をかけて、もにゅもにゅって」

 

 ……やぶ蛇だった。無視してよかったやつだこれ。めちゃくちゃ後悔したのは、言うまでもない。

 

 「な、なんのことでしょう? わたくし、普通にお風呂に入ってきただけですから……」

 

 「いや、白々しいよ? 僕一緒に居たって言ったじゃん。見てたよ? じっくり見てたからね?」

 

 「お風呂にもついてきてたんですか!? 覗きですわよ!?」

 

 「僕も女の子なのでノーカンですー。 それに僕だってお風呂に入りたかったんですー。ていうかあんなお風呂独り占めとかズルいじゃん。横暴だー! 贔屓だー! 差別ー!」

 

 「横暴も贔屓も差別も何もありませんわよ!!」

 

 「あるから! 僕に揉ませないのに、王女様に揉ませるのは、間違いなくそうだから!! ほら、僕に揉ませない理由あるの? 言ってよ! 権力がない以外で!」

 

 ぐっ……なんてふてぶてしい笑みだ。目もキラキラしてやがる。手をワキワキさせるのやめろ。

 

 「……視線が気持ち悪いです」

 

 「はい、クリティカルー! そういう暴言いけないと思いますー!! 何故なら僕が泣いちゃうからですー!! 泣くぞー! めっちゃ大声で泣くぞー!! 勇者様が部屋で幼女泣かしたなんて人にバレたくないならさっさと揉ませなさーい!」

 

 「あ、貴方って人は……!!」

 

 なんて執念だ。俺は、戦慄を隠せなかった。恐ろしい。あまりにも恐ろしい。湯船で温まった体を覆い尽くすように冷や汗が浮かんできた。

 

 「このままでは、幼女強姦で牢獄送りにされてしまいますわ……!」

 

 「え、そこまでは……」

 

 「くっ……仕方ありません……服の上からですよ?」

 

 何やらまだホワイトが言っていたが俺は、屈した。ベッドに腰をかけて、反対側のホワイトへと胸を向ける。く、屈辱だ。自分からってのが余計に恥ずかしさを助長する。また顔が熱くなって、折角、風呂に入ったのに汗が浮かんでくる。

 

 「なんかノリノリだ……ま、いっか! じゃあ、いただきまーす」

 

 はうぁ! あーまた揉まれてる。俺の乳が安くなる。安くなっていく。いやでも俺男だし? 乳揉まれても平気……平気じゃない~~。何この感覚、変! めっちゃ変! 凄い変!

 

 「あ、そうそう。もうちょっと話せてないことも話に来たんだ。これからくる、四天王の話なんだけどね」

 

 「え?! その話、今しますの?!」

 

 「今したらじっくりねっとりお話できるからねー。それに、じっくりねっとりおっぱいも味わえちゃう。一石二鳥だよね」

 

 「わたくしは、負荷2倍ですが??」

 

 「君が殺した炎の四天王から回収したのは、四大元素の一つ、炎の改造コード。次に来るのは、土、水、風のどれか」

 

 「あ、スルーするのですね……。憶えてらっしゃんっ……!」

 

 急に強く揉まれたから変な声が出てしまった。悔しい……。にやにやするホワイトが腹立たしい。

 

 「……それで、どれが厄介とか分かりますの?」

 

 「いんや全然。僕も想像がつかない」

 

 「言って、それですか。役立たずですわ……んんっ……!? あんまり変な揉み方してるともう揉ませませんわよ!!」

 

 「あはは、ごめんごめん。ついね。だけど言えることはあるよ」

 

 「というと?」

 

 小首を傾げ、ホワイトに尋ねた。というか持ち上げたり回したり忙しいな……。なんなんだ。おっぱいってこんな揉み方するのか? 残念ながら女の子とこう色々できなかったからな……。脳内メモにメモっとこう。男に戻ったら役立てるんだ俺……。

 

 「どれが来ても君が負けたらゲームオーバー……負けってこと。炎の四天王は、わりとあっさり倒せたけど相手の油断とか速攻で決めれたからってのが勝利の理由だと僕は、思う。食らったらやばそうなのあったでしょ?」

 

 「確かに、危ないと感じたこともありましたわね。勢いでぶち抜きましたけれど」

 

 「君、ちょくちょくお嬢様言語が怪しいよね、君。兎も角、これから来る相手には、多分後手になるよ。後手って事は、分かるよね?」

 

 「ほっとけですの。相手のペースで、進められてしまうということですね。このままですと民に被害が出ますわね……対策は?」

 

 「……魔王城に先制アタックとか上手く行けば大勝利だね」

 

 「現実的ではありませんわね。そもそも魔王領のどこにあるか分かりませんし、何より分かっても魔王や他の四天王とか戦力が居るんでしょう? 厳しいですわよ」

 

 冗談めかすホワイトに、俺は、呆れたように返した。うーん、打つ手なしって感じか? ふと思いついたことを口にしてみる。こういう時は、出来ることを上げ続けて、再確認だ。

 

 「件のコードでは、どうにかならないのですか? ブラックって方をずっと追いかけてきたなら追いかける方法があるはずですわよね? 位置を探知したりとかそういう便利なものは、無いんですの?」

 

 「……正直なところ、ブラックがこの世界を掌握しかけてて、僕には、この世界のコードに、ほとんど手を出せない。見つけられないし、万が一見つけても返り討ちが関の山。だから、君に――この世界の勇者を頼ることになったんだ」

 

 「他の勇者も皆こんな風にツインロールドリルで戦うのでしょうか? ちょっと絵面が酷くなりそうですわね……」

 

 筋骨隆々の勇者たちが剣や槍の代わりに、ツインロールを振り回して戦う。想像するだけで微妙な顔になれるな。

 

 「いやいや何言ってんのさ。そんなの君だけだよ。皆剣とか槍とかその他武器だよ」

 

 「は? え? なんですのそれ。ズルくありません? どうしてわたくしだけこんな笑っちゃう絵面で戦ってるんですの?!?!?!?!? 女性になるのは、緊急事態だったから仕方ないで飲み込みますけれどなんの因果があって、ツインロールで戦うことになるんですの!? お馬鹿なのかしら!!」

 

 「それだよ」

 

 「何がです!?」

 

 「因果さ。勇者ってだけじゃ、改造コードで加工された魔王や四天王に勝てない。けど勇者は、魔王の反作用。多分、僕のコードと勇者が結合した結果、変質したんだ。だからツインロールの回転は、因果を捻って、捻じり切……ぐぅ……すぅ……すぅ……」

 

 「え、嘘!? そこで寝ます?! 普通そこで寝ま、あ、のしかからないで! 重いですわよ!」

 

 唐突に寝落ちて、おっぱいに挟まったホワイトの肩を揺った。起きない。返事もない。代わりに規則正しい寝息が聞こえてくる。

 

 「……マジ寝してますわねこれ」

 

 すごく重要な話をしだした気がしたんだけどな……。谷間から引き剥がし、ベッドに寝かした俺は、ホワイトの安らかな寝顔を見て、微苦笑とともにやれやれと肩を竦めた。一緒についてきたって言ってたからな。疲れてたんだろう。

 

 「寝ていれば、ただの子供ですわね。さて、残りは、また明日にでも聞くことにしましょうか。わたくしも眠くなってきましたしね……」

 

 ふわあ……と大きく欠伸をしてからホワイトの反対に寝転が――って、寝相悪いなおい!? 蹴り飛ばしてくるホワイトの足をどうにかどけ、避け、躱した俺が眠りについたのは、大体二時間後だった。

 

 

 

 +++

 

 

 

 「…………へ?」

 

 爆音と騒音で目が覚めたら次の瞬間、天井が無かった。……は? キャンプした憶えはないんだが? どういうこと? 理解できず思考をフリーズさせて、天井のあった場所から覗く夜明けの白んだ空を俺が呆然と眺めているとホワイトの顔が割り込んできた。

 

 「やばいよ! 寝てる場合じゃないし、ぼーっとしてる場合でもないよ! まーじでやばい! めっちゃやばいっ!!」

 

 「な、なんですの!? びっくりしますわよ!」

 

 そんな俺のことなど気にも止めず、ホワイトが言い放った一言に、俺は、ベッドから跳ね起きて、視界に火花を散らす羽目になったんだ。

 

 「風の四天王が攻めてきたんだよっ!!」

 

 

 




次回、風の四天王来襲

書き溜め使い切ったので暫く書き溜めします
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